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巫女姫と魔法の暗殺人形(仮)  作者: 榊 唯月
桜舞う季節
35/50

十五幕:一般生徒の部活勧誘はもっと遅くに行われます(演者・・・トール•ブリューゲル)

火野輝明てるあき

日比野誠の親戚。同じ熱血系と思われることが多い。

「単刀直入に言おう。お前らに生徒会と風紀委員の勧誘が来ている」




 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




「ただ、生徒会役員は原則として1学年に2人までしか認められていないため、定員以上となった場合は役員になれない生徒もいる、ということは言っておく」


 それは困りましたね……もし土御門様が生徒会役員を希望された場合は、工作が少々(わずら)わしくなりそうです。


「生徒会役員……美しい俺様にふさわしい役職だ」


 紫堂様は生徒会役員を希望されるのですか。これは……土御門様が生徒会役員を希望されない事を祈るのみですね。勿論、自分と土御門様以外の生徒会役員志願者をすべて殺す、洗脳する、おどすといった手段もあることにはあるのですが、この警戒されている時にやろうものなら即グレー(警戒すべき人物)からクロ(確実に裏世界の人間)になってしまうでしょう。


「赤井教諭! おのれは日比谷誠殿(どの)が委員長をつとめる祭事委員会に所属する腹積はらづもりであります!!! よって、残念ながら生徒会や風紀委員には所属は不可能であります!!!!」


 日比谷様は三年生なので、来年はご卒業されますから、火野様は来年度の祭事委員会委員長職をなされるのでしょうか。まあ、あくまでも予想にすぎませんが。


「紫堂は生徒会で、火野は祭事委員会か。土御門とブリューゲルはどうなんだ?」


 土御門様は、どうなされるのでしょうか。今までの土御門様の言動から推測すると、どちらにも入らない、という可能性が1番高いのですが……


「これ、で、お願、い、します」


 土御門様はおそらく志願の届出をお出しになるのに、生徒証端末をご使用になられたのでしょう。手を軽く動かしていらっしゃいました。何かのとどけをお出しになられた、ということは、生徒会か風紀委員にご志願なられたということです。……どちらなのでしょうか。


「ああ、確かに受け取った。ブリューゲルは?」


 土御門様がどちらをお選びになられたかは不明です。ここは、まだ答を出さない方がいいでしょう。


「……少々、考える時間をいただいてもよろしいでしょうか?」


「構わん。本来、もっと悩むものだしな。むしろ5人中4人が即決したこのクラスが異常だろう。特に期日はないから、ゆっくりと考えろ。ただ、生徒会役員枠は埋まったら終わりだ」


 風紀委員には定数はございませんから、いつ入ってもよいのでしょう。それに、生徒会も一年生は、この年度内に2人以内が入ればいいという結構アバウトな基準でした。なので生徒会にどうしても入りたい、という熱意のある生徒以外は、例年、もう少しお考えになられてから返答したからこそのお言葉かと思われます。


 5人、というのは、あとローゼン様もやはりこの中に入る予定だったのでしょう。ただ、先に返答、おそらくお断りなされていたと考えられますね。


「承知いたしました」


「それと紫堂は、生徒証端末に生徒会役員志願届のデータを入れておいたから、必要事項を書いて送ってくれ」


「了解だ」


「では、話は終わりだ。帰っていいぞ」


「赤井教諭! お仕事ご苦労様であります!!!! これにて失礼するであります!!!」


「………礼を言う」


「あり、がとう、ござ、い、ました」


「ご指導、誠に感謝しております。それでは、失礼させていただきます」






 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆





「しかし久しいな、土御門」


 教室を出ると、紫堂様が土御門様に、親しげに話しかけてこられました。


「そうだな!! 高貴殿とはちょくちょく会っていたけれど、土御門殿とは長く会っていないな!!!!!」


「はい、お久、し、ぶり、です」


「御三方はお知り合いでございますか?」


 やはり同じ高貴な家柄の歳同じ方々、ということでお会いになられることが多いのですね。


「ああ!!!!」


「俺様たちは日本がほこる名家の同年代だからな。引き合わせようという魂胆こんたんがあったのだろう」


「そうですか……羨ましいですね、仲がよろしいとは」


 そんな思惑があっても、仲睦なかむつまじい様子の御三方は素晴らしいですね。自分には出来ない事です。心做こころなしか、土御門様もいつもより明るいご様子でいらっしゃいますし。


「己らは皆、朋友ほうゆうだからな!!!! ところで土御門殿、貴殿はどこに入るんだ?」


「風紀、委、員、です」


 火野様、自分がお聞きしたかったことをおっしゃってくださり、ありがとうございます。しかし、風紀委員ですか。これは自分にとって都合がいいですね。元から権力の強い生徒会か風紀委員会に入ろうと思っていましたし、定員のなく、生徒会ほどは目立たない風紀委員になれるのは僥倖ぎょうこうです。


「お前がか。珍しいな。てっきり図書委員でもやるかと思った」


 それは言外に少々土御門様を小馬鹿こばかにした言い方だ、と火野様は感じられたのでしょう。


「高貴殿! その言い方は失礼にあたるぞ!!!!」


「俺様は美しい。故に、何を言おうが許される」


 ……紫堂様は、ギリシャ神話のナルキッソスのようなご思考をお持ちのようです。


 これは長い論争と申しますか、言い争いになりそうですね、と思っていたのですが……流石に女子生徒の前で口論されるのははばかられると思われたのでしょう。お2人とも土御門様をちらっとご覧になって、ひとまずはお静かになられました。




「土御門瑞稀さん」


 静寂せいじゃくを破るかのように、1つの声がしました。


 先程から気配がしていたのですがどなたでしょう、と思っていたのですが……クラスメイトの方である、無敵むてきかなえ様ですね。女子生徒の方々の中でもお静かな方だったと記憶しております。


「………はい」


「ん? 土御門に何か用か?」


 さらっと何事もなかったかのような紫堂様のお姿をご覧になり、またその怒りが再燃されたのでしょうか。火野様は噴火前の火山のようにプルプルと震えていらっしゃいました。


「高貴殿! 土御門殿に謝罪されよ!!!」


「悪かったな、土御門。で、土御門に何の用なんだ?」


 とてもあっさりとした謝罪でしたが、確かに謝罪は謝罪ということで、火野様も何も言えない様子です。


「あ、えっと……」


 元々人と話すのがあまり得意ではないご様子の無敵様が、このまま土御門様と話していいのだろうか、とお悩みになられていました。それも当然かと思われます。火野様の怒りの炎は明らか、と申しますより、もうすでに火野様の周りは熱くなっておりました。強い感情による魔力の暴走でしょうか。


「瑞稀様!」


「さっきぶり、瑞稀」


 A組の方からお2人、いらっしゃったのは雨宮様と野澤様でした。お2人にも勧誘があったのでしょう。特に、雨宮様は新入生代表をお務めになられましたし。


「雨宮に野澤か」


「野澤殿に雨宮殿! もしや土御門殿の護衛に?」


 知り合いが現れたことに冷静になったのか、それとももうお怒りになられてないのか、火野様は平常通りになられたように見受けられます。熱しやすく冷めやすい性格のご様子です。


「そうだよ、火野君。まあ、凰璃学園なら大丈夫だと思うけどね。本家からの命令だから」


 本家の命令。なるほど、お2人は土御門様本人につかえていらっしゃるのではなく、土御門家に仕えていらっしゃるのですね。これは有事の際、役に立つかと思われる情報です。お2人は土御門様に何か災難が起ころうとも、土御門家から命令が下されればそちらを優先せざるを得ない、ということですから。


「拓都! 口をつつしみなさい。では、火野様、紫堂様、ごきげんよう。さ、瑞稀様、行きましょう」


 おそらく、自分と、見覚えのない無敵様を警戒してのことなのでしょう。野澤様は早口でそうおっしゃられました。


「よろしければ、土御門様は私がお送り致しましょうか? そちらの無敵様は、何やら土御門様に用があるご様子ですし」


「ごめんね、ブリューゲル君。基本的に、護衛はできる限り護衛対象から離れてはダメなんだ」


 無理だとは思っていましたが、やはり断られてしまいましたか。しかし、ここまでお帰りになる機会があったのにも関わらず、お残りになられている無敵様は、土御門様に何の御用があるのでしょうか。


 流石に初対面ではないと思われますが、無敵、という名家はうかがった記憶がありませんので昔からのお知り合い、との可能性は低いと思われます。となると早くとも春休み中、遅ければ先日に知り合われたのでしょう。そこまで仲の良いご様子でもありませんし。


 ……しかし、お2人はどこか似通っていらっしゃる印象を受けます。どことなく、ですが。お2人は友人、というものでしょうか。自分にはわからないモノですが。


「……どうでもいいが、俺様は先に行くぞ」


「そうだな!!!! 己も鍛錬たんれんをしたい!!! なので、悪いが先に帰らせてもらう!!!!」


 ……何処までもマイペースと申しますか、我が道を行く方々でした。術を使われたのでしょう。迅速にお帰りになられました。



「……無敵、さん、話、ある、なら、部屋で、聞、きます。今日、寮、移動、承認、もらった、ので、星雲寮、で」


 寮の移動には確か担任の教員の方と同室の方の承認が必要でしたから、おそらくは風紀委員の志願届を提出された際に一緒に赤井様に承認をいただいたのでしょう。思っていたより早かったですね。星雲寮、ですか。後で入寮試験について調べておきましょう。自分も入らなくてはなりませんから。


「瑞稀様! そんなこと一度もお話になられてませんでしたが……」


「ああ、本家的にはセキュリティの高い寮の方がよかったらしくて、何処か他の寮に移れ、と言われたのは聞いてるよ。僕の方は話されはしたね」


 移れ、と命令形でのお言葉になっているのは単に雨宮様がそうおっしゃってらっしゃるだけなのか、それとも土御門様に対しての本家の方々の態度を表しているのか。気にはなりますね。


 しかし……同室の方の承認より、土御門家の要請ようせいの方が優先されるべき事柄だったのでしょう。何も伝えられていらっしゃらなかった野澤様はお気の毒でとしか言いようがありません。


「……詳しい、話、は、(土御門本家)に、聞いて。とり、あえ、ず、今日、から、私、は、星雲寮、の、一人部屋、使う、ことに、なった」


「………………わかりました。でも、寮への送り迎えはさせてもらいます!」


「話がまとまったね。じゃ、行こっか」


「無敵、さん、待た、せて、すみ、ま、せん」


「いえ、大丈夫ですよ」


 ……こう言ってはいけないのでしょうが、寮への転移を使えばよろしかったのではないでしょうか。いえ、使える方がいらっしゃらないのでしょうか。やはり、練習にさえ命の危険をともなう危険な術ですし。


 ……東洋で使われている、転移符を使ったりしてもよろしかったかと。



 まあともかくは、皆様と共に星雲寮へ向かうとしましょう。








たいして話が進んでいませんね。すみません。時間が飛ぶところは結構飛ぶ予定です。

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