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作画スキルで異世界らくらくスローライフ  作者: 奏月脩/Shuu Souzuki
第一章 ハイエルフのお姫様に異世界召喚された件

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第1話 異世界転生は現代のお絵かきセットと共に




 目を覚ます。


 見渡すと見知らぬ洞窟の中。


 硬い岩の壁に、地面。閉鎖的なドーム状の空間。


 薄暗いようで、存外はっきりと視界の確保は出来た。


 光源は点在する光る石。


 それにこの空間を中心として、何やら魔方陣らしきものが青白い光を放っている。


 少しばかり幻想的な光景だ。


 そして、あまりにも現実感がない。




 おかしい。俺はついさっきまで文明的な部屋で一人、楽しくお絵かきしていた筈だ。


 丁度仕事で描く分も一通り片付いて、仕事部屋のPCモニターの前には鼻歌交じりのご機嫌な俺。



 それが今ではぽかんとした顔で見知らぬ洞窟の中である。



 ふと気が付いて手元を見れば、そこには絵を描く用のタブレットと電子ペンが置いてあった。


 俺がいつも使っているやつだ。


 その場で立ち上がって、確認してみる。


 画面には、丁度さっきまでデザインしていた新しいオリジナルキャラクター。


 設定だけ軽く考えて、とりあえず描いてみるだけ描いてみるかで生み出した所謂【オリキャラ(うちの子)】だ。


 正直、即興でデザインした割にはかなりよく描けていると思う。


 とりあえず完成と言えるところまで仕上がったので、頃合いを見てSNSにでもあげようかな、なんて考えながら保存しようとした。


 そう、そこまでの記憶は確かにある。


 しかし、その後の記憶がまるで判然としない。


 何かまばゆい光に包まれた感覚があった後に、身体から自分の意識だけが遠のくような不思議な感覚がしたようなしなかったような気もするが。


 思い返してわかるのは、かろうじてそのくらいのこと。



 一体俺の身に何が起こったというのだろうか……?



 あまりにも突然の超常現象に茫然としていると、こつんっ、こつんっ、とこちらに向かってくる足音が。


 察するに、この空間における唯一の出入り口と思わしき場所からか。


 見渡す限り、そこから続く薄暗い道の他に退路はない。


 それに、何か自分の感覚が異様に鋭くなっているような気もする。

 

 この状況に焦るよりも前に、なんとなくこれから俺が出くわすことになるであろう存在に、不思議と脅威を感じていなかった。


 しかし、視点は相変わらずその足音の鳴る方へと固定されている。


 念のための警戒は怠らないというわけだ。


 油断大敵。良い言葉である。



 さて、そうして数分ほどじっと待っていると、ようやく変化は訪れた。


 光源の無かったはずの薄暗い道から、微かな光が現れたのだ。


 これほどの時間光源を認識できなかったのは、単に俺の耳が異様によくなっているのか、それも光源を点けたのがこの瞬間であるからか。


 なんとなく、前者のような気がしている。


 自分でもよくわからないが、何か自分の存在がやけに強くなったかのような万能感を感じるのだ。


 未知の存在が近づいてくることに恐怖していないのも、もしかしたらこちらの方が要因なのかもしれない。


 しかし、そんな思案も束の間の事。


 足音の主と思われる声が、反響する。



「むぅぅ……宝玉を嵌めた壁が消えたってことは、ちゃんとあの像に認めてもらえたってことでいいんだよね?それにしては、ちょっと長すぎるような気がするけど。この道、暗いし狭いしなんかやな感じだなぁ~」



 足音の主。女の子の声だった。


 それも、所謂萌え声っぽい感じの可愛らしい声。


 正直、声豚の俺にはクリティカルにぶっ刺さった。



 ……やはり、ヲタクの勘は馬鹿に出来ないな。


 考えても仕方のない話ではあったが、やはり変に身構える必要はなかったようだ。



 まあ、こちらを油断させる策である可能性も否定はできない。一応感覚だけは研ぎ澄ませておく。



 どうやら女の子は独り言の多いタイプらしい。


 道中、色々と愚痴っぽい独り言が反響していた。



「はぁ、なんかすっごくじめじめしてるし……うう、せっかく綺麗に直した髪もまたちょっと崩れてきちゃってる。もう、本当にこんなところに召喚者様なんているのかな?いなかったらさっきの像に絶対文句言ってやるんだから!」


 ぷんすかと一人自棄になった感じで怒りながらも、その声色には確かな疲労が滲んでいる。


 道中、それなりに苦労したのだろう。


 そんな状況でまで自身の髪形を気にするというあたりは、ちょっとばかし高貴な雰囲気も感じるが。


 それに、彼女の言う【召喚者】というのも気になる。


 彼女の口ぶりや俺が今置かれている状況的に見ても、それが俺の事を差しているのではないかと推測するのは自然な流れだ。



 そんな風に考えに耽っていると、ついに、足音の主がその姿を見せる。



「あっ……」



 俺の姿を確認するなり、目を丸くする少女。


 その純粋そうな瞳の中に、俺という存在が認識される。


「本当に、いた」


 思わずと言ったように感嘆の声を漏らす少女に、一方の俺は声を出すことも忘れて息をのむ。


 完全に見惚れてしまっていたのだ。


 目の前の少女の、そのあまりにも浮世離れした美しさに。



 黒のリボンで留めたピンク髪のツインテール。


 白を基調としたワンピースドレス。フリルも沢山。


 こんな暗くてジメジメした場所にいるとは思えない程、可愛いしお洒落だった。


 高貴な身なりを見事に着こなしていることも相まって、まさしくお姫様と言った雰囲気の少女。


 どうやら魅力的なのは声だけではなかったらしい。


 正直、声だけの時に想像していた以上の美少女だった。まるでお人形さんのような完成された美貌である。




 


 ――――うん、そしておっぱいも大きいな。(錯乱)


 女性の胸の大きさに貴賤をつけるつもりはないが、それでも素晴らしいおっぱいだと思う。


 丁度お洒落も十分に楽しめるくらいの大きさだ。スタイルが良い。


 思わずその素敵な谷間の方に目が吸い寄せられそうになったが、流石に自重する。


 代わりに、彼女の容姿の中でもう一つ気になっていた箇所に目を向けた。


 耳だ。


 それも、所謂エルフや魔族と言った種族に多い印象の、細長い耳。笹耳と言ったりもするらしい。


 彼女には角やしっぽも見えないので、もしかするとエルフや妖精といったファンタジーな種族なのかもしれない


 そしてそうであるならば、やはりこの状況は俗にいう異世界転移なのだろうか?


 ということは、もしかして彼女は俺のヒロインになってくれるかもしれない女の子という事か?



 ――――トゥンクっ。



 なんだろう。


 正直一目惚れしてしまった感がある。


 こんな感覚は初めての事だ。


 まさかこの俺が二次元の女の子以外にときめいてしまうなんて。


 だがしかし――――


 正直、彼女は二次元の女の子と言われても信じるレベルの美少女だった。



 そういう意味では、これは運命だったのかもしれない。この瞬間、俺の今までの価値観が大きく一変したのだから。







 ――――だが、そんな運命的な出会いには、唐突に水を差されることになってしまった。









↓同時連載中

「The Hero's Sweet Brides~学園の女子だけ貞操観念が逆転していくサバイバルクラフトゲームで、俺だけ既に神殺しと畏怖された異世界の救世主~」

https://kakuyomu.jp/works/822139838557577613

※もう一つのリンクはノクターンノベルズの為ここでは割愛。


・作者X

https://x.com/Shuu_Souzuki

作品の執筆状況などをたまに投稿していく予定です。

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