啓蟄
二十四節季の一季につき3話で展開していきます。
そのため、全72話になる予定です。
小説を書くのはこれが初めてなんで温かい目で見てください。
桜が散り、葉の緑が生い茂り始め風が夏を感じさせる。
あの後、白崎さんとの一件については平山にしっかりと説明した。
平山はかなりショックを受けていたが3日ほどですぐに忘れたように元気になった。
あれ以降……白崎さんとは会ってはいない。
学校には来ているしすれ違うこともある。
しかし、話したりはせず目も合わせないままだ。
最近は、このまま時間だけが過ぎていくのを待つだけでいいのだろうかと考えていた。
「はぁ、」
ため息をした。
1人でお弁当を食べているせいか、深く考えてため息をしてしまう。
「ため息なんてしてどうしたんですか?」
横を見るとそこには加奈山さんがいた。
「節峰くんがため息ついてるなんて珍しいですね、」
「私で良かったら相談にのりましょうか?」
加奈山さんはいつも柊さんと一緒にいることが多いため喋ることはほとんどない。
しかし、体育祭の準備が始まり柊さんが応援団でいない日は一緒に話すことが多くなった。
「ちょっと、最近悩んでることがあるんだけど……」
白崎さんのことを言おうとした。
しかし、この事を話したことで加奈山さんまで巻き込んでしまうかもしれないと思い口を止めた。
「……やっぱ、大丈夫!ごめんね、」
加奈山さんはジッとこっちを見つめた。
「無理はしないようにしてくださいね。」
そう言って教室へ戻っていった。
さて、ここからどうするべきなのかと考えた。
岩倉が何をされたのか知らないが、不登校になってしまったのは事実。
そして、それには白崎さんが関わっている。
「やっぱり、本人に聞くしかないかぁ、」
そうして放課後にαクラスへ向かった。
「すみません、白崎さんいますか?」
鋭い目つきの男子生徒がこっちに向かって来た。
この人も学年委員の集まりにいた人だ。
身長が高く怖そうな見た目だったので覚えている。
確か名前は出嶋 櫂だ。
「誰だ?なんのようだ?」
俺より身長が高いせいかすごい圧を感じる…。
「さ、節峰 五季です……」
誰にでも話せるよなことではないため躊躇ってしまった…。
「節峰、節峰か、もしかしてβクラス学年委員の?」
どうやら相手も覚えていてくれたらしい。
「は、はい…。」
出嶋は申し訳なさそうな顔をした。
「悪いがそれは後にしてくれ、」
「俺も今、白崎を探してるんところなんだ。」
「白崎のやつ昼休みから教室に帰ってきてないんだ…。」
岩倉の不登校ことを思い出し不安になった。
「あの、白崎さんは応援団だったりしますか?」
出嶋は首を横に振った。
「いや、白崎は応援団などの役職にはついてない。」
「放課後先生から呼び出されているのを忘れているのか…」
「節峰、少し悪いが俺はもう先生のところに行かなければいけない。」
「俺が先生と話している間白崎を探しにいってくれないか?」
俺はすぐに答えた。
「分かった!」
そう言って校舎内を見て回ったがどこにもいなかった。
「もしかして、校庭にでもでたのか…」
校庭を見に行ったが、どこに白崎さんの姿はなかった。
「部活動は今日はやっていないんだな…」
その時、ふと横を見ると野球部のボールが落ちていいた。
「野球部が拾い忘れたのか…?」
そう言ってボールのところへ向かった。
ボールを拾った。
「あとで、平山にでも渡しておこう…」
ポタッ⋯⋯⋯
腰を上げたその時、頭に水滴のようなものが垂れた感覚があった。
今日の天気は晴れ雨なんて降るはずもない。
不思議に思い空を見上げた。
頭上には校舎横の鉄格子で非常階段しかない。
非常階段は立入禁止の看板があり今は登ることはできない。
俺は水滴が当たった部分を手で拭い白崎を再び探しに行こうとした。
拭った手には赤色の液体がついていた。
「うわぁぁあ!な、何だよ!これ!」
「血…?」
ドッキリなどではないことはすぐに分かった。
なぜなら、その赤い液体にはかすかな金属製の生臭い香りがしたからだ。
「ってことはまさか!」
俺はすぐに立入禁止の看板を横に押し倒し貼ってあるビニールテープを破き非常階段を全速力で登った。
カンカンという足音の後にギシギシという音がなる。
今にも壊れそうな非常階段を登った先には頭から血を流し倒れている白崎さんがいた。
「白崎さん!白崎さん!」
そう言いながら体を揺すぶった。
しかし、白崎さんは目を覚まさない。
俺はすぐに携帯電話で119番へ電話かけた。
電話はすぐに出た。
「救急です!あ、あの、今桜星高校にいるんですけど、」
「女子生徒が頭から血を出して倒れていて、急いできてください!」
司令管制員の人が答えた。
「落ち着いてください。自分の名前と電話番号をお願いします。」
人は緊急事態によりパニックを起こすと冷静に物事を判断することができなくなるのだと感じた。
「節峰です!節峰 五木!電話番号は⋯⋯⋯〇〇〇ー△△△△ー✕✕✕✕です!」
それを答えると携帯を地面においた。
「な、なにかしたほうが…!ど、どうすればいいですか?」
司令管制員の人が聞いた。
「今は1人ですか?」
俺はすぐに答える。
「はい!」
司令管制員の人は言った。
「近くに先生や大人の方はいますか?」
周囲を見渡したが立ち入り禁止の場所のため誰もいない。
今日に限って部活もやっていないため声が届く範囲に他の生徒もいない。
「誰もいないです!」
司令管制員の人がこっちの情報を把握したのか口調が変わった。
「今、タオルやハンカチなどはありますか?」
「あるなら、出血部をそれで抑えてください!」
「そして、なるべく声をかけ続けてください!」
「下手に動かさず、その状態にしておいてください!」
「もう少しで救急隊が到着しますので!」
俺は司令管制員の人の通りポッケに入っていたハンカチで出血部を抑え、救急隊の到着を待った。
タオルについた血はオレの心の不安感を増幅させた。
数分後救急車が到着した。
赤く照らすサイレンの光は、手だけではなくから俺の全身を赤く照らした。
救急隊の人に手についた血を洗い流すよう言われた。
ひねった蛇口は赤く染まり出てきた水も俺の手に当たることで赤く濁り下へ流れていく。
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯。」
黙り込み、俺はその情景を目に焼き付けた。
白崎さんが救急車に運ばれている間、俺は第一発見者として学校の相談室を使い事情聴取を受けた。
周囲には多くの生徒は全員帰宅となり、先生は職員室へ待機となった。
相談室の窓から外が見えた。
そこには大勢の地域住民の人が駆けつけいた。
救急隊の人が訪ねたことを順に答えていった。
数時間後、事情聴取が終わり外へ出た。
夕日はとっくに沈んでおり、街灯の光が住宅街をほんのりと照らしていた。
事件から3日が経った。
あれからすぐ白崎さんは病院で目を覚まし、今は治療を受けている。
学校にはどこか静けさがあった。
足立先生が教壇に立った。
「なんだぁ?お前ら。」
「いつも騒がしいのにやたら静かじゃねぇか。」
「隣のクラスのことだ。お前らには関係ねぇよ、元気出せ!」
足立先生がそんなこと言ってくれるとは思わなかった。
いつもと何も変わらない日々…。
その中で俺は1人緊張していていた。
一週間の終わりを感じる金曜日、足立先生が言った。
「お前ら、体育祭まで一ヶ月を切ったぞ。」
「俺は大概のことがどうでもいい」
「が、」
「体育祭だけは必ず勝て!」
足立先生がこんなにやる気に満ちているのは今まで見たことがない。
平山が聞いた。
「俺達って何組なんですか?」
体育祭は5つの色で組分けがされる。
赤、青、緑、黄、桃の5つだ。
足立先生が呆れた顔で言う。
「平山〜お前最後まで話を聞け、」
「今から説明する。」
「俺達βクラスは今年は青組だ。」
「そこで、体育祭に当たって種目決めをしなければいけない。」
「だから、今日の時間割は体力測定をするんだが、」
「この中で運動部に入ってるやつ手を挙げてくれ、」
クラスでチラホラと手が挙がった。
手を挙げた人を足立先生はメモした。
「それじゃあ、1時間目から校庭に出て体力測定やってくぞー」
そうして生徒は全員更衣室に着替えに行った。
更衣室につくと平山が言った。
「なぁ!節峰、お前中学の時は何部だったんだ?」
「一応、剣道部だったよ、」
「へぇ〜剣道か!かっこいいな!」
俺は早く更衣室に着いたこともあり、皆より早くグラウンドへ言った。
グラウンドへ着くと陸上部の新田 千紗と浅野 百合香がストレッチをしていた。
「さすが陸上部だな。」
つい口から出てしまった。
すると、後ろから声がした。
「なんだ?節峰。」
「お前まさか、あー言うのがタイプなのか?」
また、足立先生が後ろに立っていた。
すごい顔がニヤニヤしていて気持ちが悪かった。
「違いますよ。」
「陸上部の人が皆より早く来てストレッチしてたんですごいなぁと思っただけです。」
「なんだぁつまんねぇーの。」
「お前は男じゃねぇなぁ、」
「はぁ、」
足立先生が勝手に勘違いしただけなのになんでため息までされなきゃいけないのか…。
ものすごく腹がっ立ったが表には出さないようにした。
新田が俺に気づいた。
「節峰…お前も一緒にストレッチするか?」
「ストレッチは怪我の予防にもなるからいいぞ!」
せっかく誘ってくれしやることにした。
ストレッチとは正しいやり方で行うと意外と汗がかくのだと知った。
クラスの人も続々と校庭につき話し始めた。
「じゃあ今から100メートル測定していくぞー」
そうして出席番号順二列に並ばされた。
この並ぶときが一番緊張したりする。
隣はサッカー部の冴島 稜だった。
「フッ、節峰か…よろしく」
冴島は俺のことを見るなり鼻で笑った。
正直に少しイラッときた。
「よろしく、冴島くん!」
今では帰宅部だが青ヶ島にいた時はかなり運動していた。
部活の剣道では県大会ベスト4までのし上がった実力もある。
だから、その時に練習として行っていた砂浜ダッシュがどこまで都会で通用するか…。
「それでは、ヨーイ、ドン!」
1組目がスタートした。
周囲がざわついた。
「陸上部の浅野はやっぱはやいなぁ〜」
浅野さんのタイムは12.15だった。
浅野さんはここら辺では足が速いで有名だ。
中学では何度も県大会に出場し良い結果を残している。
冴島くんが聞いてきた。
「節峰は中学の部活は何をしてたんだい?」
さっきも聞いたような質問だった。
「剣道部……」
また鼻で笑われた。
そして、8組目になった。
「いちに着いて、ヨーイ、ドン!」
異変に気づいたのはスタートして少したったぐらいだった。
冴島が目の前にいなかった。
そのままゴールした。
タイムが告げられた。
「10.64!?」
周囲が唖然とした。
少し立つと一気に歓声が上がった。
平山が近づいてきた。
「うおぉぉぉお!さだみねぇぇえ!お前足早かったんだな!」
そう言って頭をガシガシされた。
冴島もゴールした。
「11.74!」
冴島がこっちを睨んいる。
俺はそっと目をそむけそのまま次の測定に行った。
握力測定の列に並んでいる時、平山と柊さんの番が来た。
「ヨーイ、ドン!」
一斉に走り出し平山のほうが少し早くゴールした。
柊も結構足速いんだなと思った。
それから長座体前屈、投球、と受けていき教室に戻った。
「うわぁ疲れたぁ、」
「節峰、一緒にジュース買いに行こうぜぇ」
平山はだいぶ疲れているらしい…。
自販機に着くと見覚えのある男子生徒がいた。
その子はジュースを一つ買った。
「節峰〜お前は何にする?」
帰ろうとした男子生徒は立ち止まった。
「節峰…………。」
「もしかして、節峰 五季さんですか?」
そう言って近づいてきた。
「は、はい。君は?」
あの病院にいた理由。
どこなく誰かに似ている顔立ちの理由。
すべてが繋がった。
「隼人…白崎 隼人です。」
「白崎 彩音の弟です。」
俺と平山は固まった。
「し、白崎さんって弟いたんだ…。」
「節峰さん、放課後…少し話してもいいですか?」
平山はそれを聞くと少し機嫌が悪くなった。
「ちょっと待てよ…いつも鈍感な俺でも流石に気づいたよ…、」
「白崎さんの事故の件だろ?」
「俺もその件に関しては知りたい、教えてくれ!」
平山はいい奴だ結して嫌がらせをしたいわけではないのは分かる。
しかし、白崎さんが教えてくれたことを誰にでも教えることはできない。
岩倉をいじめたり、白崎を突き落とした犯人は同じ学校にいるはず。
そのため、どこから情報が抜けるかわからない今、平山にこの事は言えない。
そんな事を考えてると、隼人くんが言った。
「ね、姉ちゃんのこと?」
「節峰さん清掃部ですよね?」
「僕も清掃部なんです!なんで、ちょっと放課後話しませんか?」
平山は恥ずかしそうに顔を隠した。
「ご、ごめん〜…めっちゃ恥ずかしいぃ///」
「悪い!俺先に教室戻るわ!」
そう言って平山は戻ってしまった。
「それで…隼人くん、」
「隼人せいいです。」
「じゃあ、隼人…部活のことって?」
隼人はクスッと笑った。
「あれは冗談!本当はさっきの人が言っていた通り姉ちゃんのことだよ!」
「ちなみに、清掃部ってところは嘘じゃないから!よろしく!」
このどこか掴めない感じやそこの見えなさは間違いなく白崎さんの弟だ。
「姉ちゃんから色々聞いてるとは思うんだけど、」
「僕は姉ちゃんにこんな事したやつを許せないんだ、」
「だから、節峰…一緒に犯人を探さないか?」
俺は聞いた。
「なんで俺のなの?」
隼人はすぐに答えた。
「姉ちゃんが一番信用できるってこの前言ってたから。」
俺は悩んだ。
学校内のいじめはどうしても警察や先生では解決できないことが多い…。
そんなことに首を突っ込んでしまったら碌なことにならない。
白崎さんがいい例だ。
「隼人くんは怖くないの?」
隼人くんは笑った。
その笑みには怒りと憎しみなどはない。
純粋な復讐心だけがあるように感じた。
「怖くなんてないさ、」
「だって僕は、これからそいつらを怖がらせる側なんだから…」
俺はその圧倒的復讐心に乗ることにした。
「いいよ、俺も手伝うよ…」
俺の学校生活がここを始点として変わり始めた気がた…。
「つ、ついに今日か…、」
今日は白崎さんとの面会日だ。
意識を取り戻した白崎さんが俺に話したいことがあると言ったらしい。
「一体何のことなんだろう、」
最初は事件についてのこと思っていた。
が、結局、白崎さんが倒れていたのは転倒して頭を強打したのが原因だったらしい。
警察も事件性がないとみて詳しい捜査はしないまま終わった。
「となると一体何だぁ〜」
そんな事を言いながら悩んでいると加奈山さんが話しかけてきた。
「さ、節峰くん?大丈夫?すごい疲れてそうだけど?」
「だ、大丈夫だよ!加奈山さん!」
正直、疲れている。
いや、疲れていないほうがおかしい。
まだ15歳の子供が同い年のあんな悲惨な姿を目撃したんだ。
一生残るトラウマになっててもおかしくない。
「じゃあ、俺は今日は用事あるから、悪いけど加奈山さん委員会の仕事頼んでも平気?」
加奈山さんは元気よく答えた。
「はい!任せてください!」
俺はそんな加奈山さんを見ながら安心して白崎さんのいる病院へ向かった。
病院先は学校の近くの日暮里駅から徒歩数分にある『間川病院』だ。
病院につくと受付へ向かった。
「すみません。16時から白崎 彩音さんと面会予定の節峰 五季です。」
受付の人はパソコンで面会予定を確認し、俺を白崎さんのいる7階の部屋の前まで連れて行った。
ドアの前にたった瞬間一気に緊張してきた。
あんな事があってしっかり顔を見て話せるのだろうか…。
そんな事を考えながらノックしドアを開けた。
「やぁ、節峰くん。待ってたよ。」
そこには頭と左足に包帯を巻いた白崎さんがいた。
「少し話をしようか…」
「1人で少し退屈だったんだよ。」
そう言った彼女はどこか儚さを感じられた。
「大丈夫なの?その、体の具合とかは…」
白崎さんはクスッと笑った。
「この状況を見てそんな事がよく言えるねぇ、」
「見ての通り具合は最悪…」
「ごめん、そんなつもりで言ったんじゃ…」
「分かってるよ!気にしないで!」
元気なように振る舞っているがきっと相当辛いのだろう。
俺は白崎さんのことを信じきれずにいる。
岩倉の件もそうだが、何より腹の底が見えない…。
「今なら聞いてもいいか?」
白崎さんは首を傾げた。
「何をかな?」
白崎さんは首を傾げながらクスッと笑った。
「惚けられるのもここまでのようだね。」
「いいよ。岩倉くんの件の真相を話すよ。」
「その前に、カーテンを閉めてもらえると助かるな、」
俺はカーテンを閉め白崎さんがいるベッドの横のの椅子に座り話が始まった。
「まず、俺から聞かせてくれ。」
「岩倉が不登校になった原因って何なんだ?」
「白崎さんは知っているんだろ?」
白崎さんはさっきまでの微笑みが消え話し始めた。
「岩倉くんは『いじめ』をうけていたんだよ。」
「それも、かなり悪質なね、」
「私はそれの目撃者だったんだ。」
「だから、岩倉くんがどうしていじめられたのかも知ってるし、何が原因でそうなったかも知ってる」
俺は訪ねた。
「そのいじめられた原因ってのは何だったの?」
白崎さんがは答えた。
「それを私の口から言うことはできない…。」
「私が岩倉のいじめを目撃したことで私もその人に脅されてるからね、」
俺は首を傾げた。
「俺はてっきり白崎さんが岩倉をいじめてたとばっかり思ってた、ごめん」
「でもそれじゃあなんであの日、岩倉の家に白崎さんはわざわざ行ったんだ?」
白崎さんは俺の顔をジッと見た。
「岩倉を安心させるためだよ。」
「岩倉が受けていたいじめは主にチャットアプリでの悪口や陰口、脅迫等だ。」
「だから、いくら岩倉をスマホのチャットアプリ越しで言っても疑心暗鬼になってる彼は心を開かない。」
「だから、手紙を書いて岩倉くんの家のポストに入れたかったんだ。」
「手紙を書いたあとに住所を知らないことに気づいたときは焦ったけど、」
俺はふと疑問に思った。
「わざわざ俺と平山を使った理由って?」
「平山くんはそもそも使おうと思っていたけど、君は予想外だったよ!」
「けど、ちょうどよかったのかもね……」
「ちょ、ちょうどいい?何のこと?」
白崎さんは体を伸ばし窓の外を見た。
そして、俺の方を振り向いた。
「私のこの怪我は誰かによってつけられたものだ。」
「犯人のことを私から口にすることはできない。」
「だから節峰くん、頑張ってね!」
そこで面会時間がきて俺は部屋の外へ出された。
「トイレにでも寄って帰るか。」
ドンッ!
角を曲がったら男の子にぶつかった。
「すみません。大丈夫ですか?」
そう言って俺は手を差し伸べた。
「ありがとうございます、」
同じ学校だろうか、来ている制服がうちの学校のものだった。
男の子は立ち上がり服を整えた。
「すみません、」
そのまま、行ってしまった。
同い年だろうか…、結構年も近いように感じた。
「今の子、どっかで見たことあるようなぁ、」
しかし、思い出せなかった。
病院を出ると、まだ日は出ていた。
最近、日光の温かさが増した気がする。
「夏がもう近いのかもな…。」
そんなことをつぶやきながら帰った。
72話のラストまで
ゆっくり読んでいただけると幸いです。




