もしもう一度戻れたなら(もうひとつの物語)
未熟ですが、最後まで読んでいただけると嬉しいです!
感想、評価、アドバイスなどももらえるとありがたいです(* ´ ▽ ` *)ノ
俺は、どんな性格かって言うと、一言で言えば活発。
小さい頃から、周りには友達に恵まれていた。
それに、そこそこ周りからの信用もあったような気がする。
“あの日“
俺は、いつも通り特に変わったことはなかった。
でも、
“あの子“
は違ったんだろうな……
空を眺めて目の前のお墓にそっと手を合わせた。
クラスにある日、転校生がやってきた。
か弱そうな雰囲気の女子だった。
その子と、クラスのおとなしめな“あいつ“は、知り合いだったみたいで、何回か一緒にいるのを見かけた。
俺にとって、“仲良しだな“程度だった。
でも、あの日の前日に事件があった。
クラスで、あの2人が“お揃いのキーホルダー“を持っていたという話で、本人達がいないところで盛り上がってしまったんだ。
今となっては、何てくだらないんだろうって後悔してもしきれない。
そして、あの頃の俺は“お調子者“だった。
周りから、“付き合っている“ことを聞くようはやし立てられ、気分が良くなり、そしてあの日……
「なあ、お前、あのこと付き合ってるって噂になってるぞ?」
「えっ?」
「とぼけるなよ、同じキーホルダーを持ちあるいてんだろ?」
「あれは、記念にってもらったもので…」
「もらったものでもお揃いじゃん!」
生暖かい空気と、興味津々の視線に、周りの反応も悪くなく、おれは、満足していた。
だけど、それは大きな間違いだった。
“あいつ“と“あの子“は、明らかにギグシャクしてしまい、時々“あの子“が、早退したり、苦しそうに授業途中に保健室に行く姿を見かけるようになった。
なんだかわからない罪悪感を抱え、“あのこ“が何日か来なくなった後先生から
「プリントを届けてくれる人はいないか?」
と、来ないぶんのプリントを届けてくれる人をクラスのみんなに聞いていた。
“あいつ“は、手を上げなかった。
もちろん他の皆もあとで、“あいつ“が届けてくれると思って上げなかった。
だけど、現実は違った。
放課後、色々あって下校時刻まで校舎のなかにいて担任に捕まった。
その時に、“あの子“に渡すようにプリントを頼まれた。
ズキッ
いやな予感がした。
その予感を押さえつけて、教えられた“あの子“の家へ行く。
ピンポーン
出迎えたのは、“あの子“のお母さんだった。
「ありがとね、プリントを届けてくれて。あなたが仲良くしてくれた男の子かしら?」
ズキリ
「あっ、えっとこれで用事終わったので帰りますね!」
急いで、その場を離れようとしたとき、
「誰かきてるの?」
“あの子“の声だった。
ピタッと足が固まる。
「あっ、」
「……やぁ、久しぶり」
目が合わせられない。
「じゃあ、」
「あっ、まって。せっかくきたから、少しおもてなしさせて!」
断ることができず、結局“あの子“の部屋に上がってしまった。
「えっと、ごめんね。無理に上がってもらって。伝えたいことがあってね。実はね、私と彼付き合ってないんだ。誤解だって言う機会がなくって……みんなにも伝えてほしいなって!彼が困ってるから……」
寂しげに笑う“あの子“の姿を見てまた、
ズキリ
と胸がいたんだ。
「わかった、約束する。こっちこそ勘違いしてごめんな」
「良かった」
「じゃあ、学校で」
「うん!よろしくね」
部屋のドアを回そうとしたとき、
バタン
後ろを振り替えると、少女が苦しげに倒れていた。
「おい!」
必死に呼び掛けるが、うまく言葉がでないのか口をパクパクさせていた。
「まってろ!」
その後、すぐ“あの子“のお母さんを呼び救急車で運ばれた。
病院まで、家族と思われたのか救急車に付き添いで一緒にのってついてきてしまった。
そこで、“あの子“のお母さんから“あの子“の病気と寿命について話があった。
「そんな……おれは、……」
激しい後悔が全身を駆け巡る。
その日は、そのまま家へと帰った。
次の日、“あいつ“は休みだった。
俺は、クラスの皆に“あの子“との約束通り
“あいつ“と“あの子“は、付き合ってなんていないこと、
そして、
“あの子“の寿命・病気について話した。
クラスの皆は、黙っていた。
俺たちは、あの子にそれぞれ手紙をかいた。
“あいつ“にも、声をかけたが、断られた。
今となっては、たぶんあの時の“あいつ“、また“あの子“と関わるとからかわれると思っていたんだと思う。
あの時そこら辺まで、フォローできなかった俺にも責任はあるんだろう……
代表で、かかれた手紙を“あの子“の家に届けに行った。
やっぱり、“あの子“は、病院で治療を受けていて家にはいなかった。
お母さんに預けて、俺は自分がやってしまったことを正直に話した。
正直責められると思っていたんだ。
だけど、責めずに
「ありがとう。正直に話してくれて。あの子との約束守ってくれて」
それだけで、
ズキリと
胸が傷んだ。
それから、数日が過ぎた。
たまにお見舞いに行っていたが、そのお見舞いも病棟が移ると難しくなった。
“あいつ“もいつの間にか学校に来ない日が多くなり、声をかけようにも、そのきっかけをつかめずに日々が過ぎていった。
そしてなにもできずにいるうちに、“あの子“は、亡くなってしまった。
俺は、あの日の事がここまで後悔することになるなんて思ってさえいなかった。
誰からも、あの日のことを責められずにいることが俺にとっては苦痛で、それからはただ、何か償いたいと思い、勉強に励んだ。
そして、大人になり、俺は“研究者“になった。
難病の薬を開発する仕事だ。
“あの子“の病気を治す薬も作ることができた。
それを“あの子“のお墓に備えると、どこからか猫がでてきた。
ニャー
「これは食べ物じゃねえよ?」
ニャー?
猫は首をかしげた。
そして、薬に近づく。
「もしお前に、もしもう一度、あの頃に戻れたらさ、これあの子に届けてくれないかな?……なーんてな、できるわけないよなー」
ニャー
猫の鳴き声と共にすごい風がふき思わず顔をうででおおう。
「すごい風だったな……ん?」
“あの子“墓に備えた薬がなくなっていた。
ついでに猫の姿も見当たらない。
ここは、きれいに整理された墓園で、辺り一面見渡せる。
猫が隠れてもすぐに見つけられるはずだが……
「まさかな?本当に届けに行ったのか?……そんなわけないかー
すごい風だったなー。あれで飛ばされちゃたのかな?まぁ、仕事に戻りますかね」
墓に背を向けて歩き出す。
その後ろ姿を、見送るようにどこからか猫の声が聞こえたような気がした。
このお話しを最後まで読んでくださりありがとうございます。
前に書いた短編の
「もしもう一度戻れたなら」
もぜひ呼んでもらえると嬉しいです!一応そちらが本編になっています(*´∀`*)
このお話の新しい物語をただいま制作中です。
詳しい内容は、活動報告を確認していただけると嬉しいです(* >ω<)