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巫女姫と魔法の暗殺人形(仮)  作者: 榊 唯月
桜舞う季節
41/50

舞台袖:とある少女の明暗 パート2(演者・・・無敵湊)

チャラ男

とにかくチャラい男。アクセサリーをジャラジャラ付けている。戦闘好き(バトルジャンキー)で、見境なく戦いをいどむ。

実は生徒会役員(カノナス)の一人で二つ名(エイリアス)(フランマ•)グラディウス

 




 無敵とは

 非常に強くて敵対するものがないこと。対抗できるものがないこと。また、そのさまである。





 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




 1年C組。とりあえず早めに来てみたけど、どうやら多分、彼女はまだ来ていないらしい。いやどうして多分がつくんだよ、と言うことなかれ。私は彼女の顔を……いや、彼女を形成するほぼすべてを()()()()()()()()。唯一覚えているのは……圧倒的なまでの、黒。深い闇。深淵。それだけだった。実に不思議なことである。が、彼女だったら当然だ、とも思う。


 さて。長々と語ったが、もう暇なので、人間観察でもしようと思う。(話は変わるが、私は彼女が人間かを疑っている。だってあまりに………まあこの先は、言うのを控えておこう。)教室内にはまばらに人はいた。こんなに早い時間に来る人は、真面目な人ばかりなのだろう。(知っての通り、私は勿論例外である。)席について読書をしているか、目をつむっている(寝ているのか、それとも瞑想しているのか。私には判断がつかない)人ばかりだ。


 ……出席番号順にしては、男女が別れていないのがおかしいな、と私は思っていたのだが。前にはデデーンと自由席の文字。キョロキョロしていた私はきっと奇異の目で見られているのだろう。思わず顔に熱が集中してしまう。


 彼女はどの席を選ぶだろうか。当社比5倍程度(計算は適当)には高速回転している頭で考える。…………窓側。1番後ろの席、はもう誰か座っている。その前の席、にしようかとも思った、けど。だけれど。だがしかし。あの人、怖い。どこか、ヤバイ。私程度では、言葉で表すことは出来ないけど……いて言うなら、彼女寄り。関わらない方が、いい。


 だとしたら、どこがいいか。


 ……背に腹は代えられない。色々と考えた末(と言っても数秒だけである)窓側、後ろから3番め。つまりは、私的要注意人物の前の前、にした。


 要注意人物は静かに読書をしていた。……しかし私は生憎だが本など持ってきていないのである。どうするか。考えがぐるぐると頭の中で回る。


 ………よし、目をつむっているふりをして、人間観察を続けよう!


 あくまでチキンな私は目をあけて、堂々と人々をジロジロ見る、なんて真似は到底できなかったのだ。





 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 どのくらい時間が経っただろうか。(少なくとも、私の後ろと横の席は埋まったらしい。)


 くるぶしまでの長さのスカート、袖口はフワリと広がっていて(所詮萌え袖っぽくなっている)、長そうな黒髪(後ろできっちりまとめているので正確な長さは不明だ)、眼鏡をかけた、いかにも気が弱いお嬢様、という様子の少女と、男子にしては長い銀髪、目に包帯をぐるぐる巻いた(このくらいの格好は、ここ(凰璃学園)では普通なことは、もう学習済みである)少年が一緒に入って来た。お嬢様と執事とも見えるその二人組に……私は雷に打たれたかの様な(静電気くらいしか経験ないが)衝撃を受けた。


 彼女だ。印象がガラリと変わっているが……彼女だ。


 彼女は私の斜め後ろ(といっても結構遠い)に座った。(銀髪包帯が椅子引きをしていた。私もできるようにした方が良いのだろうか)


 後ろなので、ガン見は出来ないし、チラチラ見ても不審人物だ。


 私は後で話しかけることを決意し、ひとまず目を閉じた。






 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇







 HRに自己紹介、そしてガイダンスというものをぼーっとして過ごした私は、この後どうしようか悩んでいた。


 自己紹介で彼女は土御門瑞稀と名乗っていたし、同一人物ということは疑いようがなかった。(偽名や変装という可能性はあるが。)ただ、彼女は、何故か教師に呼ばれ、居残りを命じられたようなのだ。


 それを待っているか、それとも帰るか。


 悩んだ末、結論。待っていよう、と私は思った。


 できることはその日の内に済ませておこう、という大した根拠のないものだった。が、まあ、人の判断基準なんてそんなものだろう。




 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆





「土御門瑞稀さん」


 そして私は無事、彼女と話すことができた。できたのだが……


「………はい」


「ん? 土御門に何か用か?」


「高貴殿! 土御門殿に謝罪されよ!!!」


「悪かったな、土御門。で、土御門に何の用なんだ?」


 正直に言おう。目の前の展開について行けない。ついでに言うと、言い争ってる?赤髪の方の周りが熱くなってきた。残念ながら心理上のものでなく、普通に。これはマズイ。


 慌てて赤髪熱血漢から離れる。


 という訳で、私はポカーンとこのやり取りを見つめつつ、空気になるしかすべはなかった。はやく彼女と話したいんだけど……心底そう思うものの勿論、小心者の私にはそんなことを言うことなんぞできないのである。


 見ると、彼女と一緒に教室に入っていた銀髪も同じく空気になっていた。しかし銀髪が空気になっているのは、私とは違う。言うなれば、執事が主人を影から見守る空気感だ。こやつ……できる!


 さて、冗談及び現実逃避はさておき、そろそろこの紫髪の問いかけにこたえなくてはいけないんだろう。はぁ、憂鬱(ゆううつ)だ。


「あ、えっと……」


 しかしなんと言えばいいかわからない。


 と、私があたふたしている内に、別の人達が来た。


「瑞稀様!」


「さっきぶり、瑞稀」


 私の記憶が正しければ確か新入生代表だった人と、いかにも日本美人な人がやって来た。……人、多過ぎるだろ。そろそろ私はキャパオーバーだ。


 しかしグッドタイミング。おかげさまで人々の注意は私からそれた。


「雨宮に野澤か」


 そして同時に、また空気と化したけれども。うん、下手に注目されるよりはいい……と思いたい。


「野澤殿に雨宮殿! もしや土御門殿の護衛に?」


「そうだよ、火野君。まあ、凰璃学園なら大丈夫だと思うけどね。本家からの命令だから」


 護衛。そんな事が普通に言われるレベルで、彼女はお金持ちらしい。まあ納得。彼女に貧困など似合わない、と思う。


「拓都! 口を慎つつしみなさい。では、火野様、紫堂様、ごきげんよう。さ、瑞稀様、行きましょう」


 いや、行くなよ。そうは思うものの、人に盾突くだなんて私にはできない。


「よろしければ、土御門様は私がお送り致しましょうか? そちらの無敵様は、何やら土御門様に用があるご様子ですし」


 銀髪は私の存在を忘れないでくれていたようだ。ありがとう。心の底から感謝を述べるよ……どうせこの表情筋は仕事してないだろうが。


「ごめんね、ブリューゲル君。基本的に、護衛はできる限り護衛対象から離れてはダメなんだ」


 へー、そうなんだー。ひどくどうでもいい。それより早く話を終わらせて欲しい、と思う。


「……どうでもいいが、俺様は先に行くぞ」


「そうだな!!!! 己も鍛錬たんれんをしたい!!! なので、悪いが先に帰らせてもらう!!!!」


 マイペースというか自己中というか。赤髪と紫髪は去っていった……


 人が少なくなり、思わずホッとする。


「……無敵、さん、話、ある、なら、部屋で、聞、きます。今日、寮、移動、承認、もらった、ので、星雲寮、で」


 彼女からそうお言葉をいただく。勿論、異論などない。では、いざ、星雲寮へ。……そう、思ったけれど


「瑞稀様! そんなこと一度もお話になられてませんでしたが……」


「ああ、本家的にはセキュリティの高い寮の方がよかったらしくて、何処か他の寮に移れ、と言われたのは聞いてるよ。僕の方は話されはしたね」


 ……私は一体全体どれくらい待てばいいのだろう? ここまで放置されると流石にみじめになってくる。今回、やっと帰れると思った後だから尚更(なおさら)


「……詳しい、話、は、(土御門本家)に、聞いて。とり、あえ、ず、今日、から、私、は、星雲寮、の、一人部屋、使う、ことに、なった」


「………………わかりました。でも、寮への送り迎えはさせてもらいます!」


「話がまとまったね。じゃ、行こっか」


「無敵、さん、待た、せて、すみ、ま、せん」


「いえ、大丈夫ですよ」


 そう言うしかないだろうに、この流れでは。





 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇





「この、門、寮生、以外、はじく」


 彼女のその一言によって、3人はひとまず諦めたらしい。全員綺麗な礼を見せると、スタスタと去っていった。


 彼女とようやく二人きりになれた。それはいい事なのだが……寮生でない私が何故はじかれない?


 その疑問が脳内を埋め尽くした。


「お帰りなさいませ」


 ドアを開けると、執事。(本物だろうか?)いや、言い直そう。いかにも執事です、といった人だった。まあ、執事服を着てるし。


「ん」


 彼女は執事さんに(かばん)を渡した。……とても優雅な動きだった。そして……


 いきなり私達の目の前に倒れてきた執事さんを、あっさり踏んで行った。


 ……ん!?


「ああ、主様! 流石、最高の踏み加減でいらっしゃいます!!」


 ……ハァハァと(床に倒れたまま)興奮している執事さん。いや、さん付けしなくていいか。そんな執事から慌てて距離をとる。……当然の反応だろう。


 疑問だなんて頭から吹き飛んだ。


「しかし出来れば、そのお履物の底のゴミを取るために私めの背中をグリグリと痛めつけ、つゴミを見る目で『貴方もゴミなのだから、それがお似合いよね』とか言っていただけると更にっっっっ!!!」


 …………


 どう反応したらいいものか。と、彼女の方を見ると、スタスタ先に行っていた。


 慌てて追いかける。


「えっと……」


 彼女に話しかけようと思ったものの、よく考えれば何と呼べばいいのかわからない。


「ノンブレ・ノーメン・オノマ」


「はい?」


 不思議な響き。それは歌うように、唱えられた。……どういう意味だろう?


「『無敵湊』の寮生登録はした。名は好きに呼べばいい。後はソレに聞け」


「それってひでー ってか寮生増えんのかー そろそろ引きこもり追い出していんじゃね? そう思わね?」


 唐突に話しかけられ、(しかも男であるし)いささか戸惑う。


 ……いつからそこにいたのか。全然わからなかった。


 耳にずらーっと付けたピアス。指にはゴテゴテのリングがびっしりと。首元にはジャラジャラとネックレスが大量にある。チャラい人とはどういう人か、街頭アンケートをとったら間違いなく真っ先に浮かぶような人だ。


 あと、引きこもりって誰だよ。ぶっちゃけ、知るか!


「え、あ、はぁ……」


「あ、名乗ってねーか 俺は………そういやー、名乗るほどの名前なんて持ち合わせてねーんだ 悪ぃ悪ぃ」


 だったら名乗ろうとするなよ! とは言えない小市民な私だ。


「はぁ。まったく貴方は。主様に与えられた仕事をしっかりとこなしなさい」


「うっせーな、マゾが」


 バキッと殴られた(かなり痛そうだ)音がし、メキメキとナニカが壁にめり込む。……勿論執事だ。下手人はチャラ男。


 流石に大丈夫か、と心配になる。


「大丈「やはり貴方の攻撃はイマイチですよ」


 あっさりと壁から無傷で出てくる執事。


 ……私の心配を返せ。利子付きで。


「ちっ やっぱキモいな、テメエ」


「はいはい。言葉責めならもっと興奮できるものをお願い致します。それより……」


「はいはい 仕事は押し付ける~ 闘争の予感がすんで んじゃー」


 いや、だったら何しに来たんだよ! それと、フラグ建てて行くな!!


 ………疲れた。



「はぁ……いいのですか?」


 何が、だ、ろうか


「今だったら、まだ戻れますよ。

 平凡(愚鈍)な日々に」


 何を、言いたい、の、だろうか


「貴方は……貴方の境遇は不幸ですが、()()()()()ありません」


 結局、この二人が名乗らなかったのも


 彼女が『名は好きに呼べ』と言ったのも


 単純に……


「玩具にしかなれないと思いますけど……」


 忠告。警告。試験。


 後戻りが、出来るように。


 けれど……私はーーーーー


「そ『ピンポーン』


 ……シリアスな場面に不似合いなチャイム音。




 沈黙が訪れる。






何方(どなた)かがいらっしゃったようですね。




 ……ご心配なく。貴方は()()です」



 合格


 まさか、GO!!Kaku!!と言ったわけではあるまい。


 つまるところ……私は、彼女の傍にいる資格を得た、ということなのか。


 思わず顔がほころぶ。表情筋が動くのは何年ぶりだろう。


「貴方の生徒証端末にルームキー機能は送っておきました。


 ……それでは」


 ふっと消えたマゾ執事。(悪口ではない。客観的な意見だ。)おそらく転移とかそんなものだろう。






 私は、確実に道を歩いている。


 確かさなんて無い道を


 死と隣り合わせの道を


 てしなく長い道を


 一歩間違えればすぐにゲームオーバーとなる道を


 暗闇の中を



 歩いて、いるんだ。








深淵(彼女)への道を









遅くなりました。


活動報告にも書きましたが、ほぼ全話に簡単な人物紹介を載せたので、よろしければご覧下さい。



ここから一週間程度、忙しいので更新がない確率が非常に高いです。申し訳ありません。

それ以降は割合、平気だと思われます。

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