私の現状
「……はぁっ」
またか。もう少しレパートリーを増やしたら良いのに。そう思いながら私は靴箱に撒き散らかされたゴミを片付けていた。
私は現在虐められている。原因は定かではないが、どうせ碌な理由はないから知らない方が幸せだと思う。それに今の様な靴箱や机に悪戯されたり、陰口を叩かれたり等で実害がないからそこまで気落ちはしていない。まあ一度はカツアゲ・暴力を振るわれた事はあるが、お坊さんをしている伯父さん直伝般若心経を唱えたら蜘蛛の子を散らす様に逃げて行った。頭が可笑しい奴と認定されてからあんまり私に関わろうとする人間が少なくなった。その方が色々と楽だから良いけど。
しかしよくこう毎日毎日続けられるもんだ。もう証拠として取っていたスマホの容量も念の為に保存しているパソコンの容量もそろそろパンパンだ。それに教材にまで手を出し始めた。其処まで行けば流石にめんどくさがりの私の堪忍袋の緒が切れた。
「と、言う訳で先生。そろそろ警察に行っても問題ないですよね」
下駄箱を片付けて直ぐに職員室に向かい数少ない味方である担任に相談した。
「……もう限界か?」
「正直陰口や靴箱と机に悪意のある落書きをされてもまだ我慢できます。公共の物を汚す事については遺憾とは思いますが。
ただね。自宅の塀に名誉棄損な内容の落書きを書かれていたり、父の会社に誹謗中傷のビラをまかれるのは流石に黙っていられなくなりました」
家族は私の虐めの事を知っていて、転校の話も出してくれたが私はその誘いを断った。その代わり証拠品の整理や弁護士の相談など何かあった時に色々準備をしていたが。……人が下手に出たら調子に乗りやがって。
幸い、ご近所さんも落書きは嘘だと最初から分かっていたし、会社の方もそのビラを信じる所か『けしからん!』と怒って被害届を出している。
「……流石に学校も庇いきれないな」
担任は頭を振りながら深く深く溜息を吐いた。
「すまんな満野。本当なら学校がお前を守るべきなのに……」
「仕方がないですよ。虐めの主犯格がこの学校を牛耳っている人ですから、先生方も下手に動かない事は予想できますよ。陰ながら私のフォローをしていただけでも十分です」
何せ虐めの主犯格はこの学校に多額の寄付金をしている金持ちだ。助けたくても助けられない状況に私は文句言わない。
「今日の放課後に家族揃って警察に被害届を出す予定です。もしかしたら学校に色々と迷惑を掛かると思いますが……」
「批判は覚悟している。第一はお前の安全だから思う存分ぶちまけろ」
そろそろホームルームが始まる時間なので教室に戻る事にした。担任におじきする時にチラリとドアから離れる人影を確認するのを忘れずに。




