episode 6 学校探索
ぎし、ぎしっと軋む廊下をゆっくり踏みしめ、校舎の中へと入る俺たち3人。
校門には南京錠が掛かっていたが、校舎自体には鍵はされていなかった為、すぐに入ることができた。
外から見た感じ、この校舎は2階建てのようだ。とりあえず、1階から探索してみようと言うことになり、
「うわぁ、なんか軋んだ音がするよ海くん!」
「静かに歩け、虎丸。何が出るか分からないんだから。」
白咲さんを先頭に、俺たちは後ろから続く。
校舎内は仄暗いが見えないほどじゃない。
廃校と言うこともあって・・・妙な不気味さはあるが。
「やばいね海くん!!なんか冒険してるみたいでちょっとわくわくしてる」
今までわくわく以上の事を体験してきたはずなんだが、こいつは忘れたのかな?
軽く虎之助の頭を小突きながら、校舎の奥へと入っていった。
「ここから入ってみようか。」
白咲さんは一番端の教室に手をかけ、扉をスライドさせる。ちらりと上にある表札に目をやるが、文字が掠れて読めない。
ここは、なんの教室なんだろう?
「お邪魔しまーす!!」
先に白咲さんが教室内へ入り、その後に元気よく虎之助が入って行く後ろ姿を見て、俺は頭を抑える。
マジで、警戒心ないな、こいつ・・・。
教室は少し横に広い空間で、机と椅子が横一列に並んでいる。
所々に本棚や木製のラックが置かれてあり、恐らく、ここは職員室ではないだろうか。
この教室の窓は板で打ち付けてあるようで、外の光は遮られ、廊下より薄暗い。携帯や、持ってきた懐中電灯を頼りに辺りを見渡す。
白咲さんは何やら近くをごそごそと漁りだす。それに便乗してか、虎之助も俺と白咲さんの間をうろうろした後、椅子に座り込み、うつ伏せになった。
「と、虎丸?」
突然の行動に驚いた俺は、すぐに虎之助へと駆け寄る。どこか具合でも悪いのだろうか?
「海くん・・・」
うつ伏せになったまま、虎之助は弱々しく俺を呼ぶ。
車酔いか?いや、でもさっきまでは元気だった訳で、この教室に入った瞬間だから・・・室内空気汚染とか?換気などされて無さそうだし、そうだとしたらすぐに外へ連れ出さないと・・・
「この机、超ねやすぅ〜い」
「滅べ」
スーツに埃や煤が付くことなど気にしていないのか、顔面を綻ばせながら虎之助は机を摩りだす。
「おい、虎丸。服が汚れるぞ」
なんでこいつは気にしないんだよ。アホか、と言いたいが、近くには白咲さんもいる。あまり暴言を吐くのも・・・あっ、白咲さんに注意して貰えばいいんだ。
「白咲さ・・・」
バキッ!!!
俺は白咲さんの方へ視線を移したと同時に、白咲さんは木製のラックを真っ二つにしてしまった。
そのラックには、ノートや本が数冊置いてあったが、ガサガサと音を立て地面へと落下。
「しろさき、さん?」
「う〜ん、ちょっと折れそうだなぁって優しく触ってみたんだけど・・・まさか真っ二つになるなんて・・・びっくりだね」
呆気に取られた俺と、白咲さん流石です!!と目を輝かせる虎之助。
ちょっと気恥ずかしそうに笑う白咲さんだが、俺は器物破損罪にならないか心配でならない。
まぁ、この土地の持ち主は・・・白咲さんのお客さん、の物らしいし。
大丈夫か。
「あっ、2人ともちょっとこれ見てくださいよ!!」
木屑と化した棚を虎之助は軽く退け、小さな取手のついた扉のような物を指差す。
「??扉、か?」
虎之助はその扉に手を伸ばし、勢いよく開けた。埃っぽい、湿気た匂いが立ち込めてくる。扉の奥を手に持っていた携帯の明かりで照らすと、古ぼけた紙・・・いや、ノートが一冊置かれているだけだった。
「随分年季の入ったノートだね、」
白咲さんがノートを手に取り、裏、表をひっくり返しながら見てみるが、特に何も記載されている様子はない。
「海くん、すまない。俺だと破いてしまいそうだから、君に預けてもいいかな?」
白咲さんからノートを手渡され、軽く頷く。
確かにらちょっと前棚を木屑にした白咲さん、自由奔放で落ち着きのない虎之助の2人に繊細そうなノートを任せるのは怖い。
ゆっくり、破ったりしないようにページを開いていく。
「これは・・・日誌?」
短くなりましたが、次回ちょっと長くなりそうなので一度切ります!




