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作画スキルで異世界らくらくスローライフ  作者: 奏月脩/Shuu Souzuki
第一章 ハイエルフのお姫様に異世界召喚された件

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第7話 遺跡の中に立派な豆腐ハウスを建てよう



 どうやら、アルちゃんのような喋る武器や道具というのは、他にも存在自体はしているらしい。


 ただ、それらは主に一部の実力者や王族が有しているくらいで、滅多に見かけないと。


 道中、ミクからその辺りの事も色々と教えてもらった。


 やはり、異世界転生というイレギュラーの中、現地の人に色々と話を聞けるこの状況は不幸中の幸いだったな。


 勿論、ミクと出会えたことが一番の幸運だとは思うが、そういったことを抜きにしても助かるものは助かる。




 俺達はミクが残してきたという目印を頼りに、順調に遺跡を引き返していった。


 そして、とうとう今まで探索してきたエリアのスタート地点へと到達。


 階段を上り、次のエリアに。


 ミクの話によれば、このダンジョンは6エリアしかない代わりに1エリアが広大という話。


 今日は3エリアも引き返せれば上々という風に言っていた。



 さて、そんなわけで順調に引き返していき、気付けば目標の3エリア目に。


 ここまで結構歩いたし戦闘も多々あったが、相変らずダンジョンの大まかな雰囲気に変化はなかった。


 強いて言うなら、出現する魔物に変化があったくらいか。


 といっても、最初のエリアで遭遇した魔物たちと比べれば、徐々に弱くなっていってる気がする。


 まあ、最深部から引き返しているのだから当然と言えば当然か。


 今も俺達の前に新たな脅威が現れたが、正直あの熊と比べれば可愛いものだ。


 意気揚々と襲い掛かってくるアンデットの騎士を前に、ユリアがすっと二振りの剣を抜刀する。




 ……ああ、やはり問題ないな。ユリアが息をする間もなく一瞬で四つ切りにして見せた。


 この分なら、今の俺達が戦闘で後れを取ることは無いだろう。


 それに、引きこもりがちで運動不足だった筈の俺が、なぜだかここまで一切の疲労を感じていない。


 やはり、この世界に召喚された際に肉体も作り替えられたのだろうか?


 俺がこの召喚を異世界転生だと認識しているのも、その辺りが関係している。


 実際、今の俺は地球にいた頃では考えられない程のフィジカルモンスターとなっていた。


 肉体の見た目も、目に見えて筋肉質になっている。我ながらナイスバディだった。


 二の腕の硬さや割れた腹筋に、ひそかに感動していたのはここだけの話である。




 しかし、そんな俺や天使であるユリアは大丈夫でも、一見か弱そうに見えるミクの方が心配だ。


 一応、彼女もかなりの実力者のようなので、そこまで疲労している様子はないが。


 それでも、ミクからはここを一日で踏破するのは困難だと聞いていたので、素直に彼女の助言に従いたい。


 俺のタブレットではこちらの世界の時刻も図れるようになっているようで、確認してみた。


 表記は丁度17時を越えたあたり。


 祈りの神像の間を出てから大体7時間といったところなので、切り上げるにはいい時間だ。



 だが、こういった場所での安全確保のノウハウなど俺には当然ない。


 故にここはミクに尋ねるべきところだろう。


 そう思って彼女の方を見ると、丁度彼女も襲い掛かってきた大ネズミ型の魔物を撃破したところだった。


 彼女は半透明な障壁のようなものを操るのが得意なのか、一瞬で作り出した二枚の障壁で勢いよく挟み込み、魔物をグチャリっと容赦なく圧殺している。



 ……うん、グロイな。


 リアルだから当然モザイクなどもなく、とてもじゃないが良い子にはお見せ出来ない惨状である。


 一応、倒した魔物の死体は一日過ぎれば完全に消滅するようなので、そこは無視していいらしい。


 素材が欲しければ一日以内に採取して本体と分離させる必要があるようだが、今回は全スルーだ。


 だから倒し方にこだわる必要はないのだろうが、それにしてもかなり残酷な倒し方だったな。


 一見、その可憐さと天然さからただの天真爛漫なお姫様にしか見えない彼女も、こういうところはかなり割り切っているらしい。


 まあ、俺としてもそれを間違いだとは思わないし、だからといって失望するなどもっての他だとしか思わないが。


 存外、明るく振舞っているだけで、俺には想像もつかない程の修羅場を何度も潜り抜けてきたのだろう。


 実際にそれを口に出したりはしないが、なんとなく察する。


 

 ……ダメだな。人の過去を変に詮索するような考えはよくない。


 俺は慌てて思考を切り替えて、当初の目的であるキャンプ地について彼女の判断を仰ぐことにした。


「ミク、キミの話だとこの辺りで一度探索を切り上げるべきって事だったけど、安全確保はどうすればいいかな?」


「ああ、それならある程度の空間があるところで、私が結界を張るから大丈夫だよ?」


「結界?」


「うん、私が許可した存在以外は絶対に通れない結界。まあ、かなりしっかり準備しないと使えないんだけどね」


「いや、それでも凄いな。それがあれば、こういう場所でも安全地帯を確保できるってことだろ?」


「まあ、そうかな。一応、私の魔力が尽きちゃうとダメなんだけどね。あんまりダメージを受けすぎるとその分だけ結界の維持に必要な魔力量も増えちゃうから、この辺りの魔物の強さでようやく安心できるくらいかな?」


「最初に出会ったあの熊の魔物相手だと壊されちゃうのか?」


「まあそうだね。結界のダメージのフィードバックが私が一度に出力できる魔力量を越えちゃうとすぐに壊れちゃうから、厳しいかな」


「なるほどな……」


 彼女の話を軽く聞く限り、この辺りで展開する分には特に問題はないという事でいいのだろう。


 しかし、結界の維持には彼女の魔力を消費しているというのだから、その負担は無視できない。


 ミクにしてもらってばかりで俺は何もしないなんて言うのは、流石に気が咎めるというものだ。


 俺は俺に出来ることで今晩の休息に貢献しようと思う。


 まずは寝床だ。


「なあ、一応聞いておきたいんだが、ミクは手ぶらだよな?」


「うん、少しの荷物なら収納魔法にしまっておけるから。私の場合は水と食料があと3日分くらい入ってるかな?」


「なるほど、そんな便利な魔法もあるのか……ちなみに寝具とかはどうしてたんだ?」


「一応寝袋が一つあるけど、流石に二人の前で私だけ使うのは申し訳ないからね。私も地べたで寝ようかなって」


「いや、流石にそれは俺達の方が申し訳ない。そこでなんだが、一つ提案していいか?」


「提案?」


「寝床なんだが、俺に任せてもらえないかな?」


「もしかして、それもユヅル様の能力で?」


「ああ、こんな埃っぽいところで、お姫様を寝かせるわけにはいかないからな」




――――




 その後、俺達は通路の脇の方に合った手頃な空間を見つけ、そこを野営地とすることにした。


 現在、ミクは結界の準備を、俺はその場に腰を下ろして寝床となる小屋の作画にとりかかっている。


 ちなみに、ユリアとアルちゃんはそんな俺のお絵かきの様子を後ろからひょこりっと覗き込んでいた。多分やることがなくて暇なんだと思う。


 というか……アルちゃんにいたっては鞘に納められたままでも、ひとりでに動いているな。


 アルちゃんだと知っていなければ、剣が勝手に動いているので軽くホラーな現象だ。軽いポルターガイストである。


 まあ、とはいえアルちゃんの事を知っていればこそそんな光景も微笑ましい。


 普段は澄ました顔のユリアも、今ばかりは純粋に興味深そうな様子で俺のタブレットを覗き込んでくれているので、ちょっとドキドキする。


 あと、ミクに負けず劣らずのいい匂いだ。アルちゃんからも似たような良い匂いがするような気がするが、流石に聖剣を相手にドキドキするのはどうかと思うのでこちらは気にしないようにする。



 まあそんなわけで、しばらくの間。可愛いうちの子達に見守られていたこともあり、俺は気合を入れて作画作業に集中していたわけだ。


 しかし、残念と言うか案の定というか、この二人がいつまでも黙って俺の作業を見守っていてくれるはずもなく。


 次第に、注文という名のケチが色々と増えていった……。


『父よ、いくら一晩だけの宿とはいえ、もう少し我に相応しい風格があっても良いのではないか?』


「まあ……せめて扉とか屋根はちゃんと描くさ。壁も……多少の装飾はつけよう」


「マスター、まさかとは思いますが、小屋は一つしか描かれないおつもりで?」


「まあ、流石に短時間で小屋を一つも二つも描くのはな」


「……ふ~ん、そうですか」




 ――――目は口ほどにものを言うとはよく言ったものだろう。


 俺の解答への答えと言わんばかりに、すーっとジト目を送ってくるユリア。


 彼女の事だから、心の中では俺が下心で小屋を一つしか描かないと主張しているのだと、不名誉な汚名を着せているに違いない。


 慌てて弁明する。


「いや、流石に二つも描くのは作画コストが高すぎる。それと同じ理由で、部屋が複数ある建物もだ」


「それで豆腐ハウスを?」


「ああ、本当はちゃんとしたログハウスにしようと思ったけど、木材の色味にまで拘ってると流石に時間がかかり過ぎるだろ?だからとりあえず寝泊まりできる小屋をってことで、真っ白の壁に、気持ちばかりの窓と赤い屋根。あと扉。まあ、立体感はある程度出したし、今晩だけならこれで十分だろ?」


「……まあ、確かに合理的ではありますか」


「ああ、そうだ」




 そう、決して、決して「美少女であるミクとユリアの二人と一つ屋根の下に!」とかいう下心とかじゃない。


 単純に労力と実益を天秤にかけた結果なのだ。


 ただ、色々と検証したいことはあったので、窓の作画だけはちゃんとしておいた。


 中には家具が置いてあるように見えるよう、結構ちゃんと書き足しもしたうえでだ。


 これで内装がどのようになるのか簡単にチェックしておきたい。


 まあ、内装と言っても実際に描けたのはテーブルと椅子、あとは照明とエアコンとかだがな。それと水回りか。


 足りない家具は後で書き足そうと思う。


 これでようやく完成だ。


 まあ、かなり簡略化したので時間にして20分くらいか。


 ……こう考えるとあの鞘にどれだけ時間をかけたのか改めてわかるな。


 ミクの方はまだ色々と準備しているようで、空間のあちこちにピンクに淡く光る魔方陣のようなものを展開していたり、魔石のようなものを配置したりしている。


 あっちはあっちでそれなりに時間のかかる作業のようだ。


 ならば遠慮はいらないかと、こちらもこちらで準備を進め、盛大に驚かせてやろうと意気込んだ。


「じゃあ、出力するぞ」


 俺はドキドキしながら、描いたイラストを出力する。


「おお!」



 ――――成功だ。


 ユリアもパチパチと拍手で称賛を示してくれている。


 まあ、依然としてクールな面持ちは崩れていないが。


 アルちゃんもピカピカと光りながら『流石は我が父だ』と誇らしげな様子である。


 まあ、そこまで大した出来というわけではないけれど、喜んでくれているようで一安心。


 こんな埃っぽい遺跡の中に、立派な豆腐ハウスが建ったんだ。


 少なくとも、このまま地べたで寝転がるよりは100倍マシだと思いたい。










※補足 次回に描写しますが、主人公が使用している絵描きアプリについて。コピー機能など、一部機能は現状使えないようになっています。


↓同時連載中

「The Hero's Sweet Brides~学園の女子だけ貞操観念が逆転していくサバイバルクラフトゲームで、俺だけ既に神殺しと畏怖された異世界の救世主~」

https://kakuyomu.jp/works/822139838557577613

※もう一つのリンクはノクターンノベルズの為ここでは割愛。


・作者X

https://x.com/Shuu_Souzuki

作品の執筆状況などをたまに投稿していく予定です。

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