episode 2 プロローグ
コンコン。部屋の窓を規則的に、軽やかに誰かがノックする音が聞こえる。
しかし、ここはマンションの3階だ。外にはベランダも無く、鉄格子もない。
壁でも登らない限り、人が窓を叩くのは不可能だ。
俺はベッドの上で布団を頭から被り、カーテンで遮った窓を睨みながら、少しでも音が聞こえない様に耳を塞ぐ。
コンコン。
もう、何日目になるだろうか。ここ最近夜になるとずっと窓をノックする音が聞こえる。
最初の頃はカーテンを開けて確認してみたが、何も無かった。
風だろう。そう思って放置していたが、そう何度もある訳がない。
あっ、そうだ。音楽でも掛けよう。そうしたら気持ちが紛れるかもしれないし、音も聞こえなくなる!
恐る恐る、ベッドから離れテーブルの上にある携帯へと向かう。
コンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンゴン
「ひっ!!!」
怒り狂ったかの様に、窓を壊さんとする勢いで窓を叩いていた。
恐怖はあったが、俺も精神的に参ってしまっていたのだろう。
意を決してカーテンをスライドさせ、窓を開けて大きく叫んだ。
「何なんだよ!!一体!!」
しかし、そこにはやはり誰もいない。夜の帳が広がっているだけだった。
なんだ、やっぱり風だったんだ。
窓を閉め、カーテンに手にかけたところで気がつく。
女が、女が窓に・・・部屋、に・・・後ろ。