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episode 6 依頼と事後報告


 深夜のネオン街。周りに建ち並ぶ派手な店達とは違い、上品な白を基調とした造りの建物。

木製の両開きの扉の奥に、ホストクラブ『ホワイト・キャッスル』が構えてる。


今日も日々の生活に疲れた女性達の悩みを聞いたり、ひと時の娯楽を提供する為に彼らは働いていた。


「白咲さぁーん!マダム百瀬様がご来店です!!」


女性達の声が交わるこの1室でも通る声は、このホワイト・キャッスルNo.2の青年、山田虎之助だ。

前まで源氏名として『不破 タクト』と名乗っていたが、本人も忘れてきているので、つい最近本名を名乗るようにしたらしい。


その虎之助の言葉に、同席していた女性へ謝罪を入れてから、ソファーを立ち上がる。

マダムが来られたんだ。挨拶しない訳にはいかない。


マダム百瀬は俺が駆け出しの頃からお世話になっている人、色々と助けてもらった恩人でもある。


「こんばんは、マダム百瀬。すぐに出迎えれなくてすみません。」


「新、気にすることはないわ。城のトップである貴方がすぐに出てきたら、それこそ不安になるわよ。」


マダム百瀬は、美しい装飾の付いたカクテルハットを被り少しふくよかな、包容力のある女性だ。

慣れたように、彼女の手をそっと取り、いつもの席へと案内をする。


「新、後でで構わないから、少し話を聞いてもらえるかしら?」


「??えぇ、それは勿論。では、また後で伺わせてもらいますね」


マダム百瀬は、緊張したように顔を硬らせながらも、笑みを浮かべた。

いつも憂いを帯びたような人だが今日はいつもと様子が違う。


早めに彼女のもとへ向かった方が良さそうだ。








「というわけで、海くん!!白咲さんとマダム百瀬様を助けよう!!」


「何がと、いうわけでだ!!朝っぱらから厄介事を持ち込むな!!!」


現在時刻は午前5時。

携帯の着信音で目が覚めた。いや、起こされたと言う方が正しいだろう。この朝っぱらから非常識にも電話を掛けてきた主は、やはりと言っていいのか、こいつ、山田虎之助だった。


「お前、自分の生活リズムと俺の生活リズムが一緒だと思うなって何度言ったら分かるんだ・・・」


「あっ、ごめんごめん!!でも海くんにすぐに聞いてほしくて!!」


少し興奮気味に話す虎之助に大きくため息をつく。結構夜遅くまで起きていた俺にとって、こいつの声は頭に響いて痛い。


「で、海くん!!行こうよ!!白咲さんのお手伝いしに行こうよ!!」


電話の内容はこうだ。


なんでも白咲さんのお得意様?であるマダム百瀬、さん?が廃校を買取したらしく、中の改装やらの工事を実行したいらしいが、謎の事故や業者が精神を病んでしまった等で中々進まないらしい。

その為困り果てたマダムは白咲さんに相談し、白咲さんが現場を視察する事になったとか。

そして、その話を聞いていた白咲さん命の虎之助は便乗し、俺に話が回ってきた・・・

と言うのが今回の流れだ。


いや、廃校って・・・なに?学校関連が流行ってるの??

俺こないだ、母校の旧校舎でえらい目を見たばかりなんですが。


「白咲さんには、海くんも行くって伝えておいたよ!!」


「なんで俺に事後報告してんだよ!!!」


このやろう・・・もう、いいや。なんか、慣れてきた。うん・・・


今回は、それなりに武器やら救急セットを持って行くか。

何事も無く、ただの事故とかだったらいいが、絶対そんな事ないだろうし。


白咲さんもいるし、何かあっても対処してくれるはず。


あぁ、また勉強が遅れる・・・



大変お待たせしました!!

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