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作画スキルで異世界らくらくスローライフ  作者: 奏月脩/Shuu Souzuki
第一章 ハイエルフのお姫様に異世界召喚された件

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第8話 ベッドはいくつがいいでしょうか?


 ガチャリっ。


 豆腐ハウスの扉を開き、実際に中に入ってみる。


 人数的な事もあり、間取りだけはそれなりに広めに作った空間が俺達を出迎えてくれた。





 ……ぽつんっ。


 しかし、その広さがかえって殺風景さに拍車をかけている。


 部屋の中央には、照明の下に真っ白なテーブルと1脚の椅子が置かれているだけ。


 それがかえって悪目立ちしている。


 まあ、照明と水回りのおかげで多少はマシに思えるが……。


 それでも寂しいし、色々と足りてないな。


 しかし、一応外から見える様な形で作画した内装はしっかりと反映されているようなので、それがわかったのは一つの収穫だろう。


 それに、肝心なのはエアコンと照明。あとは水道やシンクなどの水回りだ。


 具現化した電化製品が動くのかどうか、水道や排水関係が機能するのかなどは正直言って気になるところ。


 一つずつ試してみる。


 まずは照明。



 ――――カチッ。


 本体からぶら下がっている点灯用の紐を引っ張ってみれば、きちんとLEDのライトが灯る。


 凄い、どんな原理かはさっぱりだが、電気が通っていない筈なのに問題なく使用できる。


 それに何度か試してみてわかったが、二回連続で引っ張ると温暖色の明かりにも変更できるようだ。


 こうなると、エアコンの方も期待できる。


 正直、この遺跡の環境は若干冷え込んでいるので、暖房が使えるなら結構有難い。


 ……と、そこで俺は肝心なことを見落としていたことに気付く。


「あっ、リモコン描いてないや……」


 急いで描く。


 ……が、細かいボタンの内容なんて覚えている筈もなく。


 ボタンは最低限に済ませる。


 電源ボタンに冷房と暖房、あとは温度調整の画面と矢印ボタンだけだ。


 サイズもかなり小さめ。


 出力。からの起動。


 ――――ピッ。


 電源を付け、暖房のボタンを押せばあら不思議。


 やはり電気が通っていないにも関わらず、暖房が付いた。


 音は静かだが、見た感じしっかりと作動しているようなので問題はないだろう。


 この分なら、水回りも期待できそうだ。


 俺はそのままの流れで、水道の蛇口もひねってみる。


 ――――ジャー。


 こちらもしっかりと使用出来た。


 それに、シンクに流されていった水も、下のタンクに落ちるやいなやまるで魔法のように消えていく。


 試しに水以外の物として、石ころを描いて具現化したものを流してみれば、そちらは消えずにタンクに溜まっていた。


 それと同時に、タンクには10分のタイマーが表示されている。


 まあ、単純に推測するならば、これは水以外の物が消滅するまでの残り時間だろう。


 本当に痒いところに手が届く万能さである。ご都合主義ここに極まれりだった。


 有難い。


 この分なら、排水に関しても問題はなさそうである。


 まあ、依然としてどういった原理なのかは皆目見当もつかないけどな。



 しかし、こうして改めて部屋を見渡して思うが、やはり家具が少なすぎるな。


 一応電化製品と水回りのおかげで多少の生活感は感じられるが、それでもぱっと見の印象は引っ越ししたばかりのリビング&ダイニングといった感じ。


 まあ、そうはいっても一晩だけだし、とりあえず今ある家具だけでもちゃんと確認しておこう。


 まずは少々不安の残る丸椅子だ。これは特にこだわることもなく簡単に描いた。


 ある程度はサイズ調整が可能な椅子をイメージして描き、色は白。異世界には似合わないかなりモダンなデザインの椅子である。


 それに、手抜きで描いたからかちょっとイラストっぽい感じが残っていた。


 ユリア(しか)り、この小屋ですら完全に三次元に最適化されて具現化されているので、これも一つの発見だろう。


 あまりにも手を抜き過ぎると相応に陳腐(ちんぷ)な出来になると。


 まあ、椅子の方も耐久性自体に問題はなさそうだから一日だけの辛抱か。


 ただ座るだけで複雑な物でもないし、こういったものは手抜きでもそこまで問題はないのだろう。



 しかし、家具の中でもそれなりに気合を入れて描かなければいけないものが一つある。


 そう、ベッドだ。


 泊まる為に小屋を建てたのだから、これは絶対に必要。


 しかし、これがまた悩みどころだった。


 贅沢は言わないが、それでも硬いベッドは嫌なので、ちゃんとしたマットレスやシーツは欲しい。あと、個人的には掛布団も重要だ。


 そしてそうなると、おそらく色や質感の表現はある程度きっちりする必要があると思われる。


 そこで頭を悩ます事になるのは、やはり小屋の時と同様の問題だ。


 そう、いくつ作画するのかという事。


 正直に言えば、ちゃんとしたベッドをいくつも作画するのは結構な労力だ。


 絵描きアプリのコピー機能が使えればいいのだが、何故だかこの世界に来てからは、コピーやペーストのような一部機能が使用できなくなっているためこの手は使えない。


 不便ではあるが、まあこれはこの能力の万能さを鑑みれば妥当なバランス調整にも思えるので、仕方がない事なのだろう。


 しかし、そうなるとやはり人数分のベッドは厳しい。


 まあ、一時間もあれば出来なくはないのだろうが、大変な事に変わりはない。


 ベッドの場合は豆腐ハウスと違って布の質感が一つネックとなるのでなおの事だ。


 でも、やろうと思えばできる。


 ユリアにも、小屋の時に妥協してもらった分ここで出来ないとは言いずらい。


 しかし、質の良いベッドを描こうと思えば大変なことは確実だ。


 つまり、これは労力と配慮をかけた天秤。


 そして、微かに混じるは自分でもどちらに落ちるかわからない、ほんの少しの己の欲望。




 ……うん、本音を言えば、この労力を言い訳にミクと同衾したい。無論ユリアともだ。


 しかし、流石の俺でも今日初めて会ったばかりの女の子達に「そういう訳だから今夜は一緒のベッドで寝ようぜ!」なんて気楽に言える筈もない。


 ミクに関してはお姫様だ。考えなしに同衾するのは流石に(つたな)いだろう。


 まあ、それでも本人の口から誘われれば断れる自信はないが。


 何なら、彼女の場合は言えば同衾してくれそうな気もするので本当にドギマギさせられる。


 それにユリアもユリアで、ジト目になりながらもなんだかんだで添い寝してくれそうな気がするからやっぱり魔が差しそう。


 まあ、それでも俺が「2人と一緒に寝たい」とか実際に言ったらめっちゃ冷めた目で睨まれそうだけど……。


 ならばと妥協して二人分にして作画しようにも、それはそれで拙い。


 ミクとだけ寝た場合、自惚れでなければ案外ユリアの機嫌を損ねそうだ。それに、やはり彼女が王女であるという問題もある。


 かといって、ユリアと寝た場合それはそれで問題がある。


 何せ、一目惚れした女の子を差し置いて他の女とだけ同衾はどんなんだ?という話だ。


 ならばいっそミクとユリアで寝てもらう……?



 まあ、それはそれでありな気はするな。


 だが、なんだかその選択肢を取ると男として言いようのない敗北感を感じるのでやめておこう。


 あと、何やら新しい扉を開いてしまいそうだ。


 それも、この扉を一度開いてしまえば、俺の童貞卒業が遠のきそうな予感がする。




 うん、ここはやはり人数分作画して無難に解決するしかないのかもしれない。


 だが、やっぱりそれはなんだかもったいないような気がしてしまうのも事実なわけで……。




 ……ふむ、どうしたものかな。


 そんなしょうもない事を考えて一人うんうんと悩んでいると、そのタイミングで丁度小屋の外から声が聞こえて来た。



「わっ!えっ、なにこれ家?もしかしてユヅル様が言ってたのってこれの事かな?でもこの家の素材、何で出来てるんだろ?」




 ……どうやら、彼女の方の作業は終わったらしい。


 この小屋の存在に気付いたらしいミクの驚く声が聞こえてきた。





 ……うん、一旦ベッドは後回しでいいかな。


 俺とユリアは一度小屋の外に出て、ミクの様子を見に行くことにした。



「あっ、二人共!この小屋はやっぱりユヅル様の能力で?」


「ああ、そうだ」


「凄い!まさかダンジョンの中にあっという間に小屋を建てちゃうなんて!」


「あはは、まあ、見た目も内装も全然だけどな」


「それでも鞘の時よりも早いし大きいよ!」


「あー、それはまあ確かにそうなんだが……むしろ鞘に関しては本当に時間を掛け過ぎたな。改めてすまん」


『……我はもう謝ったからな?』


「ああ、わかってるよ」



 ……なんとなくいたたまれない気持ちになったため、慌てて話題を反らす。


 こうも色々と褒めてもらったのだから、今度は俺がミクを沢山褒める番だ。


 俺が小屋を建てている間、彼女はずっとこの場の安全を確保するために結界の展開をしてくれていた。


 そもそも俺が小屋を建てたのだって、彼女と同じように自分も役に立たなければと思っての事。


 一番称賛されるべきは、ミクの働きであることに違いはないだろう。



「ミクの結界も、もう張り終わったんだよな?」


「うん、終わったよ!これだけでも数日は持つと思うかな」


「凄いな、これも魔法なんだろう?戦っているときにも思ったけど、この透明な薄い膜をあんなに強固に出来るなんて。ミクってやっぱりすごい魔法使いなのか?」


「えへへ……私なんて全然まだまだだよ。まあ、それでもこと結界や障壁に関しては一族で一番得意だとは思うけどね!」



 そう得意げに語るミクがなんだか可愛らしくて、思わず笑みがこぼれる。


 それにしても、一族で一番か。


 確かに、素人の俺にも彼女の結界や障壁の凄さはわかった。


 彼女も沢山褒められて気を良くしてくれたのか、色々と教えてくれた。

 

 それでも、魔法素人の俺にはちんぷんかんぷんな内容ばかりだったので、改めて彼女の凄さを実感させられる。


 まあ、魔法の無い世界から来たのだから俺が理解出来ないのも無理はないのかもしれないが。


 それにしたって難しそうであるという事はわかったため、ミクもお転婆なだけで地頭はかなり良い方なのだろう。


 彼女の凄い所を沢山教えてもらったのだから、次は俺の凄いところを見てもらう番だな。



 ふっふっふっ、今からミクに、LED照明やエアコンを見せるのが楽しみだ。







↓同時連載中

「The Hero's Sweet Brides~学園の女子だけ貞操観念が逆転していくサバイバルクラフトゲームで、俺だけ既に神殺しと畏怖された異世界の救世主~」

https://kakuyomu.jp/works/822139838557577613

※もう一つのリンクはノクターンノベルズの為ここでは割愛。


・作者X

https://x.com/Shuu_Souzuki

作品の執筆状況などをたまに投稿していく予定です。

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