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天狼さん物語  作者: 葵邑
4/10

第三話 スキルを学ぼう!

一通り戦い終わり、

今はメリー君の手作りお菓子と、

エイアさんの淹れてくれたお茶で一休み中。

ザ・ティータイムだ!


メリー君は本当に女子力が高い。

このお菓子うますぎっ!!

・・・まじうまっ!?


「おうメリークス、おかわりだっ!」


「メリー君、私もおかわりー!」


「レオさん、ユウちゃん、おやつは1人1つまでですよ。

 夕飯が美味しく食べれなくなっちゃいますからね。」


ちぇーっ。

仕方ないのでよく味わって食べる。

もぐもぐ。ゴクゴク。

・・・お茶もうまっ!?

エイアお姉さんまじ天使!


「さて。落ち着いたところで、

 魔法とスキルについて簡単に説明しておこうか。」


おや、説明担当はフレイさんですか。

スキルとはさきほど私の関節を色々と砕いてくれたアレですね。

その秘密、聞かせて頂きましょう!


「まずはスキルだが、これは単純だ。

 自分の動作の一部を、音声とリンクして登録する。

 これでスキルの完成だ。

 あとは繰り返し熟練度を上げれば、より早く、より強くなる。

 ただし、登録できる数は一般的には10個までだ。

 入れ替えは自由にできるけどな。」


・・・うん???


「あー、なんだ。実際にやってみろ。

 例えばその場で思い切りジャンプ。

 踏み切るまでの一瞬を、

 スキル、『ハイジャンプ』として登録してみろ。

 なんとなく感覚でできるはずだ。」


どれどれ。

席を立ち、少し下がってその場でジャンプ!

スキル、ハイジャンプとして登録!!!


・・・できた気がするけど、普通のジャンプだよね今の?


「音声登録ができたら、

 スキルの使用を意識しながら、ハイジャンプと言ってみろ。」


「ハイジャンプ!」


びよーん。

すたっ。


・・・!?

か、身体が勝手に動いたよ!?


「それがスキルだ。

 繰り返すことでより早く、

 高く跳べるようになる。

 ただし、その間は身体のコントロールはできない。

 一時的に身体能力の限界を大きく超えて動作できるが、

 そのリスクは大きい。使いどころが大事だな。

 できるだけ小さい動作で、

 かつ効果的な行動を登録すると良いだろう。

 戦闘中の使いどころは難しいが、

 ハイジャンプは通常時にも意外と役に立つ。

 できる隙も、踏み切りの一瞬だけだ。

 我々はスキルスロットも多いからな、育てると良い。」


はーい!

フレイさんはどのくらい跳べるの?


「そうだな。通常時の全力では5m程度だが、

 ハイジャンプなら50m程度までは跳べるな。

 スキルによる限界突破は、力も速さも10倍が限界だ。

 そこまで育てるのは、並大抵ではないがな。

 ああ、身体のコントロールは効かないが、

 ちゃんと加減はできるから安心しろ。

 20m跳びたければ20mだけ跳ぶこともできる。」


スキルどんな動作でも登録できるの?

効果時間の長さは?


「基本的にはどんな動作でも大丈夫だ。

 だが、制限ももちろんある。後で説明しよう。

 時間に関しては、長ければ長いほど消費魔力が高くなる。

 例えば1時間の訓練を登録して楽をしようとするのは無理だぞ。

 使用すれば1時間、身体のコントロールがきかない上に、

 この私ですら魔力をごっそり持っていかれるだろうな。

 一般的にはまず無理だ。

 それに身体能力は多少上がるかもしれないが、

 強くなることはできないだろう。」


ぐぬっ!?


「素振りをスキル登録するやつもいる。

 型をなぞるのをスキル登録するやつもいる。

 もちろんスキルの熟練度を上げればそれなりに強いが、

 限界値が10倍と言うことは、

 素の能力が上がれば上がるほど効果があるということだ。

 常に身体を意識し、歪みをなくし、

 自身を向上させるために訓練をしている者との差は

 開く一方だな。

 ただの筋トレならいいかもしれないが、

 腕立て伏せ一回ごとに音声入力だ。

 うまく力が入らないだろう。効果も薄い。

 10倍になろうとスキル補正のおかげだから、

 身体にかかる負荷はかわらん。」


ですよねーーー!

楽して強くなるなんて裏技はないかぁ。

フレイさんは他にどんなスキルを登録しているの?


「ふむ。

 それを説明する前に魔法の仕組みを簡単に説明しよう。

 私のスキルスロットは大半が魔法で埋まっているからな。」


ま、魔法!

え、魔法とスキルって同じ枠なの?


「違うぞ。スキルを使わなくても魔法は使える。

 特に無詠唱を好む場合はスキルを使用することはできないからな。

 それと、大魔法もスキルでの発動はほぼ不可能だ。

 まぁ、理由は後で説明しよう。」

 

ふむん?


「魔法の仕組みは色々だが、属性魔法は単純だ。

 そうだな。お前は感覚派っぽいから・・・

 なんかこう、火の魔力っぽいものをにょろんと出してみろ。」


にょろんて。

失礼な、私は知的で理論派なインテリですよ?

にょろーん。


・・・なんか赤いのでた。

にょろにょろーーーーん!


「それが火の魔力だ。

 それをこう、私を真似て変化させてみろ。」


小さい〇の中に△?

・・・魔法陣、グル〇ル!?


「〇の大きさで威力、中の△は発火を意味する。

 意味のある記号は多く、それらを組み合わせれば

 複雑で強力な魔法になるわけだな。

 まぁ詳しい講義は学院でしよう。

 とりあえずその魔法陣の端を私に向かって伸ばしてみろ。」


にょろ~~~~ん!

おお、伸びる伸びる!


「この伸びた魔力が導火線の扱いだな。

 この状態で魔法を使えば、私のところで発火がおきるわけだ。

 やってみろ」


いいんだ。

まぁ、世界最強の魔法使いさんだし・・・

ていっ。燃えた。

あ、やっぱり効きませんかそうですか。


「うむ、上手く燃えたな。

 魔法陣を作り、発動地点まで線を伸ばし、発動する。

 これが魔法の手順だ。

 ちなみに魔力の糸が伸びるほど消費魔力は大きい。

 大きな魔法陣や複雑な魔法陣、

 また、発動地点が遠ければ遠いほど消費魔力は大きくなるわけだな。」

 

なるほど!

勉強が必要そうだね・・・つらい。


「そしてスキルとの関係だが。

 今の一連の動作を、スキルにできる。

 魔法陣を描く速度が最大で10倍になるわけだな。

 もちろん使用中は動けないというリスクがあるから、

 それを上手く使いこなすのが一流魔法使いの条件になる。

 それと、大魔法をスキルに出来ない理由だが・・・


 スキルの制限の1つに、

 声の届かない範囲までは効果が及ばないという制限がある。

 先程、どんな動作でも基本的にはスキルに出来ると言ったが、

 例えばハイジャンプであっても、

 効果が発動する足元にも届かないような小声では使用できない。

 そして、大魔法の魔法陣の一例だが・・・」

 

ふぁっ!?

急にフレイさんからあふれ出す大きすぎる魔力に

反射的にバックステップで距離をとる。

やばい、これはヤバイ。

魔法陣のことなんて知らないけど、本能レベルでヤバイ。

私、防ぐ手段とか何もないんですけど!?


「ああ、すまん。発動はしない。

 ただ、見ての通りの魔法陣の大きさでな。

 これでも極大魔法では小さいほうだが、

 このレベルになると魔法陣の大きさが軽く100mを超えてくる。

 構築に時間もかかるし、複雑ゆえにミスれば自爆もする。

 そう距離をとらず、むしろ発動前に潰すといいぞ。

 集中力を乱してもいい。


 まぁ、そんな理由でスキルで発動する為には、

 発声練習をしっかりしないと厳しいな。

 それでも構築に時間がかかる上に、

 その間は動けなくなるわけだ。

 そうなると、手間でも手動で構築しつつ、

 敵の攻撃を避けたりして完成させたほうが

 結局は使いやすいのだ。

 これが上手く扱えれば、魔法使いとしては超一流だな。」 


ほえー。なるほど・・・

つまり大きな魔法は即潰せ、と。


「ちなみに私は大魔法をいくつかと、

 使い勝手のいい雷系のスキルを多く登録している。

 弾速が速く、加減次第で殺生、非殺生も選択可能で

 斜線さえ確保できれば狭い場所でも関係ないからな。

 それに火や土と違い、二次被害も出ない。

 だが、それゆえに使用者も多く、

 対人ではほぼ対策がなされているため注意が必要だ。

 まぁこのへんも講義でだな。

 おいレオ、寝るな。

 貴様もいい加減に付与と強化系以外の魔法も覚えろ。」


「んぁ・・・?

 Zzzzzzz」


「・・・まぁいい。

 魔法を主体に戦う者は、

 他にも2重3重に魔法陣を展開する者もいるが、

 基本は全て同じだ。

 実際に学び、習熟するのは学院でやるだろう。


 ちなみにお前の関節を砕いたリンの『金剛』だが、

 あれは硬化魔法と耐魔結界、

 これを積層型の魔法陣にした上で8重に展開しつつ、

 全身の筋肉を限界まで硬直させているスキルだ。

 8重の硬化魔法に加え、10倍の硬さの腹筋を殴ったわけだな。


 スキルはこのように、魔法を発動させつつ

 同時に身体を動かす効果をつけることもできるのだ。

 全力でバックステップしながら魔法陣を作ったりな。


 スキルに登録する為には実際にやらねばならないから、

 かなりの特訓が必要になるぞ。

 慣れてくれば自分に合わせて自由に組み合わせると良い。」


・・・な、なるほど?


「スキルは強力だが、しかし戦闘では最大の隙にもなりうる。

 使用する際の注意点については学院で事細かに講義があるだろう。

 レオのように感覚だけで使用してる奴もいるが、

 理屈を知っておいて損はない。

 私からはとりあえず以上だな。」


はい!ありがとうございました先生っ!

ゴクゴク。ぷはー!

勉強したからお茶が美味しいね!

エイアお姉さん、お茶おかわりですっ!


スキルとか魔法とか、難しいね!

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