カント哲学について 及び宗教全般についての考察
このタイトルの文章を投稿するのは怖いです。
なぜなら、NHKのEテレの「100分de名著」
5月は、カントの純粋理性批判
だからです。
そのテキスト、まだ私、読んでいません。
私が書いたこととまるで違うことを言っていたらどうしましょ。
2020.5.3記
5月の純粋理性批判の放映は、延期になりました。
コピペばかりで恐縮ですが、カントの哲学について、以前書いた文章を転載させていただきます。
高校時代あたりから、哲学に興味を持った。
しかし、専門的に学んだわけではない。語学は苦手だったので、原文で読むなどということができたわけでもない。
また、邦訳にしても、高校時代に訳が分からないままに新潮文庫版で、ニーチェの「ツアラツストラかく語りき」を読み、
大学入学後「荘子」を、20代の時にヘーゲルの「歴史哲学を読んだ。
それくらいしか記憶に無い。
概ね解説書をざっと読んで、分かったような気持ちになる。それが私の哲学体験だった。
そういう薄い哲学経験であっても、ニーチェや、荘子や、プラトンはすごいことを言っているなあ。
人間の想像力というのはすごい。そういうことは思っていた。
だが、そのすごさがなかなか分からなかったのが、カントだった。
哲学史において、カントは極めて大きな存在であるらしい。
カント以前、カント以後というような言われ方もしている。
しかし、肝心のカントのすごさは分からなかった。
30代になってあるとき
「そうかカントはこういうことを言っていたのか。 それはすごい。たしかにすごい」と思った。
私の理解によればカントはおよそ次のようなことを言っている。
「人間は思考するが、その思考には形式がある。人間が思考するとき、それは時間と空間という形式において、時間と空間という所与の条件の下に人間は思考する」
すなわち、人間という存在は時間と空間の枠内において存在しており、時間と空間を超えたものを思考することはできない、ということだ。
われわれの存在する宇宙は時間と空間によって構成されている。この宇宙の創造者が神であるならば、神は時間と空間を超えた存在である。
ゆえに、われわれ人間は神の存在を証明することはできないし、 神はわれわれにとって不可知なものである。
すなわち、カントは人間の思考の限界、言い換えると哲学の限界を明らかにしたということだ。
史上最高の哲学者は誰か?
今の私は、この問いに対しては「カント」と答える。
次に上記を踏まえて書いた私的宗教論を転載する。
先の拙稿「カント哲学の私的解釈」により、人間にとって神は不可知であるとした。
この考えを敷衍すれば、神は人間のことばによって、表現することはできない存在、ということになり、世界中のあらゆる宗教は意味がない、ということになってしまう。
論理的にはそうなる。
しかし、感情的に私はその論理には与しない。
人間が認識することのできるこの世界と、人間には認識することのできない世界。
それをつなぐものが宗教であり、人間の思考能力を限界いっぱいまで使って、本来、表現することのできないものを何とか表現しようとするものが宗教である、と考えるからである。
少しでも本来の姿に近づけようとするなら神は超常的な存在でなければならない。
偶像崇拝禁止ということが最もあるべき姿であろう。
キリスト教も、 仏教でさえも初期はそのとおりであった。
しかし、普通の人間が信仰の対象とする には、結局のところ、偶像は必要であった。
本来はるか高みにあるべき存在は どんどん人間の世界に下降してきた。
例えば、ヒンズー教。
ブラフマー、シヴァ、ヴィシュヌの3神の中で、元々は 最も高みにいたブラフマーは徐々に信仰の対象からはずれていき、より人間的でドラマ性に富むエピソードを豊富にもつ、シヴァ、ヴィシュヌが信仰の対象となっていった。
キリスト教しかり、仏教しかり。
神は、仏陀は、人間によって、その姿を顕現させられた。
三大宗教の中でイスラム教のみは今にいたるも偶像崇拝は許されない。
コーランについても、かつて
「神のことばが、コーランという限定されたことばというものによってあらわすことが許されるのか」
ということが大きな問題になった。
これは結局
「ことばによる限定はあるが、その意味において永遠である」
という考え方が正当となった。
かくのごとき議論は、宗教を最もあるべき姿としてとらえようとすれば当然、問題となることがらであろう。
これまでの論理であれば、偶像崇拝の許されないイスラム教は、その信仰が衰えていくべきもののはず、ということになるが、隆盛である。
これについては、私は、イスラム教が信者の日常規範をこと細かく定めているからである、と推定する。
こまめに信者の面倒をみる。
そして日々濃厚に密着する。
ある宗教が栄えるには それは欠かすことのできない要件なのであろう。