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episode 1 始まりの廃神社


「うっみくーん!!早く早く!この山の奥に噂の廃神社がある、らしいぜ!!」


俺の前方を歩く、くせ毛が強い銀色の髪の男を追う形で歩みを進める。

大きなため息を隠す事なく吐き出す。どうしてこうなったのか。恨めしい視線を幼馴染である男と、所属するサークルのリーダーへと向けられる。


事の発端は、数ヶ月前に遡る。いつも破天荒で迷惑極まりない幼馴染である山田虎之助が、いつも通りアポなしで俺の家に来たところから始まる。


「聞きたまえ海くん!!白咲さんが、とらもいい感じにホストが板についてきたから、ここら辺でレベルを上げてみたらどうかな?だって!!白咲さんに、褒められた!!」


高校を卒業してすぐに、ホストの世界へと足を踏み入れた幼馴染に肩をすくめる。

先程話しに出てきた白咲さん、とは彼が尊敬してやまない人物らしく、彼との会話で一回は必ず出てくる。


何度か虎之助経由で会ったことがあるが、男の俺から見てもかなりのイケメンで、性格もイケメンだった。


目の前で滞りなく喋り倒すこいつも、顔だけは、良い為それなりに客も付いているのだろう。


「で、調べたんだけど地元にオカルトサークルがあるみたいなんだ!入ろう!!」


「はい?ちょっと待て、虎丸。なんで急にそんな話になっているんだよ。」


全くもってこいつの話を聞いていなかった為か、どう言った流れでオカルトサークルとやらに勧誘されてるのか分からない。


「も〜海くん虎之助だって何回も言ってんじゃん。幼馴染なのに〜、てか僕の話聞いてなかったの?白咲さんが、女性はオカルト話や占いが好きだから、そう言った話のスキルや話題があったらいいんじゃないか?ってアドバイスくれたんだよ!」


だから、オカルトサークルに入ろう!!と、言ってくるが、俺はいらなくないか?何故俺まで入る必要性があるのか、わからん。


「無論、最初は1人で行ってみたよ?そしたらそのサークルのリーダーって人が、もしよかったらお友達とかも誘ってね、案外楽しいからって言ってたので海くんを誘ってみました!!」


どやーんとした顔を見せる虎之助にムカついて、1発蹴りを入れる。

こいつは、いつも、いつも、変な事に俺を巻き込みやがってっ!!


過去の私怨も含め、もうちょい蹴りを入れたかったが、虎之助の骨を折りかねないのでグッと堪える。


そして、あれよこれよと言う間に、地元にあるオカルトサークルに連れていかれ、なんとまぁ、世間は狭いようでそのサークルのリーダーが、自分の通う大学の准教授だった。


確かにその先生は民俗学を専攻している、と聞いていたがまさかオカルトサークルを立ち上げているとは思いもしなかった。


割と有名な先生だし、正直民俗学に多少なり興味を持っていた俺はそのままの流れに身を任せ、オカルトサークルに所属することとなった。



そして、今回准教授からA県のとある森奥にある廃神社の噂を聞き、俺と虎之助は俺が車を運転をして、ここまでやってきたのだ。


もう後には引けないし、ここで帰るのも癪なので、虎丸に最後まで付き合うか。

リーダーに報告もしないといけないし。



「うん?な〜んか、今白い靄みたいなのが見えたような・・・」


「調子に乗って昨日飲みすぎたんじゃないか?」


そんなに飲んでないけどなぁ、と首をひねる虎丸を放置して先へと進む。

この時の俺たちはまだ、気がついていなかったのだ。これから先に待ち受ける悪夢に。



霧が、濃くなる。

上条 海。本作の主人公、20歳の医大生です。

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