犯行理由は電波的内容だった
「貴様のせいで私は何度も何度も愛した女性を奪われ、最後は惨めな死を遂げてしまうんだ」
「はぁ? 何を言っているの? てか帆見さん口調普段と違うよ?」
「恍けるな!!!! 一度目は愛した女性と無理やり別れさせられ、無理やり結婚された相手の女は金遣いの荒い男に簡単に股を開く尻軽女。そいつのせいで私は性病を移されて子供が出来ない身体にされ、無駄遣いと借金のせいで貴族だった我が家は没落した!
二度目は両想いだった義理の妹の仲を両親にばらし私達の仲を引き裂いた。私は家を追い出されて惨めな暮らしをし最後はスラムの屑達に嬲り殺された!
三度目は戦争で勝ち取った愛しい人に無実の罪を着せ彼女は谷底に落ちて殺された。一族郎党死罪なったせいで私も首吊り台の上に立たされた!
四度目は愛しい婚約者を他国に渡し、その国に我が一族が治めていた国を滅ぼされ私は惨い方法で殺された! それもこれも皆貴様のせいだヴィヴィア・ジャガルノーズ・フォン・グロズ!!」
……長文を息継ぎ無しで言うなんて帆見さんは凄いなー……
「……色々ツッコみたいけど、帆見さんの話が本当なら帆見さんは男みたいな感じだけど?」
「当たり前だ! 今世は何故か女の身体になっているが今まで全ての前世は男だった。今世こそ貴様に関わらずに済むかと思えば……しかし今の私は貴様よりも金も権力もある。私と彼女達との幸せな日々を守る為に貴様を排除する!!」
……中二病を拗らせたのかな。何だか普段と口調とか態度とか違うし、と言うかこれが帆見さんの素かな? と言うか『彼女達』? 彼女達て誰かな………………まさか。
「………………まさかだと思うけど。『彼女達』って生徒会の人達の事じゃあ……?」
「その通りだ!」
あっ、この人檻のある病院に入院させなきゃ!!
「一目見て分かった。彼女達は貴様によって引き裂かれた愛する女性達の生まれ変わり。今度こそ皆で幸せになる為には貴様が邪魔だ!! 貴様また彼女達を洗脳しているだろう!!」
「……」
あー何か話せば話す程頭が痛くなってきた。
まず生徒会のメンバーは全員男だし、彼女達じゃなくて彼達の言葉の方が正しい、そもそもこの国は一夫一妻制だし、例え日本が中東の様な一夫多妻・一妻多夫制が認められたとしても会長達は大企業や旧家のの跡取りだから一妻多夫はまず無理だし、そもそも私は洗脳とかそんな特殊能力は持ってないし何方かと言えば私は彼等に巻き込まれている、等のツッコみを入れたかったがこれ以上言えば泥沼だ。
「さぁ無駄話は此処までだ。……おいお前達! 高い金を払っているんだ、とっととその女を再起不能にしろ!!」
目潰し攻撃から回復した男達を叱咤する帆見さん。
「……帆見さーん。今ならまだ罪が軽いからもう止めたら?」
「五月蠅い!!!! お前等今すぐそいつを黙らせろ!!!!!!」
飛び掛かろうとする男達に私は思わず溜息を吐いた。
一瞬で終わった。