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巫女姫と魔法の暗殺人形(仮)  作者: 榊 唯月
桜舞う季節
42/50

十七幕:ハプニングとは、何事にも憑きものです

怪盗

『主さま』を姉さんと呼ぶ少年。フランス出身らしいと自らのことを言っており、怪盗ということにプライドを持っている。

現在、ルパンを名乗る怪盗が出没しており、国際手配されている。これと関連があると思われる。

 前回のあらすじ


 チャラ男が襲ってきたよ

 ハハッ♪

 雨宮の腕の見せ所だね☆ガンバッ




 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




「行くぜっ 炎の槍(ファイヤーランス)


 空中に浮かび上がった炎の槍たちが、四方から拓都とトールを襲う。その数、優に50本は超える。炎の槍(ファイヤーランス)炎の矢(ファイヤーアロー)の上位魔法だ。それをここまで出せるとは、チャラ男の実力は、意外や意外。かなり高かったようだ。人は見かけによらない、と感じさせる。


 まあそれ以前に、槍は槍として使ってやれよ、とも思うかもしれないが、この使い方は実力者の中では一般的だ。ぶっちゃけ自分が武器として持つ槍だったら、自分の魔力で形成した物より、神器の方が使い勝手がいいというのも理由の一つである。ただ、初心者はこれの操作が難しい上、自分の魔力で出した炎で自分にダメージが来ることもあるので、この術を使うことは推奨されない。


「水神霊災符 急急如律令きゅうきゅうにょりつりょう


 あっさり迎撃する拓都。拓都の実力が高いのか、チャラ男がチャラいからなのか。難しい問題だ。


 その間にも、炎剣を取り出して、チャラ男は襲ってくる。炎以外のレパートリーは無いのか。


 そして拓都も、剣を出す……わけがない。わざわざ相手に合わせてやる必要などないのだから。


 式神を出して対抗している。


 少しばかり話は逸れるが。魔法の難易度の順は、まず普通に詠唱するのが最も簡単である。まあ、クソ長いが。次に、短縮詠唱。そのまんま、詠唱が短くても発動できることだ。その次が詠唱破棄。これは、魔法の名称を言うだけで魔法が使える。そして、最後が……無詠唱。何も言わずに魔法が使える、最高難易度のモノだ。


 さて、チャラ男は詠唱破棄をした。これも充分、年の割にはすごいことなのだが……その次に無言で出した炎剣。これも魔法だ。すなわち、チャラ男は無詠唱も使える。


 無詠唱が使えるのに、詠唱破棄で出した。要するに、小手調べに過ぎなかったのだ、始めのやり取りは。



 つまり何が言いたいのかと言えば……


 チャラ男が雷を出したら拓都は土遁を使う。拓都が式神を出したらチャラ男は使い魔を出す。何処までも堂々巡りで、中々決定打に欠けていた。


 ちなみにトールはというと、執事の(スキル)『空気になる』を使って、上手く難を逃れていた。


(……お2人とも実力が高いですね。流石、上級生の方と、あの雨宮様のご子息様、といったところでしょうか)


従魔召喚(インウォカーティオー)


 チャラ男がまたも使い魔を召喚した。……悪魔。それも、高位のモノだとすぐにわかるオーラを放っていた。


 流石に拓都も、符をかまえて警戒する。


 悪魔は飛んだ。トールでも目で追うのが難しいスピードで。そして……


『おにゃの子のおパンツ』


 上の階から観戦していた土御門瑞稀と無敵湊の両名のスカートをめくった。


 ……………


 沈黙が訪れた。


 ちなみに瑞稀のスカートは丈が長すぎて、そこまでめくれなかった、とだけ伝えておこう。湊のパンツが可愛らしいキャラものだったとかは、その場にいたモノたちの胸にそっとしまわれたに違いない。


「こ、」


「こ?」


「殺す殺す殺す殺すーーーーーー」


 赤面している湊を微笑ましく見ている外野。


 一方、殺すと言われたエロ悪魔の方は……


『おにゃの子のパンツ』


 本人の意図はともかく、結果的に全力で煽っていた。所詮悪魔、されど悪魔である。


(ケーラ)


 チャラ男は流石に言い過ぎだと思ったのか、そろそろ収集がつかなくなると思ったのか。とりあえず悪魔を引っ込めた。


「悪い悪い あ、んで、雨宮は合格 生徒会(カノナス)に推薦してやんよ ブリューゲルの方も、ヒッキー(風紀委員長)判断では風紀委員(レークス)合格 おめでとー」


 風紀委員(レークス)。校内での風紀委員の呼び名であり、現中等部風紀委員長はこれをもじってレー(クズ)と呼ばれることもある。また、親しい間柄ではヒッキーという愛称も存在する。要するにただの引きこもりである。


 生徒会長の方では特別な呼び名はない。というのも、生徒会(カノナス)の面々には、ほとんどの場合、二つ名(エイリアス)がつけられる。なので、生徒会役員は二つ名(エイリアス)で呼ばれるのが一般的だ。例えば、皇帝(エンペラー)、というように。


 まあつまり、どうやら入寮試験(テスト)ではあったものの、彼らの適正判断もしていたらしい。流石にチャラ男も見境なく闘いを挑むほど、馬鹿ではなかったようだ。


「僕は元から生徒会(カノナス)に入りたかったから……よろしくお願いします、先輩」


「失礼ながら自分は……」


「どこに入るか決めてないってことっしょ まあ、生徒会(カノナス)だったら不合格だし 風紀委員(レークス)入んだったら歓迎ってトコ」


 生徒会(カノナス)とは、全校生徒の憧れ。基本的に裏方に徹するトールはそれに不向き、と感じたようだ。まあ、闘ってくれなかった報復(腹いせ)も含んでいるのかもしれない。


(まあ、風紀委員ならば好都合ですね)


「……風紀委員(レークス)に志願させていただきます」


「オッケー じゃ、ヒッキーに連絡しとく あ、部屋はそこの変態執事に聞いて ついでにブリューゲル、機会があったら闘おうな」


 随分とあっさりと決まった役職。


「前向きに検討させていただきます」


 ……政治家がいかにも言いそうなセリフと共に、優雅に一礼したトール。彼はただ、思った……


(変態とは、クロウ兄上の様な方ではないですよね……?)


 いつの間にか傍にいた、リチャード・セシル。トールは彼の人間性を疑った。


(もし兄上のような方でしたら……距離を置きましょう。


間違えて、殺してしまうかもしれませんし、ね。)







「しかし……この生徒会(カノナス)四天王、炎剣の担い手フランマ・グラディウスに逆らうとはな……」


 思いっきりかっこつけたポーズに、中2臭い台詞。


 ヒューと、なんとも言えない風が吹く。すでにその場にはチャラ男、ただ一人であった。


 泣きそうになったチャラ男が見た上階。勿論、誰の姿もそこには無かった。











活動報告に一日遅れのバレンタインssをアップしました。よろしければ ご覧下さい。

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