黒幕との対決
指定された公園に辿り着いた私はウロウロと公園を彷徨っていた。どこを探しても私を呼んだ人物がいないのだ。公園を一周して誰もいなければこのまま帰ろうかと思った時だった。
草むらからいきなり男が三人飛び出して私に襲い掛かる。
予想通りの展開に私は鞄から『例の物』を取り出す。そしてソレを襲い掛かる男達の顔面にスパーキング!
「ぐぎゃあああああぁぁぁ!!!!!!」
男達は顔を抑えて苦しみ悶える。私が投げつけたのは防犯用カラーボール。ただし中身は胡椒や唐辛子やマスタード等の刺激物を失明しない程度に調合した特製のカラーボールである。
暫くの間男達を戦闘不能にしたのを確認する。……そろそろ黒幕様を登場させて貰いましょうか。
「いい加減に出てきてくれませんか? もう後戻りはお互い出来ないのだから、こんな小物を使わないで大物である貴方が出るのが筋だと思いますよ?」
「帆見さん!!」
「……アハハハッ!! バレてたんだ!!」
滑り台から出てきたのは私を虐めていた主犯格である帆見さん。ニコニコと何時もの様に笑っているが、その目はまっったく笑っていない。
「何時から私が黒幕だって分かったの?」
「結構前から。駒にする人間をもうちょっと吟味するべきでしたね」
――ごめんなさい。ウチは帆見さんの家の下請けだから……
――バーカ! ホミちゃんはアンタの事なんて何とも思っていないわよ!
前者は帆見さんの実家の権力等で嫌々虐めをしている子から。後者は帆見さんの腰巾着で帆見さんに気にいる為に進んで嫌がらせをしている子の一人から。如何やら帆見さんは人を操れる様な才能はなかった様だ。
まぁ、先生達は明言を避けていたけど、学校に寄付をする家なんてそう多くはない。消去法で残るのは帆見さんの家だけ。
それに警察や我が家で雇った探偵の調査で、帆見さんの会社の従業員が我が家に嫌がらせしている事が分かっていたのだ。何というか色々詰めが甘い。甘すぎる。
「と言うかずっと思っていたけど、何で帆見さんは私の事を虐めるの? 正直この学校に入学してから初めて顔合わせなんだけど……」
「……それをお前が言うがヴィヴィア・ジャガルノーズ・フォン・グロズ」
地を這う声で俯く帆見さん。俯きながら睨み付けるその目は今でも私の喉元を食い破る様な眼だ。