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episode 2 平行線な戦い


「えぇ、知ってるわ」


無表情に、俺たちを見つめるその瞳には、憎悪に満ちたような、けどこちらを視界に写さず、どこか遠くを見ているような・・・そんな風に感じた。


「・・・」


虎之助は、藤原さんに向けていた視線を静かにこちらへ向ける。

どう聞き出せばいいか、それをお互いに探っているように感じた。



「知っているけど、貴方達に話すことなんてないわ。どうせ、遊び半分で首を突っ込んでいるだけでしょう?」


「こちらも、遊びではないので知っていることがあるなら教えていただかないと帰れません。」


今まで静かに後ろで待機していた桜子ちゃんが、俺たちに割って前へ出てくる。


「遊びではない、と?」


「遊びだったら、わざわざここまで来ませんよ?」


見えない火花が2人の間で飛び交う。


「貴女もそこの2人に騙されてるんじゃない?男は顔だけじゃないのよ?」


「ご忠告感謝いたします。ですが、この人はとても全てにおいて素晴らしい方なのでなんの問題もありません。」


「そういう事を平然と言える女こそ、騙されて捨てられた後、泣き喚く羽目になるのよ?」



怖い。口元は笑顔を浮かべているのに、2人とも目が笑っていない。

先程まで俺たちに向けていた冷ややかな視線とは違い、こう、女にしか分からない闘志?のようなものを感じた。


どうしよう、止めるべきなのか?藤原さんの機嫌をこれ以上損ねて、ストーカー女について聞けなかったら、今度こそ詰む。


「ほら、2人とも落ち着いて、ね?桜子もフォローしてくれてありがとう」


「兄様・・・」


虎之助は桜子ちゃんの肩に軽く手を置く。そんな虎之助を、少し不満気に、眉をひそめながら見つめていた。


「でも、私は納得いけません!兄様は優しくて頼り甲斐のあるとても素晴らしい兄なのに、兄様の事知らないくせに猿以下なんて・・・」


「だいじょーぶ。ホストなんて、側から見れば怪訝な顔をされる職業だって知ってるよ。」


虎之助は桜子ちゃんの頭を撫でた後、藤原さんに頭を下げた。


「藤原さん、お願いします。海くん・・・彼は、ストーカー女と2度遭遇し、刃物で襲われかけていました。もしかすると、本格的に命を狙っているのかもしれません。知ってることがあるなら、教えてください。」


「2度、も・・・?しかも、刃物で??」


藤原さんは、虎之助の言葉に狼狽している様子を見せた。

もしかしたら、藤原さんにとって何か想定外の事が起きているのかもしれない。ならば・・・


「はい、1度目は南十字路で。その時は確かに、好奇心で自ら噂のストーカー女に会いに行きました。その夜、ストーカー女は刃物を握って俺の家までやってきました。しかし、2度目はスーパーの帰り道で遭遇し、今度は友人の家まで付いて来られたのですが・・・その、はっきりとは言いにくいんですが、1度目より明確な殺意を感じました。扉や窓を開けなかったので、家の中まで入ってきませんでしたが。」


「違う・・・あの時とは違う・・・あの子はそんな・・・。ホスト、そう、あの男が・・・あの子を・・・あの男が・・・」


藤原さんは目を見開いたまま下を向き、ぶつぶつと呟いながら震えていた。真っ白なシーツを握りしめる手は、何かを耐えているようにも見えた。


「深雪さん、俺の尊敬する人がいつも言ってる事があるんです。

『悩みを抱えて苦しんでる女性がいたら、そっと寄り添って支えてあげられるようなホストになれ。どれだけ多くのお酒を売り上げようが、どれだけお客を呼び込もうが、女性を蔑ろにする野郎はホストじゃない』

って。だから、ストーカー女になってしまった女性の事、貴女の事を教えてくれませんか?嫌いな人種かもしれない、それでも、僕たちには貴女しかいない。お願いします!!」


頭を下げる虎之助の横に並び、俺も一緒に頭を下げる。


桜子ちゃんは少し遅れて「・・・お願い、します。」

と頭下げていた。



「そうね・・・どうしていつまでも変な意地を張っていたのかしら。貴方達とあの男は・・・違うのに。いいわ、教えてあげる。ストーカー女と呼ばれる心霊現象が、なぜ生まれたのか。」




投稿遅れてすみません!!

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