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天狼さん物語  作者: 葵邑
6/10

第五話 白の女神様

夕飯後、食休みをしながら少しまったりした後は、

みんなで大浴場に向かうことになった。

この神殿には女神様の趣味で作られたたくさんの温泉があるらしい。

雲の上にあるのに温泉。不思議だ!

でも楽しみだ!


入口と脱衣所、身体を洗うところは男女別になっているけれど、

露天風呂は一緒。いわゆる混浴になっているみたい。

湯浴み着は全員分用意してるんだって。

露天風呂で一緒にまったりしながら軽くお酒を飲むのが毎年の行事なんだとか。

日本ではあまり見ないけど、そういうのもいいよね!


「それじゃあ、また中で会いましょう。」


「ん?メリー君、そっちは男湯の入口だよ?」


「・・・ユウちゃん。僕は生物学的には男なんですよ。」


「うん、知ってるんだけど、お約束かなぁと思って。」


わかってはいるんだけど、メリー君は見た目が完璧な美少女だ。

普段は男湯に入ると大問題になり、かと言って女湯に入るわけにもいかない為、

温泉や大衆浴場には滅多に入れず、困っているらしい。

うん、まぁ、レベルの高い男の娘だもんね。

だから身内だけで入れる神殿の大浴場は、毎年楽しみにしているんだって。

男の娘も大変だね・・・。


というわけで脱衣所である。


ストン。

プニ。

フワッ。

ポヨン。

ブルン。


うん、まぁ。

わかっていたけれど、クズノハ姉様はやっぱりすごいね。

エイアさんも、さすがの母性の塊で。

ジルさんは着痩せするタイプかな。

スレンダーな身体に思わず見とれるくらい理想的な形でした。

女神様は、なんていうか、ざんねn


『ユウ?』


「なんでもございません。お綺麗でございます女神様。」


ふっ。

姉様>エイアさん>ジルさん>私>女神様とだけ言っておこう。

何がとは言わない。


『くっ。まさかユウに負けるとは思わなかったわ。

 こ、これでもメリークスよりはあるのよ!?』


「そ、そうですね?」


メリー君は男の娘だからね?

魔法で増量しようかしらと怪しげにつぶやく女神様を放置して、

洗い場でわしゃわしゃと石鹸を泡立てて身体を洗う。

うーん、さすが女神様印の石鹸。

軽く撫でただけなのにスベスベつるつる。

それにとってもいい匂い!

何この石鹸、欲しい!超欲しい!!

えっと、シャンプーは・・・っと


「ユウちゃん、髪の毛は私に洗わせてもらえないかしら?」


「ほぇ?」


「私はあまりユウちゃんとお話しできてないんですもの。

 ・・・ダメかしら。」


「むしろぜひ。お願いします!」


「ふふ。ありがとう。じゃあ、まずは流すわね。」


わーわー。

なんと天使なエイアさんに髪を洗ってもらいました。

優しい手つきで丁寧にわしゃわしゃしてもらう。

狼になって少し敏感になった耳の周りまで丁寧にわしゃわしゃ。

私の髪はちょっと太めの髪質で、多少引っ掛かりとかあると思うんだけど

引っ張られたり、痛かったりはまったくしない。

う、うますぎる・・・


はふぅ。


なんという気持ちよさ。

人に髪を洗ってもらうのって、いいよね!

そしてさすが女神様印のシャンプー。

めっちゃいい匂い!!!


さらっと泡を流してもう一度シャンプーをしてもらい、

次にリンスを丁寧に揉み込んでもらう。

うむ、くるしうない。

エイアさん、ありがとう!!!


そしたら交代だ!

今度は私がエイアさんの髪を洗わせてもらう。


その天使のよう・・・、というか本物の天使の髪、

たっぷりと味合わせてもらおう!!!


サラサラの金髪にゆっくりとお湯をかけると、

つやつやと透き通るような輝きを放ち、

シャンプーを泡立てて優しく揉みこむと

スルスルとした手触りが心地よい。

え、ナニコレ。

そこらの髪モデルなんて目じゃないですね!?

本物の天使はバケモノかっ!


泡を軽く流し、

頭皮マッサージをしながら二度目のシャンプー。

わしゃわしゃ、しない。サラサラすぎる羨ましい!!

長い髪を丁寧に指で梳くように、

傷めないように毛先までしっかり洗う。


泡を流せばほら、リンスなんてしなくても輝く天使の輪。

いや、髪の毛1本1本まで、

丁寧にリンスさせていただきますけれども!

エイアさんの髪は国宝級の髪の毛や!

もみもみもみもみ。


ふぅ、いい仕事をした・・・。


「ふふ、ありがとうユウちゃん。気持ちよかったわ。」


「私もありがとう!すごい楽しかった!!」


髪も綺麗だけど、エイアさんの笑顔は破壊力がやばかとです!

おのれ天使めー!

と、ともかく髪も身体も洗ったし、これで終わりかな?


「ユウ?

 尻尾もちゃんと洗わないけんよ。」


おっとクズノハ姉様からストップがかかりました。

そっか、今日からは尻尾もちゃんと洗わないといけないね。

もふもふ。

んー。犬を洗うのと同じ感じでいいかな?


「ほら、そこにお座り。

 犬猫とは違うんよ?洗い方を教えてあげる。」


「お願いしますっ!」


「本当はお湯をつける前にブラッシングするといいんやけどね。

 汚れがひどい時は、お風呂前にブラッシングするんよ?

 シャンプーはこのブラシに馴染ませて。

 向きはこう。髪より絡まりやすいから、丁寧にするんよ。」


ほうほう。

なんかこう、尻尾って物凄く敏感なイメージあったけど

そうでもないかな?

あ、うん。普通に気持ちいいかも。

もっふもっふ。

ふわぁ。


「ほら、気持ちいいのはわかるけど、

 尻尾をあまり動かさんといて。やないと・・・」


「ぴゃぅん!?」


「うふふ。イタズラしちゃうんよ?うりうり~。」


「ぴぃぃ!?」


尻尾は大丈夫だけど付け根っていうか

背中側はやばいね!?

ごめんなさい許してくださいお姉様!


「ふふ。ユウはめんこいわねぇ。

 ほら、泡を流したら次はリンス。

 リンスはしっかり馴染ませるんよ。」


「はひぃ・・・」


おのれおっぱい狐め。

足腰立たなくなったらどうしてくれる!

倍返しじゃっ!


「ありがとう!次は私も姉様の尻尾を洗います!!」


「私はもう洗い終わってるから、また今度ね。

 洗いすぎも毛を痛めてしまうんよ。」


「ちぃぃ!」


「・・・ユウ?」


「あ、いえ。なんでもないですはい。

 いやぁ、露店風呂楽しみだなぁ!」


あやうく仕返ししようとしてることがバレる所だった!

なんでもないフリをしてそそくさと外へと向かうことにする。


『こら、ユウ。裸のまま出る気?

 こっちに来なさい。湯浴み着を用意してあるから。』


おっと。危うく痴女になるとこだった。

何を着ようかな?

ふと他の人たちを見回してみる。


エイアさんは一般的な白の湯浴み着。

巫女服の上だけみたいな感じ。

優し気な雰囲気と合わさって、とっても癒し系な感じ。

なんかこう、思わず甘えたくなる魅力に溢れている。


ジルさんは意外と可愛らしいフリルのついたセパレートタイプ。

本人の凛々しい雰囲気と合わさって

かっこかわいい絶妙な魅力を引き出している。


クズノハ姉様はおっぱい。

ああ、いや、うん。

チューブトップの湯浴み着なんてあるんですね?

尻尾があるからセパレートタイプがいいと。なるほど。


女神様は薄ピンク色の普通の湯浴み着。

悔しいけどなんか似合う。

肌にぴったり吸い付く服なのに、色気を感じないのは

女神様の神々しさのせいなんだろうか。

あ、胸がないからか。


『ユウ?』


「おおっと!私はジルさんみたいな湯浴み着にしよっかなぁ!」


尻尾があるから羽織るタイプは穴を開けないとちょっと。

なんかこれ、絹地でできた水着みたいだね?

色は水色がいいかなぁ。

なんだろう、青系の色にとても魅力を感じる今日この頃です。


『よし、準備できたわね。

 今日はお酒もたっぷり用意しておいたわ。

 それじゃあ、行きましょうか。』


湯煙の向こう側は、とても白かった。

白い雲の上の白い大神殿。

そこに広がる白亜の湯舟。

温泉はさすがに色とりどりだけど。


そういえば脱衣所も洗い場も、基本的に白かった。

女神様は白が好きなのかな、と思ったけれど

服も今回の湯浴み着も白じゃないし、

そういえばパンツも白じゃなかった気がする。

なんでだろう?


「そういえば女神様。」


『何かしら?』


「女神様の名前ってなんですか?」


『・・・そういえば名乗ってなかったかしら。

 私は白を司る原初の神の1柱、ヴァイスよ。

 あらゆる白の根源は私にあるわ。』



なぜにドイツ語。

一番響きが良かったから?

白の謎はなんとなく解けたけど、

本人があまり白くないのは何故なんだぜ・・・?


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