十七幕:ハプニングとは、何事にも憑きものです
怪盗
『主さま』を姉さんと呼ぶ少年。フランス出身らしいと自らのことを言っており、怪盗ということにプライドを持っている。
現在、ルパンを名乗る怪盗が出没しており、国際手配されている。これと関連があると思われる。
前回のあらすじ
チャラ男が襲ってきたよ
ハハッ♪
雨宮の腕の見せ所だね☆ガンバッ
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「行くぜっ 炎の槍」
空中に浮かび上がった炎の槍たちが、四方から拓都とトールを襲う。その数、優に50本は超える。炎の槍は炎の矢の上位魔法だ。それをここまで出せるとは、チャラ男の実力は、意外や意外。かなり高かったようだ。人は見かけによらない、と感じさせる。
まあそれ以前に、槍は槍として使ってやれよ、とも思うかもしれないが、この使い方は実力者の中では一般的だ。ぶっちゃけ自分が武器として持つ槍だったら、自分の魔力で形成した物より、神器の方が使い勝手がいいというのも理由の一つである。ただ、初心者はこれの操作が難しい上、自分の魔力で出した炎で自分にダメージが来ることもあるので、この術を使うことは推奨されない。
「水神霊災符 急急如律令」
あっさり迎撃する拓都。拓都の実力が高いのか、チャラ男がチャラいからなのか。難しい問題だ。
その間にも、炎剣を取り出して、チャラ男は襲ってくる。炎以外のレパートリーは無いのか。
そして拓都も、剣を出す……わけがない。わざわざ相手に合わせてやる必要などないのだから。
式神を出して対抗している。
少しばかり話は逸れるが。魔法の難易度の順は、まず普通に詠唱するのが最も簡単である。まあ、クソ長いが。次に、短縮詠唱。そのまんま、詠唱が短くても発動できることだ。その次が詠唱破棄。これは、魔法の名称を言うだけで魔法が使える。そして、最後が……無詠唱。何も言わずに魔法が使える、最高難易度のモノだ。
さて、チャラ男は詠唱破棄をした。これも充分、年の割にはすごいことなのだが……その次に無言で出した炎剣。これも魔法だ。すなわち、チャラ男は無詠唱も使える。
無詠唱が使えるのに、詠唱破棄で出した。要するに、小手調べに過ぎなかったのだ、始めのやり取りは。
つまり何が言いたいのかと言えば……
チャラ男が雷を出したら拓都は土遁を使う。拓都が式神を出したらチャラ男は使い魔を出す。何処までも堂々巡りで、中々決定打に欠けていた。
ちなみにトールはというと、執事の技『空気になる』を使って、上手く難を逃れていた。
(……お2人とも実力が高いですね。流石、上級生の方と、あの雨宮様のご子息様、といったところでしょうか)
「従魔召喚」
チャラ男がまたも使い魔を召喚した。……悪魔。それも、高位のモノだとすぐにわかるオーラを放っていた。
流石に拓都も、符をかまえて警戒する。
悪魔は飛んだ。トールでも目で追うのが難しいスピードで。そして……
『おにゃの子のおパンツ』
上の階から観戦していた土御門瑞稀と無敵湊の両名のスカートをめくった。
……………
沈黙が訪れた。
ちなみに瑞稀のスカートは丈が長すぎて、そこまでめくれなかった、とだけ伝えておこう。湊のパンツが可愛らしいキャラものだったとかは、その場にいたモノたちの胸にそっとしまわれたに違いない。
「こ、」
「こ?」
「殺す殺す殺す殺すーーーーーー」
赤面している湊を微笑ましく見ている外野。
一方、殺すと言われたエロ悪魔の方は……
『おにゃの子のパンツ』
本人の意図はともかく、結果的に全力で煽っていた。所詮悪魔、されど悪魔である。
「封」
チャラ男は流石に言い過ぎだと思ったのか、そろそろ収集がつかなくなると思ったのか。とりあえず悪魔を引っ込めた。
「悪い悪い あ、んで、雨宮は合格 生徒会に推薦してやんよ ブリューゲルの方も、ヒッキー判断では風紀委員合格 おめでとー」
風紀委員。校内での風紀委員の呼び名であり、現中等部風紀委員長はこれをもじってレー屑と呼ばれることもある。また、親しい間柄ではヒッキーという愛称も存在する。要するにただの引きこもりである。
生徒会長の方では特別な呼び名はない。というのも、生徒会の面々には、ほとんどの場合、二つ名がつけられる。なので、生徒会役員は二つ名で呼ばれるのが一般的だ。例えば、皇帝、というように。
まあつまり、どうやら入寮試験ではあったものの、彼らの適正判断もしていたらしい。流石にチャラ男も見境なく闘いを挑むほど、馬鹿ではなかったようだ。
「僕は元から生徒会に入りたかったから……よろしくお願いします、先輩」
「失礼ながら自分は……」
「どこに入るか決めてないってことっしょ まあ、生徒会だったら不合格だし 風紀委員入んだったら歓迎ってトコ」
生徒会とは、全校生徒の憧れ。基本的に裏方に徹するトールはそれに不向き、と感じたようだ。まあ、闘ってくれなかった報復も含んでいるのかもしれない。
(まあ、風紀委員ならば好都合ですね)
「……風紀委員に志願させていただきます」
「オッケー じゃ、ヒッキーに連絡しとく あ、部屋はそこの変態執事に聞いて ついでにブリューゲル、機会があったら闘おうな」
随分とあっさりと決まった役職。
「前向きに検討させていただきます」
……政治家がいかにも言いそうなセリフと共に、優雅に一礼したトール。彼はただ、思った……
(変態とは、クロウ兄上の様な方ではないですよね……?)
いつの間にか傍にいた、リチャード・セシル。トールは彼の人間性を疑った。
(もし兄上のような方でしたら……距離を置きましょう。
間違えて、殺してしまうかもしれませんし、ね。)
「しかし……この生徒会四天王、炎剣の担い手に逆らうとはな……」
思いっきりかっこつけたポーズに、中2臭い台詞。
ヒューと、なんとも言えない風が吹く。すでにその場にはチャラ男、ただ一人であった。
泣きそうになったチャラ男が見た上階。勿論、誰の姿もそこには無かった。
活動報告に一日遅れのバレンタインssをアップしました。よろしければ ご覧下さい。




