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雨水

二十四節季の一季につき3話で展開していきます。

そのため、全72話になる予定です。

小説を書くのはこれが初めてなんで温かい目で見てください。

部活に入ってもう3週間が経過した。

入学式からはもう4週間も経ったことになる。

もう1ヶ月もこの桜星(ろうせい)高等学校で過ごしたのかとしみじみ思う。


「なぁ、節峰(さだみね)。そっちの掃除終わったか?」


青宮(あおみや)先輩が書類棚から顔を出しながら言った。


「はい!終わりました。」


部活にも慣れ青宮先輩とは、かなり仲良くなった。

そのきっかけは、読んでいるラノベの話をした時にある。

お互い同じ本を読んでいたことを知り、そのまま意気投合したのだ。


「じゃあ、部室帰るぞ。」


最近の学校生活で一つ変わったことがある。

それは放課後の時間に青宮先輩と一緒に本を読む週間ができたことだ。

先輩は自分のバッグにたくさんのラノベを詰めているため、貸してもらい感想を言い合ったりする。

控えめに言ってこの時間は最高だったりする…。


「青宮先輩!この前おすすめしてくれたラノベめちゃくちゃ面白かったです!」


そんな事を話しながら帰っていると、クラスメイトの(ひいらぎ)さんと加奈山(かなやま)さんと会った。


「おっ!あれ?節峰って何部だっけ?」


柊さんが聞いてきた。


「俺は清掃部だよ。そういえば、言うの始めたかも…?」


柊さんはびっくりした顔で答える。


「へぇ!知らなかった!初めてきたよ、」

「ってか、それって部活なの!?」

「まぁ、いいや!うちらもこれから練習再開だから行くね!じゃあまた」


結局柊さんも仲の良い加奈山についていったのか女子テニス部に入っていた。


「うん、じゃあ!」


そう言って手を振った。

加奈山さんは珍しく大人しかった。

普段から大人しい方ではあるが、何も喋っていないところは初めて見た。

そういえば、最近の学校生活で変わったことがもう一つある。

以前、一緒にカラオケに行ったメンバーの中にいた岩倉(いわくら) 大輔(だいすけ)が2週間前に不登校になった。

こんな早い段階でなるものかと思ったが、入学してすぐは環境になれず不登校になる生徒が多いらしい。

知っている人が不登校になるのは少し複雑な気持ちだった。


「おい節峰〜話し終わったか?」

「僕先に部室に戻っちゃうけど、いいの?」


岩倉のことはもう考えてもどうにもならないとは思うが、それでもなぜか時々考えてしまうことがあった。


「青宮先輩〜待ってくださいよぉ、」


そう言って部室に戻った。

いつも通りのラノベの感想会が終わり家へ帰宅した。

家に帰ると平山から連絡がきていた。


〈平山〉17:08既読

なぁ、節峰少し良いか?

お前は岩倉のやつが不登校になったことについてどう思う?


〈平山〉17:11既読

あいつさ、あのカラオケの日から少し変だったんだよ。

変っていうか、なんかずっとソワソワしてる感じ?

うまく言葉では言えないけど、何かに怖がってた感じがしたんだ。

だから、節峰お前さえよかったら岩倉が不登校になった理由一緒に見つけないか?


俺は悩んだ…。

正直、岩倉とはそこまでの仲じゃない。

多分それは、きっと平山も同じだろう。

けど、平山のあの性格が岩倉を見捨てるができないんだろう。

しかし、それは平山だからできることだ。


〈節峰〉17:21

ごめん。

この件に関しては俺は力になれないと思う…


その数分に既読がつき平山からの返信が来た。


〈平山〉17:30既読

おっけ!わかった!

これは俺がなんとかする!


俺はこの返信を見て理解した。

平山は異常なまでの正義感と行動力があるやつなんだと…。

ただ、自分がやりたいからきた欲で周囲を巻き込むのが何よりの証拠だ。

この返信から数日が経過した。


「なぁ!おい!おい!平山!」


平山ガタッと起きた。


「お前、先生に当てられてるぞ!」


平山は焦って教科書見始めた…。

先生が呆れたよな顔で言う。


「平山さん…、あなたね、授業を聞く気がないの?」


クラスが静まり返り、先生が怒る声が教室全体に響く。

こういう時隣の席のやつが一番気まずかったりするんだよな…。

授業が終わり休み時間となった。


「平山、最近どうした?変だぞ?」


平山はあくびをしながら答える。


「ちょっと寝不足でな、まともに眠れてないんだよ、」

「まぁ、気にしなくていいよ…、」


最近改めて考えてみたことがある。

平山は岩倉の不登校の原因を探ると言っていた。

原因を知るなら本人に聞くのが一番早いだろう。

しかし、その当の本人が学校に来ていない限りそれはできない。

なら、どうやって原因を調べるのかと…


「平山、岩倉の件でなにかあった…………………」


平山は俺の口を手で抑えた。

そのまま俺は廊下に勢いよく連れてかれた。

廊下まで出ると抑えていた手をどかしてくれた。


「節峰、悪いがその件は学校であまり言わないようにしてくれ…」


そう言って平山は教室に戻っていった。

すると隣のα(アルファ)クラスの人が話しかけてきた。


「君、β(ベータ)クラスの子だよね?今その教室から出てきたし、」


委員会の集まりで見たことがある顔だった。


「た、たしか…α(アルファ)クラスの学年委員の……えっと」


あまり話すことがないと思っていたので他のクラスの人の名前を覚えていなかった。


「あ、ごめんごめん!白崎(しらさき) 彩音(あやね)です!急に話しかけてごめんね、」

「君は同じ学年委員の節峰君だよね?」


そこにいたのは長い黒髪を高い位置でまとめたポニーテールの女の子だった!


「は、はい…。何かようですか?」


白崎さんは少し考えて答えた…。


「君は『あの話』もう知ってるかな?」


俺はなんのことだか全く心当たりがないため問い返した。


「な、何の話ですか…?」


白崎さんは少しためらったがすぐに答え始めた。


「最近、物騒なことがあってね…」

「この学校の近くに住んでるから夜に学校の前を通ることが多いんだ、」

「それで、ちょうど昨日塾の帰り学校の前を通ったらフードを被った人が出てきたんだ。」

「やっば、移動教室じゃん!もう皆いないし!」


そう言って教室に荷物を取りに戻っていった。

俺は疑問に感じた。

なぜ、そんな話を初対面の俺にはしたのかと。


「あの、なんでそんな話を?」


俺は教室に戻ろうとした白崎さんに問いかけた。

白崎さんは振り返ってこう言った。


「君に関係ある話かもしれないから……かな?」


そう言って行ってしまった……。

関係あるとはどういうことなのだろうか…。

帰宅し風呂に入っていた時、今日のあったことを思い出した。


「俺に関係ある話………かぁ、」

「一体、なんの関係があるってんだよぉ」


湯気が天井に登り視界がボヤける。

いつまならリラックスできるこの状況も今は少しも落ち着けない…。


「これも全部、『あの話』が気になるせいだ!」


俺は浸かっていた体を勢いよく上げ、タオルで体を拭きすぐに外着に着替えた。


「こうなったら自分の目で確かめてやる」


春にはなったがまだ外は少し肌寒い。

少し厚着をし、本日二度目の登校をした。

学校の前まで到着した。

毎朝登校している学校とは雰囲気がぜんぜん違う。


「21時まで何もなかったら帰るか…。いくら高校生と言っても、夜遅くに外に出るのは危険だしな…、」


学校の前にある電信柱の後ろで隠れながら俺はその人が来るのを待った。

絶対にこの目で見て確かめるという思いが増していた。

学校の正門は入れないようバリケードとして1.5メートルほどの柵が置いてある。

その時、肩に手が触れた。


「やぁ、節峰(さだみね)君!こんな時間に学校に用事かな?」


ビクッとなり後ろを振り向いた。

そこには白崎(しらさき)さんが立っていた。


「ビックリしたぁ〜、白崎さんがなんで?」


白崎さんは不思議そうな顔をした。


「ここうちの近所で塾の帰り道なんだけど……言ってなかったっけ?」


そんなことを言っていた気がする。


「ところで君は『あの話』の件で今こんな時間なのに学校前にいるってことで正解?」

「それとも、早めに登校しすぎたとか?」


片方の選択肢は完全に俺をおちょくっているものだった。


「そうだよ。『あの話』の件できたんだよ。」


白崎さんはクスッと笑って言った。


「こんなところに隠れていてもすぐにバレちゃうよ?」

「隠れるならアソコだね。」


そう言って指を指した先には二階建てのアパートがあった。

アパートの階段を登り、2階のフェンスの間から確認することにした。

悔しいが、そっちの方が明らかにバレずに見ることができる。


「あ、頭いいね、白崎さん…。」


褒めた俺を見てありがとうと言ったようにニコっと笑った。


今の時間ポケットに入れたスマホで確認した。

時刻は19:49だった。もう少しで20:00を回る…。

その時、白崎さんが言う。


「ねぇ、なんで私が『君に関係ある話』って言ったんだと思う?」


今思えば言った本人が隣りにいいるのだから直接聞けばよかったと気づいた。


「分からないから、今ここにいるんじゃ?」


白崎さんはクスッと笑い言った。


「私から聞くよりも直接見た方がいいからって言うまでもなかったようだね、」


俺は言った。


「誰のせいっ…………」


白崎さんは口に右手の人差し指を当てた。


「シィッ⋯⋯」


薄暗いほど静かな住宅街に音が響く。


コツッ…コツッ⋯コツッ⋯


黒いフードを深くまで被った人が来た。

多分、『あの話』に出てきた人だろう…。

背格好や体格を見る限り男だろう。

フードの男は周囲をキョロキョロ確認し学校のフェンスに手をかけた。


ガンッ⋯ガンッ⋯ガシャンッ!


フェンスを登っていく男を見て俺は飛び出そうとした。

しかし、白崎さんに腕を捕まれた。

白崎さんが小さい声で話す。


「まだ早い…。」

「あいつが学校に入ったら私達も学校に入って現場を取り押さえる方が良い…」

「今行って正体を知っても惚けられたら終わりだよ…!」


白崎さんの言うことはたしかに筋が通っていた。

俺は再びしゃがみ、フードの男が学校に入っていくことを確認した。


「もう、行ったな…」

「よし!学校の中に入ろう。」


ガンッ⋯ガンッ⋯ガシャンッ!


フェンスを登り学校の中に侵入した。

夜の学校は暗く、不気味だった。


「学校の敷地内に入ったのは良いけど、こっからどうやって校舎内に入るんだ?」


入口や一階の窓を順に調べていったが入れそうなスペースはどこにもなかった。

あのフードの男はどこから入ったのだろう。

白崎さんが肩をポンポンと叩いた。


「二階のあの窓、空いてるんじゃない?」


夜風に当てられカーテンが外に出ていた。

駐輪場の屋根に登ればなんとか届く高さだった。

ジャンプし屋根に手をかけ足を上げ上へ登った。

白崎さんは身長的に屋根に手が届かないため待っててもらうことにした。


「私はここまでのようだね。」

「これだけは持っていくと良い」


白崎さんは懐中電灯を渡してきた。


「白崎さん、ありがとう。」


窓に手をかけ自分の体を持ち上げ侵入した。

窓は廊下につながっていたらしい。


「それじゃあ、2階から見ていくか…」


2階には化学室、生物室、音楽室、1年生の教室、コピー室、家庭科室、職員室がある。

しかし、2階を散策したがほとんどの教室が鍵が閉まっていた。

唯一空いていた職員室も人の気配はなく誰もいなかった。

念の為、職員室から清掃部の鍵をとった。


「1階を散策するか…」


怖いがそれ以上に男の正体が気になっていた。

1階には各部室、保健室、体育館、体育倉庫、3年の教室、校長室、会議室がある。

部室に到着した。

片手は懐中電灯で鍵穴照らし、鍵を入れて開けた。

部室にわざわざ向かったのには理由がある。

まず、職員室に鍵がかかってなかったのはすでにフードの男が職員室の鍵を保持していたからだろう。

つまり、フードの男がどこかの教室の鍵を盗んだということだろう。

そうなると本人はどっかの部屋で何かを探していると考えるのが必然だ。

けど、男が鍵を持っていたら俺はその部屋には入れないだろう。

だから、『マスターキー』が必要だった。

しかし、うちの学校は『マスターキー』を職員室に置いてはいない。

なら、どこに『マスターキー』があるのか……それは、この『清掃部の部室』だ。

部活動で様々な部屋に行く清掃部に『マスターキー』は渡してある。


「たしか、中央の机のカレンダーの横の筒の中に入ってたはず…………あった!」

「青宮先輩ごめんなさい……。」


そう言って清掃部の部室を後にした。

1階は散策したが人の気配はない。

残るのは3階だけだった。

懐中電灯の明かりがぶれる…手が震えている……その手を片手で抑えるがその手も震えていた。


3階に到着した。

行ったことがある部屋の明かりが着いていた。


「よりにもよってこの部屋か…、」


音がならないようドアに触れ開けようとしてみたがやはり鍵は閉まっていた。

この先にフードの男がいる。

ここまで来て引くわけには行かない。

『マスターキー』を手に鍵穴へ入れた。


ガチャ………。


鍵が開いた。


ドタッ…ドタン!ガタッガガ………!


中で音が聞こえる。

扉を勢いよく開けた。

そこにフードの男がいた。


「お、お前は!?」


そこにいたのは……

「なんで節峰(さだみね)が、ここにいるんだよ……」


いつも掃除をしに来ている事務室。

その床には散らかっているファイルや書類。

そこにはフードを被った男がしゃがみ込んでいた。

男が発した声は俺がよく知っている声だった。


「それはこっちのセリフだよ…………………なにしてんだよ!」

平山(ひらやま)…!」


フードの男は同じクラスで隣の席の平山(ひらやま) 千冬(ちふゆ)だった。

無音の時間が続いた。

先に口を開いたのは俺だった。


「お前、岩倉(いわくら)の件を調べに事務室に入ったのか?」


事務室には、先生から生徒まで多くの人の個人情報が記載されているファイルや書類がある。

そのため、基本的に一般生徒が先生に言ったところで入れるような場所ではない。

それだからこそ、平山は岩倉の情報を調べるために夜の学校に侵入をしたのだろう。


「そうだよ。岩倉のやつが不登校になっちまった以上、俺が直接に会って話すことはできないだろ?」

「だから、せめてあいつの家の住所さえ分かればまた会って話せると思ったんだ……。」

「もう一度会えれば、不登校になってしまった原因も知ることができるかもだしね、」


俺は少し怖くなった。

この平山 千冬という男は会ってたった数週間のクラスメイトのために不法侵入を犯すのだ。

『不法侵入(住居・建造物侵入罪)とは刑法130条に記載されており、

 3年以下の懲役(または拘禁刑)もしくは10万円以下の罰金に処される犯罪のことである。』


「確かに平山の気持ちもわからなくもない…。」

「けど、今この状況を誰かに見られてみろ?」

「事情を知らない誰が見たら犯罪者と同じだ!」

「どうしてこんな方法で情報を掴もうとしたんだ?」


平山は口を開いた。


「俺が岩倉のことを悩んでいた時、他クラスの女子が急に話しかけてきて…、」

「その女の子に事情を話したら色々手伝ってくれたんだ。」

「岩倉の住所を手に入れる方法やその手順とか考えるのを………。」


納得した。

確かに、学校侵入なんて行為は平山1人で実行することはできないだろう。

俺はすぐに聞き返した。


「おい…平山、……じゃあこの侵入は、お前1人で考えたわけじゃないんだな?」

「一体、その他クラスの女子ってのは誰なんだ?」


平山は首を横に振った。


「悪いな、節峰……。」

「俺はその子のことについて聞かれても何も答えないのを条件に手伝ってもらったんだ。」


その考えた侵入は失敗したのに、なぜ共犯者をかばうのかわからなかった。

俺は呆れた顔をした。

俺は後ろを向いた。

そこには俺が開けてそのままの扉があった。

その時、俺は一つの違和感を感じた。


「あれ…?俺、どうやってここまで来たんだっけ?」


ふと口に出したこの言葉は、なにか『核心』をついていたような気がした…。


「なぁ、平山…………………。」

「…………………白崎(しらさき) 彩音(あやね)……って知ってるか?」


平山は驚いた顔をした。


「なっ!?」

「節峰!お前なんで白崎さんを知ってるんだ!?」


やはり、白崎 彩音が共犯者だった。

今考えてみればおかしな話だ。

急に初対面のやつに話しかけて相手に関係ある話と言い切ったこと。

都合よく俺が待ち伏せした場所に現れたこと。

塾では使うことはないであろう懐中電灯を持ち歩いていたこと。

思い返してみれば2階の窓が空いているのに気づいたのも白崎さんだった…。

もしかして、と思い平山に聞いた。


「平山、お前は昨日も学校に侵入したか?」


平山は首を傾げた。


「白崎さんと予定していた侵入日は今日だから昨日は侵入してないけど、」


すべて手のひらの上で転がされていたのだ。

しかし、なぜ白崎さんがこのようなことをしたのかは分からない。


「平山、お前白崎さんの連絡先って持ってるか?」


そう聞くと平山はすぐスマホを出した。


「あるよ。まださっき手に入れた岩倉の住所しか送ってないけど…、」


そこにはすでに既読の文字がついていた。

俺は平山に聞いた。


「白崎さんは岩倉の住所を知りたがってたのか?」


平山は答える。


「そうらしいよ。」

「岩倉くんとは仲良かったからまた話したいって言ってた。」


俺はすぐに平山からスマホを奪い取って送信を取り消した。

平山は俺の腕を掴んだ。


「節峰!俺のスマホだぞ!返せ!」


俺はスマホを返した。

その時スマホが振動し始めた。

白崎さんから電話がかかってっきた。

平山はすぐに出た。


「ごめん白崎!同じクラスの節峰にバレちゃったんだけど、」


スマホの奥から聞こえてきたのは一言だけだった。


「ありがとう。さようなら…ー」


そうして電話は切れてしまった。

この時すべてを察した。


「平山、岩倉の住所を俺にも送ってくれ!」


平山は少し戸惑った。


「いいから早く!」


平山はすぐに送った。


「おい!どーゆーことなんだよ!節峰!」


平山はまだ白崎さんに利用さていただけということに気づいていない。

俺は平山から送られた住所をマップ検索にかけた。


「平山!逮捕されたくなかったらちゃんと事務室を元通りにして、鍵を職員室に戻して帰れ!」


そう言って事務室を出て清掃部の部室に行きマスターキーを元の場所に戻し部室の鍵を閉めた。

最後に2階に上がり職員室に清掃部の部室の鍵を戻して来た道と同じく窓から校舎の外へ出た。

そして俺はすぐに岩倉の住所へと急いで向かった…。


「はぁ、はぁ、はぁ、」

「やっぱり、ここに向かうと思ったよ、」


白崎さんは微笑んだ。


「思っていたより早かったね?走ってきたのかな?」


岩倉の家に着くとそこには白崎さんが立っていた。

時計を見たが、時間はとっくに20時を過ぎていた。

でも、今はそんなことはどうでもいい…。


「白崎さん…色々聞きたいことはあるが、まずはこれから聞かせてくれ。」

「白崎さんがそこまでして岩倉の住所を知りたかった…いや、岩倉に会いたかった理由はなんだ?」


白崎さんは顔を近づけてこういった。


「それはもう、なんとなく感づいてるんじゃない?」


俺は深呼吸をして呼吸を整えた。

確かになんとなくだが察しはついていた。

不登校になった岩倉に会いたがる理由はきっと…


「岩倉が不登校になった原因が白崎さんでそれを隠蔽しようとしたから…だよね?」


白崎さんは両手の人差し指を立てた。


「半分正解で半分不正解って言ったところかな。」

「岩倉さんの不登校になった原因を隠蔽しにきたのは事実だよ、」

「けど、原因は私にはない。」


俺は聞き返した。


「白崎さんが岩倉を不登校にしたわけじゃないのになんで隠蔽しようとしているんだ?」


白崎さんは上を向いた。

都会の灯りのせいで星などはまともに見えない。


「話をするのはここまでだ。」

「私がするべきことはもうしたから帰らせてもらうよ。」


そうすると急に背後から光が指した。

タクシーが背後から通過し、目の前で止まった。


「ここまでお願いします。」


行先が書いてあるであろうメモをドライバーさんに渡し白崎さんはタクシーの後部座席へ乗った。


「じゃあね、節峰くんまた話そうね。」


俺は呼び止めようとしたがすぐにタクシーは動き出し行ってしまった。

スマホを見ると平山から電話がかかってきていた。


「もしもし!節峰!お前、今どこだ!?」

「とりあえず、ファイルとか書類とかは元の場所に戻してぞ!」

「鍵も職員室に戻しておいたからな!これで捕まらないよな?逮捕は嫌だぞ!」


平山は本当に利用されていただけで何も知らなかったようだ。


「あぁ、大丈夫だよ。ありがとう。」


電話を切ろうとしたら平山が聞いてきた。


「あっ!後、岩倉が不登校になった原因はわかったのか?」


話そうとしたが今日はもう疲れたので平山と話す気にはならなかった。


「すまん、事情は後々説明する。」


平山は珍しく察したのか納得してくれた。


「わかった。じゃあまた明日な!」


平山はいつも通りのテンションだった。


「うん。また明日」


そう言って電話を切った。

結局何もわからないまま終わってしまった。

白崎が岩倉にしたことも原因がなにかもわからないままだ…。

夜に噴いた暖かい風は少し湿っているように感じた。

72話のラストまで

ゆっくり読んでいただけると幸いです。

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