終わり
「……成程。道理で記憶のヴィヴィアと満野が別人だと思ったわけだ」
「へ? 会長は私が『ヴィヴィア』ではないと分かっていたのですか?」
納得する様に頷く会長に私は目を大きく見開く。
「顔とか性格とか似ている所があるけど、本物のヴィヴィアと違って満野は何と言うか野性的と言うか、男らしいと言うか……」
「会長、ハッキリと『乱暴者』と言っても良いですよ。と言うか小さい頃と比べれば大分マシになったとは言え、まだまだ荒っぽい事をしますから」
「うん。あの防犯ボールからしてもその片鱗は伺えるわ」
呆れた様に笑う会計に同意する様に頷く生徒会のメンバー達。まぁ夢の中のヴィヴィアは教養のある美しい人だ。きっと論理的に法的に相手をコテンパンにした事だろう。私みたいに物理的に相手を倒すような事はしない筈。
そう言えば会長達は何故こんな山奥に来たのだろうか? ワザワザ帆見さんの処罰と前世について聞く為に此処まで来たと言うなら納得するけど、それなら復学した時に聞けば良い話だし。
「満野。来週から学校に復学してもいいぞ」
「えっ? いいんですか会長」
「ええ。アレの虐めに関わった者の処罰は大方終わりました。嬉々として参加した者は重い罰を、脅されて参加せざるを得なかった者は情状酌量の余地を残して。後、アレの家が学校に寄付していた金額以上の額を寄付してくれる先輩を見つけたり、虐めに参加していない生徒達のアフターケアをしたりで色々大変でしたよ?」
「大人達のお仕事じゃないですかそれ? 副会長達のお仕事じゃないですよね?」
「俺達は日本の将来を担う金持ちだぞ。これ位出来て当然だし、そこらの何もしない教師よりも生徒の事を良く考えている」
「うぁー腹が立つ言葉なのに、会長達が言うとすっごく納得する言葉だぁ」
まぁそうだよな。会長達の家は日本で有数の企業だし、会長達は大企業の跡取りとして色々厳しく教育されているし、其処等の大人よりも遥かに大人らしい。
それに会長と副会長は三年生だから余計に将来を真剣に考えている時期だし。
……私も、色々考えなきゃな。
「復学したら遅れていた勉強を取り戻さなきゃ」
「だったら俺達が特別に講師として勉強を教えてやろうか?」
「お願いします」
私の言葉を信じられない様で、目を大きく見開く生徒会のメンバー。
「えっ? 満野さんどうしたの!? あんなに僕等に勉強教えて貰うのを嫌がっていたのに!?」
慌てふためく書記。いや、そこまで驚く事? 確かに会長達主催の勉強会の時に教師よりもスパルタで、終わった頃には全員死屍累々状態だったけど。でも勉強会に参加した生徒は全員学力向上したから、参加者は増え続けているし、スパルタだけど教えるのが上手だって他の生徒からも評判なのは知っている。
「いやだって、マンツーマンで会長達から勉強を教えて貰えるなんてすっごい贅沢じゃあないですか。確かにスパルタは嫌ですけど、遅れた分を取り戻す所か下手したら学年一位になる可能性があるじゃないですか。だったら会長達の提案に乗らない理由はありませんよ」
「……学校にいる間はあんなに嫌がっていたのに?」
「スパルタ系は嫌いなのは確かですけど、あの時は帆見さんがいましたから、一緒にいたら会長達に何かあったらいけないと思いまして」
生徒会全員で私の事を守っていた事を大層憎んでいた帆見さん。何時かその憎しみが私だけではなく生徒会達に向けられる可能性がある。だから敢て嫌っているふりをして突き放した態度で取っていたのだ。
「皆さんが私の為に色々してくれたので、恩返しをしたいなぁと思いまして。今回の事件を何か将来に活かしたいなぁ、と。会長達のお陰で大したトラウマにならずにすんだので。……私の事を守ってくださってありがとうございます」
会長達に微笑み返すとバッと顔を勢い良く反らした。……そこまで酷い笑顔だったのか?
私は知らない。
大学卒業し一般企業に入社したのだが、いじめ問題を中心に色々と活動していたらその活動が認められて『政治家にならないか?』とスカウトされる事を。
思い出として立候補したら、何でか当選し政治家になってしまう事を。
なったら仕方がないと腹を括って政治家の仕事をしたら、色んな人に評価されて、最年少最初の総理大臣になってしまう事を。
……総理大臣になる前に、生徒会の皆さんと色々な出来事が起きる事を。
…………それで、まぁ、その。その中の一人と……恥ずかしいから言わないけど察して欲しい。
番外編を一つ上げたら本当の終わりです。




