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ダムの底:呪われた村  作者: 本宮 圭司
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終章

高校で授業を受けながら市川は身体の調子がおかしいことに気付いた。身体に力が入らずフラフラする。意識が不明瞭になり、授業中に倒れてしまった。

直ぐに保険室に運ばれ、目を覚ましたのは夕方だった。直ぐに先生が駆けつけ容態を尋ねる。

「身体はどう?」

インフルエンザで高熱を出しているときのような感じだ。

「かなりきつい状態です…」

絞り出すような声で言った。

「それは持病なの?」

「え…?」

そう言われて市川は自分の身体が干からびていることに気付いた。

「これは…なんで…?」

混乱と絶望で言葉が出ない。どうしてまた呪いを受けなければならないのか?弥代日家の目的は達成されたはずだ。

そうしていると保健室の扉が開く音がした。現れたのは大垣だった。彼は市川のそばまで来て言った。

「まだ終わってないらしいな」

「どういうこと?」市川が訊く。

「おれたちはまだ弥代日家の目的を果たせてない」

まだ彼が何を言いたいのかわからない。

「心あたりがある。やつらはおれにさせたいことがあるんだ」

「なんなの?」

「…まあ、待ってろ。おれが仕事を果たせばお前も治るはずだ」

そう言って彼は市川を後にした。

その後母親の迎えで家に帰り、ベットで寝込みながら彼は何をする気なのか考えていた。

翌日の朝、目を覚ました市川は身体の異変が治っていることに気付いた。


学校を出た大垣は直ぐにスクーターに乗り九連ダムへ向かった。弥代日家にはもう一つの目的があった。彼が全く呪いを受けなかったのは、目的を果たすために必要だったからだ。

市川と大垣により弥代日家惨殺の事実は世の中に明らかになった。しかしそれで四輪の人々が裁かれることはない。決定的な証拠があるわけでもない、40年以上も前の出来事だから。

だから復讐を果たすためには呪い殺す以外の手はない。しかし弥代日家の呪いはあの地域以外には及ばない。彼らの怨霊はあそこを離れることが出来ない。彼ら自身だけでは。だから連れて行ってやる必要がある。

九連ダムに着く頃にはすっかり暗くなっていた。大垣はダムの上にスクーターを停め、乗ったまましばらく待つ。

しばらくして、背後に気配を感じ始めた。人の気配ではない、冷たく暗い気配を。ちらりとバックミラーを確かめると、人のような形の何かが後ろにいた。

全身の産毛が逆立ち、震えを抑えられなくなる。これまでに感じたことのない感覚だ。本能が今すぐ逃げ出せと叫ぶ。

「今、連れてくからな」

そうつぶやいてスクーターを発信させる。向かうのは片岡の家だ。

途中で何度もバックミラーを見たが、相変わらず後ろにはやつがいた。どうやら予想はあたっているらしい。

片岡の家の前に着いた。スクーターを停めると、背後の気配が離れていくのを感じた。やつは家の玄関に向かい、戸をすり抜けて中へ入る。そして男の叫び声が響いた…。


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