表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

コインと線

初投稿です

男は会社からの帰り道を急いでいた。


男はそこそこ良い会社に勤めていたが、真面目に働く気は無かった為、クビ寸前であった。

おまけにどんどん給料を使ってしまうので、貯金も無い始末。


そんな男の前に、空から何かが落ちてきた。

拾ってみると、それは一枚のコインだった。


「なんだ、このコインは。、、、なんだオモチャかくだらない。」


男はそう言いながらもそのコインをながめる。

表には不思議な模様が書かれていて裏には点が書かれていたーと見えていたが、気がつくと1本の線になっていた。


男はコインをポケットに入れて家に帰った。

家でコインを取り出すと、表に何か書いてあった。

それは、男の名だった。


男はそのコインをお守りのように持ち歩くようにした。

ある日男が外食をした後に、財布を家に忘れてきてしまった事に気付いた。

レジで男が一円だけでも残っていないかと探がしていると、男が持っていたコインを見た店員が、そのコインを機械に入れて、さらにそのコインを返して

「おつりです。」

といった。さらにあっけにとられている男を、

「ありがとうございました。」

といって見送ったのであった。


男は不思議に思いながら帰りにタクシーを拾って運転手にそのコインを見せると、運転手は男を男の家まで送り、コインを機械に入れてコインを返してそれ以上に何も取らなかった。


男はこのコインを見せれば何でも買えるのだと思い、その日からコインを使って欲しいものを片っ端から買い始めた。


自分専用のビルを建て、世界中の美術品を集め、島を買い、そこに別荘を建て、、、

もともとどんどん給料を使ってしまう性格なのでちょっとでも贅沢できるところはどんどん贅沢した。

何を買うのもコインを見せるだけでいいのだ。


ある日男はいつものように買い物をしてコインを見せると、


「なんですか、そんなオモチャを見せられても。」


と言われた。仕方ないので自分の美術品を一つ売って支払った。


「なんで使えなくなったんだろう、、、」


男がぶつぶつ言いながら自分のビルに帰ると、部屋のすみに誰かが立っていた。

誰だと思って見るとそれは宇宙人だった。宇宙人はこう言った。


「お迎えに参りましたさあ私の船に乗って下さい。」


「ちょっと待った俺はなぜお前の星に行かなければならないのだ。」


「コインの残金がなくなったからです。ほら、コインの裏に0と書いてあるでしょう。」


男がコインの裏を見るとそこに線はなく一つの点だけになっていた。

さらにその点を顕微鏡で見ると0という数字だった。


「最初は91232429029402939086753923948394848485548948585495867594894797879797550450658756987557569685755766958575754949859759797897588484695875658495876584959686885864044095896859440598694098円と書かれていました。それが徐々に減り0円となったのです。」


確かにそれだけの数なら小さくなれば線にも見えるだろう。


「これから私たちの星に来ていただき、それだけのお金を稼いでもらいます。」


「おいおい俺はそんなに稼げないぞ。」


「大丈夫です。私たちの星に着いたら寿命をお金をコインの裏に書いてあった金額だけ稼げるように伸ばします。大体稼ぎ終わったころにあなたは死ぬでしょう。」


宇宙人はそう言うと男を抱えてビルの上にとめてあった宇宙船の中に運び込んだ。

それは何度もやったことがあるような慣れた手つきだった。


宇宙船が飛び去った後男のビルは音もなく消え、ちょうど男の部屋のあったあたり

から一枚のコインが落ちてきた。


そのコインの男の名前が書いてあったところには何も書いてなかった。

そのコインは道の真ん中で誰かが拾ってくれるのを待つように落ちていた。

読んで下さりありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ