第3話「荒廃した町」
俺はハルビンの町に着いた。
「ふぅ、ここがハルビンの町か…。なんつーか、寂れてるな…。」
ボロボロの家に雑草の生えた整備のされていない道。見渡しても人の姿は見えず、町は静寂に包まれていた。
(なんでこんなに寂れてるんだ…?まあ、とりあえず宿目指そう。)
俺は町の様子に違和感を感じつつも宿を目指すことにした。
「いらっしゃいませ旅の人。一晩10ポイになりますがお休みになられますか?」
ポイ…?ああ、この世界でのお金の単位か。
「はい。」
俺は10ポイ支払う。さっき魔物が60ポイ落としていったので余裕だ。魔物がお金落とすとかRPGかよ。
「10ポイ確かに受け取りました。ですが旅人さん、あまりこの町に長居しないほうがいいですよ。」
「え、なんでですか…?」
「……ここ最近、この町には山賊が出るんです。奴らは時々山から下りては金目の物を奪い、若い女たちをさらっていく…。おかげで町はごらんの有様…。」
なるほど…。道理で町に活気がないわけだ。
「王国の騎士団がようやく盗賊征伐に乗り出したみたいですが、中々到着しねぇ…。このままじゃこの町は…。」
宿屋の男はため息をつく。
なんとかしてこの町を救いたい。王国の騎士団を待っていてはこの町は駄目になってしまうだろう。
(だが、俺には町を救うことなんて…。)
いや、できる。今の俺はキモヲタ高校生の北山泰邦ではない。旅人・ヤスクニだ。魔物と戦ってわかった。今の俺は力を持っている。ならば、もしかしたら…!
「では、俺が山賊を討ちましょう。」
「え?」
「俺が山賊を倒すといっているのです。この剣で。山賊のアジトの位置を教えてください。」
俺はまじめに生きると決めた。人生をやり直すと。ならば、この町を見捨てるわけにはいかないのだ。
(よし、やってやる…!)
俺は決意を固めた。
俺には力がある。その力をなんのために使うか。そんなの決まっている。困っている人を救うためだ…!




