episode 3 手伝いとそれから
無事に、どうにか祖母の家まで来れた。道案内なんて、あまりしたことなかったから、ちょっと不安だったが、虎之助が率先して白咲さんを誘導してくれたから助かった。
祖父の葬式以来だから2週間ぶりぐらいか。
「ふみばぁちゃん家久々だな〜!!」
虎之助は小学生の時以来になるので、かなり久しぶりに祖母の家を見たことになるだろう。
車の音を聞いてか、祖母が家からこちらへと顔を見せる。
「おぉ、誰かと思ったら虎丸くんかい?大きくなって」
祖母は一番最初に目に入ったであろう、虎之助の元へゆっくりと近づく。
虎之助も、嬉しそうに祖母へと近づき、軽くハグを交わす。
「ふみばぁちゃんすっげぇ久しぶり!今日僕も手伝いに来たよ!」
「まぁ、まぁありがとねぇ。元気にしとったと?」
おう!と元気に答える虎之助。車から白咲さんも降りてきたのて、話し込む2人の下へと向かう。
「ばぁちゃん、手伝いに来たよ。」
「ありゃ、海ちゃん!ちょっと見ん間に男前になって」
ふみばぁちゃんは視線を俺へと向けず、白咲さんへと注がれる。
ばぁちゃん、わざとなのか分からないけど、それ、白咲さんだから。俺に白咲さんの顔は重すぎる。
「初めまして、マダム。俺は、海くんの友人で白咲 新と言います。今日はマダムのお手伝いができたらな、と思いこちらに足を運ばせていただきました。」
綺麗に、優雅に礼を見せ祖母に微笑みかけるNo. 1ホスト。
なんだろう、前回これと似たような光景を見たような気がするのだが・・・まぁ、いっか。
「ご丁寧にありがとうねぇ。さぁさぁ、長旅で疲れとんしゃろ?なんもなかとこやけど、お茶でも飲まんね。」
「ありがとうございます、マダム。いただきます。」
「ばぁちゃん!ばぁちゃんが作った饅頭ある?僕それ食べたいな!」
「こさえとーけぇ、入って食べんなさい。」
孫の俺を置いて、すぐに祖母の家へと向かう虎之助。こいつは誰に対しても、本当に壁がない。それ故に、他人とすぐに打ち解けるんだろう。思った事を素直に口に出す性格の為、俺が痛い目を見たこともあるが。いや、中、高時代はこいつの所為でちょくちょく変な輩に絡まれた。
昔を思い出し、沸々と怒りが湧き上がるが、今さらそんな事を言ってもあいつには意味がないだろう。
そんな事よりも早く荷造りをして、帰ろ。
家の中に入り、虎之助が所望した饅頭、お茶かそれぞれの前に置かれる。
「白咲さん!ふみばぁちゃんの作ってくれる饅頭本当に美味しいですよ!食べてみてください!!」
「こーら、虎。まずはふみさんにお礼を言ってからだろ?それにしても、本当に美味しそうですね。俺、和菓子好きなんですよ」
「そうなんですか!?メモ、メモ取って置かないと・・・」
騒がしい師弟?どもを横目に俺は饅頭を食べ始める。うん、やっぱりばぁちゃんの作ってくれる饅頭が一番美味い。
「そりゃあよかったよ。まだまだたくさんあるけぇいっばい食べんなさい。」
饅頭とお茶を一通り食べた後、俺たちは各々作業へと取り掛かる。
事前にばぁちゃんは要る物と、不要な物を分けていてくれたおかげで、スムーズに片付けは進む。
時折、白咲さんや虎之助の噂を聞きつけてか、近所のおばちゃん達が2人の事を見にきたりで少々大変ではあったが。
「ふぅ、海くーん。これも車の方に持って行ってもいい?」
「ん?あぁ、いいよ。と言うか虎丸、持てるの?」
「大丈夫、僕こう見えても力あるから!」
思い切りドヤ顔を決めた後に、足元の段ボールを持ち上げようとするが、それは宙に浮く様子はない。
精一杯呻き声をあげる虎之助を無視して、俺は別の作業へと取り掛かる。
背後から海くん、うみくーん、うっみくーん。と間抜けで情けない声が聞こえてきたが、「僕、こう見えても力があるから」と言っていた虎之助の言葉を信じることにする。
※虎之助が謝ってきたので結局手伝いました。
今日中に祖母の家を出る予定だったが、日も暮れたのと、ばぁちゃんの好意で一泊する事となった。
俺、着替えとか何も持っていないのだが。
「あっ、海くん。僕ので良ければシャンプーとか貸すよ〜」
「俺も、いつでも貸すよ。あっ、そうだ。着替えとか新品の物を持ってるからそれをあげるよ。」
どうして、このホストsはきっちりと宿泊セット持ってんだよ。
泊まる気満々だったのか?
何となく、虎之助たちを追求する気も起きず、人知れず大きくため息をつくのだった。




