黒幕の末路
御都合展開注意です。
「……何と言うか帆見さんの前世が結構ろくでなしだった」
生徒会達の話を聞いて色々思う事があるが、その言葉しか私には出なかった。
「今世も中々のろくでなしだったよ? そもそもまともだったら君を虐めないし」
「と言うか家の都合で社交界とかアイツとバッタリと出会う事が、その度に恋人面して腕に絡んでベタベタしてウザかった」
「会長も、ですか? 親も親で何故か私達があの馬鹿の恋人と本気で思っていた節がありましてね……うちの親が取引を止めようと決めていましたよ」
「遅かれ早かれあの盆暗達は自滅していたからね。満野さんの件で話が早くなっただけ」
今世も迷惑を掛けられていたのか、会長達は随分と辛辣に帆見さんを語っていた。
「それよりも満野。お前も中々えぐい罰を願ったそうだな?」
「そうですか?」
「うんうん。あの馬鹿を尼寺に放り込むなんて女子高生だったアイツには十分キツイよ」
私が寺に籠ってから一週間後、明らかに堅気とは思えない風貌の男の人がやって来た。その人によると帆見さんの罰を私が決めて良いらしい。
どうも大人である帆見さんの両親はそのまま刑務所だけど、未成年の帆見さんに関してはどうも親がなけなしのお金で優秀な弁護士を雇って保護観察処分にさせたらしい。
娘を思う気持ちは素晴らしいのだが、如何やら帆見さんは私や、会長達に逆恨みしているそうだ。私は兎も角、会長達に危害を加えられたら本当に帆見さんの家は終わりだ。そこでこの人に依頼したそうだ。
で、最たる被害者である私の意見を取り入れて処遇を決めるそうだ。
正直言って彼女に対して悪感情しかないが、死刑とか酷い目には合って欲しいかと言えば『そこまで……』としかなかった。よくよく考えたら『そう言えばなろう系の悪女の末路って大体修道院に入れられるよな。日本的に考えれば……』
『ならば帆見さんを何処かの尼寺に放り込んで下さい。一生……とまでとは言いませんので彼女の性根が変わるまでそこで修行させて下さい』
「それでどうなったのですか? 帆見さん」
「頭を丸められて日本で一番厳しいで有名な尼さんがいる尼寺に出家させられた。場所は東北の此処よりも深い山奥。道は一つで車が無ければ出られない。そもそも監視が付いているか脱出不可能だな」
「馬鹿親も出所後は異母弟が管理している田舎の別荘に隠居させます。勿論其方側にも監視のが付きますし娘を助ける為の権力もお金なんて二度と持つ事が出来ません。恐らく自分達の生活で一杯一杯でしょう」
それから副会長はあの堅気とは思えない男の人の正体を少し教えてくれた。
馬鹿をやらかした金持ちの子息達を、二度と表社会に出さない様に処理をする時に頼む人らしい。何でもその人の一人娘がある企業の養女となり、同じお金持ちの子供から酷い虐めを自殺未遂する程受けたそうだ。それからそう言ったお仕事をする様になったらしい。
私はふと、ある虐めニュースを思い出した。
名門学園の虐めで、しかも理事長が奨学生に性的暴行をしたり、その甥である教師が生徒の虐めに参加したり、虐めの主犯格達が私でも知っている企業の御曹司だったりで、一時期ワイドショーを賑わせていた。
それがある時期を過ぎるとパタリとニュースに出なくなった。週刊誌にも殆ど載せなくなったのでネットで憶測が流れたが、直ぐに忘れ去られた。最近その理事長の判決がチラリと出た程度だ。
もしかしてその虐めの被害者は……
「満野ちゃんの想像通りだよ」
会計のニッコリとした笑みで言われて思わず私は溜息を吐いた。
……女子高生が坊主にされて女しかいない尼寺で厳しい修行。しかも場所が山奥で虫がウヨウヨ出るし女の子が好きそうなお店もない。帆見さんの性格を考えれば恐らく一生あそこに……
アレ? もしかして私結構酷い罰を与えたかも?
「満野千幸子。お前は本当に『ヴィヴィア・ジャガルノーズ・フォン・グロズ』の記憶はないんだな?」
話も落ち着いた所で会長は意を決した様に話をした。他の生徒会のメンバーも固唾を飲んで私を見ていた。
……まぁ彼等が此処に来た時点である程度予想できた。……隠しきれないか。
「ええ。私はそのヴィヴィア……ジャガルダ・フォンデ・クロスさんではありません」
「『ジャガルノーズ・フォン・グロズ』だ。無理なら苗字の方を言わなくていい。……だが」
「分かってますよ。私がそのヴィヴィアさんに顔も性格も魂もよく似ていると言いたいのですね?」
自慢ではないが私は結構美人な顔立ちだ。
今はベリーショートにしているが、知人友人だけではなく家族からも『その髪型は似合わない』と言われる程、華美な美人系の顔立ち。色々めんどくさいので普段は伊達眼鏡を掛けて過ごしている
今は大分おとなしくなったが、幼稚園から小学三年生までかなり過激的な性格だった。
例えば保育園の時と一年生の時に虐めをしていたいじめっ子グループに向かって泥団子をスパーキング!二年生の時は下半身むき出しの露出魔の大事な所に近くにあった石でスパーキング!
三年生の時は同級生を誘拐しようとした誘拐犯を、偶々お使いで頼まれて買った岩塩(大きさは野球ボール位)を誘拐犯の顔目掛けてスパーキング!
そんな事をしていたら小学三年生の夏休み。両親によって伯父がいる寺に預けられた。流石に刃物を持った誘拐犯を相手に岩塩で戦いを挑んだ事が駄目だった。
悪い事をした人にだけ物を投げていたが、やはり人に向かって物を投げてはいけないし、このままでは被害を受けてしまうと心配した両親によって、少しでも過激的な性格を改めて欲しくて預けられた。
そこで夏休みの間、宿題をやりながらお坊さんの修行の真似事や伯父さんの師匠に当たる人との問答をした。
特にお師匠様との問答は私の中にあった激情の火を少しずつ小さくしてくれた。お師匠様は子供の私にも分かりやすくそれでいて幼子でも納得する様な答えてくれた。お陰で中学生に上がるときは大分性格が落ち着いた。
魂に関しては……ある人の言う事を信じれば、私はヴィヴィアに物凄く似ているらしい。
だけど私はヴィヴィアの生まれ変わりではない。
「私が高校入学前の夜。夢の中でヴィヴィア本人と面談しました」
気質ではない人はとある短編シリーズキャラです。




