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俺と君達のダンジョン戦争  作者: トマルン
第三章 色んな国の探索者が登場したりしなかったり
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第四十二話 日仏連合、末期世界二侵攻ス

『人類同盟、3個機甲師団2個航空艦隊をもって機械帝国第3層に侵攻を開始』


 高度魔法世界第3層攻略から1週間後の朝、その一報が各国探索者の端末を通して駆け巡った。

 同盟は前回の戦いで半数以上の兵器や物資を失ったというのに、1週間という僅かな期間で軍の再編成を完了させて新たな戦場へと進軍した。

 数百億$は下らないだろう再編成費用を速やかに用意した同盟の国力は勿論だが、その膨大な国力を統率せしめた同盟指導者エデルトルートの卓越した手腕は驚嘆に値する。


 まあ、内情はスポンサーである列強諸国と切り捨てられかけた中小国家の対立によって分裂しかけているそうだけどね。

 双方の派閥を取りまとめているエデルトルート派には、精々人類の為に頑張って欲しいものだ。


「あれ? ぐんまちゃん、なんだか悪い顔ですよぉ?」


「そそるでござる!」


「気のせい、気のせい」


 同盟の機械帝国侵攻と同時に侵攻した末期世界第3層。

 その地は延々と燃え盛る大きな山が戦場となった世界だった。

 木々が生い茂り緑豊だっただろう土地は、赤黒い炎でそこかしこが彩られた地獄絵図と化している。

 スタート地点は山の裾野であり背後には巨大な湖が広がる。

 湖面は炎を反射して赤々と光り、血液だと錯覚してしまう妖しい雰囲気を漂わせていた。

 周囲には高度魔法世界で設けられていたような基地設備が見られず、本格的な航空戦力の運用には基地設営から始めなければならないだろう。

 

「—— っ、あれは日仏連合!?」


「彼らも遂に動いたか」


「…… くっ、我々の自由もここまでなのか」


 スタート地点にいて俺達を認識した第三世界の探索者達が、驚きと悔しさを表情に出す。

 実情はどうあれ、俺達日仏連合は同盟や連合と並ぶ三大勢力の一角とされている。

 吹けば飛んでしまう弱小な彼らにとって、大勢力の参戦は攻略主導権の喪失と同義だ。

 例えるならフルマラソンで自動車に乗った相手と競争させられるようなもの。

 まともにやっても相手にならない。


 そして彼ら弱小国家は内心はどうあれ、その事実を受け入れた上で大勢力に取り入ってその場その場で寄生しようとする。

 弱さを受容し、それをとことん利用する相手と言うのは厄介だ。

 無論、俺だってある程度の配慮・・こそすれ、むざむざ我が国の国益を何の対価も無しに分け与えてやるつもりはない。

 ODA(援助)が欲しけりゃ利権寄越せってんだよ!


「宿営地は…… あそこで良いか。

 よし、あの平野部に拠点を設営し、さっさと軍を召喚しよう」


 俺は空いている場所を指して従者ロボに拠点設営を指示する。

 18体の従者ロボは俺が指示するやいなや、手慣れた様子で整地を始めた。

 新しいダンジョンへ入るたびに行っている恒例行事だ。

 古参勢にとっては最早細かい指示は必要がない。


 最古参の美少女1号と美少年1号を中心に従者ロボが拠点を設営し、高嶺嬢が第三世界諸国を意図せず威嚇して白影があからさまなNINJAムーブをアピールする。

 そんな中、俺は左腕にはめている端末を操作して、武器屋で購入したりミッションで取得した兵器類を召喚した。

 不思議な白い光と共に指定した地点にいつの間にか幾多の兵器が並んでいる。

 ダンジョン戦争を統括する次元管理機構の謎技術は相変わらず理解できないが、この技術がないとやっていられない以上、そういうものだと納得するしかない。


「ハ、ハロォ……」


「ヘイヘーイ! ヘイヘーイ!

 日本語しゃべってくださいよー」


「ヒィィィィィ!?」


「やれやれ、白いのは野蛮でござるなぁ」


 高嶺嬢と白影が第三世界諸国と交友を図っているのを他所に、俺は召喚した兵器を確認していく。

 現時点で日仏連合が保有している兵器は、偵察兼物資輸送用の42式無人偵察機システム改180機、UF-2無人戦闘機12機、35式無人多脚戦車全兵装24両ずつ。

 それと高度魔法世界第3層で同盟から譲渡されたUM1A2アイゼンハワー無人戦車96両、無人機銃座36基。

 UB-1無人爆撃機は資金不足で結局今回は見送った。

 戦力規模としては1個機甲旅団、1個飛行中隊。

 同盟や連合相手だと戦力不足は否めないが、第三世界相手なら物量で圧倒できる。


 俺は運用に滑走路が必要なUF-2無人戦闘機を除く全戦力を召喚したので、200を超える機甲車両と180機のUAVがその姿を堂々と晒していた。

 無限軌道の平べったいUM1A2とそれより二回り大きな35式多脚戦車が、従者ロボの管制システムとリンクして順次臨戦状態へ移行していく。

 円盤形の42式偵察機が、タブレット経由で伝達される俺からの指示を忠実に実行し、次々と偵察の為に全環境迷彩を起動して飛び立っていく。


『ロシア連邦 探索者 アレクセイ・アンドーレエヴィチ・ヤメロスキー

 からの メッセージ を 受信しました


 人類同盟の物量が辛い……

 トモメは俺を助けてくれるかい?』


 ロシアからのメッセージを日本は華麗に既読無視!

 国際連合が人類同盟に物量で苛め抜かれている間にも、日仏連合は戦争準備を着々と整える。


「まずは他の探索者に退避勧告出して砲撃しよっと!」




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― 新着の感想 ―
[良い点] アレクセイ君は何だかんだ、女傑と違って愛嬌がある黒幕って感じがしていいね! 共闘した事もあるし、何より弱音を吐く男性って母性本能をくすぐるって少女漫画に描いてあった!
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