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女子大生は危険がお好き  作者: まんぼう
第1章 人を操る男
9/25

最初のバトル

翠は自分の部屋に入ると灯りを点けてボストンバッグに自分の荷物を手早く入れて行った。

「どのくらいで済みますかねえ?」

翠が鈴和に尋ねると

「そうですねえ~一週間は掛からないと思いますし、足らなくなったら直ぐ傍ですから、

又、取りに来ても良いと思うのです。それに衣類なら洗濯すれば良いと思いますから」

鈴和はそう答えた。

「判りました。じゃあとりあえず3日分用意します」

そう言って荷持を詰め始めた。


その間、鈴和は「支配」について考えていた。

「支配」は新城の得意な能力でもある。

だが、鈴和は何か新城の能力とは根本的な違いがある様な気がしていた。

後で、翠をウイの処に送って行った時に訊いてみようかと思っていた。

その時ドアの表で物音がして

「あ、うっ」と慎二の声がした。

「どうしたの慎二くん」

鈴和が叫んで表に出ると慎二が空中に浮かんでいた。

その横の建物の上には丸山が腕を組んで笑っている。

「慎二くん!」

「鈴和さん!」

そう叫ぶ二人を見ながら丸山は

「お前らを「支配」の結界に入れてしまおうと思ったら、こしゃくな事に結界を張ってやがる。

こうなったら、面倒臭いのでこの慎二って奴をここから落として死んで貰う」

そう言うと慎二の体を空中高く祭り上げた。

「この高さなら即死だろう……いいか良く見ておけよ」

丸山はそう言うと慎二を祭り上げている気の力を断ち切った。

瞬間、慎二が落下する。

鈴和はその瞬間に結界を解いて慎二を救う為に気を放出する。

それが狙い目だった。

丸山は結界を解いた3人に「支配」を発動させた。


「ふん、あっけないものだ。これで邪魔な翠と慎二は心中と言う事で二人で仲良くビルの上から飛び降りてもらおうかな。そして鈴和、お前は俺がたっぷりと楽しんでから酷く殺してやるよ。楽しみにしていな」

丸山は三人に向かってそう言うと慎二と翠を呼び寄せて、目の前の高層団地に昇る様に言いつけた。

二人共、完全に円山に操られているようで、大人しく団地に向かって行った。

鈴和はそれをただ見送るだけで、こっちもまるで人形の様に只立ち尽くしているだけだった。


「二人が仲良く心中をしたら、俺の家に連れて行きたっぷりと責めてやるからな」

丸山が薄ら笑いをしながら鈴和の体を舐めまわす様に見つめる。

それから、暫くして高層団地の屋上に翠と慎二が姿を現した。

「さあ、鈴和二人が心中するのを一緒に楽しもうか……」

そう言って丸山は鈴和の肩に手を置く。

しかし、何時まで経っても二人は飛び降りなかった。

「うん?おかしいな」

丸山が不思議がると横に立っていた鈴和が

「何時まで待っても飛び降りないと思うわ」

そう言ったのだ、いいや正確には円山の脳内にその言葉が響いたのだ。

「な!」

丸山は驚いて鈴和から距離を取る。

その時に「支配の」結界の外に鈴和の体が出た。

その瞬間、鈴和の体は生気を取り戻し

「ふん、あんたの「支配」から逃げる方法を見つけたわ。疑問だったけど何とか逃げる方法は見つけたわよ。誰があんたのオモチャになるものですか!」

鈴和はそう言うと気の弾を続けて何発も放出して円山に攻撃を仕掛けた。

「くそう!どういうやり方をしたか知らないが……」

そう叫んで鈴和の攻撃をかわしていたが2発を肩と腹に喰らってしまった。

「ゲホ、くそう……」

丸山も攻撃を仕掛けるが尽く鈴和にかわされてしまう。

「実弾の応酬だったら負けないわよ」

更に続けて弾を発射して行く、それが今度は動きの弱った円山に尽く当たって行く。

「これでトドメよ!あんたなんか」

そう言って弾を発射しようとした時に丸山は

「今日はここまでだ。今度こそお前を……」

そう言いながら姿を消して行った。


「ああん、また逃したか!もうちょっとだったのになぁ~」

鈴和が残念がっていると、高層団地の入り口から翠と慎二それにウイの三人がこちらにやって来た。

「助かりましたウイさん。「支配」が発動される寸前にテレパシーを貰って二人を頼みました。間に合って助かりました」

鈴和がそう礼を言うとウイは

「お話を訊いて、色々と考えていたら、霊を操るなら力が発動される前に幽体離脱してしまえば良いと思いついたのです。

以前王子が『鈴和ちゃんには僕の「支配」は多分通用しないよ』と仰られていたので、その意味を考えていたのです。でも間に合って良かったです。私もお二人が屋上に行く前にお二人の霊を一旦幽体離脱させて「支配」を解除しましたから良かったです」

ウイは二人の肩に手を置きながら優しく微笑むのだった。

「さすが、新城兄ちゃんが抜群の信頼を置いてるウイさんだわ」

鈴和がそう褒めるとウイは

「そんな事は無いですよ。でもこれであの丸山と言う男の能力がハッキリしましたね」

そう言うと慎二が

「それはどう言うことですか?」

そう訊くので鈴和は

「それは新城邸に戻ってから話しましょう」

そう言うと4人の影はそこから消えてしまった。


鈴和、翠、慎二の3人はウイの入れてくれたコーヒーを飲んでいた。

勿論ウイも一緒に飲んでいる。

鈴和が最初に話の口を切った

「私が「支配」が発動される寸前に幽体離脱した事を丸山は判らなかった。

と言う事はあいつには霊能力は無いか、あっても弱いと言う事ね」

それを訊いてウイは

「確かにそうですね。私が翠さんと慎二さんの霊を強制的に離脱した事も判らなかったみたいですね」

ウイの言葉に鈴和も

「そう、それに私とウイさんのやりとりも判らなかったと言う事はテレパシーも充分には使えないと言う事ね」

テレパシーは本来はお互い同士だけで理解し合える能力だが、発達すると人の会話もその気になれば判る事が出来、複数でテレパシーで会話出来るのだ。

「本当に「支配」だけが突出してるのですね」

ウイは不思議そうに言うもだった。

鈴和も、そう云われて新城の事を考えると、新城は「支配」の他に弱い霊能力、強いテレパシー、と弱いテレポート等や気を操る能力等があった。

振り返って丸山は今の処、「支配」と多分弱いテレパシー、そしてかなり強いテレポート能力、そして気を操る力が確認されている。

それを4人で確認すると、ウイが

「こうやって判ると対策や作戦も立てやすくなりますね」

そう言いながら鈴和を見ると、鈴和は何か考えた様である。

「ねえ、こういう作戦はどうかしら?」

それを訊いた他の3人は納得して、慎二が

「それじゃあ、明日、いや今にでも高村と美樹ちゃんに連絡をして見ましょう」

そう言いスマホを取り出した。

鈴和は「さあ、見てらっしゃい丸山、今度こそ逃がさないからね」

そう強く思うのだった。

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