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作画スキルで異世界らくらくスローライフ  作者: 奏月脩/Shuu Souzuki
第一章 ハイエルフのお姫様に異世界召喚された件

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第3話 祈りの神像




 怪物が消滅してからしばらくして、ピンク髪の少女がどこかぎこちない様子でこちらに向かってくる。



「……そ、その、さっきは助かりました!えっと、その……感謝、します?」




 ……どうして疑問形なのだろうか?


 それに、何か最初に出会った時よりも俺を見る目に微かな怯えが混じっているようにも見える。


 俺がそう不安に思っていると、その答えはすぐに本人から返ってきた。


「あの、失礼があったら申し訳ないんですけど……もしかして、貴方様は神様の眷属、だったりしますか?」


「……ん?」


 少女からの突然の問いかけ。その真意が分からず、思わず固まってしまう。



 ……俺が神様の眷属だって?


 確かに、俺は昔から顔の良さにだけは画力と同じくらい自信があるが。


 そうか、異世界の美女に神聖な存在と錯覚させるほどの美しさだったか。うん、やっぱり俺ってば罪な男。




 ……いや、多分違うな。


 ユリアが俺の内心を悟ってか、しれっと肩をつついてジト目で視線を流してくる。


 大丈夫だ。俺だってそれは流石に己惚れが過ぎるとわかっている。


 しかし、それはそれとして。彼女をクーデレ系お姉さん天使にデザインした俺はやはり天才だったようだ。


 正直そのジト目に興奮してしまう自分がいたが、ここは流石に自重することに。


 まずは目下の疑問を解消すべきだ。


 俺は素直に、彼女が俺の事を神の眷属と思った理由を聞いてみる。



「えっと……天使様を召喚されていた――――ましたから」



 ……なるほど、確かに俺でも天使を召喚するような存在に出くわせば、似たような勘違いをするかもしれない。


 俺がそう思案していると、少女がまたしても一人であたふたと独り言を並べていた。



「えっとえっと……こういう時は、ははーって言って平伏しないといけないんだっけ?あれ?それともくるしゅうない?いや、それは上に立つ人の方が言うセリフだったかなぁ?」




 ……この子、結構天然さんなのかな。


 だが、こんな陰気臭い洞窟には似合わないくらい華がある少女だ。


 見た目や振る舞い以上の傑物である可能性もある。


 ここは変に誤解されたままであるより、素直に状況を話した方が良いだろう。


 後になってボロを出した結果、マズイことになるよりはきっと良い筈だ


「えっと、とりあえず俺は神様の使いとかではないと思うぞ」


「え?」


「その……俺もまだ事態が呑み込めていないんだが。とりあえず、俺は魔法を知らないし、キミから見て別の世界から召喚されたってところかな。一応、召喚前はただの人間の絵描きだった」


「人間?絵描き?」


「そう、絵を描くのを仕事にしてるただの人間。神様の眷属とかじゃない。だから言葉遣いももっと砕けた感じで構わないぞ」


「じゃあ、あの天使様は?」


「それは多分俺の能力。天使を描いてそれを具現化したんだ」


「う~ん、つまりゴーレムみたいなものって事?それにしても凄い能力だとは思うけどなぁ……でも、そうなるとやっぱりあなたは像の言っていた召喚者様なのかな?でも、私のお願いと召喚者様にどんな関係が……いや、そっか――――」


「ん?」


 何やら得心が言ったようにぽんっと手を叩く少女に、一方で未だ頭に疑問符を浮かべる俺。


「あなたって、もしかしなくても男の人、だよね?」


 突然そんな当たり前の事を確認してきたかと思えば、ぐいっと少女がこちらににじり寄ってきて、かなりの至近距離で覗き込んできた。


 近い。だが役得だ。


 とりあえず、俺は男だと素直に頷いておく。


「わぁ!やっぱり!私ね、男の人って初めて見たんだ!」


「そうなのか?」


「うん!あ、あとねあとね、天使様にも助けてくれたお礼が言いたいんだけど、いいかな?」


「ああ、勿論だ。あと、彼女の事はユリアって呼んでやってくれ。そして俺は飛鳥馬(あすま)癒弦(ゆづる)だ。あ、癒弦が名前で、飛鳥馬が家名な」


「ユヅル……ユヅル様って呼んでもいいかな?家名もあるみたいだし、その方がいいよね?」


「ま、まあその辺りは任せるよ」


 澄ました顔で答えつつ、「正直、美少女に様付けされて悪い気はしないなぁ……」とは言わないでおく。


「そ?じゃあ、ユヅル様で!私はミクリエラ・ローズ・エルダーグリーン。長いから、ミクって呼んでほしいな」


「ああ、それじゃあミク。よろしくな」


「うん、よろしく!」



 そんなこんなで、俺はミクと共にここの出口を目指す。


 正直俺の方から聞きたいことは沢山あったのだが、その前に彼女から色々と質問責めにあった。


 まあ良いかと先に彼女の質問に答えていく事にするも、しかし、ミクからの目下の質問は大抵男という性別に関する内容の話ばかりで、微妙に答えづらいものばかり。



 ――――女の子と違ってお股の間に何か付いてるって本当!?



 とか無邪気に聞かれても答えられるわけなかった。


 まだ出会って一時間も経ってないわけだし、流石にそんな下世話な話をしても大丈夫な相手かどうかもまだわからない。


 まあ、それだけ異性という存在に縁がなかったのだろうが。


 こういう時、普通なら俺の元居た世界の事や名字があることから出自に関して等聞かれるのではと身構えていたのが、覚悟が必要だったのは全く別の話題だったのだから気疲れが凄かった。



 まあ、そういう訳で少し精神的に疲弊してしまったところもあるが。


 なんだかんだと、ヲタクに優しいギャルに絡まれている感じもしてそこまで悪い気もしない。


 しかし、一方でそんな俺の心中を察してか。ユリアが冷え切った目をしながらこちらを無言で見つめてきていたのが少しばかり心に刺さった。




― ― ― ―




 ……さて、行きにミクが散々愚痴っていただけあって、出口までの道のりは妙に長い。途中曲がり角などもいくつかあったが、変化と言えばそれくらいだった。


 もう既に十分くらいは歩いた気がする。それに、これだけの距離の足音が聞こえていたというのだから、やはり俺の感覚は以前よりも遥かに鋭くなっているようだった。



 やっとの思いで開けたところに出ると、そこは石板が壁一面にちりばめられた厳かな部屋。


 石板には様々な文が記されており、知らない筈の文字なのになぜか読める。



 ――――汝が求めるは安寧か戦乱か。



 ――――汝の祈りは誰が為のものであるか。



 内容は様々であったが、総じてそういった堅苦しい感じの言葉がいくつもの石板に記されていた。


「ミク、この部屋は?」


「ここは祈りの神像の間だよ。この女神様みたいな像が祈りの神像で、ここでお願い事をすればなんでも一つだけ願いが叶うって言われてるの」


「なんでも?」


「うん、なんでも。ただし、お願いを無事に聞いてもらうには試練をクリアしなくちゃならなくて。お願いの内容によっては、試練の難易度も変わるみたいなんだ」


「そして、俺が召喚されて、試練はおそらくあの怪物と」


「うん、そんな感じ!ユヅル様って察しがいいんだね!凄い!」


「……」



 ……正直、どこまで本気でそう思ってくれてるのかわかりづらいが、まあ天然な子っぽいのであまり深く考えない方がいいのかもしれない。


 それよりも、だ。


 流石にもう少し具体的な話が聞きたかったので、もう少し深堀させてもらう。


「それで、ミクもこの像にお願いをしたんだよな?」


「うん、私も像にお願いしてみたの。そしたら、「ふむ、丁度いい」って像がいきなり喋ってね」


「ああ」


「「であるならば、丁度良い者がいるので、その者をこの地に召喚してやろう」って。なんだか厳かな若い女の人の声で言われたんだ」


「そうか……」


 おそらく声真似をしているのであろう彼女の茶目っ気たっぷりな説明がちょっと可愛くて和んだ。


 俺はなんて単純な男なんだと膝をつきたくもなるが、そうも言ってられない。


 彼女の話を鵜呑みにするのであれば、俺はこの子の願いをかなえるためにこの世界に召喚されたという事になるのではないかと。


 ならばなおの事、ミクがしたお願いの内容まで聞いておく必要がある。


 答えてもらえるかはわからないが、聞いてみた。


「えっとね……自分で言うのはちょっと恥ずかしいって言うか、その……」


 案の定というか、彼女は恥ずかしそうにもじもじと身をよじらせて頬を赤らめる。


 ……本当に、一体どんなお願いをしたのだろうか?


 イケメンな彼氏が欲しいとか?


 あとは優しい彼氏が欲しいとか?


 ついでに絵も上手ければ文句なしと言ったところかな?


 

 ……うん、そういう事なら、俺が召喚されたのも無理はないのかもしれないな。



「集落の皆が、また笑顔で過ごせるようになったらいいなって……」




 ――――どうやら、邪まだったのは俺の心の方だったようだ。



「あはは、綺麗事を言ってるっていうのは、わかってるんだよ?私だってもうすぐ300歳になる訳だし、そこまで頭がお花畑なわけじゃないんだからね!」



 しれっと告げられたアラウンド300歳という衝撃の事実。


 だがまあ、一応予想していた事なので顔には出さない。


 女性に年齢の話が禁句というのは、きっと世界共通だと俺の勘もそう告げていた。



「でも、その……やっぱり、みんなが将来の事を不安に思ってるのか。暗い顔をしているところをよく見るの」


「それを、どうにかしてあげたかったってことか?」


「うん、そんな感じかな?えへへ、なんだか照れちゃうな……」



 とりあえず、最後まで話を聞いてみて分かったことがある。


 ……この子、普通に滅茶苦茶いい子だった。



「……そっか、ミクは優しい子なんだな」



 勿論嘘を言っている可能性もあるが、まあ、どのみち俺はこの子に一目惚れしてしまったのだ。正直騙されたならそれはそれで構わないとさえ思っている。


 惚れた弱みというやつだ。



 だからこそ、俺はもっとこの子の事を知りたいと思っている。


 最早、元居た世界がどうとか、異世界召喚だとか、二の次で良かった。


 最初は一目惚れでしかなかったのだろうが、今ではこの想いに、きっと間違いはないのだと思い始めている自分がいる。


 少し話しただけの今でさえ、これだ。



 ならば、このままなるようになれというのが正直なところ。


 こういう無駄にポジティブなところだけは、昔から俺の一番の長所だったからな。





↓同時連載中

「The Hero's Sweet Brides~学園の女子だけ貞操観念が逆転していくサバイバルクラフトゲームで、俺だけ既に神殺しと畏怖された異世界の救世主~」

https://kakuyomu.jp/works/822139838557577613

※もう一つのリンクはノクターンノベルズの為ここでは割愛。


・作者X

https://x.com/Shuu_Souzuki

作品の執筆状況などをたまに投稿していく予定です。

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