地に堕ちた、星の輝き⑪
未済と里桜の姿が見えなくなり、どうにか彼女たちを視界に入れる事が出来ないかと地上からビルを探っていると、見慣れた剣が突然降って来た。
「う、わっ……!!」
地面に突き刺さったそれを引き抜くと、見た目よりも異常に軽い――間違いなく、彼女の分割した剣の片割れだ。
能力的な面もあり、オレは今回支援特化活動していた。基本的には彼女に『細胞電子』の供給をし、必要に応じて『星天の反響』で運命操作による補助を行う。巨岩に襲われた時の突発的な対応が、後者に当たるものだった。
姿が見えない。そして、里桜の『異彩』の要でもある剣が手元にない程のピンチに追い込まれている。そう感じ、空に注意を向けていた。
「……照明弾!!」
その時、禍々しい光球の近くに、照明弾が打ち上げられる。事前に打ち合わせをしていたそれは緊急事態の信号でもあり、ある合図にもなり得るものでもあった。
発射した照明弾の色によって、支援する方向性を定めている。
「……両方、だって……!? 全く、無茶ばっかりするな、あの子はっ……!」
オレは遠くに見える二色の人工的な光と、落下する金色の何かを見て、慌てて放電を開始する。
「――『天星哀歌』……『星天の反響』ッ!!」
虚ろな歌姫を呼び出し、透き通る声で響く歌声は第四街区全体に響き渡った。最大出力で運命を操作した為、いつもより状況は好転しやすい筈だ。
そして、彼女と交わしていた約束を果たして――全ての電力を使い切る。
力の抜けた身体で、落下して行く彼女のもとに近付く。ふらふらとした足取りで、少しずつ歩を進め続けた。
彼女だけに苦しい想いをさせる訳にはいかない。その一心で、歩き続ける。
天川はるかならきっとこうしていただろうから。
「違う……!! オレが、里桜の力になりたいからだ……!!」
与えられてばかりの人生で、誰かと一緒に成長する喜びを教えてくれた人の為に、ただ近付く。
――背後で、失われた歌姫が笑ったような気がした。




