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俺と君達のダンジョン戦争 作者:トマルン

第二章 序盤戦とか外交とか色々

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第五話 NINJAとのお話

「なるほど、つまり我々はこれ以上進むな、と言いたい訳でござるな?」

 全身黒尽くめの不審者、NINJAの白影は、俺の要求に対し、こちらを挑発するかのような物言いで返した。
 唯一黒に覆われていない目元から覗く蒼い双眼が、好戦的に細められる。
 頭巾から飛び出ている金のポニーテールがふわりと揺れた。

「そういう意味ではないよ。
 この先で行われている戦闘は、俺達日本の優勢で進んでいるから、干渉しないで欲しいと言ってるんだ」

 目の前の白影から目を離さないまま、背後の森で跪いている巨大ロボを見る。
 歪に歪み、所々破損が見られる全身の装甲からは、白煙が濛々《もうもう》と上がりだし、まともな視認を難しくしていた。
 巨大ロボの方は、しばらく戦闘は無理だろうが、NINJAの白影だけでも俺と従者ロボ2体ではとてもじゃないが敵わない相手だ。
 従者ロボはもしかしたら互角に戦えるかもしれないが、俺は瞬殺されること請け合いだろう。

「それこそが、我らに対し進むなと言ってるも同然であろう。
 あまり拙者をたばかってくれるなよ?」

 白影は両手組み合わせ人差し指を立て、忍者特有のニンニンポーズをとる。
 もしかしてこちらを威嚇しているのだろうか?
 日本人からすれば滑稽でしかないが、腐ってもこいつはカトンジツを使えることを考えると、単純に笑い飛ばすこともできない。

 正直なところ、彼女がとっているのは忍者のポーズではなく浣腸ポーズなのだが、それを指摘したら逆上されかねない。
 正しくは、人差し指を一本ではなく、中指も使って2本の指を立てるのだ。

「誤解を与えたならば謝罪しよう。
 俺は君達に対し、戦闘に介入して欲しくないだけなんだ。
 前に進みたいなら、申し訳ないが、戦闘地域を迂回して貰えないだろうか?」

 浣腸NINJAは少しだけ考えたようだが、浣腸ポーズを解くことはなかった。

「…… いや、駄目だ。
 イソガーバ・マワーレということわざ通り、戦闘地域を迂回となると、我らにとってゴジッポ=ヒャポー。
 偵察の任を受けた我らは、その提案を受け入れるなどアカゴ・ノ・テヲ=ヒネル様なものでござる」

 浣腸NINJAは随所に日本の諺を使って、俺の提案を受け入れてくれた。
 いや、本当は拒否する意味で使ったんだろうが、諺通りの意味で受け取ると、『急ぐ時ほど遠回りが良いとも言うし、迂回路なんて大して違いなんかない。その提案を受け入れることは簡単だ』という意味になってしまう。

 きちんと意味を把握せずに、使い慣れない言葉を使って失敗している典型例だ。
 これはちゃんと指摘してやるべきだろうか、このまま受け取るにしても、土壇場で力押しされてしまえば、俺に対抗する術はない。
 ならば、友好的な態度に徹して、相手の譲歩を引き出すか時間を稼ぐしかないだろう。

「言いたいことは分かった。
 しかし、白影、君が使っている諺は、本来の意味とは異なる使い方をしているよ」

「な、なんと!?
 そうでござったか、この白影、一生の不覚でござる!」

「その忍者ポーズもちょっと違うし、良ければ色々レクチャーしようか?」

「真か! 是非ともお願いするでござる!!」

 こいつ、ちょろいわ。
 こうして、俺の正しい日本文化教室が始まった。
 2時間は稼いでやるぜ!



「——— っと、こういう由来があって、正しい忍者ポーズ、印はこうやって組むことになってるんだ」

「おぉ、そうでござったか……
 拙者、今までずっと浣腸ポーズだったのでござるなぁ」

 恥ずかしいでござるぅ、と両手で顔を覆ってイヤイヤする浣腸NINJA。
 後頭部のポニーテールが盛大に揺れている。

「ははは、間違っていようと、日本の文化を好きでいてくれる気持ちは、日本人としては嬉しいものだよ。
 そんなに恥ずかしがることじゃないさ」

 滅茶苦茶恥ずかしいけどな、俺だったら黒歴史確定だよ。
 内心を完全に隠しながら、浣腸NINJAを慰める。

「優しいでござるぅ。
 トモメ殿は真に優しいお人でござるぅぅぅぅ」

 いつの間にかこちらを見つめる白影の瞳は、艶を帯びていた。

「うぅぅ、こんなにも優しくされたのは小っちゃかった頃だけでござるよぉ」

 そう言ってすり寄る浣腸NINJA。
 このまま人類同盟から離脱してチーム日本に加入しそうな空気を醸し出している。
 それは流石に不味過ぎる。
 ただでさえ警戒され気味なのに、そんなことになれば外交問題が一気に噴出するぞ!

 やべぇよ、ちょっと優しくし過ぎたか。
 頭の可笑しい娘はうちの高峰嬢だけで手一杯なんだ。
 人類同盟との対立までセットでやってきては、俺のキャパシティーを臨界突破だよ!

「そ、そんなことはないんじゃないのか?
 親御さんや、親戚、家族とか、君に優しくしてくれた人なんて山ほどいるだろう」

 俺から逸らすために浣腸NINJAの家族を挙げてみるが、その途端、彼女は本気で落ち込みだした。
 あっ、これはあかんやつや。

「私、家族から嫌われてたし……」

 あああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ、やっちまったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
 やべぇ、やべぇやー、やべぇすとぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!! 

 俺は自分が意図せず踏んでしまった特大の地雷に恐れおののく。
 浣腸NINJAの一人称が、拙者から私に変わっていることもあって、ヤバさは一入ひとしおだ。

 考えろ、考えるんだ、上野群馬こうずけともめ……!
 この状況を打開し、彼女からの友好と信頼を得つつ、程よい距離感を保つことのできる名案を。
 俺の虹色の頭脳がフル回転し、様々な回答の想定を行う。

 結論。
 諦めろん。

 突然、後ろに控えていた従者ロボの美少女が、俺の襟首を掴んで背後に跳躍した次の瞬間。

『今日の私は阿修羅すら凌駕する存在だ!!』

 目の前に巨大な拳が叩きつけられた。

 舞い上がった土煙が眼前を覆う。

『人呼んで、ガンニョムスペシャル!!』

 全てを力尽くで解決したガンニョムが、決めポーズをとっている。
 しかし、悲しいかな。
 俺の索敵マップには、緑の光点が2つ、依然として存在していた。

「———— 頭にきたでござる」

 恐ろしいほど平坦な底冷えのする声とともに、NINJA白影が現れた。
 あっ、これは本気の殺し合い始まっちゃうかなー?
 俺は美少女に抱えられたまま、即座に後退を始める。
 これ以上、この混沌とした環境には耐えられないぜ!

「ヘイヘーイ、大きな案山子かかしと小さなむしが、ぐんまちゃんに何してくれてるんですかー?」

 くさむらから 高峰嬢が あらわれた!
高峰嬢(美少女)
白影(NINJA)
ガンニョム(がんにょむ)

これだけだと、ガンニョムの一人勝ちに見えるから不思議ねー。
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