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episode 2 囮


「ふ〜ん、僕の家でそんな事が・・・」


朝一番に虎之助へ昨日の出来事を話す。この家も、ストーカー女に狙われる可能性が高い事も。


「俺がもう少し用心していればよかったんだけど・・・ごめん、ちょっと油断してた。」


「えっ、海くんが僕に謝るなんて超珍しい。どうしたの?」


「なんで俺がいつも謝らない人みたいになってんの。今回は、俺がお前を巻き込んでしまった形だろ。」


故意ではないにしろ、虎之助を巻き込んでしまったのは事実。

早くストーカー女から解放され、何事もない平和な日常へ戻る為には、少しでも多くの情報が必要だ。



「あっ、そうだ。関係ない、とは思うんだけど今日は病院へ行ってみようかと思う。」


「昨日南相馬神社で聞いた、藤原さんに会いに?」


「そう、藤原 深雪さん。毎日神社へお参りに来ていたらしいが、先週入院されたらしい。この辺りで変わった事と言えば、藤原さんが入院されたって事だけらしい。」


しかし、あのご婦人方。入院先とかベラベラ教えてくれたけど、人の個人情報を初対面の人にバラしても良かったのだろうか?

いや、普通ダメだよね。今度会ったら注意しようかな。


「あっ、そうだ海くん。さっき携帯でネットサーフィンしてた時に見つけたんだけど、これ見てみて!!」


虎之助の携帯を覗き込むと、それはよく俺たちもサークル内で見る、オカルト系のサイトだった。

最新の物を見てみると、ストーカー女についての話題で盛り上がっている。


それらを見てみると


・ストーカー女が目撃される様になったのは先週初め頃から


・姿を目撃する人は結構いるが、実際に家まで付けられたのは数人のみ


・付けられた人物の共通点は、長身の男性。


などなどが掲載されていた。なるほど、中原さんの言っていた、今のターゲットは俺。と言う意味がやっと分かったよ。


あの人、分かっていて隠していたのか?


その時、虎之助の家に来訪者を告げるチャイム音が鳴った。こんな朝早くに来客者?虎之助も小首を傾げながら、インターホンのモニターを確認していた。


『兄様っ!!ご無事でしたか!!?』



こちらに聞こえるぐらいの大きな、慌てた声が聞こえる。どうやら、桜子ちゃんが来たようだ。


なんで??あの子学校が今日あるんじゃ・・・



「あれ?桜子だ。海くん、僕下まで降りて迎え行ってくる〜」


「あっ、うん。行ってらっしゃい」


家を出る虎之助に手を振った後、自分の携帯を取り出し、電話をかける。

電話の主は思いのほかすぐに出た。


『意外と早く掛けてきましたね。』


「中原さん・・・」


中原 光太郎。彼に一言だけ聞きたかった。


『何ですか?』


「どうして、俺が狙われている理由を教えてくれなかったんですか?俺から連絡があった時点で貴方は知っていたんでしょう?」


中原さんは電話越しに大きな溜息をついたのが分かった。溜息吐きたいのはこっちなのに。


『調べれば、すぐに分かった事でしょう?それをしなかったのは上条くんのミスです。僕は一応助言はしましたよ?ストーカー女のターゲットは貴方ですよ、と。』


「・・・もう、いいです。ありがとうございました。」


『あっ、そうそう。もう少し囮になってくれたら助かったんですが、まぁ後は頑張ってください。』


絶句してる間に電話は切られた。

本当に、頼る相手を間違ったよ。本当に。



「うっみくーん!おまたー!!」


「おはようございます、海さん。」


虎之助が、桜子ちゃんを連れて戻ってくる。

普通に私服で来た桜子ちゃん。

えっ、今日学校って言ってたよね?


「さ、桜子ちゃん学校は?」


「急に休みになりました、なので病院へ私も同行いたします。」


嘘くさい。と言うか、絶対嘘だよね。しかも、なんで病院に行くことを知ってるんだろう。虎之助が教えたのか?


「すごいな桜子!よく病院に行くって分かったね」


あっ、これ危ないやつだ。虎之助、すぐに家中を捜索することをオススメする。


言い出したら、絶対に聞かないんだよね桜子ちゃん。


こうして、俺たち3人で藤原さんの元へ行くこととなった。




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