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主犯格達?とのお茶会

 教室に来ればいつもの様に机の上には花が活けられた花瓶、中には大量のゴミ。悪意のある落書きはもう書く所がないからそのままの様だ。

 もはや日課となっている虐めの証拠を撮影、ゴミを片付け、花瓶を窓に移す。その間クラスメイト達は嘲笑い、同情的な視線、我関せずな態度と三者三様だ。


「おっはよ~!!」

 憂鬱な気分の私を知ってか知らずか、後ろから抱きつかれた。衝撃のあまりよろめいてしまった。

「……帆見ほみさんおはよう」

「も~名前で呼んでて何時も言ってるじゃん」


 帆見さんは私の今の状態を知ってか知らずか唯一私に話しかける人だ。

 クラスの人気者でしかも家も金持ち、おまけに美人と人生イージーモードな人だ。

「今日も嫌がらせを受けたの?」

 眉を顰めクラスメイトを睨む帆見さん。クラスメイト達は帆見さんから視線を外した。





「おい満野」

 突然私に声を掛けられた。声を掛けてきたのはこの学校の生徒会長だ。俺様系のイケメンでどこかの財閥の御曹司だと聞いている。


「ちょっと来い」

 私の腕を掴むと何処かに連れ出そうとする。

「ちょっ会長!」

「帆見には関係ない」

 慌てて止めようとする帆見さんを冷たくし、そのまま何時もの様に私を何処かに連れて行った。





 連れて行かれたのは()()()()に生徒会室だった。

 部屋には副会長・書記・会計全員が集まっていた。無論彼等全員美形の大企業や名家の跡取りである。


「おやおや、やっと来たのかい?」

「いやいや副会長(腹黒眼鏡系イケメン)。私、登校して早々に拉致られたんですよ? てか、もうそろそろ一時間目が始まりますが……」

「あ、今日の授業は全部パスしなよ」

「いや、何簡単に言っているんですか」

 書記のショタ系イケメンが楽しげに言うのを思わずツッコム。


「安心しなよ。今日の授業の内容は僕達がしっかりと教えてあげるから」

「いやいやいや、副会長達の教えはスパルタ過ぎて死にますから遠慮します」

 惚れ惚れする程の笑顔を作る副会長に私は思わず引き攣った笑みを作ってしまう。


「まあまあ。取り敢えずお茶菓子を食べて落ち着いて」

 会計(チャラ男イケメン)は私の前に高そうな和菓子とお茶を出してくれた。

「そう言うのは良いんでとっとと教室に戻して下さいよ」

「そう思っているなら和菓子を食うその手を止めろ」

 だってこんな機会がなければ食べられる事はないような高級お菓子だもん。


 会長は呆れながら私の顔を眺めていた。

「お前本当に肝が太いな」

「そうですか?」

「そうですよ。()()()()()()()()()()()()に囲まれているのにですよ?」




 副会長の言う通り、私を虐めている主犯格達は生徒会長以下生徒会メンバーだと()()()()()()


 何故噂なのかと言うと、私に虐め実行犯達は命令されたりお金や物に釣られたりでやったという人間ばかりで、直接主犯格を見ていない。

 主犯格を知っている生徒は頑として主犯格を言わないのだ。


 その異常までに主犯格を隠す様子に一部の生徒の間で『金持ちで権力のある生徒会達が主犯格ではないか?』と噂されるようになったのだ。

 当の本人達は否定も肯定もしないから余計に噂の信憑性を高めてしまっている。




「そうは言っても会長達が私の様な一般人を虐めても何の得があるのです? それに会長達が本気になればこんなまどろこしい事をしないで、誰にも知られずに闇へと消せると思うのですか?」


 ウチは父親の実家が寺、それも檀家の寄付で何とかやっていける様な小さなお寺だ。勿論会長達と縁も所縁もない。お金も権力もない私を虐めて何のメリットがある。精々賄賂(お金)を渡して言う事を聞かせるか、少し脅かす内容を言う程度だ。


「分かんないよ~例えばさ。僕等が帆見の事が好きで、帆見と仲良くしている満野に嫉妬して虐めをしているかもしれないよ~?」

 机に寝そべってニヤニヤと笑いながら会計が言う。

「それこそあり得ませんよ。だって会長達は家柄も良く、容姿も勉学も運動神経も素晴らしい女性達が争って『恋人の座』を手に入れたい程の素敵な人達ですよ? 貴方方が本気になればきっと帆見さんも何方かを好きになりますよ」


 そもそも私も其処まで彼女と親しくはない。彼女から声を掛けなければ多分一生私と彼女は関わる事はないだろう。


「……お前は本当に口が回るな」

「いや~」

「照れるな照れるな」

 照れる私を副会長はチョップでツッコんだ。








 結局会長達は私を放課後まで解放する事はなかった。あーあ。これで出席日数が足りなくて留年なんて嫌だな~。まぁ会長達が先生達に何かしらの口利きをしている筈だ。……と思いたい。

 一つ溜息を吐いて私は誰もいない昇降口から自分の靴を取り出そうとした時だった。


 私の靴の上に一枚の手紙が置かれていた。


 私は念の為に布製の手袋をはめ(中にカッターの刃がある可能性があるからだ)慎重に中を開いた。


【今日、十八時に△□〇公園で】


 この一言だけだった。送り主の名前は勿論書かれていない。チラリと壁に掛かっている時計を見る。十七時半。学校から公園まで行けば丁度指定の時間になる。


「……どうしよっかなー……」


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