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女子大生は危険がお好き  作者: まんぼう
第1章 人を操る男
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大叔母の教え

 鈴和と慎二はトマトが生い茂るビニールハウスの中に居た。

「それじゃお嬢さん、始めましょうかね」

慎二の大叔母の呼び方に鈴和は

「鈴和と呼び捨てにして下さい」

そう頼むと大叔母は

「慎ちゃんは何て呼んでるの?」

そう訊くので慎二はやや恥ずかしがりながらも

「鈴和ちゃん……です」

「そう、じゃあ私もそう呼ばせて貰うわね」

大叔母はそう言って話し始めた。


「霊魂を意のままにするというのはね、普通に会話したり対話したりは霊能者だったら誰でも出来る事だけど、この場合はその霊に100%こちらの事を信用して貰うのね。これが一番大事で、信用関係を築くのよ」

大叔母の言葉に鈴和は

「それは何時も心掛けている事ですが、それだけじゃ……」

その言葉に大叔母は

「勿論そうよ。でもこの信頼関係が大事なの。それは霊格の高い霊魂と信頼関係を築く事が大事なのよ。その上で、その霊を通じて、色々な霊魂に話し掛ける訳、そうするとほとんどの霊魂はこちらの言う事を聞いてくれるわ」

大叔母の言葉に鈴和は

「それだけですか?」

そう聞き返した。それはそうだろうと思う、その程度なら何時も自分が心掛けていた事だし、父親からも厳しく言われていたからだ。

「それが、まず初めの方法ね。更にあるのよ。それをこれから教えるわね」

大叔母はそう言うと、一旦ハウスの表に出て、自分の守護霊さんに、余計な者や霊魂がやって来ない様に見張りを頼んだのだ。

勿論、これは鈴和には判るが慎二にはさっぱり判らない事だった。


「霊の階級が決まっていて、下の階級の霊は上の階級の霊の言う事を利かなくてはならない、と言う事は知ってるでしょう。それをまず利用する事。それからその上級の霊に対して自分の霊的エネルギーを少し分け与えるの。

これにより、その者と上級の霊魂は気を分けた関係になる訳なの。つまり霊魂の一部を共有するのね。

これがどうゆう事か判る?」

「それって、自分自身がその上級霊と一体になる事ですか?」

鈴和の言葉に大叔母は

「さすが、ボスのお嬢さんだけの事はあるわ、大したものね。そうなの、そうなれば自分の命令はその上級霊の命令になるのよ」

そこまでの説明で鈴和は判って来た様だ、うなずきながらも考えて

「じゃあ、その状態になった霊能者は他の霊魂に対してやりたい放題になるんですか?」

「理論的にはそうだけど、たとえば自殺しろなんて事は霊のシステムそのものに対する反対行為だから、表面的には同意しても、霊の心の底では『誰か助けて』と思っているのよ。それを感じる事が出来る人、要するに波長が同じ人だけど、そういう人が傍に居れば自殺は防げるかも知れないわね」

「そうですか……」

鈴和はそこまで訊いて、あの時の高村がそうだったのかと思った。


「鈴和ちゃんも、そのくらいならすぐに出来ると思うわよ」

そう言われて鈴和は多少試しても良いかも知れないけど、本格的には多分やらないと思った。


「それと、これは特殊なケースなんだけど、そういう能力を身につけた能力者が亡くなった場合なんだけど、まれに本当に霊魂が合体して融合してしまう事があるのよ。その場合は二つの人格が一つになってしまって、しかも転生してしまうと、子供の頃から人間や霊魂を自由に操れる様になるのね。あなたが見たその娘はそう言う人物に持て遊ばれたのでは無いかしら」

さすが、昔教官をしていただけの事はあると思った。

鈴和が言わなくても、全てお見通しだったのだ。

「私が教えられるのは、そこまでかな。だから貴方もその人物に対抗するには自分の守護霊さんだけでなく、祖先の霊全部に自分を加護してくれる様に頼まないと駄目よ」

大叔母は最後にそう忠告してくれた。

何回もお礼を言って鈴和はそこを後にした。

「お母さんの従姉妹に挨拶していく?」

そう慎二に訊くと

「いや、いいよ。このまま帰ろうよ。いつも大叔母に接触するとうるさいから」

慎二はそう言ってこのまま帰る事を進めた。

「でも簡単にお礼だけは言わないと」

鈴和がそう言うので慎二も渋々ついて行く

「どうもありがとうございました。色々と有益なお話しが伺えました」

そうお礼を言うと母の従姉妹は

「そうですか、それなら良かったですが、母の言う事はあまり信用しない方が良いと思いますけどね」

そう言ったのだ。

それに対して鈴和は

「いいえ、とてもすばらしい方でした」

そう言い返してその場を後にした。


「鈴和ちゃん、結構言うんだね」

慎二は歩きながらも自分が一度も言い返した事がない人物に鈴和がしらっと言い返したので感心していた。

「だって、あなたの大叔母さんは尊敬すべき人物よ。その人をないがしろにするなんて……」

鈴和のその言葉で慎二は益々鈴和に惹かれるのだった。

「さあ、帰りましょう、美樹と高村くんと翠さんが待ってるわ」

鈴和はそう言うと慎二を抱きしめる。

つかの間の慎二の幸福の時間だ……

気がつくとすでに鈴和の家の居間だった。


「お帰り!」

三人が笑顔で迎えてくれる。

鈴和は、向こうで慎二の大叔母に説明された事を詳しく話した。

翠はそれを訊いて、納得する事が多かった様で

「そうなんです!その先輩には皆、なんだか逆らえない感じだったのです」

鈴和はそれを訊いて

「今日はもう遅いから、明日翠さんに案内して貰ってそのゼミにでも行ってその先輩を紹介して貰いましょう」

鈴和が言うと高村も慎二も、そして美樹までもが、なんだかやる気になってしまったみたいだ。

鈴和はこれも自分の守護霊様のお陰と密かに思うのだった。

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