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エピローグ 未済と伊田秋保
轟雷の終演と共に安全装置が発動し、未済は集中医療センターに搬送された。ほとんど使われる事が無い『優秀種』用の最高級個室で治療を受けながら、常に何かを考えている。一年生の時の担任だった伊田秋保が時折面会に訪れ、様子を見に来るらしい。
「考え方を改めるつもりはないよ。『優秀種』と『劣等種』は、地位も力量も違うからね」
「……未済」
「だけど、『劣等種』にも面白い奴が居る。地に堕ちた事すらも忘れて、輝くバカな星たちが居る――それだけは、認めざるを得ないかな」
「……ああ。きっと君が『劣等種』になっていたとしても……」
「……フン。何度も言うけど、ありもしない未来なんて考えたくないってば」
「ふふ……あ……申し訳ありません。つい、昔のクセで敬語を失念していました」
「いいよ、もう。学園側の規則に合わせる必要なんてないよ――伊田先生」




