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女子大生は危険がお好き  作者: まんぼう
第1章 人を操る男
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暗躍

 崩れ落ちた二人にウイは近寄り二人の首筋に手をあてて脈を確かめると

「完全に切れているわ、あなたたちは、もう下がっても良いわ、この死体をエルスの元に転送してやるから」

そう言って狙撃した二人を下がらせた。

そして誰も他に居なくなると、倒れている鈴和に向かって

「もういいですよ。ここは監視カメラもありませんし、この部屋は透視能力からも遮断されていますから」

そう言ったのだ。すると先ほどまで倒れて死んでいた鈴和と慎二がむっくりと状態を起こしたのだった。


「全く、驚きました。いきなりウイさんが入って来て、撃たれたんですから、それよりも私に何か言いながらもテレパシーでメッセージを送ってくれたのには、もっと驚きましたよ。しかもイメージではなく日本語の文章をそのまま送ってくれてのには、もうなんて言って良いか……」

「それは?」慎二が尋ねると鈴和は

『今から銃殺の真似をしますが、銃は私が無力化してあります』と言う内容だったわ。驚くでしょう」

鈴和は半分あきれながらも嬉そうに言うのだった。

そんな様子をウイは見て、二人を結いてる金属性の鎖と鍵を開けて

「普通のテレパシーだと彼女らに気が付かれて仕舞いますからね。日本語の文章ならここでは誰にも判りませんから。でもこれで、あなた方二人はこの国の秘密警察からは一時的にノーマークになりました。よっぽどの事が無い限り行動をチェックされる事は無いでしょう。

調べれば判りますが、この国で算出されるサンデラライトはかなりの量が採掘されています。

もうすぐ、コバルト60を照射出来る装置も向こうの世界から転出されてきます。

きっと、この国の首脳は、すぐにでもエルス様の国に対して、降伏を呼びかけ脅かしによって強制的に併合しようとするはずです」

「まさか、降伏なんてしないでしょう」

慎二がそう言うとウイは

「確かに簡単には降伏しないと思います。その場合は戦争になります。東の国が負けるとは思いませんが、両方の罪も無い国民に被害が及びます。絶対に戦争にさせてはいけません。私の祖先と同じになります」

ウイの言葉には複雑な想いがあるようだった。

「兎に角、ここから出るにはテレポートするしかありません。鈴和さん慎二さんを抱いて遠くまで転出出来ますか?」

ウイの心配をよそに鈴和は「大丈夫です。場所さえ分かれば東の国へさえ行けますよ」

そう言って笑った。

「誰か来ると不味いですから」

ウイのその言葉に鈴和はウイから位置情報をテレパシーで送って貰うと慎二を抱きしめてテレポートした。

二人の姿が完全に消えたのを確かめるとウイは底知れぬ笑みを浮かべたのだった。

「悪いけどあの二人には囮になって貰いましょう」

そう呟くとその場から姿を消したのだった。


ウイから貰った位置情報からテレポートした先は森の中だった。

持たされたタブレットで位置を確かめると西の国の首都から北西に100㌔程離れた場所だった。

更にタブレットを操作して情報を取り出すと、どうやらこの先に西の国の軍事基地があるみたいだった。

「ウイさんはそれで私達をここに……」

鈴和は、もしかしたら、この基地にコバルト60を照射出来る装置が送られて来るのかも知れないと思って、ウイの機転に感謝した。


不意に、「グウ~」と言う音が聞こえて来た。

見ると慎二が「ごめん、お腹空いちゃって、機内食を少し食べただけだから……」

そう言って赤くなっている。鈴和は鞄から何かを取り出した。

「はい、これ!」

それはスニッカーズだった。

「なんで鈴和ちゃんがスニッカーズを持っているの?」

慎二が尋ねると鈴和は

「組織の仕事で遠出する時はこういうのを何時も何本か持って行く事にしてるの。ちゃんと食事出来るか判らないでしょう、今回みたいにね」

「さすがだね。慣れているんだね。そこ行くと僕なんか組織に入ったばかりで、足手まといなんだね」

鈴和は慎二が思いの外緊張していたのだとこの時理解した。

そうだと思う。組織に入って間もない慎二がいきなり自分とこんな場所にまでやって来て戸惑わない訳が無かったのだ。

自分は慎二が自分に好意を持ってくれている事に甘えていたのでは無いかと想い、慎二に申し訳無いと同時に、ある種の愛おしさが湧いて来たのを感じた。

なんだろう……この感じは……今まで体験した事のない気持ち……もしかして、これが恋心?

鈴和には、未だ判断はつかなかった。

そう思うと今度は慎二の顔さえまともに見れなくなってしまった。

俯いて真っ赤になっている鈴和を見て慎二は

「鈴和ちゃん、どうしたの? 僕、ご馳走になっちゃったけど……大丈夫? 具合悪くなった」

そう鈴和に尋ねると「ううん、何でも無いの大丈夫よ。それよりお腹持ちそう?」

鈴和は慎二の目線を避ける様に尋ねる。

何かおかしいとは思いながらも慎二も

「ありがとう! これで当分は持つよ」

そう言って元気な処を見せた。


二人は森の奥へと進んで行った。

道には轍の後があり、ここを車が通った証拠だと二人は確認する。

小一時間も歩くと急に視界が開け、目の前に高い塀で囲まれた施設が出現した。

「ここが軍事基地なのね」

鈴和は早る心を抑えながらも中を偵察する方法がないか考えていた。

「出来るかどうか判らないけど、あれをやってみるか」

鈴和はそう呟くとどうやら、この辺にいる誰かの守護霊を見つけ出そうとしていた。

自分や慎二の守護霊は今回はこっちの世界には来なかったのだ。

だから、使う訳には行かなかった。


暫く、探してしたが、基地の塀の上をゆらゆらと飛んでいる浮遊霊を見つけた。

鈴和は、その霊にコンタクトを取ると霊は大層驚いていたが、結局は面白がって協力してくれる事になった。

そして、その霊の見た映像を見てみると、かなり大きな基地で、どうやら奥には、滑走路もある様だった。

その手前には兵舎や倉庫等が並んでいる。

大体の感じはつかめたので霊に礼を言う。


「どうする慎二くん。無理して潜入してみる?」

鈴和がそう尋ねると慎二は少し考えてから

「鈴和ちゃんはしたいのでしょう? ならば僕も賛成だよ」

そう言って笑ったのだった。

「じゃあ、行きますか?」

鈴和は慎二を抱きしめる。

思えばも何回こうやって慎二を抱きしめた事だろう。

前は何とも思わなかったが今はやはり意識してしまう。

自分の体と密着されて慎二はどう思っているのだろうか?

段々と鈴和は気になるのだった。

『私は慎二くんを意識しているのだろうか?』

鈴和は基地の中にテレポートするのに、ついそんな事を思ってしまうのだった。


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