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天狼さん物語  作者: 葵邑
8/10

第七話 装備を造ろう!

露天風呂での楽しい宴会も適度なところで終了。

お酒をたくさん飲んで、みんな雰囲気が結構変わって楽しかったなぁ!


終了後は各自解散。

私はメリー君と装備作成の約束があるので、

型を見せるついでに日課の鍛錬を終わらせてしまうことにする。


メリー君と一緒に大神殿の端に移動し、まずは柔軟。

じっくり丹念に全身を伸ばし、

温泉で暖まった身体をさらにほぐしていく。


のびのびーん。

・・・メリー君、めちゃくちゃ柔らかいね!?


全身を伸ばしきったら、軽くジョギング。

せっかく女神様の神界にいるので、

どこまでも続く雲の上を全力で走ってみようかなぁ。

すごく密度が高そうな漫画雲だし、きっと上に乗れるよね。



ぴょんっ。


ずぽっ。


「え、ちょ、ユウちゃん!?」


「ぴぃ!?」



がっつり沈んだので、慌てて軽身功で飛び上がる。

ふぅ、アホの子みたいになるところだった。


『何をしているのよ・・・。』


「見てたんですか女神様。

 別に、雲の上を走ろうと思ったら沈んだわけじゃないですよ。」


『そこは神界と下界の境界線なのよ。

 雲の下に沈んだら、時が止まってるわよ。』


「何それ怖い。

 えっと、日課の訓練用に走れる空間が欲しいんですけど。」


『軽身功で走ればいいじゃない。』


「きついから嫌です。」


『鍛錬なんでしょう、やりなさい。

 落ちたら拾ってあげるから。』


「はひぃ。」


女神様、優しいけど意外とスパルタですね?


ここの雲は、私の知っている雲よりはるかに密度が高い。

けれど、これを足場にする為には

体重を1/100程度に維持しないと厳しそうだ。

気の消費が半端ない。


内功が少しでも乱れれば軽く沈み、

足を雲から引き抜くのにまた気力を使う。

走っている最中だからとても神経を使うし、

体力もがっつり消費する。

ていうか


「なんか、雲の密度がどんどん下がってませんかねぇ!?」


『余裕そうだから、手伝ってあげてるんじゃない。

 ユウ、スピードが落ちてるわよ?

 内功の維持に気をとられすぎ、フォームも乱れてるわ。

 ほらほらー、走るだけで精一杯じゃ、戦闘なんてできないわよ?』


「鬼畜ー!貧乳ー!残念女神ー!四十肩ー!」


『うふふ、そんなに厳しくしてほしいのかしら。

 もっと手伝ってあげるわね?

 ちゃんと避けなさい?』


「ぎゃーーーーっす!」


雲の密度はどんどん下がり、

体重を1/2000くらいまで軽くしないと足場にならなくなってきた。

ほとんど私の全力なんですけど!

その上で見るからに危なそうな電気玉を投げてきやがったですよこの駄女神!


内功のほとんどを軽身功に割り当て、

薄い雲を足場に雷玉を避ける。

速度が遅いのは幸いだけど・・・!?


「ちょ、誘導弾とか聞いてなぴぎぃ!?」


避けたと思ったら、くいっと曲がってきたでござる。

しびびびびび!!


『うーん。技術は特級品。

 なのに、実戦経験が致命的に足りてないわね?

 予想外のことに慌てすぎだし、想定が甘すぎよ。

 学院でよく鍛えるよう、フレイに言っておくわ。』


お手数、かけますぅ。。。

でもお風呂に入ったあとなのに、

2時間もスパルタすることないと思うんです!

雲の上で実戦形式、ミスったら即感電とか

どんな拷問なんですかねぇ!?


ちょっとした鍛錬のつもりが、

とんだ特訓になったでござるよ。


「あはは、大変でしたねユウちゃん。

 でも、おかげで思いのほかデータはとれました。

 実践に勝るものはないですからね。」


2時間も特訓を見せられて、さぞや退屈だっただろうに

笑顔でふわふわタオルを差し出してくれるメリー君。

まじ天使。


「ふぇー。ありがとうメリー君。

 ・・・ところで、その紙の束はなーに?」


「観察して数値化した、ユウちゃんのデータですよ。

 客観的に自分を見るのも大切ですし、見てみます?」


「あ、うん。」


「至高の装備を造る為にはまだまだ足りないですが、

 とりあえず今回はこのくらいですかね。」


「そ、そうなんだ・・・。」


なんか国語の教科書並みに厚みがあるんだけど。

これを、私の特訓を見ながらたったの2時間で書いたの?

なんか、挿絵まであるんだけど・・・。


とりあえずぱらぱらとめくってみる。


・・・字、うまいねっ!

絵もうますぎないかな!?

ええぃ、連邦のメリー君はバケモノかっ!!


今回私が取った姿勢、

走り方、避け方、受け流し方、弾き方、

軽身功での跳躍姿勢やその能力値、

反射神経、動体視力などなど

ところどころに挿絵などが入り、わかりやすくまとめてある。

数値に関してはよくわからないけれど、なんかすごい!

なんか、すごいんだけど!!


「すごすぎてよくわからない!!!」


「あはは、まぁ装備の設計図みたいなものですからね。」


「でも、1つだけ気になるところがあるんだ。

 ・・・いつの間にスリーサイズとか測ったの!?

 自分ですらわからないのに!」


データ集の最後のページ。

私の絵に、色々書いてあるんだけど・・・

身長、手の長さ、指の長さ、腕回りなどなど

ものすごく細かく身体データがびっしりと。

もちろん体重やスリーサイズまで!!


「え、あ。えと、すみません。

 女性用の装備、特に防具を造るのにあたり、

 スリーサイズは非常に重要なんですよ。

 身体の構造上、どうしても男性よりも重心が高く、

 それでいて崩れやすいですからね。

 その中心になるのは、胸、腰、お尻です。

 補正するのとしないのとでは大違いになってしまいます。


 もちろん、個人データに関しては最重要機密として、

 僕専用のストレージに厳重に保管しています。

 計測に関しては、目測で。 

 でもミリ単位まではトレース出来てる自信があるので、 

 安心してくださいね。」


なんということでしょう。

食べ過ぎて1ミリ太ったらばれるんだろうか。


「ふふふ。素材は僕が預かっている分から、

 何をどれだけ使用しても良いそうです。

 僕が全力で腕を振るえる機会って、中々ないんですよね。

 久しぶりにとても良いモノが造れそうですよ。

 うふふふふふふふふふふふふふふふ!!!!」

 

ぴぃ!?

メリー君が天使の皮を脱ぎ捨てた悪魔な笑みに!!!??


「さぁさぁユウちゃん。

 お風呂に入って汗を流したらさっそく作成に入りましょう。

 夢世界で時間を引き延ばして160時間程度でしょうか。

 うふふ、今夜は絶対に寝かせませんよ?」


「え、え、え。お、お手柔らかにお願いします?」


「この僕が、装備造りで手抜きなんてありえないですね。」


「はひぃ・・・。」


なんて情熱的なお誘い。

メリー君は生産スイッチが入るとマッドになるのね・・・

ところで、160時間休まずに生産するんですか?

するんですね、そうですか。



私は、メリー君は天使だと言ってきたな。

あれは嘘だ!!!!!!!!!!!!!


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