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俺と君達のダンジョン戦争 作者:トマルン

第一章 導入や基本的な諸々

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第十話 ギルドと真実

 バーカウンターが併設された酒場のような空間。
 そんな空間の奥に控える役所の様な窓口は、あまりの場違いさに訪れた者へ歪な印象を与える。
 室内には空調が行き届いているというのに、何故か天井に設置されているシーリングファンがそんな空間に不思議とマッチしていた。

 ダンジョンで軽くジェノサイドした俺と高峰嬢は、魔石の納品と俺の特典を受け取るためにギルドへやって来ていた。

「不思議な空間ですねー」

 高峰嬢はバーの椅子に腰かけながら、酒場と市役所が融合したようなギルドをキョロキョロと観察している。
 彼女についていた返り血で、オシャレなバーがあっという間に殺人現場へビフォーアフター。

 そんな彼女を放置して、ギルド受付に設置されたタッチパネルから、魔石納品を選択する。
 すると、受付のテーブルに穴が開いたので、その中に取ってきた魔石を全て投入。
 ギルドのディスプレイには、『36.24㎏』の文字が表示され、『換金しますか?』と出てきたので『はい』を押すと、36万2400円が端末に振り込まれた。

 どうやら魔石は1㎏あたり1万円の価値があるようだ。
 高峰嬢のステータスを見る限り、彼女にきちんとした金銭管理ができるとは思えないと自分で認めたため、当初の予定通り俺が一括で資金管理をすることになった。
 というか、資金以外にも武装、防具、食糧等の生活物資の管理は一括して俺が行う事になる。

 俺は続けて、特典である『強くて成長する裏切らない従者(美少女でも美少年でもありません)』の受取を行う。
 タッチパネルを操作すると、壁の一部がガコンとずれて、中から人影が現れた。

 2m50cmほどの身長は、味方には安心感を、敵には威圧を与えるだろう。
 銀色に輝くメタリックボディーは、丸みを帯びた体つきも相まって下手な銃弾なら跳ね返すはずだ。
 赤く輝く双眼は、一度捉えた目標を決して逃さない強い意志が感じられる。
 紛うことなきロボットだ。

「わー、なんかハイテクそーですねー!」

 高峰嬢が既視感を覚える馬鹿っぽい感想を吐く。
 驚くべきことにロボットは2体出現し、それぞれの額には『美少女』、『美少年』とプリントされていた。
 美少女でも美少年でもないって、そういうことね。

 ロボットが収納されていた空間から出ると、ずれていた壁は元に戻る。
 しかし、ロボットはそれっきり動こうとはしなかった。
 おそらく命令待ちだろう。
 ちょうど良いので、ロボット達はその場で待機させて、端末のミッション画面を確認する。

『ミッション 【魔石収集】 成功
 報酬 32式普通科装甲服3型 3着 が 受取可能 になりました』

 ここまではいつも通りで良かった。
 しかし、次の表示が問題だった。

『日本国高峰内閣 の 今週 の ミッション数 は上限に達しました
次の ミッション はありません』

「………… おいおい」

 梃子を外された気分だ。
 てっきり政府からの指示に従っていれば、ダンジョン攻略はトントン拍子に進むと思っていた。
 この状況についても政府がある程度掌握しているものかと思っていたが、どうやら今の状況の黒幕は日本政府よりも現状では上位に位置するらしい。

 それにまだ他の人間は見ていないが、ダンジョンの空洞に設置されていた世界中の国旗と、その下にある扉を見た限り、他国も同様の事態に直面していると考えるのが普通だ。
 見たこともない化物が徘徊するダンジョン、『スキル』などの仕組みの良く分からないシステムを構築する意味不明な技術、各国政府よりも上位に位置する黒幕。
 もしかしたら現状は、俺達は勿論、日本政府をはじめとした世界中の人々がとんでもない事態に直面しているのかもしれない。

「ぐんまちゃん、どうしたんですかー?
 顔色が優れませんよー」

 高峰嬢がいつの間にやら俺の目の前まで来ていた。
 普段は意志の強そうなつり目がちな瞳が、心配そうに揺れている。
 その瞳の中に宿る不安の色を感じて、何より鼻孔をくすぐる血の臭いにより、俺は思考を中断させた。

「いや、端末からミッションが受けられなくなってね」

「だったら、ギルドから受けられると思いますよー?」

 なんてことのない風に彼女は言った。

 彼女の言葉に従ってギルドのパネルを操作すると、ありましたよ。

『ミッション があります
日本国 から 4 件
次元統括管理機構 次元間紛争管理部 から 2 件』

 『次元統括管理機構 次元間紛争部』ねー、この名前だけで今の状況がだいたい把握できた。
 つまりあれだろ?
 他の世界から侵略かまされた、うちの世界が、次元統括管理機構とやらのお蔭でダンジョン攻略という形で決着つけることになったとかでしょ。
 ようは代理戦争だね。
 2日目にして、事情が概ね分かったよ。

 まずは祖国からのミッションを見る。

『ミッション 【資源が大ピンチ】
 資源チップを納品しましょう
 鉄鉱石:10枚 食糧:10枚 エネルギー:50枚 希少鉱石:10枚
報酬 42式無人偵察機システム 6機
依頼主:日本国経済産業大臣 鈴木市太郎
コメント;誠に申し訳ないが、出来る限り早急に頼みます』

『ミッション 【一刻も早い資源開拓】
 新しいモンスターの魔石を納品しましょう
報酬 42式無人偵察機システム 6機
依頼主:日本国第113代内閣総理大臣 高峰重徳
コメント;孫娘がなんかゴメン』

『ミッション 【原油の確保を切望す】
 資源チップを納品しましょう
 エネルギー:50枚
報酬 50万円
依頼主:エネルギー資源庁長官 大橋一輝
コメント;少ない報酬で真に申し訳ないが、君達だけが頼りなんだ』

『ミッション 【国内産業壊滅の危機】
 2日以内に新しいモンスターの魔石を納品しましょう
報酬 10000円
依頼主:日本経済連盟会長 岩崎松貴
コメント;報酬制限さえなければ…… すまないが、頼む』

 うん、日本が大ピンチだわ。
 それに最初から何かあるとは思っていたが、報酬には制限があったらしい。
 初めて目にする資源チップなる要素は置いといて、次元統括管理機構のミッションを見る。

『固定ミッション 【魔石の交換】
 モンスターの魔石 は 資源チップ と交換可能です
 新しいモンスター の 魔石 を納品すれば 新しい資源チップ と交換可能になります
ゴブリン:鉄鉱石 オーク:食糧 コボルト:エネルギー 大蝙蝠:希少鉱石
報酬 各種資源チップ
依頼主:次元統括管理機構 次元間紛争部 対象世界資源管理課
コメント;日本国 の 資源輸入 は 遮断 されています』

『ミッション 【魔界 第1層の解放】
 魔界 の 第1層 を開放しましょう
報酬 道具屋 武器屋 防具屋 の 新商品 の 解放
依頼主:次元統括管理機構 次元間紛争部 購買課
コメント;日本国 からの 攻撃的兵器の補給 は 制限 されています』

 なるほど、魔石は資源チップと交換できるんだね。
 おそらく資源チップは、本当の資源に交換されるのだろう。
 うん、だいだい把握した。
 こりゃあ、各国でもダンジョン探索が始まったら、熾烈な資源獲得競争になるね。

 まあ、そんなことを考えるより、今やるべきことは。

「高峰嬢、一狩行こうぜ!」
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