立春
『二十死節季(24ver)』は『二十死節季』を全72話を24話にしたものです。
伏線などが多い作品のため改めて読み直す際などに読んでください。
書いてある内容は全く一緒です。
卒業生代表の言葉が始まった。
「暖かな春の日差しを感じる頃、この学び舎を去る日を迎えました。」
その言葉は3年間を表すにはあまりにも短すぎた。
卒業を喜ぶ者、卒業を悲しむ者、特に何も感じない者、様々な思いが交差するこの場は、
まさしく「青春の最後の1ページ」と言っても過言ではないだろう…。
桜舞う季節と言えるにはまだ少し早い時期に行われる卒業式は、何故か桜というイメージが有る。
桜が咲くのは入学式だというのに…。
それから数週間後入学式が始まった。
今日から「節峰さだみね 五季いつき」は高校生となり、『東京都立桜星ろうせい高等学校』に入学した。
「今日からこの学校で3年間過ごすのか…」
周りは同じ中学校だったのか入学当初から友だちがいる。
五季はこの春から『青ヶ島』という小さな島から引っ越してきた。
そのため、学校入学前からの知り合いなどはいない。
入学式の校長先生の挨拶や在校生代表の言葉が終わりクラス名簿が発表された。
本校は『αアルファクラス』から『Υイプシロンクラス』までの五つのクラスで分けられている。
クラス名簿は入学の際支給されてた学校用スマートフォンにメールで送られている。
「節峰、節峰、節峰…。」
「あった!俺は『βベータ』クラスか!」
窓で晴れている外の景色を見ながら軽い足取りで教室へ向かった。
教室にはもうほとんどの生徒が座っていて、それぞれ隣同士で話が盛り上がったりしていた。
誰も、扉を開ける音に気が付かないほどに…。
右から三列目の前から二番目の自分の席に座った。
「なぁ!お前!どこから来たんだ?」
左隣に座ってた男子が話しかけてきた。
「俺は、青ヶ島っていう東京からずっと下の方に行くとある島から来たんだ。」
緊張しながらもしっかり答えた。
「へぇ、聞いたことない島だなぁ。ちなみに!俺はここら辺にずっと住んでてそれでって感じ!」
「おっと、自己紹介を忘れてたな!俺は平山ひらやま 千冬ちふゆ!お前は?」
「俺は、節峰 五季。よろしくね!」
クラスの雰囲気にうまく溶け込めた気がした。
そんな雰囲気の中先生が教室に入ってきた。
「お前ら〜席につけぇ〜」
やる気のないような低音系おじさんボイスだった。
クラス全員の視線が教壇に立った先生を向いた。
「えぇー、今日から担任になる足立あだち 三郎さぶろうだ。」
「まぁー、なんだ?ある程度のことしていいが、俺には迷惑かけるなよぉ。」
完全に教師としての尊厳やプライドのない自己紹介だった。
俺を含め、教室にいたほとんどの生徒が苦笑いをしていた。
「それじゃあ、入学してまだ数分だが、委員会決めに応援団決めとやることが多いらしい…。」
「俺は極力働きたくないから、学年委員だけ先に決めてそれらを全部任せたいんだが…。」
「男子2人女子2人の計4人だ。やってくれるやついるかぁ?」
教室はさっきまでが嘘のように静まり返った。
学年委員という役割は仕事が多いため部活やバイトなどをやりたいと考えている人はまず、手を挙げない。
そのため、部活と委員会の両立ができる人か、暇な人しかなれないのだ。
その時、隣から平山が小声で話しかけてきた。
「なぁ、お前!部活とかバイトをやりたいとか考えてたりするか?」
皆考えることが一緒らしい。
少し考え答えた。
「俺、引っ越してきたばっかりだから、一応、部活とかバイトはまだしないつもりだよ。」
平山が目を輝かせて話し出す。
「なら、ちょっと俺と一緒に立候補してくんね?」
「俺学年委員やろうと思ってるんだけど、知ってるやつが近くにいたほうが話せるんだよ!」
「だから!頼む!」
真剣な眼差しを向けられ、俺は答えた。
「いいよ、入りたい委員会もないし…。」
そうして、二人で手を挙げた。
「何だぁ?お前ら!やってくれるのか!?」
「おしっ!あとは女子2人だな、ちゃっちゃと決めていこう!」
女子はその後すぐに二人手を挙げた。
女子の学年委員も仲が良い二人が立候補して無事、四人になり1年βクラスの学年委員が決まった。
「それでは、改めて自己紹介だけは頼む」
先生はそうして窓の外を見て動かなくなってしまった。
完全に仕事する気がない…。
学年委員が自己紹介を始めた。
「私からですね。加奈山かなやま 碧莉あおりといいます。好きなことはテニスで部活もテニス部に入るつもりです!気軽に話しかけてくれると嬉しいです!皆さんよろしくお願いします!」
「柊ひいらぎ 恵里菜えりなといいます。学年委員として少しでもクラスのみんなを支えられたらなと思います!よろしくお願いします!」
「俺は平山 千冬!このクラスの皆とすぐに仲良くなって最高の思い出をたくさん作りたいと思ってます!中学で野球をやってたので高校でも野球をするつもりです!みんなよろしく!」
ついに俺の番が来た。
あまり、人前で話すことに慣れていないからすごく緊張してきた。
「さ、節峰 五季です…。」
緊張で頭が真っ白で、話すことが思いつかない。
「引っ越してきたばかりなので……ここら辺のことをたくさん教えてくれたら嬉しいです……。よろしくお願いします。」
誰でも思いつくような挨拶になってしまった。
教室の雰囲気は盛り上がることもなく逆に下がることもなかった。
そして保護者用のプリント類などを渡され各自帰宅となった。
クラスの皆が教室を出たことを確認し、先生から鍵をもらって鍵を締め振り返ると足立先生が立っていた。
「おう!こんな時間まで鍵閉めご苦労!」
時計の針は17時を指していた。
「なんだっけ、え〜っと…あっ!思い出した!節峰!お前入りたい部活とかあるか?」
急な質問にびっくりした
「と、特に考えてないですが、それがどうしました?」
そんな俺を見て先生はにやりと笑った…
嫌な予感を感じた。
「じゃあ、お前俺が顧問をもっている清掃部に入らないか?人手が足りないんだよ、頼む!」
俺は少し考えて答えた。
「まぁ、体験入部の時実際に行って決めます。」
先生はキャラに似合わずホッとした顔をしていた。
「わかった!それでいい!絶対に来いよ!来なかったら内申点下げるからな!」
そう言って職員室に戻って言った。
今日は疲れたので寄り道もせず帰宅することにした。
「ただいま〜」
引っ越しで使った段ボールが壁に立て掛けてある誰もいないワンルーム。
物が少ないため、声がよく響く。
テレビを付け、中央に置いてある丸い机にスマホを置き、腰を下ろした。
スマホを見ると3件ほど通知が来ていた。
平山からだ…。
〈平山〉17:36既読
よう!お前のアカウントってこれであってるよな?
今日は学年委員になってくれてありがとう!
明日からも一緒に学年委員として頑張ってこうぜ!
〈平山〉17:52既読
ちなみに今、クラスの何人かと親睦を深めるために学校の近くのファミレスに行ってんだけど、
よかったらお前も来ないか?
〈平山〉18:21既読
ー不在着信ー
「な、なんかうちのクラス平山が中心になりそうだな」
そういいくすっと笑って返信した。
〈節峰〉18:38
ごめん!もう家着いちゃったからまた誘って!
そう送信して風呂に入った。
学校生活は初日から少し忙しかった…
東京都立桜星高等学校には部活動が多く存在する。
そのため、入学式が終わった次の日からは新入生の勧誘がすごい。
朝校門の前を通ろうとすると必ず声をかけられる。
「君!サッカーには興味ない?」
「これ、うちの部活のチラシです!」
朝からよくこんな大声を出せるなと呆れを通り過ぎ関心まで覚える。
「すみません、通ります。」
なんで毎朝こんな事になっているのかとつくづく思う。
教室に向かうと加奈山さんが配布プリントを机においていた。
「おはようございます。節峰さん。朝早いですね!まだ他に誰も来てないのに…」
誰もいない教室で二人きり。
健全な男子高校生ならなにか意識してしまったりするのかもしれない。
「おはよう。加奈山さんこそこんな朝早くから偉いね!」
そう言って自分の席に荷物を置いた。
「ちなみに節峰さんは部活何にするかもう決めましたか?」
入学式の日の放課後に足立先生に言われたことを思い出した。
「俺は特に入りたい部活はないんだけど、足立先生に言われて清掃部の体験入部は行く予定だね。」
そうすると、加奈山さんは不思議そうな顔をした。
それもそうだ。掃除なんてことを部活でやって誰が喜ぶんだって話だ。
「清掃部というのは知りませんが、私は吹奏楽部か華道部に入りたいと考えています。」
「華道部には私のお姉ちゃんも所属しているんですよ!」
姉妹揃ってこの学校を選んだのは『ザ・地元民』だなと感じた。
俺にも兄弟がいれば少しは寂しくなくなるかなという考えがよぎった。
「おはよ〜2人とも朝早いねぇ、」
そう言って入ってきたのは柊さんだ。
入学してクラスの仲の良い人たちだけで構成されたグループが作られ始めた。
女子18人、男子12人のうちのクラスでは女子の勢力が強い。
その中でも中心と言えるのが柊さんのグループだ。
「ねぇ、碧莉。昨日の数学の宿題やり忘れたから写させてくんない?」
正直まともに話したことないのにこんな事を思うのも何だが、柊さんの性格は敵を作りやすいと感じた。
自分のことを最優先するタイプの思考の持ち主なため、周囲の人から嫌われることが多いだろう。
けど、その分男子にはっきり言えるところが女子から信頼される理由の一つだったりもする。
しばらくすると他のクラスメイトも続々とクラスに集まり始め、朝のホームルームが始まった…
「んー…。えっとまぁ特に連絡とかはないが、お前らが入学してもう五日だ。」
「来週には、もう体験入部期間が始まり、いよいよ高校生って感じだ。」
「くれぐれも、ハメを外しすぎて問題行動を起こしたなんてことはないようにしろよ?」
「まぁ、俺はお前らを信頼してるから裏切ったりするなよ…。それじゃ号令!」
体験入部の話の時、一瞬先生と目があったような気がした…が多分、気のせいだろう。
ホームルームが終わり平山がすごい勢い話しかけてきた。
「なぁ五季!放課後クラスの男子5人くらいでカラオケするんだけど、お前もよかったら一緒にどうだ?」
平山は今週ずっと俺のことを遊びに誘ってきてくれる。
しかし、なかなか予定が合うことがないため断っている。
今日は特にこれといった用事もないし、行ってみるか……。
「いいね!楽しそう!本当に俺も一緒に行っていいの?」
平山は俺の両方を手で抑え体を前後に揺らした。
「やった!やった!ようやく五季と遊べるぜ!ナイスすぎるよお前〜!」
「それじゃあ、放課後14時に『日暮里駅』近くのコンビニ集合な!」
そう言ってすぐに帰ってしまった。
今日は放課後残れなくなったため教室の戸締まりは加奈山さんに頼むことにした。
家に帰って昼食をとり、すぐに着替え日暮里駅へと向かった。
「よぉ!思ったよりも早かったな!五季。」
遅れてはいけないと思い30分前に駅についたのにもかかわらず平山がいた。
「あれ?もういるの?まだ13時32分だよ?」
平山は少し汗をかいていた。
「まぁな!用事があって先に来てたんだ!それよりも今日は楽しもうぜ!」
きっと、皆が来た時待ち合わせ場所がすぐにわかるようにしてくれたのだろう。
平山はいいやつだなと感心した。
14時00分になり6人全員揃ったので近くのカラオケに向かった。
「よしっ!到着だな!荷物とかはこっちに置いてくれ!」
平山は部屋の角に荷物をまとめた。
そしてじゃんけんをして誰が飲み物を取りに行くかを決めた。
見事な1人負けをしてしまった俺が結局とりに行くこととなった。
「まさか負けちゃうなんてなぁ〜運がついてないなぁ、」
そう言って飲み物を全員分入れていると横に見覚えのある人がいた。
加奈山さんだ。
「あ、あれ?節峰くん?どうしてここに?」
制服姿で手にはたくさんのコップ…。
なるほど、学校から直で来たらしい。
そして、俺と似たような状況らしい。
「俺は平山に誘われて来たんだ。」
「加奈山さんこそどうしてここに?」
加奈山さんは少し考えてからすぐに答えた。
「私も、そうです!友達と一緒に遊んでて、奇遇ですね!」
そんな話をしている間に飲み物を全員分注ぎ終わり俺も加奈山さんも自分たちの部屋へ戻っていった。
部屋に帰りドアを開けるとさっそく皆が歌い始めていた。
「ありがとう!」
「サンキュー!」
そう言って各自持ってきた飲み物を飲み始めた。
それから数分後、一緒にカラオケに来ていた岩倉 大輔がトイレに行った。
歌うのに夢中ですっかり岩倉がトイレに行ったことを忘れていた時、岩倉は帰ってきた。
「お、俺ちょっとみたいアニメがあるから今日は帰ることにするよ。」
「これ、お金…払っておいてくれ!じゃあな、」
そう言って帰ってしまった。
カラオケ内は暗くて少し分かりにくかったが、岩倉はすごい汗をかいていた。
きっと、それほど岩倉にとって大事なアニメなのだろうと思った。
そして、時間はあっという間に過ぎ解散した。
俺と平山は家が同じ方向のため途中まで一緒に帰ることになった。
その時に平山が空を見ながらこうボソッと言った。
「岩倉のやつ、友達と遊ぶよりもアニメかよ」
俺は否定も肯定もしなかった。
頭の中で何かが引っ掛かるような気はしたが気のせいだろう…
入学して二週間目の初日⋯。
いつものように学校に行くと足立先生が後ろから話しかけてきた。
「部活動体験の件忘れてねぇだろうな?さぁ〜だぁ〜みぃ〜ねぇ〜」
この先生は本当は忍者なのではないかと思うくらい背後に立つのがうまい。
「先生…、急に背後に立つのやめてください。ビックリします。」
「体験入部ですよね?清掃部の⋯⋯今日の放課後15時から、…忘れてませんよ!」
それを聞いた足立先生はホッとした顔で職員室に戻った。
「おはようございます。」
急な背後の声にびっくりした。
「お、おはよぉ?な、なんだ加奈山さんか…、びっくりしたぁー、」
加奈山さんはクスッと笑い教室に入っていった。
その後、いつも通り授業を受け昼休みとなった。
昼休みは平山が一緒に昼ご飯を食べたいと言うので食堂へ行った。
「はぁ、部活どうしよぉ、」
平山はかなり悩んでいる様子だった。
「あれ?平山ってたしか…中学で野球やってたから高校でもやる!みたいなこと言ってなかったっけ?」
平山はよくぞ聞いてくれたと言わんばかりに答え始めた。
「それがさぁ、聞いてくれよ!うちの高校の野球部はもともと10人しかいなかったんだけど、」
「そのほとんどが三年生で、その三年生も卒業しちゃって、今は先輩3人だけなんだって…」
「このままだと、大会にも出場できないし来年にはもう同好会みたいになるらしいんだよ!」
「流石に今から足りない人数を揃えるのは無理だし、いっそのこと別の部活入ろうかなと思ってるんだよ」
「節峰〜お前はどう思う?」
野球部の事情も大変なんだなと思った。
「それだったら、野球部はやめといたほうが良いかもね……、」
こんな大事な事を俺が意見して良いのかと言ってから思った。
平山は何かを決めたように立ち上がった。
「俺、やっぱり体験入部行ってから決めるわ!」
そう言って職員室に体験入部の申込書を提出に行った。
昼休みが終わり、午後の授業となった…。
「それじゃあ、5月に迫っている体育祭の応援団をこの時間を使って決めたい…が、」
「めんどうなので、後は学年委員の誰か1人よろしく頼む。」
そう言って足立先生は教壇の横の椅子で座り始めた。
相変わらず仕事をしない姿勢にクラスのほとんどの人が呆れていた。
学年委員4人でじゃんけんをした結果まさかの一人負けで俺がやることになった…。
「それじゃあ、今からこのクラスの人から男子と女子で二人、応援団を決めたいと思うんですけど…」
「やってくれる人はいませんか?」
なかなか手が上がらないのを予想していたが、あっさり決まった。
クラスで一番体が大きい男子である山本 昌平と学年委員から柊 恵里菜が立候補した。
「それでは、応援団はこの二人で決定しますがよろしいですか?」
クラス全員が首を縦に振った。
これで応援団が決定となり、午後の授業が終わった。
そして体験入部がある放課後となった…。
「たしか、清掃部は1階の保健室と体育倉庫の横だったよな…。」
「本当にここなのか…?」
そこには何も貼られたり、書かれていない白い扉があった。
入ろうとした時となりの体育倉庫の扉が開いた。
「うおっ!ビックリしたぁ!」
そう言って出てきたのは野球用バットを持った平山だった。
「平山?そっか!野球部の体験入部か…。ごめん驚かしちゃって、」
平山は俺の顔を見るなりホッとした顔で言った。
「大丈夫!じゃあ!俺急いでいるから!」
そう言って平山は走っていった。
今日はやたら平山と話している気がする。
まぁ、今のところ平山としか心置きなく話せる友達がいないから仕方ないかと思う。
そんなことを思いつつ部室であろう部屋の扉を開けた。
「し、失礼しまーす。」
部屋には誰もいなかった。
「ここが部室であってるよな?」
天井にあるシーリングライトが部屋全体を明るくしている。
部屋の端には観賞用の植物と書類棚がありファイルや書類がびっしりと収納してある。
壁には学校の校舎内のマップらしきモノが飾られてあり付箋や赤いペンで丸をした跡などがある。
「あれ?まだ誰も来てねぇのか?」
後ろから声がして振り返るといつものように足立先生が立っていた。。
「先生やめましょうって言いましたよね?」
怒ろうとしたが、正直もう慣れてしまったせいかあまりびっくりはしなかった。
「すまん、すまん、」
「まだ、誰も来てないようだし…先に活動の説明だけ軽くしとくかぁ…」
そう言って足立先生による部活動説明が始まった。
「まぁ、うちの清掃部は基本的に学校の掃除をするってのを目的に活動している。以上だ!」
分かりきっていたことをただ言っただけで知りたいことは何一つわからない説明だった。
「す、すみません…、具体的にどこを掃除するんですか?」
足立先生は嫌そうな顔で答えた。
「まぁ、普段生徒が入れないようなとこの清掃だな…。」
「職員室や校長室、会議室そこら辺はどうしても誰でも入って清掃してくださいとはいかないからな、」
「使われていない教室の清掃もあるが、そーゆーのはめんどうだから長期休みの間に行うようにしてる…」
「まぁ、説明はこんなもんかな………ないことを祈るが他になにか質問はあるか?」
あまりにも嫌そうな顔をするので質問する気も失せていた。
「いえ、平気です…。」
その後、部室で足立先生と待っていると二年生の先輩が入ってきた。
「足立先生もういたんですか。」
そこにはマスクをした黒髪マッシュの男の子が立っていた。
足立先生はゆっくり立ち上がった。
「おぉ!ようやく来たのか」
「遅えよ!もっと早く来い!サボって俺の時間を無駄にするな!」
二年の先輩はため息をついた。
「僕、委員会の仕事があったんで、サボっていたわけではないので、」
その声は棘があるようだった。
それを聞き足立先生は頭の後ろをポリポリとかき、俺は悪くないと言わんばかりの顔をしていた。
「おぉ!忘れるところだったな…。こいつは青宮 聡太だ。」
「節峰は今日はこいつについて回って仕事を色々教えてもらってくれ!」
「軽い説明はもう節峰には言ってあるから後は頼む。」
先輩の顔を見ると少しめんどくさそうな顔をしていた。
「おしっ!俺はこれにて帰らせてもらうぞ!仕事なんかしたくないからな!」
そう言って職員室に戻っていった⋯。
先輩と二人きりになり少し気まずい雰囲気が流れた。
「じゃあ、掃除部の説明を始めるんだけど、多分活動内容はもう聞いてるんだよね?」
「なら、説明するより見たりやったりする方がわかりやすいと思うから僕についてきて…」
そう言って部室にある掃除ロッカーから慣れた手つきで清掃道具をとった。
「今日は月曜日だよね?」
「基本的にうちの部活は平日は毎日あるんだけど、曜日によって掃除場所が違うんだ。」
「月曜日は事務室、火曜日はサーバー室、水曜日は職員室、木曜日は会議室、金曜日は校長室」
「こんな感じに分けてあるんだ。んで今日は月曜日だから今から僕達は事務室に向かうよ。」
これって二人で足りるものなのかと思いながら事務室へ向かった。
事務室につくと先輩はバケツを渡してきた。
「悪いんだけど、そこの水道から水を汲んできてくれ。」
急な指示に少し戸惑ったが、すぐにバケツをもらい汲みに行った…。
事務室に戻ると先輩はハンディモップを持って書類棚の上のホコリを取り始めていた。
汲んできたことに気づくと手を止めた。
「そこに置いといて、」
そう言われたのでドアの横に汲んできたバケツを置いた。
「じゃあそこにハンディモップあるから、それ使って事務室の書類棚の上のホコリを取って。」
先輩はそれだけ言うとまた仕事をし始めた。
「わ、分かりました…」
その日は他のことは特に何もせず、部活の時間が終わった。
目的といい活動といい用務員を雇えば良いのではないかという疑問を感じた。
まぁ、結局足立先生の影響もあり部活に入部することとなった⋯。
『二十死節季(24ver)』は3日に一回のペースで更新していきます。




