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プロローグ

初投稿となります。よろしくおねがいします。




 アストロフィ国、首都アスタ。

 高い塀に守られた王城を中心に城下街が放射状に広がる。同じように放射状に街道があり、広大な土地へと広がり各土地を繋ぐ。

 国土は広く、それぞれ貴族と呼ばれる地位の人間が土地を治めている。

 その中の一つにウィーヴィング家という大家がある。

 首都に流れ込む川の治水を任された家柄で、その要職に代々ついているため大変な財産を有している。

 そのためなのか、謂れの無い恨みを買うことも多かったらしい。

 それでも繁栄を続けてきたのはそれらに屈することなく子孫を残し、驕ることなく治水をしっかりと務めてきたからだ。

 そんな大家のウィーヴィング家には秘密が一つあった。

 しかし、それはつい最近までウィーヴィング家当主も忘れていた事実だった。

 なぜ秘密を忘れていたのかといえば、それはここ最近まで人の目に晒されることもなく、また、文献などにも残っていなかったためだ。

全ては口伝でのみ伝えられ、まさかそんな事が本当にあるとは思っていなかったというところが正しいだろう。

 だからこそ、その秘密が姿を現した時、当主夫婦は驚愕したのだ。

そしてどうにかしようと文献を探したが、やはりそんなものはどこにも見つからず、口伝を頼るほかなかった。



 彼がそれを知ったのは、少々面倒な問題が発生した直後だった。

 貴族がウィーヴィング家に集まっているという話を聞き、自分の立場上、何故集まるのかを調べさせた。それは当然、危険分子が潜んでいるのではという憶測もあったからである。

「三年前から定期的に開かれているようで、今年は月に一度は開かれているらしいです。集めている理由は花婿探しだということで、国務院に話が通っています。調査もきちんとされていますし、問題はないかと」

 副官のアンリがそう報告した話に思考がすぐに動いた。

「それに参加する条件はあるのか?」

「条件ですか? えーっと、はい、一つだけ。家督を継ぐ必要のない人物のようですね。まあ、あのウィーヴィング家ですから、この条件は必須でしょう」

 その条件を聞きすぐに行動に移した。

「俺はしばらく身を隠す。兄上もそのほうが動きやすいはずだしな」

 彼の突然の宣言に、良く出来た副官が瞬き一つで理解した。

「わかりました。一応変装はしてください。ウィーヴィング家に集まるのはすでに地方貴族が中心になっているようなので、そう簡単に見つかることはないと思いますが」

「まったく。面倒なことだな」

「本当に」

 こうして参加することになり、名をジル・ホーキンスとし、髪を染めた。



 ウィーヴィング家の秘密とは実は公然のものである。

 物語にすらなっているほど古い話で、夢見る乙女には絶大な人気を誇る物語でもある。

 彼らは知らなかったが、三年前にウィーヴィング家が花婿を探していると噂になった時に、世の乙女たちはそれはそれは大騒ぎをしたのだ。

 ウィーヴィング家の秘密とは、世に言う「ウィーヴィング家の月探し」である。




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