書記の前世
「僕はね。商人だった父親が亡くなり女手一つで僕を育てた母が大好きだった。
そんな母親が愛し、母を大切にしてくれた養父の事が大好きだった。……その二番目の息子であるあの人と仲良くなりたいと思ってた。
そしたら何でかな……あの人は僕にセクハラし始めた。あっ、因みに前世の僕は十三・十四歳であの人は確か二十は超えていたかな?満野さんも聞くだけでしんどいと思うから詳しくは言わないけど、前世の世界は男尊女卑な所があったけど、それでもあの人の行為は百人中百人アウトと答えるレベル、と答えておくね。
本当にあの人触られるのが嫌で嫌で……それでも自分が我慢すれば全て収まると思ったんだ。
そんな時にあの人の婚約者候補としてヴィヴィアが現れたんだ。
あの人はあの家では次男坊で、ヴィヴィアの実家に婿入りする予定だった。彼女は僕に対して何処か冷たい態度で僕を接していた。いや、正しくは僕と僕の家族を観察? していたかな?
気にはしたけど、貴族の生まれではない僕の事を嫌う貴族が多かったからヴィヴィアもその一人かなと思ったんだ。
事件はヴィヴィアが我が家に泊まりに来た日の夜だった。
その日は深夜までパーティーがあって大人達はお酒を飲み、未成年の僕は深夜まで起きていたから眠気が出て自室で寝ていた。
寝ていた最中に突然息苦しくなって起きたら、あの人が僕に圧し掛かっていた。抵抗したけど男と女の力の差では如何にも出来ない。もう無理だと諦めた時だった。
あの人が突然吹き飛ばされたんだ。
吹き飛ばしたのは養父で、あの人を殴り飛ばした。実母は泣きながら僕を抱きしめてくれた。
どうもヴィヴィアは僕とあの人の様子が会った時から可笑しいと思ってずっと観察していたんだ。そして明らかにあの人が義妹である僕に性的な目で見ていたのに気づいて僕の家族に話した。そしてワザと酔い潰れたふりをしてあの人の行動を見張っていた。
全てを知った養父と一番目の兄は激怒してあの人を追放されました。厳し過ぎるという声があったけど、元々あの人の性格を問題視していて、ヴィヴィアの実家は軍人の家系で厳しい人達が多いからそこで根性を叩き直そうとしたんだけど……僕の件が発覚していっそ軍隊に入らせた方が良い決定した際中にあの人が逃亡。見つけた時にはスラムのボス的人物の愛人を襲ったせいで原型を留めていないあの人の遺体がスラム街の入口に放置されていた」
ショタな見た目の書記は前世の帆見さんを思い出していたのか、何度目かの溜息を吐いた。