四幕:Let's party(演者・・・トール•ブリューゲル)
賀茂智憲
中等部生徒会長。陰陽師の御三家とも言われる賀茂家の長男。
魔法銃の弾は瑞稀の体を貫かんとした。否、しかし、護衛とは、主を守るから護衛なのである。つまり、何が言いたいのかというと……ステージ上に居る護衛、雨宮拓都がそれを防いだ、それだけのことである。
拓都はただ、演説が終わる前には少なくとも暗殺者に気づいていて、だから、護衛対象に防御の術をかけた。と同時に、暗殺者に拘束の術をかけた。こちらが気づいていることを悟らせないために打たれる直前に。それだけである。まあ、護衛と言うからにはそうしないと給料泥棒であろうが。
トールは、結局土御門様は暗殺に気づきませんでしたねと少々がっかりしていた。同時に、雨宮拓都の評価を上げていた。そして、その警戒レベルも。もし、瑞稀と敵対した時のことを考えると脅威になるからだ。
だが、排除するレベルではなかったらしく、幸いにも殺すことはなかった。……まだ。
教員達はようやく事態に気づき(気づいていて放置の者もいたが)、暗殺者を回収していった。それの存在という非日常があっても、誰ひとりとして騒がず、事情も聞かずに働く教員に頑張ってくださいと言いたくなる。このあと侵入を許したとして、説教が待っているのだろう。
この学園では、暗殺者は珍しくない。生徒、教員、はたまた食堂のおばちゃんなど誰が暗殺者でもおかしくないし、実際いるのだ。そして、だからこそ関わると面倒なことを知っている。お家騒動、怨恨、背後関係、黒幕。そんなものに巻き込まれるのは大抵の人にとって面倒なのだ。教員には3タイプいて、一つは生徒が暗殺されようが気にしないタイプ、もう一つが暗殺なんて許さない、可愛い生徒は私達が守る、というタイプだ。そして、最後が苦労人タイプ。
暗殺や潜入、侵入により関係ない生徒が迷惑を被ると、自動的に教員は減☆給であるというルールである。なので、大量に要人やその子が来た年には給料が雀の涙だったということもあったらしい。哀れ、教員。そして、関係ない生徒。ちなみに、寄付も大量だったので、そちらを学園長から話し合い(物理)によって給料にさせたという。
つまり、他生徒に気づかれないよう暗殺者を回収したのは、ただ単に減給が嫌だったからである。……何とも悲しい現実である。
暗殺者の中でも、上位者は暗殺対象以外に危害を加えるだなんて面倒かつ金にならない事はしない。だから、教員は上位者であれば何もしない。まあ、生徒を守ると思っている方は気づいたら、確実に暗殺対象の生徒を守ろうとするだろうが、実力的に気づけないのである。
逆に、下位者は分を弁えず、無関係の生徒を平気で巻き込み、傷つけることも厭わない。だからこちらの場合は教員は暗殺を止めはしないが、細心の注意を払い、無関係な生徒を守る教員が多い。ちなみに話し合い(物理)をよくせざるを得ないのはここの教員たちであり、同時によく面倒事を押し付けられる&巻き込まれる苦労人タイプである。生徒は守ると思っている人達は暗殺も止めようとするが。残りの教員達は、実力はあるのに面倒くさいと一蹴したり、ただ単に自らの実力を鑑みて傍観したりと様々だ。まあ、とりあえず守ることはせず、傍観している。……ちなみに、給料はきちんと減給されている。
だが、学園長の気まぐれでその額は決まってたりする。大抵、生徒は守ると意気込んでいる方が減給率は高い。というのも、実力を冷静に分析して引き下がる人や実力を安易に晒すべきではないと考えた人の方が学園長寄りの考えだから、俗に言う贔屓である。まあ、それもあるが、単純にそういう冷たい、ではないと生き残れない、そんな世界なのだ。こちらは。
話は変わるが、先程の瑞稀を狙ったのは一流レベルである。教員でその存在に気付けたのは実力はあるけどメンドイぜな人達などだ。生徒でも気づいたのはチラホラいるが。まあ、つまりはそんな一流に気付いて防いだ雨宮拓都は凄いのである。簡単に言うと。教師3タイプで言うと苦労人タイプ……?
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆(演者・・・トール•ブリューゲル)
「………生徒会長からの言葉。3年、賀茂智憲殿」
「あー、新入生の諸君、入学おめでとう」
賀茂、というと土御門に次いで日本で力を持った一族でしたか。尊大な態度ですが、それを当然と思わせる方ですね。人の上に立つ素質に溢れています。
「あー、そうだな、なんだ、程々にやれ。以上だ」
…こちらを見透かしたのかと思いましたが、全体に対する忠告でしょうか。警戒しなければなりませんね。
「賀茂君、ありがとうございました」
と、この話の間に暗殺者の記憶を見たのでしょうか。教員の一人がさりげなく他数人と出て行きました。おそらく、手引きした者でしょうね。
教員方の対応は素早いですね。これは、中々切り替えも早いようですし。これは認識を改めねばならないようです。……工作が少々煩わしそうですね。しかし、巫女の選定は少し楽になりましたね。直感であれ何であれ、この暗殺に気付いた方は可能性あり、ですか。
「えー、次は、クラス発表を致します。壇上をご覧下さい」
さて、クラスは何処でしょうか。立体映像では…Cクラスですね。土御門様とご一緒ですね。まあ、裏工作をうちの者がしたのでしょうが。
「何故、貴方のような奴が瑞稀様と同じクラスなのですか!?」
「おそらく、お二人がもし同室でしたら、同じクラスではないのは規則かと。私が同じなのは運かと思われますね」
運で、クロウ兄上が口にした方と同じクラスになる確率は限りなく低いですがね。まあ、そんなことは所詮は戯言、虚構にすぎませんけど。
「沙織、それより。歓迎会」
切って単語をお話しになるのが趣味なのでしょうか。少々聞き取りにくいです。それとも、気心の知れた仲だからでしょうか。いえ、それはさておき歓迎会、新入生歓迎会ですか。歓迎、といいますと殺し合い……はないでしょうね。家でしたらありそうですが。まあ、無難にここで魔法の存在を知らせるのでしょうか。
「何をなさるのでしょうね」
と、申してる間にステージが広がってきました。空間魔術ですね。中々の使い手のようです。
ステージ上に男性が出てこられました。司会の方でしょうか。
「祭事委員会委員長、日比谷誠だ。新入生歓迎会、盛り上がって行こうぜ!!!」
軽い爆発と、カラフルな閃光が言葉と共に出てきました。爆発は本人の術ですが、閃光は裏方の演出のようです。それにしても、何と申しますか、その……
「相変わらず暑苦しい奴ですね、瑞稀様」
はい、失礼ながらその通りでいらっしゃいますね。そして皆様、やはりあのテンションについていけない様でして、ポカーンとしていらっしゃいます。魔術を知らなかった方々は当然の如くステージがいきなり元の10倍以上になった時から驚きの連続でさぞかし大変でしょう。
「元気、なのは、いいこと」
あの方と昔から知り合いでそんなことがおっしゃれるだなんて凄いのですね。土御門様の評価を改めねばなりませんね。
日比谷誠様、自分の苦手なタイプの方でいらっしゃるようです。




