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クモをつつくような話 2025 その3

作者: 山崎 英明
掲載日:2025/11/20

 8月25日。晴れ時々曇り。最低26度C。最高32度C。

 午前1時。

 咳が出て目が覚めた。真っ直ぐ歩けないし、頭もぼーっとしている。車にはねられそうな状態だが、この程度では病気とは言えない。したがって治療もできない。

 コンビニの店先にいたコガネムシの仲間は5匹だけだった(その他にイナゴが1匹)。夏は終わった……と思ったら大間違い! スーパーの東南の角付近にはコガネムシの仲間が40匹以上いたのだった。まいったね。


 午前6時。

 ジョロウグモのダイ姉ちゃんと同居していた雄2匹の姿が見えない。チイ姉ちゃんと同居している雄も2匹になっていた。

 というわけで、この時期のジョロウグモの雄は交接するのに相応しい雌を求めて雌幼体の網を渡り歩いているのかもしれない。獲物を横取りできなくても、バリアーの糸を食べるくらいのことは見逃してもらえそうだし。

「すみません。旅の途中、難儀しております」

「それはお困りでしょう。何もございませんが、ゆっくりお休みください」

 てなわけで、雌の網に入り込み、居候しながら雌を品定めして、あまり魅力を感じなかった場合は別の雌の網に向かうのだろう。クモの雄は雌と交接するために生きているようなものなのだが、それでも、より確実により多くの子孫を残した方がいいのは当たり前なのである。

 チイ姉ちゃんには体長30ミリほどのオンブバッタの雌を少し弱らせてからあげてみた。自身の体長の1.5倍というかなりの大物なのだが、チイ姉ちゃんは果敢に近寄ってチョンチョンとつつき、脚先の爪を引っかけて引き寄せながら踏み込んで牙を打ち込もうとして何回か失敗した後、やっと獲物の前脚に牙を打ち込むと、素早くホームポジションに戻ったのだった。空腹だと「逃げちゃダメだ」という意識が強くなるんだろうな。

 妹ちゃんは左第一脚を失って7本脚になっていた。円網は縦横7センチくらいだ。


 午前7時。

 用水路ポイントにいるコガネグモは3匹だけだった。1匹めは円網を張り替えて、隠れ帯も下側2本だったので小さめのイナゴをあげておく。

 2匹めは道路標識のポールを利用して地上2メートルくらいの位置に小さめの円網を張っていた。イナゴにしろ、コガネムシにしろ、投げ込むのは難しいので諦める。

 3匹めは円網を張り替えていなかった。

 というわけでイナゴまで余ってしまったので、ナガコガネグモの1匹にあげてしまう。コガネムシもリリースだ。


 8月26日。曇りのち晴れ。最低25度C。最高33度C。

 午前1時。

 コンビニの店先にいたコガネムシの仲間は7匹。そのうち3匹は踏みつぶされていた。

 イナゴはいなかったが、キリギリス科のクサキリ(多分)を2匹捕まえた。


 午前6時。

 光源氏ポイントにいるジョロウグモのうち、雄が同居している子は4匹だった。なお、チイ姉ちゃんの網だけは雄が2匹いる。

 ジョロウグモの1匹は円網の4分の3くらいの範囲を張り替えていた。ジョロウグモの部分張り替えは珍しいものではないが、今年度は初観察である。

 ダイ姉ちゃんとチイ姉ちゃんにはクサキリを1匹ずつあげた。チイ姉ちゃんはすぐに獲物に駆け寄って、安全確認をしてから牙を打ち込んだのだが、ダイ姉ちゃんはしばらくしてからのそのそと獲物に近寄ってきた。食欲がないようだ。


 午前7時。

 用水路ポイントにいるコガネグモは4匹だった。

 1匹めの子には光源氏ポイントで捕まえたばかりのイナゴをあげた。

 2匹めの子の高い位置にある円網にはコガネムシを投げ込んだ。

 3匹めの子の円網は張り替えていないらしくて、投げ込んだコガネムシが円網を突き抜けてしまったのだが、2匹めはうまく引っかかって捕帯を巻きつけてもらえた。

 4匹めの子は卵囊2個と子グモたちのまどいの近くで不規則網状の糸をいじっている様子だった。3回めの産卵をするとしたら夜になってからだろう。


 午後8時。

 台所のシンクの中に体長4ミリほどのハエトリグモの幼体(多分)がいた。このままでは溺れさせてしまいそうなので、獲物用のポリ袋を差し出したら素直に乗ってくれたので、シンクの外へリリースした。このフレンドリーさがハエトリグモの魅力なんだろうなあ。


 8月27日。晴れのち雨。最低26度C。最高37度C。

 コンビニの店先で捕まえたコガネムシの仲間は6匹。スーパーの東南の角では60匹まで数えた。


 午後9時。

 マダラヒメグモのガス漏れ警報器ちゃんの卵囊が15個になっているようだ。密集していてよく見えないからもう少しあるかもしれない。


 8月28日。曇り時々晴れ。最低25度C。最高30度C。

 午前9時。

 光源氏ポイントにいるジョロウグモのダイ姉ちゃんの円網は縦も横も15センチくらいだった。チイ姉ちゃんの円網は縦20センチ、横25センチ。妹ちゃんは縦15センチ、横7センチだ。明らかに食べさせすぎである。円網を大きくするまでは獲物をあげないようにしよう。

 なお、ダイ姉ちゃんの網には雄が1匹同居していた。

 大きな円網を張っていた2匹のジョロウグモには、それぞれオンブバッタの雄をあげた。


 午前10時。

 用水路ポイントでは3匹のナガコガネグモを見つけた。そのうちの1匹は捕帯を巻きつけたイナゴを円網に固定していた。

 その近くにいたコガネグモの1匹めちゃんはお尻が薄くなったような気がしたのだが、隠れ帯が下側2本だったのでコガネムシをあげた。

 それを円網に固定してからお代わりのコガネムシをあげたのだが、円網から外して捨てられてしまった。2匹も食べる必要はないということらしい。

 2匹めちゃんは道路標識の裏で5回めの産卵をしたらしかった。

 なお、そのうちの1個の卵囊の近くには大小2個の密集型まどいができていた。

 3匹めちゃんの円網はボロボロで横糸がほとんど残っていなかった。お尻はまん丸だから産卵前の絶食かもしれない。

 4匹めちゃんは円網ごと姿を消していた。

 というわけで、用水路ポイントにおけるコガネグモ成体のシーズンは8月で終わりになりそうな気がする。ただし、積極的に獲物をあげなければ9月まで伸びる可能性はある。県指定の準絶滅危惧種に対して個体数を減らすような実験をする気にもなれないが。


 午後10時。

 マダラヒメグモの左前隅ちゃんが12回めの産卵をしていた。間があいたせいか、卵囊が大きい。

 コンビニの店先にいたコガネムシの仲間は6匹。


 8月29日。晴れ時々曇り。最低23度C。最高33度C。

 午後11時。

 コンビニの店先にいたコガネムシの仲間は4匹。その他に体長6ミリほどの黒い甲虫が1匹いた。

 スーパーの東南の角で見つけたコガネムシの仲間は73匹。ツツジの若葉と強力ライトの効果だろう。


 8月30日。晴れ。最低24度C。最高36度C。

 午前1時。

 スーパーの北側で体長15ミリほどのオニグモを見つけた。挨拶代わりに体長16ミリほどのガをあげておく。

 マダラヒメグモの左前隅ちゃんには体長15ミリほどのダンゴムシをあげたのだが、ちょっと反応が鈍い。食欲はありそうだが……。 


 8月31日。晴れ。最低26度C。最高32度C。

 午前2時。

 コンビニの店先にいたコガネムシの仲間は11匹。そのうち2匹は踏みつぶされていた。その他に体長15ミリほどで細め体型の黒い甲虫が1匹。

 スーパーの東南の角付近で見つけたコガネムシの仲間は84匹! 夏が終わらん。


 午前3時。

 オニグモの15ミリちゃんの円網にコガネムシを1匹投げ込んでみた。するとこの子は、ろくに捕帯を巻きつけずに牙を打ち込んで仕留めようとするのだった。当然、コガネムシは暴れるのだが、逃げられることはなさそうだ。

 これは空腹ではなかったということなのか、あるいは、コガネムシを仕留めた経験がないのか、もともと捕帯をケチるタイプなのかもしれない。何日かしてからもう一度コガネムシを投げ込んでみようかねえ……。


 午前6時。

 光源氏ポイントではジョロウグモのダイ姉ちゃんと妹ちゃんが姿を消していた。

 体長20ミリほどのチイ姉ちゃんの円網に体長10ミリほどのガを投げ込むと、チイ姉ちゃんは珍しく翅を抱え込みながら牙を打ち込むというオニグモ式の狩りを見せてくれた。ジョロウグモにとっては体長の半分を超えるようなガでは大きすぎるのかもしれない。

 体長15ミリクラスのジョロウグモの幼体3匹にはオンブバッタの雄や体長15ミリくらいのキリギリス体型のバッタ(ウスイロササキリ?)をあげておく。

 なお、こういう大型の獲物を与えた場合、ジョロウグモは獲物の上方で円網に穴を開けながらゆっくり近寄っていくことがよくある。これはコガネグモ科の小型のクモが大型の獲物の上で水平方向に円網を切るのと同じ効果、つまり、円網の張力を下げることで獲物に円網が絡みやすくなることを狙っているのではないかと思う。

 そこで問題になるのが、横方向に切って獲物に被せた方が効果は高いはずなのに、なぜ縦方向に切るのか、だ。この場合、先祖代々縦方向に切ってきたからという解釈も可能なのだが、個人的には、円網の穴の幅は狭い方がジョロウグモが得意とする部分張り替えを行うのに好都合だからではないかと思う。まあ、これもそのうちに論文屋さんが解明してくれるだろう。

※今年のように夏の暑さがいつまでも続くようだと、ジョロウグモの好む小型昆虫が現れるのが遅くなるかもしれない。そういう環境の変化に対応できるかどうかも気になるな。


 午前7時。

 用水路ポイントではコガネグモの1番めちゃんだけが円網を張り替えていた。隠れ帯は下側に1本だけ。コガネムシを円網に投げ込むと、やや雑なやり方だったが、捕帯を巻きつけた。時間差をつけて投げ込んだお代わりもちゃんと仕留めていた。

 2番めちゃんの円網はボロボロ。お尻も薄くなっているから「いいクモ生だったわ」状態になっているような気がする。

 3番めちゃんと4番めちゃんの姿は見当たらなかった。


 午後8時。

 オニグモの15ミリちゃんが円網を張っていたので、コガネムシを投げ込んでみたのだが……15ミリちゃんは円網に穴を開けながら獲物の上方から近寄って、直接牙を打ち込んだのだった。決定。この子の前世はジョロウグモだ。〔やめんかい!〕

 このように、クモの中にはその種の標準から外れた行動をする個体が一定数存在するので注意が必要だ。特に無責任な論文屋さんがこういう変わり者を観察した場合には、いかにも一般的な行動であるような論文や解説書を書いてしまう可能性がある。そういうものは絶対に信じてはいけません……と言いたいところなのだが、「信教の自由」は日本国憲法で保障されている。まあ、「信じたい人は自己責任で」というところだろうなあ。


 9月1日。晴れ時々曇り。最低25度C。最高36度C。

 午後7時。

 オニグモの15ミリちゃんは住居にこもっていた。当たり前だ。2日連続でコガネムシを1匹ずつ食べたのだから。コガネグモの食欲が異常なのである。


 午後11時。

 オニグモの15ミリちゃんが縦糸を張り始めていた。冷蔵庫に体長17ミリほどのガが入っているから後であげよう。できればイナゴもあげてみたいものだな。


 9月2日。晴れ時々曇り。最低26度C。最高38度C。

 午前1時。

 オニグモの15ミリちゃんにガをあげようと思ったら、すでに緑色のカメムシを仕留めようとしていた。ただし、相変わらず捕帯をケチっているので時間がかかりそうだ。


 午前2時。

 15ミリちゃんがカメムシをホームポジションに持ち帰っていたので、円網にガを投げ込んだ。15ミリちゃんはすぐに飛びついて、翅を抱え込みながら牙を打ち込んだのだが、これは円網を張るクモの基本技術だからできて当たり前である。まあ、基本をマスターしているのは確認できた、とは言えるかもしれない。

 ダンゴムシが歩いていたのでマダラヒメグモの左前隅ちゃんにあげた。どうも、最近は夜中過ぎにならないとダンゴムシが出てこないようだ。気温が下がるのを待っているのかもしれない。


 午前3時。

 トイレットペーパーホルダーの上、床から1.3メートルくらいの位置に黒っぽい子グモが1匹いた。


 午前5時。

 オニグモの15ミリちゃんはカメムシを食べていた。今朝は円網を回収しないかもしれない。


 午前6時。

 光源氏ポイントでは、ジョロウグモの妹ちゃんにオンブバッタの雄をあげた。しかし、妹ちゃんは獲物に牙を打ち込んだものの、獲物をそのままにしてホームポジションに戻ってしまった。

 妹ちゃんの網は縦30センチ、横15センチくらいという、いかにもやる気のなさそうな円網(?)だったので、脱皮か、あるいは引っ越しの準備を始めているのかもしれない。

 その他に、雄と同居しているジョロウグモ4匹にも同じくらいの大きさのバッタをあげた。

 面白かったのは体長17ミリほどの子で、この子と同居していた雄は17ミリちゃんが獲物を食べている最中にそろそろと近寄って、腹部腹面に潜り込んだのだった。交接のような行動だし、17ミリというのはオトナではないと言い切れないかもしれない体長ではあるのだが……もしかすると、ジョロウグモの雄は、雌がオトナになっているかどうかを確認するためにヤってみるのかもしれない。〔「交接」と言え!「交接」と〕

 イナゴを1匹捕まえた。これはコガネグモの1番めちゃんにあげよう。


 午前7時。

 用水路ポイントにいるコガネグモは1番めちゃんだけだった。イナゴをあげる。

 さらに周辺の草地でイナゴを5匹捕まえたので、1匹めをホームポジションに固定するのを待ってお代わりをあげたのだが、これは逃げられてしまった。

「そんなこともあるさ、コガネグモだもの」

 なんのまだまだ。2匹めのお代わりは横糸が揃っている部分にそっと置いてあげる。これなら1番めちゃんもしっかり捕帯を巻きつけることができるのだった。


 午前11時。

 オニグモの15ミリちゃんは円網を張りっぱなしにしたままで住居へ戻ったらしかった。


 午後11時。

 オニグモの15ミリちゃんはホームポジションにいたが、今のところ、張り替える様子はない。

 コンビニの店先にいたコガネムシは1匹だけだった。スーパーの東南の角では83匹見つけたが。

※スーパーの周囲には2種類のツツジが植えられているのだが、コガネムシの仲間が食べるのは葉が大きいツツジだけである。どうも柔らかい若葉だけを選んで食べているようだ。

 

 9月3日。晴れ一時雨。最低25度C。最高35C。

 午前5時。

 マダラヒメグモのガス漏れ警報器ちゃんの卵囊が16個になっていた。


 午前6時。

 稲刈りが始まっている。光源氏ポイントではオオハンゴンソウが咲き始めていた。

 ジョロウグモの妹ちゃんは縦30センチ、横25センチくらいの円網を張っていた。昨日、獲物を食べようとしなかったのは空腹ではなかったというだけのことらしい。オンブバッタの雄をあげておく。

 雄と同居しているジョロウグモは妹ちゃんを含めて8匹。そして、17ミリちゃんの網には2匹の雄が同居していた。つまり、17ミリちゃんはオトナになっていたのかもしれない。そのつもりで観察すると、お尻が太くなり始めているような気もする。ジョロウグモの場合、亜成体までは体長や脚が長くなる方向へ成長するのに対して、オトナになるとお尻が太くなっていくのである。

「早くオトナになりたい」というジョロウグモがいてもおかしくはないし、そういう子がいた方が環境の変化に対応しやすいだろう。

 ここには体長50ミリほどの爪楊枝体型のイモムシもいて、頭部近くの脚で草の葉につかまって、斜め上に真っ直ぐ伸ばした腹部をたまにふるふると震動させていた。多分、風で揺れる小枝に擬態しているつもりなんだろう。かえって目立つような気もするんだが……。


 午前7時。

 コガネグモの1番めちゃんは円網を張り替えていなかった。さすがにイナゴ2匹は多かったか。

 持参したイナゴは近くにいたナガコガネグモの円網に投げ込んだ。ナガコガネグモのDNAロールは何度見ても飽きない。

 ここには直径17ミリほどのアサガオのようなピンク色の花が多数咲いているのだが、よく見ると、花びらの中心部が濃い赤紫色になっている。これはサツマイモやヨウサイ(空心菜)タイプの花である(アサガオは基本的に花びらの中心部が白色か薄い色になっている)。今のところ正体不明。


 午前9時。

 光源氏ポイントに戻ってみると、ジョロウグモの17ミリちゃんが食べているオンブバッタの雄の反対側から1匹の雄が食いついていた。

「仲良きことは美しきかな」


 午後8時。

 オニグモの15ミリちゃんのボロボロの円網にカマキリがかかっていた。15ミリちゃんは円網の端まで出てきてはいるのだが、捕食する様子はない。昨夜はガとカメムシを1匹ずつ食べたから食欲がないのだろう。

 捕食者同士で闘うのもどうかと思うので、カマキリを円網から外して逃がしてあげた。今夜辺り、スリムで小顔の美女が訪ねてきて「私はあの時助けていただいたカマキリです」と――。〔鎌で抱きしめられたいか!〕

 15ミリちゃんが夜中までに円網を張り替えるようなら、イナゴをあげてみようと思う。


 午後11時。

 オニグモの15ミリちゃんが縦糸を張っているところだった。


 9月4日。曇り一時雨。最低25度C。最高29度C。

 午前1時。

 15ミリちゃんは縦30センチ、横20センチくらいという、いかにもやる気のなさそうな円網を完成させていた。

 小さめのイナゴを投げ込むと、15ミリちゃんは円網に穴を開けながら上方から近寄って、それからやっと獲物の下に入り込んで捕帯を投げ上げたのだった。どうにもオニグモらしい仕留め方をしない子である。オニグモとしては小型だし、もしかするとオニグモではなくて、よく似た別の種か、あるいはほとんどガ専門の亜種なのかもしれない。

 帰宅してみるとサイフがない。焦って探していると、ゴミ箱の中から見つかった。無意識に投げ込んでしまったのらしい。老人性のボケが始まっているんだろうかなあ……。


 午前6時。

 明日は雨の予報が出ているので、冷蔵庫を空にしてしまう。ああっと、これは「クモ用の獲物をすべて持ち出す」という意味である。誤解しないで欲しい。

 ジョロウグモの妹ちゃんの円網には体長25ミリほどの太め体型のガを投げ込んでみた。この大物に対して妹ちゃんは牙を打ち込んで仕留めたものの、ホームポジションに持ち帰る途中で落としてしまった。それを拾って、もう一度円網に投げ込むと、今度はちゃんとホームポジションに持ち帰ったのだった。ジョロウグモは本来、小物狙いのクモなのである。

 雌に置いて行かれたらしい雄が2匹、ボロボロの円網にたたずんでいた。追いかけて行けばいいだろうに。

 16ミリちゃんの円網にオンブバッタの雄を投げ込んだら、16ミリちゃんは円網の端まで逃げてしまった。空腹ではないから安全を優先するという判断なのかもしれない。

 食欲がなさそうな子はもう1匹いて、この子は小さな円網の前後に高密度のバリアーを張っていた。こうまでされたんでは獲物をあげる気にもなれない。


 午前7時。

 コガネグモの1番めちゃんは円網を張り替えていなかった。お尻も薄くなっているから、最後の産卵を終えたんだろう。お疲れ様。

 今日は風が吹いているので、カメラがピントを合わせてからシャッターが切れるまでの間に、風に吹かれたクモが画面の隅に移動してしまう。しかもピントも外れる。どうしようもない。


 午前8時。

 光源氏ポイントに戻ってみると、妹ちゃんの円網の下にガが落ちていた。「こんな大っきいの無理!」だったのらしい。オニグモなら食べてしまえるサイズなんだが……。


 午後5時。

 マダラヒメグモの右奥ちゃんの卵囊が4個になっていた。

 玄関の左側には体長3ミリほどの新顔ちゃんもいるし、獲物をあげていると、あっという間に増えるのである。とはいえ、2度目の交接のように増やしてみないと観察できなかったこともあるんだが……。


 9月5日。雨時々曇り。最低24度C。最高27度C。

 午前1時。

 オニグモの15ミリちゃんは住居から出ていたが、円網を張り替える様子はない。

 コンビニの店先にいたコガネムシの仲間は2匹だけだったが、スーパーの東南の角付近では85匹見つけた。


 午後6時。

 オニグモの15ミリちゃんは住居から出ていなかった。円網を張り替えるとしても夜中以降になるだろう。

 で、今さらなんだが、この子はオニグモではないかもしれない。新海栄一著『日本のクモ』によると、オニグモの雌の体長は「20~30㎜」なんだそうだ。したがって、15ミリならまだオトナにはなっていないことになる。しかし、15ミリちゃんがオニグモの幼体だとすると、そのお尻は膨らみ過ぎのような気がするのである。

 あり得る可能性としては、体長「12~17㎜」というヤマシロオニグモの成体なんだが……この体長で産卵するようなら、おそらくヤマシロオニグモ、その卵囊に濃い茶褐色の筋が入っているようなら確定だろう。それまではとりあえず「オニグモ」で押し通すことにする。あしからず。


 9月6日。晴れ時々曇り。最低21度C。最高29度C。

 午前4時。

 オニグモの15ミリちゃんは円網を張り替えなかった。食べ過ぎたことに気が付いたんだろう。


 午前8時。

 民家の白い壁に体長20ミリほどのオニグモがとまっていた。この体長ならオニグモで間違いあるまい。

 光源氏ポイントではジョロウグモの妹ちゃんと17ミリちゃんが姿を消していた。17ミリちゃんはともかく、妹ちゃんの方は作者が円網に投げ込んだ大きすぎるガも原因の一つだろうなあ。作者はガを見ると捕まえたくなってしまうし、捕まえるとクモにあげたくなってしまうのである。こういうのは、特にジョロウグモにとっては大迷惑のはずだ。

 1匹のジョロウグモの雄は体長20ミリほどの円網を張っていない雌と何回か交接していた。脱皮殻も見当たらないから、昨日の激しい雨で円網や脱皮殻が叩き落とされてしまったのかもしれない。


 午前9時。

 また外した。コガネグモの1番めちゃんが小さめの円網を張っていたのだ。そこらで捕まえたイナゴを投げ込むと、あまり積極的ではないものの捕帯を巻きつけた。まだ産卵能力を使い切ってはいなかったようだ。しょうがない。観察を続けよう。

 1番めちゃんのものらしい卵囊を1個見つけた。係留糸が固定されている電柱の二階屋の天井くらいの高さの場所に取り付けられている。

 2番めちゃんの4個めの卵囊の近くでは子グモたちが密集したまどいを形成していた。


 午前10時。

 光源氏ポイントに戻ると、1本の電柱から左右に伸びる電線のそれぞれ5メートルくらいの範囲にジョロウグモが全部で10匹いた。さらに電柱の周囲にも数匹のジョロウグモが円網を張っている。この部分には毎年ジョロウグモが密集するのだが、今年も最初の1匹を見逃してしまった。ロードバイク乗りは主に前方の路面を注視しているので、頭上にいるクモは見えないのである。


 午後10時。

 オニグモの15ミリちゃんが住居のすぐ近くで卵囊を造っているところだった。産卵前の絶食だったのだなあ。

 というわけで、おそらくこの子は「ヤマシロオニグモの15ミリちゃん」だ。できれば、卵囊の表面に濃い色の筋があることも確認したいものだが。  

 玄関先のクモの網に体長3ミリ以下の羽虫が多数かかっていた。この程度の小型昆虫は真夏の日中は活動できないのらしい。その代わりに大型昆虫が活動できないような低温でも日光浴で体温を上げれば飛べるようだ。


 9月7日。晴れ時々曇り。最低22度C。最高33度C。

 午前1時。

 コンビニの店先にいたコガネムシの仲間は1匹だけだった。ただし、スーパーの東南の角付近では126匹見つけた。


 午前7時。

 問題が発生した。ヤマシロオニグモの15ミリちゃんの卵囊が黒褐色の綿菓子状だったのだ。完全にオニグモの卵囊である。さあ困った。この子はやはり、小さめのオニグモなのかもしれない。……いっそのこと「正体不明の15ミリちゃん」にしてしまおうかなあ……。


 午後7時。

 お尻が薄べったくなった正体不明の15ミリちゃんが古い円網を回収しているところだった。低い位置まで降りてくれたので確認できたのだが、この子の体長は18ミリくらいはある。四捨五入すると20ミリ。やはり小さめのオニグモだ。〔15ミリを四捨五入しても20ミリだぞ〕

 円網を張り終えたら、冷蔵庫に入れてあるガをあげよう。


 午後9時。

 オニグモの18ミリちゃんの円網に体長15ミリほどのガを投げ込むと、18ミリちゃんは素早く飛びついて牙を打ち込んだ。

「オニグモにはガがよく似合う」


 午後10時。

 洗濯物を干していたら、Tシャツにオニヤンマがとまった。これ幸いと撮影していると、なんと、室内に入り込んで室内灯の周りを飛び始めた。もはやこれまで。是非もなし。捕虫網で捕まえて、玄関からリリースする。作者を訪ねてくる時には、せめて美女に化けてからにして欲しい。〔贅沢だな〕 


 9月8日。晴れのち曇り。最低23度C。最高32度C。

 午前6時。

 センニンソウが見頃になっていた。オオシマザクラもそうなのだが、作者は緑色の葉と白い花の組み合わせが好きなようだ。

 オニグモの18ミリちゃんはY字形の糸だけを残して住居に戻っていた。

 光源氏ポイントでは、2日前にも円網を張っていなかったジョロウグモが今日もバリアーの中に閉じこもっていた。同居している雄だけがウロウロしている。

 ジョロウグモの17ミリちゃんを再発見した。もともと円網を張っていた場所から10センチくらい奥にいたので見落としていただけなのかもしれない。

「そんなこともあるさ、人間だもの」

 円網を張っている子たちには体長15ミリほどのガや体長20ミリほどのオンブバッタの雄をあげる。そのうちの1匹はオンブバッタの雄に駆け寄ったものの、その直前で急停止してホームポジションに戻ってしまった。

※2時間後に見た時には仕留めていたから、おそらく「安全に仕留められる」と判断するのに時間がかかったんだろう。


 午前7時。

 用水路ポイントにいるコガネグモの1番めちゃんには大きめのイナゴをあげた。お尻の膨らみ加減から判断すると、イナゴをもう1匹か2匹食べれば産卵できるんじゃないかと思う。

 その近くにいたナガコガネグモは捕帯を巻きつけたイナゴを残して姿を消していた。産卵であれば明日には戻ってくるだろう。

 2番めちゃんの子グモたちは3個のまばらなまどいを形成していた。


 午前11時。

 またサングラスが壊れてしまった。予備のサングラスを組み立てなくちゃ。


 午後11時。

 オニグモの18ミリちゃんがホームポジションで緑色のカメムシを食べていた。最近はカメムシも多いのである。


 9月9日。晴れ時々曇り。最低26度C。最高31度C。

 午前6時。

 オニグモの18ミリちゃんは大穴が開いている円網を残したままで住居へ戻ったらしかった。

 光源氏ポイントでは、三日前からバリアーの中にこもっていたジョロウグモの20ミリちゃんが円網を張っていた。こんなこともあろうかと用意してきた体長15ミリほどのガをあげる。

 体長18ミリほどのジョロウグモの円網には体長40ミリほどのオンブバッタの雌を投げ込んだのだが、円網に穴を開けながら近寄った18ミリちゃんは脚先でチョンチョンとつつくばかりで牙を打ち込もうとしない。もしかすると「お菓子がないからといってパンなんか食べたりしないわよ」というタイプなのかもしれない。〔獲物の体長が自分の二倍以上だからだろ〕

※1時間くらい後に確認してみたらオンブバッタはいなくなっていた。自力で脱出したのか、外して捨てられたのかはわからない。


 午前7時。

 用水路ポイントにいるコガネグモの1番めちゃんの円網に大きめのイナゴを投げ込んだのだが、知らん顔をされてしまった。今は曇っているので体温が上がっていないのかもしれない。

※十数分後にはイナゴに捕帯を巻きつけていた。


 二番めちゃんの子グモたちはいなくなっていた。出囊していない卵囊はあと1個だ。

 昨日イナゴを残していたナガコガネグモが円網で待機していた。新たにイナゴを1匹あげておく。

 用水路から飛び立ったカワセミを見た。青い翼はきれいだが、珍しくはない。食べやすいサイズの魚がいる水場があれば生きていける鳥のようだ。


 午前9時。

 堤防の上の舗装路では小型のサワガニ(?)が増えてきた。秋になると移動する子が多くなるようだ。


 午後7時。

 オニグモの18ミリちゃんが円網で待機していた。ただし、今のところ張り替える様子はない。この子の場合は、いつ張り替えるかを空腹度で決めているのかもしれない。


 午後9時。

 オニグモの18ミリちゃんが横糸を張っているところだった。その程度の空腹度なわけだ。


 9月10日。曇り時々雨。最低25度C。最高27度C。

 午前1時。

 オニグモの18ミリちゃんに体長15ミリほどのガをあげた。


 午後7時。

 オニグモの18ミリちゃんが古い円網を回収しているところだった。


 午後10時。

 オニグモの18ミリちゃんに体長20ミリほどのバッタをあげた。18ミリちゃんは当たり前に捕帯を巻きつけて、当たり前に牙を打ち込んだ。面白くない。〔勝手なことを言うな!〕

 スーパーの東南の角付近で見つけたコガネムシの仲間は37匹だけだった。気温が下がるとこういうことになるわけだ。


 9月11日。晴れのち雨。最低25度C。最高29度C。

 午前5時。

 マダラヒメグモの左前隅ちゃんの卵囊が13個になっていた。


 午前11時。

 オニグモの18ミリちゃんは円網を回収せずに住居へ戻っていた。ある程度大きな獲物を捕獲した後は円網を回収しないということなのかもしれない。古い円網の糸を食べるのは新しい円網の横糸を張り終えてからだから、獲物を食べ終えるまでは口を使えない、とか? 


 午後9時。

 コンビニの店先で体長20ミリほどのバッタを捕まえたので、オニグモの18ミリちゃんの円網に落とし込んだ。18ミリちゃんにとっては比較的大型の獲物だと思うのだが、意外にも18ミリちゃんは捕帯を巻きつけようともせずに、直接牙を打ち込んで仕留めていた。あまり暴れないタイプの獲物だったせいかもしれない。


 9月12日。曇り時々晴れ。最低23度C。最高27度C。

 午前6時。

 オニグモの18ミリちゃんは円網を回収せずに住居へ戻っていた。獲物を食べられなかった時にはどうするのかも観察したいものだな。

 光源氏ポイントでは9月6日から8日まで円網を張らなかったジョロウグモが円網を半分だけ張り替えていたのだが、張り替えていない側がごくわずかに黄色かった。円網を横方向から見て、張り替えてある側と比較するとわかるという程度の差だが。

 それはまあ、3日間絶食した後に円網を張ったら、すぐに大型の獲物が投げ込まれてしまうという状況では黄色くしたくもなるだろうな。


 午前7時。

 用水路ポイントにいるコガネグモの1番めちゃんは縦30センチ、横20センチという小さな円網を張っていた。しかも円網の下端は地上30センチくらいだ。これはもしかすると、作者がイナゴばかりを投げ込むので、コガネムシ狙いからイナゴ狙いに切り替えてしまったのかもしれない。あるいは「イナゴが現れる季節にはイナゴを狙ってもいいわよ」と本能に書き込まれているのか、だな。ああっと、ナガコガネグモの霊に憑依されてしまったという可能性も――。〔んなわけあるかい!〕

 コガネムシも持ってきてはいたのだが、これでは捕食してもらえそうもないので、そこらにいたイナゴを捕まえて円網にそっと置いてあげる。知らん顔をしていた1番めちゃんだったが、10分くらいしてから確認すると、ちゃんと捕帯を巻きつけていた。

 用水路の中ではアメリカザリガニが赤い鋏を広げていたので撮影しておく。

 川面ではカモが群れていたので、撮影できるカモと思ってロードバイクを停めたら、途端に離れていくんだ、これが。野鳥は通り過ぎる人間は無視してくれることが多いのだが、立ち止まると距離を取るのである。ちゃんと見ているんだなあ(もちろん、作者も横目で見ながら走っている)。

 せっかくだからデジタルズームを使って三カットだけ撮影しておく。


 午後7時。

 雨が降り始めている。

 オニグモの18ミリちゃんは古い円網で待機していた。小さな羽虫が2匹くらいかかっていて、時々それを食べているようだ。円網を張り替える気はないが、かかっている獲物は食べるということなんだろうか? 


 午後9時。

 オニグモの18ミリちゃんが円網を張り替えていた。サイズは縦60センチ、横45センチくらい。それなりに空腹のようだ。

 スーパーの東南の角に設置されている強力ライトのすぐ前にクモ(多分ズグロオニグモ)が円網を張っていた。夜の間だけとはいえ、暑い(熱い?)だろうに……。


 9月13日。雨のち曇り。最低23度C。最高28度C。

 午後4時。

 オニグモの18ミリちゃんの穴の開いた円網が残されていた。何か獲物がかかって、しかもそれを捕食できた可能性が高いわけだ(捕食に失敗した場合には穴が残らないことが多い)。獲物がかからなかった時の行動を観察したいのだが、なかなか思い通りにはいかないものだ。 


 9月14日。曇り時々晴れ。最低25度C。最高33度C。

 午前1時。

 マダラヒメグモの左前隅ちゃんの不規則網にダンゴムシを落とし込んだのだが、知らん顔をされてしまった。卵囊は13個だが、産卵能力を使い切って「いいクモ生だったわ」状態になっているのかもしれない。


 午前5時。

 曇り空に虹が出ていたので一応撮影しておく。


 午前11時。

 オニグモの18ミリちゃんが円網を回収していた……と思ったら住居にもいない。引っ越したのかもしれない。さんざんライトで照らしてしまったからなあ……。


 午後8時。

 体長70ミリほどの薄茶色のカマキリがいたので指を差し出してみたら、乗ってきた! カマキリというのは、とにかく逃げない昆虫なのである。

 玄関先ではハエトリグモの仲間らしいお尻の後端が尖っているクモが獲物に糸を巻きつけていた。ただし、検索した範囲ではハエトリグモが捕帯を使うという話は見当たらなかった。したがってハエトリグモではないかもしれない。


 9月15日。晴れ一時雨。最低23度C。最高29度C。

 午前7時。

 ピンク色のコスモスが咲き始めていた。

 光源氏ポイントにいる体長20ミリクラスのジョロウグモの1匹(以後「20ミリちゃん」と呼称する)の円網にそっと人差し指で触れてみた。

 20ミリちゃんはためらいがちに近寄ってきて、脚先でチョンチョン、触肢でもしょもしょしてくれたのだが、さらに第一脚と第二脚を使って作者の指をしっかり抱え込んでしまったのだった。これはいかん! 手を出してはいけない子に指を出してしまったのらしい。牙を打ち込まれる前に指を引かせてもらった。

 20ミリちゃんにはお詫びの印にアオバハゴロモを1匹、それを仕留めたのを確認してから体長10ミリほどのガもあげた。そうしたら、20ミリちゃんがガを仕留めている間に、同居していた雄2匹のうちの小さい方がアオバハゴロモに食いついたのだった。「雄だって獲物が欲しい」というわけだ。

 ここには体長20ミリクラスのジョロウグモが20ミリちゃんの他に3匹いる。今後はそれぞれ「20ミリBちゃん」「20ミリCちゃん」「20ミリDちゃん」と呼称することにしよう。引っ越しされたら誰が誰やらわからなくなってしまうのだから「メグ」「ジョー」「エイミー」「ベス」などというちゃんとした名前は付けない。体長18ミリほどの子もいるしな(見える範囲では、その他にも体長10ミリほどの子まで10匹くらいはいるようだ)。なお、17ミリちゃんは見つけられなかった。

 雄が2匹同居している20ミリBちゃんには体長5ミリほどのヒシバッタをあげた。体長で4分の1程度ならバッタでも飛びついてくるのだ。

 18ミリちゃんの後ろにいる20ミリCちゃんのバリアーには脱皮殻が取り付けられていた。円網は小さめだし、お尻の後端も鉛筆のように尖っているから脱皮したばかりなんだろう。

 20ミリDちゃんのお尻も尖っている。この子にはオンブバッタの雄をあげる。体長20ミリクラスでも、暴れない獲物なら捕食してもらえるのだ。


 午前8時。

 用水路ポイントではコガネグモの1番目ちゃんが姿を消していた。産卵だと思いたいが、卵囊は見当たらない。

 その近くの電柱に取り付けられていた卵囊の近くでは子グモたちが密集したまどいを形成していた。

 2番めちゃんの5個めの卵囊の近くにも密集したまどいが3個あった。

 大きめのイナゴを捕まえたので、体長20ミリほどのナガコガネグモにあげた。この子はおそらく2回は産卵している。


 午前10時。

 縦45ミリ、横30ミリくらいという、かなり大きめのコガネグモの卵囊を見つけた。膨らんでいるべき面が凹んでいるから出囊済みだろう。あまりカビていないので持ち帰ることにする。


 9月16日。晴れ時々曇り。最低22度C。最高31度C。

 午前5時。

 マダラヒメグモの右奥ちゃんの卵囊が5個になっていた。

 右前隅ちゃんの卵囊も8個になっている。


 午前6時。

 道路脇の草地で直径15ミリほどの白いアサガオ(多分)を見つけた。おしべの先端だけは赤紫色になっているようだ。同じサイズで黄色い花もあった。これで4色である。まだ見つかるかもしれないが。

 光源氏ポイントではジョロウグモの20ミリBちゃんが姿を消していた……と思ったら、20ミリDちゃんのすぐ後ろに円網を張っていた。これがジョロウグモなのだ。

 ジョロウグモの20ミリちゃんには同じくらいの体長のバッタをあげた。20ミリちゃんはバッタの腹部後端に牙を打ち込んだので、バッタは腹部を曲げて20ミリちゃんに噛みつこうとするのだが、ギリギリ届かない。ジョロウグモは捕帯を巻きつけて獲物の抵抗を封じることができないので、こういう大型の獲物を仕留めるのは危険なのである。〔あげなきゃいいだろが!〕

 今はまだ、ジョロウグモ向きの小さな羽虫が飛ぶような気温にならないのでしょうがないのだ。アリばかりあげるのもどうかと思うし。

 なお、20ミリちゃんの円網は無色に戻っていた。今は光源氏ポイントにいるジョロウグモたちの円網はすべて無色だ。


 午前7時。

 用水路ポイントの電柱に取り付けられたコガネグモの卵囊の周囲のまどいは5個に分裂していた。密集度も少し下がったかもしれない。

 2番めちゃんの5個めの卵囊から出囊した子グモたちのまどいは3個になっていた。こちらも少しまばらになったようだ。これだけシンクロ率が高いということは、この2個の卵囊はほぼ同じ日に造られたのかもしれない。

 その近くには体長4ミリほどのコガネグモの幼体が1匹いた。

 縞々模様の殻の直径が20ミリほどのカタツムリを見つけた。最近はこういう大型のカタツムリが少なくなった。


 午前8時。

 堤防の上の舗装路で体長100ミリほどのセスジスズメの幼虫を見つけた。相変わらず、お尻から生えている棘(?)をピコピコと前後に動かしながら歩いている。で、その棘に触れてみたのだが、まったく気にする素振りを見せない。それならばと、進行方向に指を置いてみると、ちょっと立ち止まった後、指を迂回して歩いて行くのだった。「この世に危険な物など存在しないのよ」とでも言いたげな態度である。面白くない。


 午後4時。

 部屋の中に体長4ミリほどのマミジロハエトリがいた。その前に指を置いてみたら乗ってきたので、外へ出させてもらう。ノリのいい子は嫌いじゃないが、踏みつぶしてしまいそうなのだ。それにしても、どこから入ってくるんだろう……。


 午後8時。

 マダラヒメグモのガス漏れ警報器ちゃんが卵囊の間から出てこない。念のために数えてみると、卵囊は17個あるようだ。これは「いいクモ生だったわ」状態なのかもしれない。


 9月17日。晴れ時々曇り。最低24度C。最高33度C。

 午前1時。

 コンビニの店先にコガネムシの仲間が6匹いた。気温が下がらないというのはジョロウグモたちによってよくないことのような気がする。作者も暑い中でサイクリングするのはつらいし。

 民家の塀にイラガの繭らしいものが2個付いていた。


 午前6時。

 舗装路脇の草地ではヒガンバナが咲き始めていた。

 ジョロウグモの20ミリちゃんは横糸を張っているところだった。そのソーセージ形のお尻は中央部が少し膨らみ始めている。

 その円網は縦25センチ、横30センチくらいだった。小さめだから、その分食欲はないのだろうが、体長16ミリほどのガを投げ込んでしまう。食欲がなくてもガなら飛びついてくるのが円網を張るクモというものなのである。おそらく、「チョウ目昆虫特有の振動パターンを感知したら、すぐに駆け寄って牙を打ち込みなさい」と本能に書き込まれているんだろう。「私はこの獲物を仕留めるほど空腹なのかしら」などと余計なことを考えていると、円網に鱗粉を残して逃げられてしまうのだ。

 さてさて、ジョロウグモが円網にかかる獲物を減らす方法は今のところ、三種類が確認されている。第一に横糸を黄色くする。第二にバリアーの糸を増やす。第三に円網の有効面積を小さくする、だ。おそらく、ジョロウグモは状況に合わせて使い分けているのだろう。

 20ミリCちゃんにはオンブバッタの雄をあげた。

 20ミリDちゃんにはオンブバッタの雌。ジョロウグモにとってはかなり大型の獲物であるはずなので心配だったのだが、積極的に仕留めてくれた。空腹だったんだろう。クモの空腹度を見切るのはとにかく難しいのだ。

 20ミリBちゃんは円網ごといなくなっていた。約束の地へ向かう旅に出たんだろう。〔あるのか、そんなもん?〕

 脱皮したばかりらしい体長16ミリほどのジョロウグモもいた。見ていると、この子の近くにいた雄が腹部腹面に潜り込んだ。交接したのか、オトナになったかどうかを確認しただけなのかはわからない。画像を拡大してみた範囲では触肢を生殖孔に挿入してはいなかったようだが……。

 ここにはお尻が細めのナガコガネグモも3匹いたので、そこらで捕まえたイナゴやオンブバッタの雌をあげた。ナガコガネグモについては、もう観察するべきテーマもないんだが、「ここで会ったが百年め」ということわざもあるから。〔ことわざだったか、それは?〕


 午前7時。

 用水路ポイントのコガネグモの子グモたち2組は、どちらも1個だけの大きくてまばらなまどいを形成していた。早ければ、明日辺りから分散し始めるんじゃないかと思う。


 午前11時。

 近所にいる体長17ミリほどのジョロウグモはお尻が太めのソーセージ形になっていた。

 ジョロウグモの場合、幼体のうちは脱皮する度に体長や脚が長くなっていくのに対して、最後の脱皮を終えてオトナになると、お尻が太くなる方向へ成長するようになる。クモは外骨格の節足動物なので、脱皮しない限りは頭胸部の大きさや脚の長さは変えようがないわけだ。それに対して、腹部の外骨格は柔らかいので膨らむことができるのである。というわけで、この子はすでにオトナなのだろう。

※今日はメモ用紙をスマホケースに入れるのを忘れてしまった。しょうがないので観察結果は左の手のひらにボールペンで書き込んだのだが、これが落ちない。台所用洗剤で洗ってもまったく落ちないのだ。手のひらをメモ用紙代わりにするのはよくないね。〔当たり前だ!〕


 9月18日。晴れのち雨。最低24度C。最高34度C。

 午前6時。

 ジョロウグモの20ミリちゃんの円網は今日もわずかに黄色くなっていた。

 20ミリちゃんは肉団子をもぐもぐしていたのだが、たまたまオンブバッタの雄を捕まえてしまったので、その円網に投げ込んでみた。もちろん20ミリちゃんは肉団子を放り出して獲物に駆け寄った。すると、その隙を突いて同居していた雄の1匹が肉団子に取り付いたのだった。

 その後、作者は目を離してしまったのだが、視界の隅で20ミリちゃんが素早く動いたので顔を向けると、20ミリちゃんが雄に牙を打ち込むところだった。いわゆる性的共食いである。逃げ遅れたのか、それとも覚悟の上だったのかはわからない。

「そんなこともあるさ、ジョロウグモだもの」

 交接を終えたジョロウグモの雄の仕事というと、盗み食いと他の雄に対する妨害を兼ねた交接、そして雌に食われることくらいだろう。いったんアミノ酸レベルまで分解されてから、また卵になって生まれ変わればいいさ。〔ドライだな〕

 性的共食いにはもう慣れたのさ。 

 20ミリCちゃんと20ミリDちゃんにはオンブバッタの雌をあげた。どういうわけか、今年の光源氏ポイントにはオンブバッタが多いのだ。


 午前7時。

 道路標識の裏にあったコガネグモの2番めちゃんの子グモたちのまどいはなくなっていた。

 それに対して、電柱の子グモたちはまばらなまどいを形成したままだ。ここで初めて差が付いたわけである。局地的な気温の差が原因だと思う。 

 自販機の裏にアブラゼミがいたので撮影だけしておく。これほど大型の獲物を確実に捕食できるのはコガネグモやオニグモくらいなのだ。


 午前10時。

 明日は雨の予報が出ているので85キロ走ったら右眼の視力が低下してしまった。やだやだ。年は取りたくない。


 9月19日。雨のち晴れ。最低21度C。最高26度C。

 午前1時。

 コンビニの店先にいたコガネムシは1匹だけだった。気温が30度を超える日も少なくなっていくのらしい。夏は終わった。


 午前10時。

 スーパーの近くでクビキリギスを見つけた。しかし、ジョロウグモにあげるのには大きすぎるし、今日は1日休むつもりだし、明日も雨の予報が出ているし……。


 午後7時。

 室内にいたカを捕まえたのでマダラヒメグモのガス漏れ警報器ちゃんの不規則網に落とし込んだのだが、知らん顔をされてしまった。


 9月20日。曇りのち雨。最低22度C。最高26度C。

 午前7時。

 走り出した途端に雨が降ってきた。

「そんなこともあるさ、お天気だもの」


 午前11時。

 スーパーの壁に体長25ミリほどの黒地に白い横線が入ったサナギがくっついていた。何のサナギかはわからない。棘は生えていないからツマグロヒョウモンではなさそうだが……。


 午後5時。

 このところ耳の中が痒かったので、試しに抗アレルギー点鼻薬を耳の中にスプレーしてみたら痒みが治まった。アレルギーが原因だったようだ。〔薬は正しく使いましょう〕


 9月21日。晴れ時々曇り。最低23度C。最高31度C。

 午前2時。

 ナショナルジオグラフィックのサイトで『ジョロウグモのメスが共食い、科学者が観察、米国で侵略的外来種』(2025.09.14)という記事を見つけた。「何を今さら」と思ってしまったのだが、ジョロウグモが外来種として北アメリカに定着したのはつい最近のことなのだった。

 しかし、だ。「勝者は敗者をあたかも獲物のように自ら吐き出す糸でぐるぐる巻きにした」というのはどうかと思うぞ。いくら素人記者が書き散らかした記事だとしても。そもそも一般的に「捕食する」のは「獲物」だろう。花粉(これは明らかに餌)を食べるクモもいるらしいが。

 そして、ヤマシログモ科とササグモ科の一部には糸を吐くクモもいるらしいのだが、ジョロウグモも含めて一般的なクモは腹部に「糸疣いといぼ」または「出糸突起」と呼ばれる器官を備えていて、そこから糸を引き出すのだ。少なくとも作者はジョロウグモが糸を口から「吐き出す」のを観察したことはない。

 なお、ユカタヤマシログモについてはクモを狙うために口から糸を吐くという必殺技を身につけたのらしい。〔その表現は進化論的に正しくないぞ〕

『Ecological Notes Web』というサイトの「「口から」糸を吐いて捕食する珍しいクモ、ユカタヤマシログモはお家の中で見られます」というサイトによると、ユカタヤマシログモが吐いたジグザグの糸は「吐液噴出後3ミリ秒後には最初の長さの60%に収縮することで、糸の張力で相手のクモを押さえつけることになります(Suter & Stratton 2013)。これによって物理的に動くことができません」と書かれている(「収縮することで」は「収縮するので」、「動くことができません」は「動けなくなります」にした方がいいような気はするが)。

 コガネグモ科のクモなどが獲物の抵抗を封じるために巻きつける捕帯という糸の束には伸縮性がほとんどない。昆虫などであれば、これで動きを封じてしまえるのだが、同じ糸使いであるクモの場合は、この捕帯の避け方・捌き方を知っているのではないかと思う。そういうことならば、お尻から引き出す糸ではなく、口から吐く糸は奇襲攻撃として有効になるだろう。

 ナショナルジオグラフィックはただの雑誌だ。金儲けのためならどんなに非科学的な記事でも掲載してしまうのだろう。読む方が悪い。信じる方が悪いという話なのである。ああっと、もともとの論文が非科学的なのかも……。


 午前10時。

 光源氏ポイントにいるジョロウグモの20ミリちゃんに、そこらで捕まえた体長20ミリほどのガをあげた。昨夜のうちに捕まえておいたガは冷蔵庫から出すのを忘れてしまったのだ。

 20ミリDちゃん(多分)は1メートルくらい奥に引っ越していた。雨が降ると引っ越しするジョロウグモは多いのである。それはいいとして、この距離ではガを投げ込むと円網に届く前にカーブして外れてしまいそうだ。しょうがない。オンブバッタの雄を投げ込んでおく。

 オンブバッタの雌も捕まえたので、手の届く場所に円網を張っていた体長18ミリほどのジョロウグモにあげた……のだが、知らん顔をしている。体長で二倍を超える獲物だからしょうがない。安全に仕留められそうだと判断したら手を出すだろう。

 円網を張り替えていないナガコガネグモも2匹いた。空腹ではないということなのか、あるいは、今朝は雨だったので仕事をする気になれなかったかだと思う。


 午前11時。

 堤防の上の舗装路脇でオニグモの円網を見つけた。大穴が開いているから獲物を食べきれなかったので住居へ持ち帰ったんじゃないかと思う。なお、小さな羽虫が4匹かかっていた。

 実はオニグモの円網にも虹が現れるのだが、昼間でも張りっぱなしにしていることが少ないし、横糸の本数が少ないので目立たない。まあ、人間に見せるために張った網でもないんだろうしな。

 今日はサイクリング中に一度もサングラスを押し上げなかった。やっとセッテイングが決まったようだ。


 9月22日。晴れ時々曇り。最低17度C。最高25度C。

 午前9時。

 街路樹のプラタナスが紅葉し始めている。

 光源氏ポイントにいるジョロウグモの20ミリちゃんは円網の4分の3を張り替えていた。その色は相変わらずわずかに黄色で、雄が3匹同居している。食われた雄まで加えれば4匹になる。モテモテだ。オトナの魅力なんだろうかなあ……。

 ナガコガネグモの1匹は円網に隠れ帯を2本付けていた。それでも小さめのイナゴを投げ込むと、すぐに捕帯を巻きつけ始めた。

「ナガコガネグモにはイナゴがよく似合う」

 もう1匹のお尻が太めのナガコガネグモの隠れ帯は下側1本だけだったが、円網の直径が15センチくらいだし、横糸の間隔が不揃いだった。早ければ今夜にも産卵するんじゃないかと思う。

 ジョロウグモの20ミリDちゃん(多分)の円網にはトンボがかかっていた。あんなに大きな複眼を持っていてもジョロウグモの円網に飛び込んでしまうものなんだろうかねえ……。

 今年の1月に産卵したジョロウグモの女王様の円網があった場所を中心に、半径5メートルの範囲内にジョロウグモが6匹いた。人気スポットらしい。

 その近くの開けた場所には体長20ミリを超える子もいて、円網も一目でわかるほど黄色くなっていた。20ミリちゃんにも、もう少し多めに獲物をあげてもいいかもしれない。


 午前10時。

 用水路ポイントにはオニグモの円網が二枚残されていた。もう9月だし、来月には残業するオニグモが現れるんじゃないかと思う。


 9月23日。晴れ。最低15度C。最高25度C。

 午前2時。

 コンビニの店先にはコガネムシが1匹もいなかった。さすがに気温が低すぎるのらしい。

 その代わりに緑色のカメムシが数匹いたのだが、手を出す気にはなれない。なお、光源氏ポイントには茶褐色のカメムシや細い体型のカメムシなどがいるのだが、この緑色のカメムシはほとんど見かけない。街中が好きなカメムシなのかもしれない。


 午前8時。

 舗装路の脇に背甲の幅が15ミリほどのサワガニ(多分)がいた。脚が何本か外れていたのだが、念のために背甲をツンツンしても反応がない。そこまで移動したところで力尽きてしまったのらしい。秋に引っ越しをするサワガニは多い。おそらく、越冬に適した場所へ向かうのではないかと思う。

 光源氏ポイントでは小さな羽虫が渦を巻くように群れ飛んでいた。やっと秋が来たという感じだ。もうジョロウグモたちに獲物をあげなくても大丈夫だろう。

 オニグモの幼体のものらしい直径20センチくらいの円網が残されていたのだが、これも小さな羽虫が飛び始めるのを予測して狙いを切り替えたのかもしれない。

 クサグモのシート網が虹色に輝いていたので撮影したのだが、ごちゃごちゃしていて見苦しい。何か目を引く物が写っていればいいんだろうけど。

 ジョロウグモの20ミリちゃんの円網には体長15ミリほどのバッタの仲間を投げ込んで、それをホームポジションに固定したのを確認してから、さらにアオバハゴロモを投げ込んだ。

 しばらく観察していると、20ミリちゃんは肉団子状になったバッタの食べかすを捨てた後、脚を1本ずつ口でお手入れした。それからアオバハゴロモを取り付けてある方向に向かって網を弾き、アオバハゴロモに近寄って円網から引き抜くと、ホームポジションに持ち帰ったのだった。1回だけの実験だが、ジョロウグモは第二の獲物を固定した位置を記憶している可能性があると言える……と思う。

 昨日、お尻が太めだったナガコガネグモはお尻が細くなっていた。ビンゴ! 

 ただし、円網は張っていなかった。こしき部分に小さな渦巻き状に糸を張っているが、それだけだ。……と思っていたら、ゆらんゆらんしながら足場糸を張り始めた。産卵で疲れたので作業開始が遅れただけらしい。


 午前9時。

 用水路ポイントでは死んだスズメバチを見つけた。仰向けになって背中を丸めたような姿勢で転がっている。そういう姿勢のせいか、お尻から毒針が出ていたのだが、出ている部分だけで4ミリはあった。こんなもので刺されたらたまらんだろうな。

 いつもと違う道に入ってみたら、道路脇のトウガラシの実の多くが真っ赤になっていた。「秋来たりなば冬トウガラシ」であるなあ。〔……「冬来たりなば春遠からじ」……〕

 昔の話になるが、ネパールへ行った時に夕食のダルバート(「ネパール定食」とも言われる)の付け合わせに緑色のトウガラシが添えられていたので食べてみたことがある。まあ、味や食感はピーマンそのものだったのだが、ほんのわずかな間を置いて、口の中が燃えるように熱くなったのだった。涙も止まらない。それを見た他の参加者は食べようとしなかったなあ。


 午前10時。

 産卵後のナガコガネグモは直径20センチくらいの円網を完成させていた。どうも気温が下がると円網を小さくするような気がする。気温が下がれば獲物を消化する能力も低下するはずだ。大量の獲物がかかっても食べきれないということなのかもしれない。それでいて隠れ帯は1本半だが。用水路ポイントで捕まえてきた小さめのイナゴを投げ込むと、ちゃんと捕帯を巻きつけていた。

 さてさて、ジョロウグモの消化能力も低下しているはずである。ということは、今のうちにジョロウグモの20ミリちゃんに大型の獲物イナゴを食べさせれば、一気に円網を黄色くさせることができるのではないだろうか? 

 ただし、この場合「こんな大っきいの無理!」行動を採られる可能性もある。そこで予行演習として女王様ポイントにいる体長20ミリほどのジョロウグモ(以後「20ミリEちゃん」と呼称する)の円網に、少し余計めに弱らせたイナゴを投げ込んでみた。すると20ミリEちゃんは、安全確認に少し時間はかけたものの、ちゃんと牙を打ち込んでくれた。よしよし。明日は休みにするつもりだから、明後日にも20ミリちゃんにイナゴをあげてみよう。


 午後9時。

 タイヤを交換した。外してみたら後輪のタイヤに開いていた穴は向こう側が見えるほど深かった。ゴム層はまだ残っていたのでもったいない気もするのだが、パンクする前に交換した方がいいというのが作者の考え方だ。


 9月24日。晴れ時々曇り。最低15度C。最高25度C。

 午前9時。

 ジョロウグモの20ミリちゃんは円網の3分の1を張り替えていた。その張り替えてある部分にイナゴを投げ込んで、それを仕留めてホームポジションに持ち帰ってから、さらにイナゴとオンブバッタの雌も投げ込んでみた。これだけ食べれば円網を黄色くするだろうと予想したわけである。食べずに捨てられてしまったらそれまでなんだが。

 20ミリDちゃんの円網にもイナゴを2匹投げ込んでおく。

 その近くでは、お尻が細めのジョロウグモが円網の3分の1を黄色くしていた。変温動物であるジョロウグモの場合、気温が下がれば体温が低下し、獲物を消化する能力も下がるだろう。円網を黄色くする条件は緩くなっているはずなのだ。

 ふと気が付くと、まだ若いジョロウグモのカップルが作者の投げ込んだイナゴの後脚の両端に口を付けていた。しかし、これを見て「仲良きことは美しきかな」などと言ってはいけないのである。

 ジョロウグモの雄は不用意に雌に近づくと食われてしまいかねない。それでいて何かを食べなければ生きていけない。長い獲物の反対側から口を付けるのは食われずに食べるための精一杯の工夫なのだ(雌が丸めた古い円網を食べることもある)。


 午前11時。

 体長15ミリほどのイラガの幼虫を見つけた。黄緑色のかわいい毛虫なんだが、『YAMAHACK』というサイトには「そのトゲ(毒棘:どくきょく)に触れると電気が走ったような痛みを感じ、その後皮膚炎を起こします」と書かれている。「かわいい子には手を出すな」であるなあ。〔そんなことわざはない!〕


 9月25日。晴れ時々曇り。最低15度C。最高28度C。

 午前7時。

 マダラヒメグモの右奥ちゃんの周囲に子グモが10匹いた。どういうわけか、そのうちの1匹だけがひどく小さい。体長で3分の2くらいだ。

 左前隅ちゃんの卵囊のうち、まだ出囊していないらしい卵囊は1個だけだった。

 ガス漏れ警報器ちゃんのまだ出囊していないらしい卵囊は2個。


 午前8時。

 ジョロウグモの20ミリちゃんのお尻の背面は両側の黄色の斑が繋がって横帯になりつつあるようだ。黒かった部分も色が薄くなって青灰色になってきている。円網の色は相変わらずわずかに黄色。うまくいかないなあ……。

 その円網に弱らせたイナゴを投げ込んでみたのだが、無視されてしまった。それならばと、体長7ミリほどのアオバハゴロモを投げ込むと、これには飛びついて牙を打ち込むんだ、これが。「お菓子があるのならパンなんか食べなくてもいいじゃない」ということらしい。

※1時間くらい経ってから確認すると、イナゴをホームポジションに持ち帰っていた。気温が上がるのを待っていたのかもしれない。


 体長18ミリほどでお尻がソーセージ形のジョロウグモにも弱らせたイナゴをあげた。この子は安全確認に少し時間をかけたものの、じりじりと近寄って牙を打ち込んだ。ジョロウグモの好みは小型昆虫というよりも、弱い昆虫なのかもしれない。「暴れなければどうということはない!」なのだろう。

 光源氏ポイントには体長6ミリほどのコガネグモの幼体もいた。


 午前9時。

 9月22日に円網を黄色くしていたジョロウグモの20ミリEちゃんは、わずかに黄色いという程度の色にしていた。その20ミリちゃんより細いお尻の背面には濃い青灰色のベースに黄色い斑が左右に5個ずつ並んでいる。


 午前10時。

 自販機の側でアオバハゴロモを仕留めたらしいゴミグモの幼体を見つけた。アオバハゴロモの薄緑色はよく目立つはずなんだが、ゴミグモに仕留められたのは初めて見るような気がする。

 その近くには体長12ミリほどのコガタコガネグモ(多分)がいた。隠れ帯は1本が20センチ以上もある見事なX字形。クモが小型になれば相対的に大型の獲物が多くなる。コガネグモの成体よりはX字形にする必要性が高くなるのだろう。


 9月26日。晴れのち曇り。最低18度C。最高29度C。

 午前7時。

 光源氏ポイントでは体長18ミリほどで鉛筆形のお尻のジョロウグモが右第三脚を網に引っかけて水平に近い姿勢になっていた。日光浴の準備をしているようだが、残念ながらそこは昼頃にならないと陽が当たらない場所なのだった。

 ジョロウグモの20ミリちゃんは円網の半分を張り替えていた。同居している雄は1匹だけ。体長7ミリほどのハエをあげておく。もうすでにお尻がボンレスハム形になっているのだから獲物をあげなくてもいいような気もするのだが、作者はハエやガを見ると捕まえたくなってしまうのだ。

 その網のバリアー部には、若い雌としか思えない体長12ミリほどの子がいた。旅の途中で立ち寄ったのではないかと思う。

※10時頃に見た時には、この子は20ミリちゃんの円網の右下の隅辺りで縦糸を張り始めていた。食われないといいけど。


 午前9時。

 スズメバチのような体型と体長でありながら、クマバチのように胸部背面に毛が生えているハチ(多分)がオオハンゴンソウの花を訪れていた。ハチの仲間は種類が多いので種名まではわからない。

 それぞれイナゴとオンブバッタを仕留めていた若いナガコガネグモ2匹を見つけた。円網は地面すれすれ。バッタの類は基本的に地面や草の葉の上を歩くか跳ねるかする昆虫である。それを捕獲するのには低い位置に円網を張るのが正解なのだろう。


 9月27日。曇りのち晴れ。最低20度C。最高27度C。

 午前6時。

 ユニットバスの壁から出ているパイプの下に体長2ミリほどのマダラヒメグモの幼体(多分)がいた。床からの高さは75センチくらいだ。

 マダラヒメグモの右奥ちゃんの卵囊が6個になっていた。これで越冬させたら来年の春からまた産卵を再開するんだろうか? 


 午前7時。

 ジョロウグモの20ミリちゃんは円網の半分を張り替えていた。同居している雄は4匹。体長15ミリほどのガをあげておく。

 20ミリちゃんの網の右下隅にいた体長12ミリほどのジョロウグモは左上に移動していた。どうも網を張らずにウロウロしているようだ。

 左第二脚を網に引っかけてぶら下がっていたジョロウグモはそのままだった。脚先をツンツンしても反応がない。力尽きているようだ。同居していた雄も見当たらない。

 もう1匹、同じくらいの体長のジョロウグモも草にしがみついたままで息絶えていた。2匹とも亜成体か成体になったところで力尽きている。何が問題だったのかわからない。 


 9月28日。曇り時々晴れ。最低18度C。最高27度C。

 今日は休み。


 9月29日。晴れ時々曇り。最低23度C。最高32度C。

 午前10時。

 今日もスズメバチが1匹、舗装路に転がっていた。

 ジョロウグモの20ミリちゃんは円網の半分を張り替えていた。そのお尻は中央部が膨らみ始めている。ラグビーボール形になっていくんだろうか? オンブバッタの雄をあげておく。

 20ミリちゃんの網のバリアー部には雄が5匹いた。20ミリちゃんのホームポジションを中心に半径1メートルの範囲内にはジョロウグモの若い雌が3匹いるから、浮気者の雄たちが寄ってきているのかもしれない。モテモテである。

 なお、3匹の雌のうち、1匹は2日前に居候を始めた子のような気がするのだが、確認はできない。

 20ミリDちゃんは円網の3分の2を張り替えていた。体長25ミリほどのバッタをあげておく。


 午前11時。

 イナゴを5匹捕まえたので、3匹はナガコガネグモたちに配る。2匹は冷蔵庫で保管だ。


 9月30日。曇りのち晴れ。最低19度C。最高26度C。

 午前6時。

 今日も小さな羽虫の群れが渦を巻いていた。堤防の上では赤いトンボも多数飛んでいる。秋なんだなあ。

 ジョロウグモの20ミリちゃんは円網を張り替えていなかった。食べ過ぎで食欲がないんだろうと思うが、もしかすると産卵ということもあり得るかもしれない。まだ9月だが、暖かい日が続いていたから、その分卵の発生が進んでいるはずなのだ。

 20ミリDちゃんは円網の半分を張り替えていたので、小さめのイナゴを投げ込んでおく。イナゴを食べてくれるのは楽でいい。本当は体長3ミリ以下の小型昆虫をあげるべきなんだけどね。


 午前7時。

 用水路ポイントでは小指の先くらいの大きさの白い糸の塊がイネ科の草の葉に取り付けられていた。クモの卵囊のような感じはするが、どうなんだか……。

 ここにはナガコガネグモが2匹いたので、そこらで捕まえたイナゴとクビキリギスをあげておく。ナガコガネグモは、バッタの類ならば自身の体長の2倍の獲物でも仕留めてくれるから楽でいい。

「ジョロウグモとは違うのだよ、ジョロウグモとは!」

 コガタコガネグモは円網を残して姿を消していた。越冬体勢に入るのはまだ早いような気もするんだが、作者はクモではないので断言はしかねる。


 午前9時。

 光源氏ポイントに戻ってみると、ここでもスズメバチが息絶えていた。すでにアリがたかっているので手は出さないでおく。

 殻の直径が15ミリほどのカタツムリのカップルがいちゃいちゃしていた。


 10月1日。雨時々曇り。最低20度C。最高23度C。

 午前10時。

 緑色のカメムシが1匹、LED灯の周りを飛んでいた。捕虫網で捕まえて、屋外へリリースする。

 天気予報をチェックすると、今日は午後10時頃まで雨らしい。ジョロウグモの20ミリちゃんの様子を見に行くのは明日にしよう。


 午後1時。

 マダラヒメグモの左前隅ちゃんがコンクリート面に落ちていた。力尽きたようだ。卵巣内の卵を使い切ったのなら大往生と言えるだろう。合掌。


 10月2日。晴れ時々曇り。最低16度C。最高28度C。

 午前10時。

 白色、というか、ごく薄いクリーム色のヒガンバナを見つけた。花茎1本の花10個だけが白色で、その周囲のヒガンバナはすべて赤色だった。

※帰宅してから調べてみると、ヒガンバナには赤色の他に白色や黄色の花を咲かせる品種もあるのらしい。混ぜて植えたんだろうか? 


 水田に挟まれた舗装路には体50ミリほどのトンボが4匹落ちていた。4匹とも脚は動かせるが、飛ぶことはできないらしい。稲刈りが終わったので雨宿りする場所がなくなってしまったのかもしれない。その他にトンボの死骸も3個あった。

 トンボは光源氏ポイントにいるジョロウグモたちに配ろうと思ったのだが、すでにトンボを仕留めていた子が1匹いた。かなり太っている20ミリちゃんにはあげたくないし、20ミリDちゃんはスカスカになったイナゴをまだ食べている。しょうがないので、1匹はナガコガネグモにあげた。

 トンボもチョウ目昆虫と同じで、バッタやコガネムシのように強力な脚で暴れるということがない。その分危険度が低いので、円網を張るクモたちは比較的積極的に仕留めてくれるのだ(ジョロウグモの場合、ホームポジションに運ぶ時には翅と腹部の周囲で円網の糸を切らなければならないので手間はかかるようだが)。

 20ミリちゃんは円網の80パーセントくらいの範囲を張り替えていた。もっとも、残り20パーセントの部分は縦糸しか残っていない。横糸は雨で切れてしまったんだろう。体長5ミリほどのアリを投げ込んでおく。

 お尻の背面にある左右の黄色い斑のうち、頭胸部側から2列めまでが繋がって横帯になっているジョロウグモを2匹見つけた。どちらも20ミリちゃんよりもお尻が細い。ということは、お尻の太さ(栄養状態)に関係なく、時間が経つと横帯になっていくのかもしれない。

※ウィキペディアの「ジョロウグモ」のページには「成熟した雌の腹部には幅広い黄色と緑青色の横帯模様があるのが特徴であり……」とされている。さらに「成熟」のページを開いてみると「生物の心や体が十分に発達・成長すること。普通は生殖能力を持つこと、特に有性生殖が可能になる時期をもって成熟と見なす」という記述もあるのだった。そこでジョロウグモの場合はというと、最後の脱皮を終えると有性生殖が可能になるわけだが、この時点におけるジョロウグモの雌の背面は黄色と黒のまだら模様なのである。まあ、ウィキペディアはその程度のものなんだが。ああっと、「成熟」を「成長」に書き換えれば問題はすべて解決するなあ。


 ナガコガネグモの卵囊も1個見つけたのだが、これが小さい。直径は約7ミリ、高さも約12ミリくらいしかない。作者がいままで見てきた中でも最小クラスだ。

 9月22日に産卵したらしいナガコガネグモは、このところ円網を張り替えていない。産卵前の絶食だと思う。

 ここには体長4ミリほどのコガネグモの幼体(多分)もいた。隠れ帯は右上に1本と左下にハーフサイズが1本だ。


 10月3日。晴れ時々曇り。最低15度C。最高26度C。

 午前8時。

 光源氏ポイントでコガネムシの仲間(多分アオドウガネ)を1匹見つけた。一気にいなくなるというわけではなさそうだ。ああっと、昼間から活動しているのは異常だなあ。

 ジョロウグモの20ミリちゃんは円網の全面を張り替えていた。

 近寄れる範囲で全面張り替えをしていたジョロウグモはその他に6匹。3分の2と半分が1匹ずつだった。これは偶然ではあるまい。考えられる要因としては最低気温が低かったことが挙げられると思う。変温動物は気温が下がれば活動し難くなるはずなのだが、この時期のジョロウグモの場合は、まさにこの時期から飛び始める小型昆虫を効率よく捕獲するために円網の有効面積をできるだけ広くする必要があったのではないかと思う。

 お尻が三角おむすび形のヤエンオニグモ(多分)を見つけた。体長は12ミリほどで、全身くすんだオレンジ色。新海栄一著『日本のクモ』によるとヤエンオニグモの雌の体長は「15~20㎜」ということなので、多分亜成体だろう。出現期が「5~8月」になっているのは、越冬して成体になるのが「5~8月」という意味であるはずだ。オンブバッタの雄をあげておく。


 午前10時。

 体長80ミリほどのオオカマキリ(多分)を見つけた。その眼前で指を左右に動かして、時々触角に触れてみたりしていたら鎌の一撃を食らった。しかし、トゲトゲの鎌といえどもヒトの指の皮膚に穴を開けるほどの威力はない。いい気になってもう一度挑発していたら、また一撃。

「はっはっは。昆虫とは違うのだよ。昆虫とは!」〔……相手は迷惑してるんだぞ〕

 なお、ウィキペディアの「カマキリ」のページには「ゴキブリ目とカマキリ目の分岐は、約2億6000万年前とされる」と書かれている。古生代ペルム紀からゴキブリは素早く逃げる方向へ、カマキリは踏みとどまって攻撃するという方向へと進化してきたんだろうな。


 10月4日。曇り一時雨。最低18度C。最高25度C。

 午前7時。

 ジョロウグモの20ミリちゃんは円網の半分を張り替えていた。そのお尻の左右に並んでいる黄色い斑は、頭胸部側の1列が繋がって横帯になっている。2列めも中央部が細いだけでほぼ横帯。3列めと4列めも横長になっていて、もう少しで中央部が繋がりそうだ。なお、ここにはもっとお尻が細くても3列めまで横帯になっている子もいるから、時間が経てば自動的に黄色い斑が横帯になっていくんだろう。

 そこらで捕まえた体長35ミリほどのガガンボを円網に投げ込むと、20ミリちゃんはガガンボの翅に取り付いてしまったのだが、すぐに間違いに気が付いて、改めて胸部辺りに牙を打ち込んでいた。

 ヤエンオニグモの12ミリちゃんは円網の回収の途中で休憩しているらしかった。ヤエンオニグモは基本的に夜行性なのだが、この場所は東西方向に広がっている森の端なので、陽当たりが悪い分、夜が明けたと判断するのが遅れるのかもしれない。もう少し残業していてくれれば、何か獲物をあげられるのだが……。


 午前9時。

 陽当たりがよさそうな草地でイナゴを5匹捕まえたので、光源氏ポイントまで引き返すことにする。ジョロウグモの20ミリDちゃんも円網の半分を張り替えていたので、1匹あげようというわけだ。

 というわけで光源氏ポイントまで戻ってみると、なんと、ガガンボをあげたばかりの20ミリちゃんの円網にトンボが2匹かかっているではないか! おそらく、夢中でいちゃついていてジョロウグモの円網に気付かずに飛び込んでしまったんだろう。

「そんなこともあるさ、トンボだもの」

 しょうがない。しばらくの間は獲物をあげないことにしよう。太りすぎはよくないと思うから。

 20ミリDちゃんの円網に弱らせたイナゴを投げ込むと、安全確認にもたいして時間をかけずに牙を打ち込んだ。この子にはオンブバッタの雄は除くとしても、イナゴクラスの弱らせたバッタを4匹はあげているから、「こういうタイプの獲物は、大きくてもたいして暴れないから安全だ」と思い込んでいるのかもしれない。捕食者ならば、そういう学習能力を持っていた方が生き残りやすいはずだ。ああっと、あえて弱らせていないイナゴをあげてみるのも面白いかもしれないなあ。〔迷惑だろうな〕


 午後7時。

 前輪のタイヤのサイド部分のゴムが15ミリくらいの長さで切れていたので交換。高いタイヤなんだが、パンクするまで使う気にはなれないのだ。


 10月5日。曇り一時雨。最低19度C。最高27度C。

 午前7時。

 マダラヒメグモの左前隅ちゃんの食べかすを掃除した。


 10月6日。曇り一時雨。最低21度C。最高28度C。

 午前9時。

 ジョロウグモの20ミリちゃんは円網の半分の上から10センチくらいの部分を張り替えていた。昨夜は雨が降ったらしいのだが、雨で中断したのなら円網の下の方だけを張り替えてあるはずなのに対して、20ミリちゃんはホームポジションの近くだけを張り替えている。ということは、食欲がないから円網の有効面積を減らしたんだろう。2日前にはガガンボ1匹とトンボ2匹を食べたからなあ。

 20ミリDちゃんは円網を張り替えていなかった。しかも、脚先の爪を円網に引っかけてお尻を斜め下に向けている。異常な姿勢である。何か悪い物でも食べたんだろうか?〔イナゴだ。イナゴ!〕

 クモも変温動物だから、気温が下がればその分体温が下がって、獲物を消化する能力も、それを血肉に変えて太る能力も低下するんだろう。さらに、クモの場合は大幅に食べ過ぎてしまってから、「あら、あたし、食べ過ぎたみたい。ダイエットしなくちゃ」とばかりに絶食を始めたりするから厄介だ。

 お尻が太めのソーセージ形なのに、腹部の頭胸部側と後端側の黄色い班が繋がって横帯になっているジョロウグモを見つけた。その間の2列の斑は濃い青灰色の縦帯で分断されている。どこから横帯になっていくのかには個体差があるのかもしれない。

 ナガコガネグモ2匹が、それぞれイナゴとオンブバッタの雌を仕留めていた。ナガコガネグモとイナゴのシーズンなのである。


 午前10時。

 ヤエンオニグモの12ミリちゃんは2日前に円網を張っていた場所から70センチくらい離れた場所で残業していた。オンブバッタの雄を落とし込んであげたのだが、円網が垂直から45度くらい傾いているので、科学雑誌によく出てくるブラックホールのイラストのように凹んでしまう。大きく傾いた垂直円網は大型の獲物、というか、体重の割に表面積が小さい獲物を保持し難くなってしまうのだ。

 しかも12ミリちゃんも知らん顔をしている。あまり食欲がないということなんだろう。しばらくの間放っておくことにする。十分に食べて、安らかな眠りについて欲しいものだ。〔休眠して越冬だ。不適切な表現を使うんじゃない!〕


 午前11時。

 体長10ミリほどのコガタコガネグモの幼体(多分)を見つけた。しかし、隠れ帯どころか横糸も張っていないからできることは何もない。

 体長7ミリほどのオニグモの幼体も残業していた。この子はちゃんと横糸を張っていたので、体長5ミリほどのアリを投げ込んであげる。

 光源氏ポイントに戻ってみると、ヤエンオニグモの12ミリちゃんがオンブバッタの雄に捕帯を巻きつけていた。やれやれ……。


 午後1時。

 帰宅してみると、珍しくマダラヒメグモの右前隅ちゃんが住居から出ていた。その不規則網に体長8ミリほどのダンゴムシを落とし込んでみると、右前隅ちゃんはコンクリート面まで落ちたダンゴムシを追いかけていって吊り上げ、糸を投げつけ始めた。なんだ、元気じゃないか。もしかして室温が下がるのを待っていたのか? 


 10月7日。曇り。最低19度C。最高24度C。

 午前10時。

 カラスウリの実がオレンジ色になっていた。

 ジョロウグモの20ミリちゃんは円網の5分の4を張り替えていた。しょうがない。そこらで捕まえたアオバハゴロモをあげておく。

 20ミリDちゃんの姿はなかった。来年のジョロウグモたちにはイナゴをあげないようにするべきかもしれない。

 ジョロウグモの1匹の円網には、ホームポジションを挟んで左側と右側にカタツムリかナメクジが這った後に残る乾いた粘液のような物が付いていた。ただし、始点も終点も円網の端に届いていない。また、素材が糸ではないから「隠れ帯」とは言えないし、確実にこの子が付けたものだとも言えない。とはいえ、この子のバリアーの本数は少ないから、隠れ帯と同じで昆虫にアピールする効果を持っているような気はする。何だかわからない。

 ヤエンオニグモの12ミリちゃんの姿も見当たらなかったのだが、残業時間が終わったのか、それとも休眠に入ったのかはわからない。もっと早い時間帯に確認すればいいのだが、午前6時頃はまだ寒いし、7時頃からは通勤時間帯なので交通量が増えるのだ。


 午前11時。

 飛べなくなっているらしい体長20ミリほどのハエの仲間(多分)を見つけた。体色はいかにもハチのような黄色と黒だが、翅は二枚しかない。

「ハエならばどうということはない!」ということで、バンダナで包んでポケットに入れ、光源氏ポイントまで戻る。〔たいへん危険です。よい子はハチのような昆虫を拾ってはいけません〕

 このハエは20ミリちゃんのすぐ側に円網を張っている体長18ミリほどのジョロウグモの円網に投げ込んだのだが、この子はすでに何か獲物をもぐもぐしていたのだった。ハエに向かって数歩踏み出しても、ハエが暴れるとまたホームポジションに戻ってしまう。「パンが大暴れするのならお菓子をたべればいいじゃない」というわけだ。〔パンは暴れない〕

 まあ、それがジョロウグモというものだ。

 と、そこで気が付いた。20ミリちゃんと体長4ミリほどの雄が交接している! 

 急いでカメラを取り出したのだが、カメラのオートフォーカスが効かない。20ミリちゃんの腹部や脚、バリアーの糸などにはフォーカスするのだが、その中に紛れ込んでいる小さな雄はカメラに無視されてしまうのだ。シャッター半押しで距離を微調整しながら6回くらいシャッターを切って、なんとか使えそうなのが2カットだけだった。やれやれ……。


 10月8日。晴れのち曇り。最低18度C。最高28度C。

 午前7時。

 ノブドウの実が色付き始めていた。緑と青と紫とピンクと白の実が並んでいるのが面白い。

 ジョロウグモの20ミリちゃんは円網の半分を張り替えていた。

 近くの森の中ではスズメバチが積もった枯れ葉の上を低空飛行していた。時々枯れ葉の間に見える緑色の翅の所に降りたりしている。

 これ幸いと近寄って撮影していると、スズメバチは細いバッタの後脚のようなものを口に咥えてもぐもぐし始めた。どうやら、ここで体長40ミリ前後くらいのキリギリスの仲間を仕留めて、運べる分は巣に運んだ後、残していた脚を取りに来たのらしい。おそらく、スズメバチは獲物がいた場所や餌があった場所を一時的に憶えておくくらいの記憶力は持っているのだろう。

 そんなことを考えていたら、スズメバチが目の前でホバリングしていた。「何よ、あんた。何か文句があるの?」とでも言いたげな様子である。さらに背中側へ回り込んだりする。絶体絶命……というほど危険な状況ではない。こういう時はゆっくりしゃがみ込めばいいのだ。「ごめんなさい。ありません。ごめんなさい。ありません」と呪文を唱えると、さらに効果的だろう。〔非科学的だな〕

 検証したことはないのだが、スズメバチはヒトの頭部くらいの高さを飛ぶことを好むのではないかと思う。興味を持たれたら、じゃまにならないようにするのが正解なのだ。多分、ここで振り払ったりすると刺されるんだろう。ただし、スズメバチにとってはそれも「売られたケンカ」だろうけど。

 枯れ葉の上をチョロチョロしていた体長5ミリほどの鞘翅が柔らかい甲虫(?)を2匹捕まえたので、ジョロウグモたちにあげる。これくらいのサイズの獲物なら何の問題もなく仕留めてもらえるのだ。

 ヤエンオニグモの12ミリちゃんの姿はなかった。休眠に入ったのだと思いたい。


 午前9時。

 体長17ミリほどでお尻が薄べったいオニグモが残業していた。その円網にそこらで捕まえたイナゴを少し弱らせてから投げ込んだのだが、これが体長40ミリほどの大物だったせいか手を出してもらえない。

「大きすぎたんだ。ビビってやがる」

※午前10時頃に確認すると、この子は捕帯を巻きつけたイナゴに口を付けていた。それでわかったのだが、この子は7本脚だ。脚を失って捕食能力が低下している分、消極的になっているのかもしれない。


 午前10時。

 木造ガレージの近くにも体長20ミリ前後のジョロウグモが3匹いた。枯れ葉の下にいた体長7ミリほどのワラジムシを2匹の円網に投げ込んでみると、ちゃんと牙を打ち込んで仕留めてもらえた。

 何年か前、ダンゴムシをあげたジョロウグモは球形になったダンゴムシを捨ててしまったのだが、球形になれないワラジムシなら仕留められるわけだ。おそらく球形になった背甲では牙が滑ってしまって打ち込めないのだろう。

「それがどうした」と言われてしまいそうだが、作者はただ、そのクモには何ができるのか、何ができないのか、何故それができるのか、何故できないのかを知りたいというだけのことである。

 ちなみにマダラヒメグモはダンゴムシ狙いのクモらしいので、ダンゴムシが警戒を解くまで近くで待っていて、背甲に隙間ができてから、そこに牙を打ち込むようだ。


 10月9日。曇りのち晴れ。最低20度C。最高22度C。

 午前4時。

 満月の周囲にリングが見える。薄い雲が広がっているようだ。

 玄関先にコメツキムシがいたので裏返しにしてみたのだが、跳び上がらずに脚力だけで元に戻ってしまった。面白くない。

 コンビニの店先でコガネムシの仲間(多分アオドウガネ)を1匹だけ拾った。改めて調べてみると、アオドウガネ成虫は5月から10月まで出現するのらしい。広葉樹の葉さえあれば生きていける甲虫なのだったよ。

 コンビニのガラスには緑色のカメムシも多数とまっていた。手を出す気にはなれないが。


 10月10日。晴れのち曇り。最低13度C。最高22度C。

 午前9時。

 光源氏ポイントにはアシナガバチサイズの力尽きたハチが転がっていた。

 ジョロウグモの20ミリちゃんは円網の半分を回収していた。張り替えていないのは、あまり空腹ではないのと夜間の気温が低かったせいだろう。

 その隣の体長18ミリほどの子は円網の半分の上から30センチくらいの範囲を張り替えていた。ちょうど草地から飛び出したオンブバッタの雌を捕まえたので、あげておく。

 舗装路上で甲羅の長さが120ミリほどのカメを見つけた。そのままだと車に轢かれそうなので草地に移動させておく。

 オニグモの17ミリちゃんは円網を張っていなかった。休眠に入ったんだろう。

 車にはねられたらしい体長30ミリほどのガがいたので、体長17ミリほどのジョロウグモにあげた。


 午前10時。

 小さな羽虫が渦を巻いて飛んでいた。

 舗装路を歩いているスズメバチもいた。もちろん手は出さない。

 背面と翅が薄茶色のオオカマキリ(多分)もいた。緑色になるか薄茶色になるかは何によって決まるんだろう? 


 10月11日。雨時々曇り。最低17度C。最高18度C。

 午前6時。

 今週初めから咳と痰が出ている。また連続で眠れるのは2時間という状態になるのかもしれない。まあ、そうなったら眠れる時に眠ればいいわけだが。


 10月12日。晴れのち曇り。最低16度C。最高26度C。

 午前9時。

 ジョロウグモの20ミリちゃんは円網の横糸をすべて回収していた。産卵が近いのかもしれない。

 隣にいる体長18ミリほどの子はまだオンブバッタをもぐもぐしていた。

 その反対側にいる子は円網の全面を張り替えていた。縦も横も40センチくらいだから、この時期のジョロウグモとしては小さめだろう。色はほとんど無色。体長15ミリほどのガをあげておく。ああっと、獲物をあげるのをやめたら円網を大きくするだろうか?  


 午前10時。

 堤防の上の舗装路ではカナブンの幼虫が10匹、仰向けの姿勢で歩きまわっていた。イモムシが体を波打たせるようにして接地していない脚を前方へ踏み出すような動作を背中で行っている、という説明で理解してもらえるだろうか? 

 おそらく、越冬に適した場所を探しているんだろう。なお、この子たちが脚を使って歩こうとしないのは、短い脚が頭部近くに6本しかないので、歩きにくい上にお尻を引きずることになってしまうからだろう。「長い脚がないのなら背中を使えばいいじゃない」というわけである。

 見落とすと轢いてしまいそうなので、指ではじき飛ばして草地に放り込んでおく。それでわかったのだが、この子たちは危険を感じると体を丸めるのだな。ダンゴムシのように硬い背甲を持っているわけでもないのだから無駄なような気もするのだが、気休めくらいにはなるのかもしれない。

※間違いに気付くまで時間がかかってしまったのだが、カナブンも含めてコガネムシ科のハナムグリの仲間の幼虫は背面で歩行するのだそうだ。つまり、この子たちがカナブンの幼虫であるとは言えないのである。まいったね。ただし、めんどくさいから書き直しはしない。「カナブンの幼虫」という用語が出てきたら「ハナムグリの仲間の幼虫」のことだと思ってください。


 午前11時。

 1匹だけだが、円網にかかっている多数の小さな羽虫を1匹ずつ引き抜いているジョロウグモを見つけた。おそらく、オトナになったジョロウグモの一部は小さな羽虫が群れるであろう場所に引っ越していくのではないかと思う。

 そういう子に獲物をあげても無駄……ではあるのだが、引っ越しするタイプとしないタイプを見分けることはできないのだ。少なくとも今の作者には。


 午後1時。

 帰宅してみると、玄関に体長3ミリほどの黒い甲虫(多分)がいた。これ幸いと捕まえて、マダラヒメグモの右前隅ちゃんの不規則網に落とし込んだ。今回はうまく不規則網に引っかかったのだが、右前隅ちゃんは獲物に向かって数歩踏み出したものの、またホームポジションに戻ってしまった。身動きしないものは「獲物だ」と認識しないのかもしれない。

 念のために確認すると、右奥ちゃんも住居から出ていた。これは困った。何かあげないと。そこで近所の花壇に放り出してあるカラス避けのネットをめくると、ダンゴムシやワラジムシがいたので、体長10ミリほどのダンゴムシを捕まえてきて不規則網の上から落とし込む。しかし、これもコンクリート面まで落ちてしまう。気温が下がってきたのでマダラヒメグモのやる気も低下しているようだ。

※4時間後に確認すると、2匹とも獲物を仕留めていた。


 10月13日。曇り時々晴れ。最低18度C。最高23度C。

 午前9時。

 ススキの花が咲き始めている。

 光源氏ポイントにいるジョロウグモの20ミリちゃんは今日も円網を張っていなかった。

 ハチが1匹、歩道に転がっていた。一見スズメバチのような体型だが、アシナガバチくらいの体長だし、それでいて後脚は長くないようだ。何者なのかわからん。

 ここにはイラガの幼虫もいた。


 午前10時。

 堤防の上の舗装路では、今日もカナブンの幼虫が3匹、仰向けで歩きまわっていた。なお、腹面が下向きでないと「這う」にならないのらしい。イモムシの動きと同じように見えても、仰向けだと「歩く」になるようだ。

 ふと思いついたのだが、この子たちは指でツンツンすると、一巻き半のアンモナイトのように丸くなる。それから指でつまむと噛みつかれずに済みそうだ。〔よい子は真似しないでね〕

 まあ、カナブンの幼虫も噛むのかどうかは確認していないのだがね。


 午前11時。

 イラガの幼虫を2匹見つけた。1匹はひっくり返って腹面側を見せていたのだが、これが鮮やかな黄色なのだった。背面がライムグリーンで腹面はレモンイエローである。これでは手を出したくなっても不思議はない。要注意な幼虫である。〔…………〕

 もっと警戒したくなるような配色、黒とオレンジ色とか、黒地に赤い点とかにして欲しいものだ。


 10月14日。晴れのち雨。最低15度C。最高22度C。

 午前6時。

 珍しいことにマダラヒメグモのガス漏れ警報器ちゃんが住居から出ていた。そこで不規則網に体長7ミリほどのダンゴムシを落とし込んだのだが、床面まで落ちてしまった。ガス漏れ警報器ちゃんはそれを追いかけていって、吊り上げ用の糸を取り付けたのだが、ダンゴムシはチャバネゴキブリ1匹とダンゴムシ2匹の食べかすにしがみついていたので、食べかすもろとも吊り上げることになったのだった。

 掃除ができればいいのだが、掃除をすると不規則網の糸を切ることになってしまう。屋外ではどうなっているんだろう? 食べかすは風で飛ばされたり、雨で流されたりしているんだろうか? それとも、卵巣内の卵をすべて産めるほどの獲物を捕食できることこそが異常なんだろうか?

 右奥ちゃんも住居から出ていたので、体長7ミリほどのワラジムシを落とし込んだ。これもコンクリート面まで落ちてしまったのだが、後で確認するとちゃんと仕留めていた。


 午前7時。

 畑に植えられているソバの花が見頃になっていた。


 ソバの花

  ソバになくても

   ソバの花

  ソバまで寄れば

   ソバばかりかも 〔…………〕


 ジョロウグモの20ミリちゃんの姿はなかった。産卵だと思う。

 その近くに円網を張っている体長18ミリほどのジョロウグモ(以後「ジョロウグモの18ミリちゃん」と呼称する)には、そこらで捕まえたワラジムシをあげた。

 ワラジムシなら仕留められるということは、ダンゴムシも丸くなれないようにしてしまえば牙を打ち込めるんじゃないかという気もする。冷蔵庫が空になったら試してみてもいいかもしれない。

 力尽きたばかりらしい小さめのスズメバチを拾ったので、女王様ポイントにいた体長18ミリほどのジョロウグモ(以後「ジョロウグモの18ミリBちゃん」と呼称する)の円網に投げ込んだ。大型の獲物であっても、全く抵抗しないのならばちゃんと仕留めてもらえるのである。〔死んでいるハチを「仕留める」と言っていいのか?〕

 光源氏ポイントに戻ってみると、20ミリちゃんのボロボロの網に体長22ミリほどのジョロウグモが侵入していた(以後、この子は「ジョロウグモの22ミリちゃん」と呼称する)。ああっと、もしかしたら、この子は産卵を終えてお尻が細くなった20ミリちゃんかもしれない。お尻が細くなったので、その分長くなったように見えているだけという可能性はあるだろう。今のところ、作者はジョロウグモの個体識別ができないのである。お尻の模様も次第に変化していくし……。

 食欲はありそうなので、オンブバッタの雄を円網の横糸が残っている部分に投げ込んでみたのだが、22ミリちゃんは近寄ろうとしない。まあ、獲物がかかっていることに気付いてはいるようだから、「安全に仕留められる」と判断すれば手を出してもらえるだろう。

※1時間くらい後に確認すると、22ミリちゃんはホームポジションでオンブバッタを食べていた。


 午前9時。

 体長30ミリほどのエンマコオロギを捕まえたので、体長20ミリほどのナガコガネグモの円網にそっと置いてみた。コオロギの仲間は基本的に飛ぶことがないので、同じ体長のイナゴなどに比べて重い。投げ込んだりすると円網を突き抜けてしまうのである。それでもエンマコオロギが暴れると円網から外れて落ちてしまったのだが、それをまた捕まえて、もう一度円網に置いてみる。今度は逃げられる前にDNAロールで捕帯を巻きつけてもらえた。


 午前10時。

 いつもとは違う道に入り込んでみるとコスモスの花が咲いていた。撮影しようと思って近づいてみると、イモムシが入っている花が4輪あった。花びらに傷はないから花粉を食べているのかもしれない。


 午前11時。

 稲刈りを終えた水田で体長15ミリほどのオニグモがトノサマバッタくらいの大きさの獲物を食べていた。残業ご苦労様。

 この子も撮影しようと思ったのだが、風が強くて、シャッターを切った時には被写体が画面の外へ出てしまう。まいったね。


 午後9時。

 ガス漏れ警報器ちゃんの食べかすをカメラ用のブロアーで吹き飛ばした。粘球は劣化しただろうが、獲物は仕留めやすくなったはずだ。

 ついでに右奥ちゃんの食べかすも吹き飛ばしておく。


 10月15日。雨のち曇り。最低15度C。最高22度C。

 午後1時。

 光源氏ポイントには体長3ミリ以下の小さな羽虫がかかっているジョロウグモの円網がいくつかあった。

 ジョロウグモの22ミリちゃんは縦45センチ、横30センチくらいの無色の円網を張っていた。体長17ミリほどのガをあげる。で、明日は雨が降るらしいので、アオバハゴロモと体長7ミリほどのハエもあげておく。なお、22ミリちゃんの網はバリアーの本数が多いし、その左前には体長15ミリほどのジョロウグモが円網を張っていて、ものすごく獲物を投げ込みにくくなっている。

 22ミリちゃんの近くにいる体長18ミリほどのジョロウグモは円網を張り替えていなかった。この子も産卵が近いのかもしれない。

 体長18ミリほどの子はもう1匹いて、この子は円網をわずかに黄色くしていた。

 今のところ、光源氏ポイントには体長15ミリから17ミリほどの小さなジョロウグモの成体が4匹いる。これがただの偶然ではないとしたら、脱皮回数を減らして、小さいままオトナになってしまおうということなのかもしれない。この場合、産める卵の数は減るだろうが、オトナになれないまま冬を迎えるよりはいいはずだ。

 体長17ミリほどで5本脚の子には小さめのイナゴを弱らせてからあげた。さすがに慎重に安全確認をしていたが、体長17ミリで5本脚にしては短い時間で牙を打ち込んだようだ。

 昨日エンマコオロギをあげたナガコガネグモは、まだコオロギを食べ終えていなかった。それでもお尻はだいぶ丸くなってきている。コオロギの可食部分はそれほど多いのである。


 午後3時。

 堤防の上の舗装路を緑色の尺取り虫(?)が歩いていた。この子たちは頭部近くにある本来の6本の脚と腹部後端の6本の偽足ぎそくしか持っていないので、お尻を引きつけてΩ形になってから頭部側を前に伸ばすという歩き方になってしまうのらしい。なお、モンシロチョウの幼虫などは腹部の中間部分にも偽足があるので腹部を高く持ち上げる必要がないというだけで、基本的には同じ歩き方をしているようだ。

 カナブンの幼虫は2匹しかいなかった。1匹を手のひらに載せてみると、その口器は三日月形の牙だった。これはおかしい。植物食ならば、その口器はイモムシやバッタのような噛み切り・噛み潰し型の方が優れているはずだ。クモのように咬む(突き刺す)ための牙など使い道がないだろう……と思ったのだが、この子は頭部を上下させて作者の指を掻くような動作を始めたのだった。もしかすると、これは枯れ葉や土の中に潜り込むための動作かもしれない。そういうことであるならば、このいかにも硬そうな黒い三日月形の牙は人間にとってのシャベルのようなものなのかもしれない。ただし、その場合でも何をどうやって食べているのかという問題は残るわけだが……。

※ウィキペディアの「カナブン」のページによると、カナブンの幼虫はクズの葉の腐葉土を食べて育つのらしい。しかし、腐葉土というのは噛み切ったり噛み潰したりする必要のない餌なんだろうか? ああっと、この牙は休眠前の特別仕様であって、脱皮して牙状になる前は噛み切り・噛み潰し型の口器だったのかもしれないなあ。


 午後4時。

 昨日バッタを食べていたオニグモは、円網にバッタの食べかすを残したままで姿を消していた。安らかな眠りについたんだろう。〔「休眠」と言え!「休眠」と〕


 午後6時。

 近所にいる体長16ミリほどのジョロウグモの円網に、体長7ミリほどの弱らせていないアリを投げ込んでみた。当たり前だが、この子はアリの近くで円網を強く弾くばかりで仕留めようとしない。それでもホームポジションに戻る様子もないから食欲はあるのだろう。ビシッ、ビシッと円網を弾くことで獲物を暴れさせ、疲れるのを待っているような気もする。捕帯を使って獲物の抵抗を封じるということができないと、こんな苦労をすることになるわけだ。


 10月16日。雨時々曇り。最低16度C。最高22度C。

 午前8時。

 今日は1日雨らしいのでお休み。


 10月17日。晴れ時々曇り。最低16度C。最高22度C。

 午前10時。

 マダラヒメグモの左前隅ちゃんの不規則網に体長4ミリほどのユウレイグモの仲間(多分)が入り込んでいた。画像を拡大してみると、出囊済みの卵囊の側にも、もっと小さなクモがいるようだ。不規則網を張るクモにとっては快適な空き家なのかもしれない。

 アパートの脇には体長10ミリほどのジョロウグモが円網を張っていた。この季節にこの体長ではオトナになる前に冬が来てしまいそうなんだが……。

 ジョロウグモの22ミリちゃんは縦も横も40センチくらいの円網を張っていた。気温も下がったから大きな円網はいらないんだろう。なお、22ミリちゃんを含めて光源氏ポイントにいるジョロウグモたちのお尻は、全員ボンレスハム形か太めのソーセージ形、あるいはラグビーボール形になっている。だいたい16ミリ以下の子はラグビーボール形に、体長18ミリ以上の子はボンレスハム形になることが多いようだ。これは雌にとって重要な器官(卵巣?)が腹部内にあって、成体になるとそれが大きくなるということなのではあるまいか? 体長16ミリ以下の子はそれが小さいので腹部の中央部だけが膨らんでラグビーボール形になるのに対して、18ミリ以上の子は腹部の頭胸部側から後端まで伸びているのでボンレスハム形になるという仮説である。これはおそらく、解剖してみれば検証できるだろう。もちろん作者はやらないが。

 女王様ポイントにいたジョロウグモの1匹が姿を消していた。産卵だと思う。

 今日もコガネムシの仲間を1匹見つけた。夜の間ならもっといるかもしれない。


 午前11時。

 堤防の上の舗装路には今日もカナブンの幼虫が1匹いた。今日は指付き手袋にしてきたので、遠慮なく手のひらに載せてみる。この子も三日月形の牙を開閉しながら作者の指の間を掘るような動作をした。

 光源氏ポイントの奥の森の中では枯れ木につかまって動きを止めている体長30ミリほどの緑色のイモムシがいた。おそらく、ここでサナギになるつもりなんだろう。

 その近くには、体長18ミリほどで、まだお尻が細めのソーセージ形のジョロウグモもいたので実験することにした。ワラジムシを仕留めたジョロウグモがいたのだから、ダンゴムシも球形になれない程度に弱らせれば仕留めてもらえるんじゃないかというわけである。

 落ち葉の下を探ってもダンゴムシが見当たらなくて苦労したのだが(ダンゴムシは雨で湿った落ち葉が苦手なのかもしれない)、体長12ミリほどのダンゴムシを捕まえたので、開きにしてから円網に投げ込んだ。これがビンゴ! ちゃんと牙を打ち込んでもらえた。作者の予想が外れないこともたまにはあるのだ。 


 10月18日。晴れのち曇り。最低13度C。最高25度C。

 午前10時。

 眼が覚めたのは9時過ぎだった。近所のスーパーは9時30分開店なので、先に買い物を済ませることにする。

 すると、スーパーの入り口のガラスの内側に体長15ミリほどのガがいたのだった。さっそくバッグに常備しているポリ袋で捕まえる。「朝寝坊は1匹の得」であるなあ。〔そんなことわざはない!〕

 年金生活のクモ観察者にとっては現金3文よりも1匹のガの方がありがたいのだ。


 午前11時。

 ジョロウグモの22ミリちゃんに捕まえたばかりのガをあげた。この子のお尻は太めのソーセージ形なので、もう少し太ってもいいだろう。

 光源氏ポイントにいるジョロウグモで腹部背面の左右にある黄色い斑が繋がって横帯になっている子は6匹。黄色い斑を分けている黒い縦帯が消えていない子は2匹だった。

 一目でわかるほど円網を黄色くしていたジョロウグモも1匹だけいた。

 今日は開きにしたダンゴムシを4匹のジョロウグモにあげてみた。結果は牙を打ち込んでホームポジションに持ち帰った子が3匹、円網から外して捨てた子が1匹だった。うーん……食べられないことはないが、「こんな物食えるかあ!」と、ちゃぶ台をひっくり返す子もいるというところかなあ。〔今時の子は知らないぞ、ちゃぶ台なんか〕

 人間の食べ物でいうと伊豆諸島特産のくさやのようなものなのかもしれない。作者は二度と食べたくないと思ったのだが、好きだという人がいてもおかしくはないような食べ物だった。少なくとも毒ではないようだし。

 枯れ木にとまっていた緑色のイモムシはいなくなっていた。またハズレだ。

「そんなこともあるさ、イモムシだもの」

 堤防の上の舗装路にはカナブンの幼虫が2匹いた。今日は指付き手袋なので、1匹を手のひらに載せてみた。するとこの子は、親指と人差し指の付け根の間の隙間に頭部を押し込んで、もっくりもっくりと通り抜けようとするのだった。地面に落ちる前に草地にリリースしておく。

 体長100ミリほどのセスジスズメの幼虫も舗装路を歩いていた。車に轢かれるとかわいそうなので、拾い上げて手のひらに載せてみた。それでわかったのだが、この子の腹部後端にある偽足にも爪が付いているのだな。手袋の生地に爪を引っかけているので簡単に落ちたりはしないのだ。


 10月19日。曇りのち雨。最低18度C。最高21度C。

 午前9時。

 ジョロウグモの22ミリちゃんは円網の半分(縦40センチ、横30センチくらい)を張り替えていた。体長15ミリほどの太めのガをあげておく。

 その近くにいる体長18ミリほどの子は円網を張り替えていなかった。産卵が近いのか、あるいは、ただ単に空腹ではないだけかもしれない。

 光源氏ポイントでは2匹のオニグモが残業していた。1匹は体長5ミリほどで、もう1匹は15ミリほど。5ミリほどの子は何か獲物をもぐもぐしていたから、もうすぐ休眠に入るだろう。ああっと、残業ではなく、昼勤にシフトしたという可能性もあるかなあ。

 ダンゴムシの開きをあげたジョロウグモには落ち葉の下にいた体長5ミリほどのゴキブリ体型の甲虫(多分)をあげた。ダンゴムシばかりでは栄養が偏ってしまいそうだから。ただ、この甲虫がすばしこくて捕まえるのに苦労する。その上、外骨格が柔らかいので、力を入れるとすぐに潰れてしまうのだ。

 幅1メートルくらいのコンクリート張りの用水路の中にジョロウグモが2匹、網を張っていた。なんてこった! オトナのジョロウグモは高い所を好むようだと思っていたのに。

「そんなこともあるさ、ジョロウグモだもの」

 クモは観察すればするほど新しい事実が明らかになるからやっかいだ。論文屋さんのようにパッと観察してさっと論文を書き上げて、「後は野となれ山となれ」と言ってしまえれば楽でいいんだろうけど。

 そのうちの1匹には開きにしたダンゴムシをあげた。ダンゴムシはほぼ一年中手に入るし、捕まえやすいから食べてもらえると助かる。

 体長18ミリほどのジョロウグモが歩道に転がっていた。お尻はラグビーボール形だから、産卵できないまま力尽きたのらしい。合掌。


 午前11時。

 スーパーの近くにいるジョロウグモの円網に小さな羽虫が大量にかかっていた。いないわけではないわけだ。今年の光源氏ポイントでは1枚の円網に100匹もかかるほど小さな羽虫が多くないのだが、これはただの偶然なんだろうか? 

 

 10月20日。雨のち曇り。最低14度C。最高19度C。

 午前1時。

 今日は午前9時頃まで雨らしい。アラームはオフにしておこう。


 午前11時。

 近所にいる体長20ミリクラスのジョロウグモが円網を張り替えていなかった。産卵なら3日以内に姿を消すかもしれない。


 10月21日。曇り。最低14度C。最高16度C。

 午前10時。

 ユニットバスの壁に体長5ミリほどのユウレイグモの仲間がいた。左前隅ちゃんの不規則網に入り込んでいた子だと思う。十分な量の糸を食べ、もしかすると脱皮までしてから旅を再開したというところだろう。

 またハズした。近所のジョロウグモが円網の半分を張り替えていたのだ。

「そんなこともあるさ、ジョロウグモだもの」


 10月22日。雨時々曇り。最低12度C。最高14度C。

 午前11時。

 近所で体長30ミリほどのスズメバチの仲間の死骸を見つけた。

 帰宅してから調べてみると、山川自然研究所の『スズメバチ 日本本土産 全6種類』の「スズメバチ亜科(八種類)」のページにはオオスズメバチ(働き蜂の体長26~38ミリ)より小さい種として、ヒメスズメバチ(同25~33ミリ)とコガタスズメバチ(同21~27ミリ)が掲載されていた。ヒメにしろ、コガタにしろ、その大顎はオオスズメバチと同じ噛み切り・噛み砕き型だが、大きさや体色が少しずつ違っているので、それで見分けられるのらしい。

 そこで画像を再生してみると、どうやらこの子はコガタスズメバチらしい。そしてよく見ると、お尻の針がその根元の部分ごと抜けている。敵と闘って命がけの一撃を加えた後、そのダメージで死んだようだ。合掌。


 10月23日。晴れ時々曇り。最低10度C。最高17度C。

 午前9時。

 光源氏ポイントには体長2ミリほどの小さな羽虫が多数付いているジョロウグモの円網が多かった。やっとそんな季節になったのだなあ。

 ただし、森の縁にいる子たちの円網には獲物がほとんどかかっていない。張り替えてあるという可能性もあるわけだが、その場合でも舗装路近くの子たちと違う行動をしたのは何故なのかという問題が残る。もしかすると、舗装路近くでは1日の寒暖差が大きく、森の縁の気温は陽当たりの悪さと樹木の存在によって、低めで安定しているのかもしれない。

 今日は22ミリちゃんも含めて、古い円網の糸を円網のホームポジションに取り付けている子が多かった。気温が高い時期にはバリアーに取り付けることが多いようだったから、気温が低いので楽をしたいということなんだろう。

 体長18ミリほどのジョロウグモの1匹が姿を消していた。産卵だと思う。


 午前10時。

 水田の脇ではホトケノザが見頃になっていた。この草は夏草が枯れて地面に陽が当たるようになると花を咲かせるのらしい。あえて寒い時期に花を咲かせれば、他の草と争う必要がない。我が道を行くという草である。花粉を運んでくれる昆虫も少ないから、そこに対策する必要はあるらしいが。


 午前11時。

 カナブンの幼虫が1匹、車道を歩いていた。道路脇の草地に投げ込んでおく。

 光源氏ポイントに戻ってみると、陽が当たるようになった22ミリちゃんとその隣の体長16ミリほどのジョロウグモが円網にかかっている小さな羽虫の収穫を始めていた。1匹引き抜いてはホームポジションに戻るというのを繰り返しているようだ。得られるエネルギーより消費するエネルギーの方が大きいんじゃないかという気もするのだが、ジョロウグモにとっては意味がある行動なんだろう。


 10月24日。晴れ。最低10度C。最高17度C。

 午前9時。

 街路樹のプラタナスが散り始めていた。


 午前10時。

 光源氏ポイントでは22ミリちゃんを含めて3匹のジョロウグモが水平に近い日光浴姿勢を取っていた。

 その22ミリちゃんは円網の中央部の3分の2を張り替えていた。そして、多数の小さな羽虫を団子状にしたものを背面側のバリアーに付けている。体長10ミリほどのガを円網に投げ込むと、ちゃんと捕食した。というわけで、当分の間は産卵することはなさそうだ。

 この羽虫ダンゴについては、円網の隅に付けている子もいるし、捨てた子もいる。各自で好きなように処理しているようだ。共通しているのは食べていないということだけである。「パンがなくても乾いたお菓子なんか食べないわよ」ということらしい。獲物を十分に食べられない子たちに知られたら怒られるぞ。

 今日も主のいなくなったジョロウグモの円網を1枚見つけた。


 午前11時。

 堤防の上の舗装路にはカナブンの幼虫が2匹歩いていた。草の中に投げ込んでおく。それが正しいかどうかはわからないが、轢かれるよりはマシだろう。

 車道に体長40ミリほどの頭部が潰されたオオスズメバチの死骸が転がっていた。もったいないので、拾って、用水路の上にいた体長18ミリほどのジョロウグモの円網に落とし込んだ……のだが、さすがに「こんな大っきいの無理!」とばかりに、円網の反対側の端まで逃げられてしまった。まあ、食欲があるのならそのうちに食べてもらえるだろう。

※30分ほど後に確認すると、この子はオオスズメバチの頭部に食いついていた。ジョロウグモにとって死んだオオスズメバチはただの餌なのである。ただし、元気なオオスズメバチが円網にかかっても、暴れ疲れておとなしくなるまでは手を出せないだろう。


 午後7時。

 フロントの変速機が作動不良だったので調整した。もう何年もやっていないので、やり方を完全に忘れていて大変だった。結局はワイヤーが緩んでいただけだったんだがね。


 10月25日。曇りのち雨。最低12度C。最高18度C。

 午後1時。

『クモ生理生態辞典 2019(編集中)編集/池田博明』というサイトの「コガネグモ」の項には「……淡緑色の多角形の最中のような卵のう……」とか「……卵のうは薄い黄緑色……」などという記述がある。これは、間違っているとは言い切れないのだが、あまり正しくはない。

『老人と瀬戸内海』というサイトの「コガネグモの観察記録! 卵囊作りから孵化まで! タマムシやイラガセイボウまで諸食!」(ほんとに「諸食」と書いてある)というページを閲覧してもらえばわかるように、コガネグモの卵囊は本来白色なのである。

 ではなぜ「淡緑色」とか「薄い黄緑色」とかいう話になるかというと、これはおそらくカビの色である。作者が観察した範囲では、産卵後2日経過した時点で、すでに肉入りワンタン形の膨らんでいる部分の上側が薄いモスグリーンになりつつあった。ちなみに、森の中にあったスズミグモの卵囊もカビが生えるとモスグリーンになる。

 なぜコガネグモやスズミグモの卵囊にカビが生えるのかというと、第一にクモの糸はタンパク質でできている。第二にコガネグモやスズミグモの卵囊の表面はおそらく水が染みこみやすいのだろう。第三にコガネグモは気温が高い時期に産卵する。つまり栄養と水分と温度というカビが生える条件が揃っているわけだ。そして、こうもカビが生えやすいのはコガネグモやスズミグモの卵囊だけのようだから、もしかすると、このカビは保護色として機能しているのかもしれない。

 間違っていたらごめんなさいだが、池田氏は大崎茂芳氏と同じで、論文は読むが、生きているクモは見たことがないというタイプなのだろうと思う。作者はこういう論文屋さんの言うことなど信じるつもりはないが、「偉大なる池田博明様のお告げを信じれば極楽往生間違いなしじゃ」という人は信じればいいだろう。作者には関係ないことだ。


 10月26日。雨時々曇り。最低14度C。最高19度C。

 午後1時。

 スーパーの西側にいる体長4ミリほどのゴミグモは直径約20センチの円網の外側5センチくらいの部分だけに横糸を張っていた。水滴は付いていないから雨がやんだので張り替えを始めたものの、気温が低いのでちょっと休憩というところだろう。雨はまだ降るらしいんだけどねえ……。


 10月27日。晴れ。最低14度C。最高23度C。

 午前10時。

 スーパーの近くにいるジョロウグモの1匹が黄色い糸で円網を張り替えていた。

 しかし、そこから5メートルくらい離れた場所にいる子の円網は無色のままなのである。十分な量の獲物を食べられるかどうかは運任せなのかもしれない。


 午後1時。

 今日からは昼頃から走ることにする。気温さえ上がれば、まだ膝を出したまま走れるのだ。ちなみに上半身は長袖の裏起毛下着に夏用の半袖ジャージ。

 光源氏ポイントではオンブバッタの雄を3匹捕まえてしまった。雌たちが産卵を始めたので雄はやることがないのかもしれない。お尻が細めのジョロウグモたちに配っておく。なお、イナゴもまだいるのだが、ジョロウグモにあげるのは避けたい。

 ここにはオニグモのものらしい円網が3枚あった。昼間にかかる獲物を狙う体制に移行したのかもしれない。

 その先の女王様ポイントでは獲物を食べている体長22ミリほどのジョロウグモと体長4ミリほどの雄が交接してやがった!

 さらにその先の用水路の上(紛らわしいから、以後は「十字路ポイント」と呼称する)には、主のいないジョロウグモの網が2枚、20センチ四方くらいの網を張っている子が1匹いた。本格的なジョロウグモの産卵シーズンが始まっているようだ。


 午後2時。

 堤防の上の舗装路には今日もカナブンの幼虫が1匹歩いていた。

 坂の上の木造ガレージまで行ってみると、ここにも円網を張り替えていないジョロウグモが3匹いた。

 この子たちが全員産卵前だとは言えないのだが、陽当たりのいい場所に円網を張っているジョロウグモたちの方が早めに産卵する傾向があるような気がする。ただし、あえて陽当たりの悪いところを選んでいるような子たちもいる。今のところ、どうなっているのかわからない。


 10月28日。晴れ。最低10度C。最高20度C。

 午前11時。

 スーパーの近くにいたジョロウグモの1匹が姿を消していた。産卵だと思う。まさか、この時期に引っ越しということはあるまい。

 スーパーの西側にいる体長4ミリほどのゴミグモがゴミリボンの両側に細い半円形の隠れ帯を付けているのに気が付いた。クモは変温動物だから、気温が下がれば獲物を仕留める能力も消化する能力も低下するはずだ。この隠れ帯はおそらく、捕食しにくい比較的大型の獲物に対しての「円網にかからないようにしてね」というメッセージなのだろうと思う。誘引説教信者なら「誘引効果だ」と主張するだろうが。


 午後1時。

 光源氏ポイントでは体長15ミリほどのジョロウグモだけが円網を張り替えていなかった。

 森の縁では体長18ミリほどのジョロウグモが黄色い糸で円網を補修していた。なお、その近くの子たちは無色か、ほとんど無色だ。

 今日の行き倒れはクビキリギスが1匹と体長30ミリほどのキリギリス体型のバッタが2匹。そして、体長18ミリほどのジョロウグモが歩道にいた。脚先をツンツンすると反応するから力尽きてはいない。お尻はラグビーボール形だから産卵もまだだろう。残る可能性は……産卵場所を探しているうちに歩道に降りてしまって途方に暮れているというところかなあ……。


 午後2時。

 堤防の上の舗装路には今日もカナブンの幼虫が2匹いた。ただし、ほとんど歩いていない。気温が低いせいだろう。それでも手に載せると指の間にもっくりもっくりと潜り込もうとするのが面白い。よい子のみんなも試してみたらどうかな?〔危険……はないと思うけど、カナブンの幼虫をおもちゃにしたら手を洗いましょう〕

 オオカマキリがトノサマバッタ(多分)を仕留めていた。頭部はすでに食い尽くしている。

 十字路ポイントには、ホームポジションの位置が地上10センチというとんでもなく低い位置に網を張っているジョロウグモが1匹いた。……というのはトリックで、この用水路は幅が1.2メートル、深さが1.5メートルくらいあるのだ。つまり、用水路の底からの高さは1.6メートルくらいになるのである。

 しかし、だ。この子はその場所の高さをどうやって知ったんだろう? 

 ジョロウグモやオニグモなどは、成体になると一定の高さ以下の場所には網を張ろうとしない。ということは、その場所が地上から十分に離れていることを知っているわけだ。ところが、円網を張るクモは一般的に視力が弱いのらしい(オニグモは昼か夜かがわかる程度の視力は持っているようだが)。

 地面までの距離を知るのには地面に焦点を合わせることが必要……と思ってしまうのは多分、作者が脊椎動物だからなんだろうが、ジョロウグモやオニグモなども地面までの距離をある程度把握しているような気がするのだ。……糸を垂らしてみる? いやいや、風が吹いたらどこまでも伸びていってしまうだろう。わからん。


 午後4時。

 今日はロードバイクのサドルとハンドルを少し高速向きのセッティングにしてみたのだが、これがすごい。なんと、一気に時速3キロくらい速くなってしまった。ただし、座骨に痛みが出ている。

 用水路ポイントまで往復すると約30キロ。夏場はこれを毎日続けなくてはならない。少し遅くなっても体の負担が少ないセッティングにしておいた方がよさそうだ。


 10月29日。晴れのち曇り。最低9度C。最高16度C。

 午前10時。

 腿の腹面と骨盤の背面と肩が筋肉痛。何よりも座骨が痛いので今日は休み。年寄りは速く走りたいなどと思ってはいけないのだなあ。


 10月30日。晴れ時々曇り。最低7度C。最高18度C。

 午前11時。

 スーパーの西側にいるゴミグモの4ミリちゃんは直径7センチくらいの範囲にだけ横糸を張っていた。ちなみに隠れ帯は付けていない。寒いので休憩しているのであれば、円網の外側部分だけに横糸が張ってあるはずだ。したがってこれは、円網を小さくして、獲物を確率的に減らそうという網だろう。

 なお、この子の円網の後方15センチくらいの場所にも同じくらいの体長のゴミグモがいるのだが、その円網の横糸も7センチくらいの範囲だった。同じくらいの体長のゴミグモならば、低温対策も同じになるのかもしれない。


 午後1時。

 今日もオンブバッタの雄を2匹捕まえてしまったので、1匹はジョロウグモの22ミリちゃんの円網に投げ込んだ。しかし、22ミリちゃんはオンブバッタにたどり着く前にUターンして、のそのそとホームポジションに戻ってしまった。あまり食欲がないのらしい。

 そこで問題になるのは、なぜ食欲をなくしているのか、だ。具体的には気温が低いために捕食能力や消化能力が低下しているのか、あるいは産卵前の食欲減退かだろう。

 作者はジョロウグモ語を話せないので直接聞いてみるわけにはいかない。そこで、もう1匹のオンブバッタを、陽当たりの良さが同じくらいになる場所にいる体長18ミリほどのジョロウグモにあげてみた。するとこの子は、すぐに獲物に駆け寄って安全確認をした後、牙を打ち込んだのだった。

 というわけで、22ミリちゃんは5日以内に産卵するかもしれない。観察を続けよう。疲れている日と雨の日と気温が低い日以外で。〔制限が多いな〕

※お尻がボンレスハム形のジョロウグモが太ると、お尻の後端の上半分が後方へ2ミリくらい伸びるような気もする。実際にそうなっているのだとしたら、22ミリちゃんはやはり、かつての20ミリちゃんだということになるかもしれない。当たり前のように網に入り込んだしなあ。


 午後3時。

 堤防の上の舗装路にはカナブンの幼虫はいなかった。気温が下がったせいか、あるいは、もうすぐ11月だからだろう。

 トノサマバッタは相変わらず多い。


 10月31日。晴れのち雨。最低10度C。最高21度C。

 午前7時。

 スーパーの西側にいるゴミグモ2匹は円網の直径を12センチくらいにしていた。ということは、その場所の最低気温かあるいは横糸の張り替えを始める時間帯の気温によって円網の大きさを決めているのかもしれない。

 気温と円網の直径の関係をデータ化すれば、説得力のある論文が書けるだろう。論文屋さん向きのテーマだな。もちろん作者は書かないが。


 午前8時。

「黄色い網 論文」で検索していたら『クモの糸における色変化の原因』というパワーポイント用の原稿(多分)が見つかった。著者は3人の高校生で指導教官が1人付いていたようだ。

 この論文の緒言の「はじめに」には「……クモの糸の色は季節によって変化するという事実を発見した」と書かれている。指導教官も含めて4人とも素人だと、こういうありもしないものまで発見してしまうのらしい。まあ、何年も観察を続けて、さらに幸運にも恵まれないとクモの真実は見えやしないのだが。

 さらに「……ジョロウグモがどのようにして環境変化を感知しているのかを探ることを目的として、糸の季節による色変化の原因を解明することにした」とか「秋口から初冬にかけてジョロウグモはクモの中でも特に強い黄色の糸を紡ぐ」などと書かれている。これはもしかして、伊那市周辺には特に強くはない黄色の糸を紡ぐクモもいるということなんだろうか? また、この「特に強い」は「特に強い黄色」なのか「特に強い糸」なのかもわからない。多分「濃い黄色の糸」なんだろうと思うが。

 その先の「実験手順と解析」には以下のように書かれている。

「実験ⅰ」「1.ジョロウグモを緑の葉(夏)、または枯れ葉(秋)で覆った水槽の中に入れる」。

「実験ⅱ」「1.ジョロウグモが入った水槽を25度C(伊那市8月の平均気温)、または15度C(伊那市11月の平均気温)に設定した恒温器の中に入れる」

「2.糸を採取し……糸の色をスマートフォンアプリ(Chromatic Color Helper)で読み取り、RGB(色コード)を記録する」

「3.1~2を3個体で3回ずつ行う」

 これではどの糸を採取したのか(係留糸か牽引糸か横糸か)わからない。獲物は与えたのか、与えたとしたら何をどれだけ与えたのかもわからない。

「結論」では「ジョロウグモの糸の黄変の原因は気温の変化である可能性が高いが、光量との関連は明らかにならなかった。また本実験の開始は晩秋であり、用いたクモの個体数が少なく、十分な実験を行う前に死んでしまったため、データの信憑性が落ちることは否めない」と書かれている。うーん……気温が下がれば食欲も低下するから同じ量の獲物を食べていても横糸を黄色くする可能性はあるのだが……。

 そして実験中に「死んでしまった」というのも気になる。もしかすると、ジョロウグモにとっては高温と低温の繰り返しが大きなストレスになるのかもしれない。そんな環境で得られたデータに意味があるのか? 

 まあ、しょせんは高校生の論文ごっこだ。「意味なんかなくてもいい。意義もいらない。発表ごっこができればそれでいい。後は野となれ山となれ」という考え方をしているのかもしれない。そういうことであるならば、この3人は有能な論文屋さんになれるだろうな。困ったものだ。

※「晩秋」について検索してみると『何でも情報発信局』というサイトには「一般的な秋の終わり…11月下旬~12月上旬」。「旧暦(節切り)の寒露(かんろ)~立冬(りっとう)の前日まで」と書かれていた。つまりこの実験は10月8日から12月上旬までのどこかで行われたということなんだろう。大きな問題ではないだろうが。


 11月1日。晴れ一時雨。最低13度C。最高23度C。

 午前11時。

 スーパーの西側にいるゴミグモの4ミリちゃんは今日もゴミリボンの左右に半円形の隠れ帯を付けていた。しかも、横糸か足場糸が張ってあるのは直径2センチくらいの範囲だけだ。そんなに食欲がないのなら、さっさと休眠に入ってしまえばいいじゃないかあ! 

 その後ろにいる同じくらいの体長のゴミグモは直径12センチくらいの範囲に横糸を張っていた。

 スーパーの北側の壁には薄茶色のクビキリギスが1匹いた。道路を挟んで向かい側の工場の草地に業者が入って草刈りを始めたので逃げてきたのらしい。迷惑な話だ。


 午後1時。

 光源氏ポイントではジョロウグモの22ミリちゃんが姿を消していた。というか、22ミリちゃんがいた場所の近くにいたのは、縦横20センチくらいの小さな円網を張っていた体長18ミリほどのジョロウグモ2匹と、草の間に不規則網のように糸を張ってそこにいた15ミリちゃんだけだった。

 森の縁にいたジョロウグモたちも体長18ミリほどの子が2匹だけになっていた。どちらもお尻はソーセージ形だが、より細めの子の円網に、そこらで拾った行き倒れのオンブバッタの雌を投げ込んでみた。まったく身動きしない獲物――ほとんど餌だ――なので心配だったのだが、ちゃんと牙を打ち込んでくれた。

 森の中には枯れ枝や枯れ葉が大量に落ちている。ジョロウグモの個体数がいきなり半分以下になってしまったのは、おそらく昨夜の悪天候で網が打ち落とされてしまったせいだろう。

 十字路ポイントにいたジョロウグモたちも1匹残らず姿を消していた。

 まいった。観察対象がこれほど減ってしまうという状況は想定していない。とりあえず15ミリちゃんが産卵するまでは観察するとしても、今年のジョロウグモ観察はそれで終わりになるかもしれない。


 午後2時。

 横糸を張っていない体長5ミリほどのゴミグモの幼体を1匹見つけた。ゴミグモの幼体は、とにかく休眠に入るのが遅いのである。小さな羽虫はまだいるんだろうが、その他にも何か休眠に入らない理由があるのかもしれない。

 堤防の上の舗装路にはトノサマバッタもカナブンの幼虫も見当たらなかった。


 午後6時。

 また右眼の視力が低下してしまった。まずいなあ。


 11月2日。晴れ時々曇り。最低9度C。最高20度C。

 午前9時。

 スーパーの西側にいるゴミグモの4ミリちゃんは幅広のジグザグと細い円弧を合わせて6本くらい使って、直径8センチくらいの隙間が多い円盤状の隠れ帯にしていた。横糸が張ってある部分の直径は12センチくらいだ。

 こんな隠れ帯の機能は見当も付かない。……機能だから今日は無理でも明日になればわかるかなあ。〔…………〕


 午後1時。

 光源氏ポイントでイナゴのカップルを1組だけ見つけた。『昆虫エクスプローラ』というサイトによると、コバネイナゴやハネナガイナゴの成虫の出現期は「8~11月」であるのらしい。

 ジョロウグモの15ミリちゃんの姿は見当たらなかった。産卵だろう。

 その代わりにジョロウグモの新顔が3匹現れた。避難場所から戻ってきたのかもしれない。

 森の縁でもジョロウグモが3匹になっていた。1匹は円網を張り替えた様子がないので、残った2匹のうち、張り替えた面積がより大きい子の円網にそこらで捕まえたオンブバッタの雌を投げ込んだのだが、3歩くらい踏み出しただけでホームポジションに戻ってしまった。曇っていて寒いので捕食する気になれないのか、産卵が近いかだと思う。産卵が近いのなら張り替えないでもらいたいものだな。

 十字路ポイントにもジョロウグモが1匹いた。ただし、体長15ミリほどで、お尻はやや太めのソーセージ形だ。冬が来る前に産卵できるんだろうかなあ……。


 午後3時。

 堤防の上の舗装路にはカナブンの幼虫が2匹いた。1匹は寒いのか、手のひらに載せても丸まったままで動こうとしない。2匹とも草むらにリリースしておく。


 11月3日。晴れ一時雨。最低8度C。最高18度C。

 午前7時。

 ゴミグモの4ミリちゃんの隠れ帯は、向かって右側に細い半円、左側は斜め下向きの直線だった。こういうデータをAIに喰わせたら何かもっともらしいがありもしない意味を見つけるんじゃないだろうか。

 スーパーの西側の自転車置き場に体長17ミリほどのジョロウグモがいた。お尻はほとんど鉛筆形で、その背面は黄色と黒の斑模様。オトナになったばかりなんだろう。雄も同居していない。


 午後8時。

 自転車置き場にいるジョロウグモの17ミリちゃんの円網に体長10ミリほどのダンゴムシを開きにして投げ込んだ。しばらく見ていたのだが、捨てる様子はなかった。なお、この子の円網は縦も横も30センチくらいだ。


 11月4日。晴れ。最低5度C。最高15度C。

 午前8時。

 スーパーの西側にいるゴミグモの4ミリちゃんはゴミリボンの左右に中東周辺で使われる短剣のような三日月形の隠れ帯を付けていた。ホームポジションの下方からスタートして、太めの隠れ帯で半円を描く直前でUターン、ゴミリボンの少し離れた位置に戻ったようだ。ますます意味不明である。この子のすぐ後ろにいるゴミグモは隠れ帯を付けないところを見ると、単なる遊びのような気もする。

 自転車置き場の17ミリちゃんの円網にはダンゴムシの開きが付けられたままだった。12時間では食べきれなかったようだ。円網も縦35センチ、横30センチくらいの範囲が張り替えてあるし。ああっと、寒くても食欲があれば張り替え面積を大きくするのかもしれないなあ。


 午後1時。

 光源氏ポイントにはジョロウグモが5匹いた。そのうちの1匹は四本脚だ。

 森の縁には5匹いた。お尻が細い子はいないから、全員避難場所から戻ってきた子たちなんだろう。

 今日の森の縁辺りには化学肥料のような臭いが漂っていた。そのせいかハエが多かったので、1匹捕まえて、比較的広い範囲を張り替えてあった体長18ミリほどのジョロウグモの円網に投げ込んでみたのだが、無視されてしまった。

「そんなこともあるさ、ジョロウグモだもの」

※2時間くらい経ってから確認すると、この子はちゃんとハエを食べていた。やれやれ……。


 去年の女王様がいた場所の近くには、お尻が細いジョロウグモが草の葉の下にいた。もちろん産卵を終えた子だろう。ただ、しおり糸も残っていないので、どこで産卵したのかはわからない。


 午後2時。

 道路脇の草地で、黒い狩りバチ(オオモンクロクモバチだと思う)が徘徊性のクモらしい獲物を枯れ葉の下に運び込んでいた。クモは基本的に捕食者なのだが、クモを専門に狩る狩りバチもいるのらしい。


 午後3時。

 赤信号で停止していたトラックが、信号が青に変わった途端にウインカーを出して左折しやがった! 茨城県にはこういう生まれつきの殺人鬼がいるから、自転車乗りには殺されないような走り方が要求されるのだ。


 11月5日。晴れのち曇り。最低5度C。最高18度C。

 午前7時。

 ゴミグモの4ミリちゃんは直径8センチくらいの円網の右側だけに半円形と直線の隠れ帯を付けていた。半月形と言ってもいいかもしれない。要は昨日の三日月形の変形版である。


 11月6日。曇り一時雨。最低11度C。最高18度C。

 午前10時。

 ゴミグモの4ミリちゃんは隠れ帯を6本くらい使って、隙間の多い円盤状にしていた。これはもう、好きでやっているとしか思えない。


 午前11時。

 光源氏ポイントにいたジョロウグモの22ミリちゃんの両脇に網を張っていた日光菩薩と月光菩薩――〔大乗仏教か!〕

 もとい、体長18ミリほどのジョロウグモ2匹は姿を消していた。空いた場所には2日前に見つけた四本脚ちゃんと、ラグビーボール形のお尻で体長16ミリほどのジョロウグモが入り込んでいる。

 平屋の屋根くらいの高さで体長15ミリから17ミリほどのオニグモが残業していた。とうとうオニグモが残業する季節になってしまったんだなあ。

 森の縁の肥料の臭いはだいぶ薄くなっていたが、まだ体長10ミリほどのハエが2匹残っていた。そのうちの1匹を捕まえたので、何も食べていないジョロウグモの円網に投げ込んでみた。もう11月だから無視されるだろうと思っていたのだが、意外にも飛びついて牙を打ち込んでくれた。


 午後2時。

 木の幹で「卵囊を守る」をしているジョロウグモを見つけた。お尻はほとんど鉛筆形だが、時々脚を動かしたりしている。まだ暖かいから産卵しても体力が残っているんだろう。

 その近くには体長14ミリほどのオニグモも残業していた。この子は地上から1.2メートルくらいの高さに円網を張っていたので、何か獲物をあげようと思ったのだが、「私には何もないもの」なのである。〔やめろ。気持ち悪いし、綾波ファンが怒るぞ〕

 と、その時、作者の目の前に木の葉に1匹のキリギリスの仲間(クサキリかヒメクサキリだと思う)が飛んできたのだった。これもまたクモの神様のお導きであろう。さっそく捕まえて、14ミリちゃんのだいぶ傷んでいる円網に投げ込んだ。

 体長で約2倍という大物だし、ガでもないので、14ミリちゃんは円網の糸を弾きながらそろそろと近寄ってきたのだが、なんと、捕帯も巻きつけずにいきなり牙を打ち込んだ! この子の前世はジョロウグモに違いない。〔こらこら〕

 実際は「暴れなければどうということはない!」なんだろうな。


 午後4時。

 帰宅して血圧を測ったら95と60だったのだが、その直後に転倒してしまった。おそらく脳貧血だ。右膝に長さ10ミリ、深さ5ミリくらいの傷ができている。

 なお、主治医は「血圧は低い方がいい」と言っていた。ということは、ヒトは血圧がゼロになると死ぬということを知らないんだろう。内科医は基本的な医学知識がなくてもやっていけるのである。


 11月7日。晴れ。最低7度C。最高20度C。

 午前7時。

 ゴミグモの4ミリちゃんはゴミリボンごと20センチくらい引っ越していた。さすがに時間が足りなかったらしくて、横糸はもちろん、縦糸すらほとんど張っていない。それでいて、右側に細い半月形、左側に曲がったV字形の隠れ帯を付けていた。獲物を捕獲する機能よりも隠れ帯を優先するということは、これらの隠れ帯は「遊び」と言われるものなのだろう。


 午後1時。

 オニグモ2匹の姿はなかった。クモの神様が望むなら、来年になってからまた会えるだろう。

 ジョロウグモの四本脚ちゃんと16ミリちゃんは円網を張り替えていなかった。産卵前の絶食だと思う。

 その近くにいた体長17ミリほどのジョロウグモは縦横25センチくらいの円網を張っていた。この子は食欲がありそうだと判断して、そこらで捕まえたオンブバッタの雄をあげる。もちろん飛びついてきた。

 なお、光源氏ポイントにはイナゴ1匹とオンブバッタの雌2匹もいたのだが、この季節にこんな大物をあげるのは迷惑だろうと思うので自主規制する。

 ジョロウグモが1匹歩道に落ちていた。位置からみて「卵囊を守る」をしていた子らしい。合掌。

 産卵後としか思えないくらいお尻が細いジョロウグモが糸の束につかまっていたのだが、この子のお尻の中央には青灰色の縦帯が入っていた。左右の黄色い斑が繋がらないまま産卵したジョロウグモは初めてだ(産卵したことを確認したわけではないが)。もしかすると、成長するよりも産卵することを優先したのかもしれない。


 午後2時。

 車道にカマキリが2匹いた。車に轢かれそうなので、捕まえて道路脇に出したのだが、小さい方のカマキリ(コカマキリ?)が飛んだ! 高度を維持することはできない様子だったが、とにかく羽ばたいて飛んでいた。あの細い胸部に十分な量の飛翔筋を収容できるはずはないし、腹部も重そうなのだが、飛べないことはないのらしい。「逃げちゃダメだ」というタイプの昆虫だから観察する機会が少なかったというだけのことだったんだなあ。


 午後4時。

 自転車保険の有効期限が迫っているのだが、セ〇ンイレブンの自転車保険は70歳以下限定なのだそうだ。しょうがない。他の保険会社を利用することにする。よい子のみんなはセ〇ンイレブンの自転車保険なんか利用しちゃだめだぞ。


 11月8日。晴れのち曇り。最低6度C。最高14度C。

 午前7時。

 ゴミグモの4ミリちゃんの隠れ帯は昨日と同じだった。横糸を張っていないのも同じ。気温が低かったし、円網を張っていないのに隠れ帯だけを張り替える方がおかしいわなあ。

 スーパーの壁にとまっていた体長5ミリほどのハエを捕まえた。一度は地面まで落としてしまったのだが、さすがに飛んで逃げられるほどの体温ではなかったようだ。もう少し暖かくなってから食欲がありそうなジョロウグモを探すことにしよう。


 午後1時。

 光源氏ポイントで円網を張り替えていたジョロウグモは1匹だけだった。ただし、平屋の天井くらいの高さにいるので、できることは何もない。

 森の縁にはジョロウグモが6匹いた。増えたわけではなく、見落としていただけだが。で、ここにも円網を張り替えた子はいなかった。これでは何もできない。ハエはリリースする。


 11月9日。雨時々曇り。最低10度C。最高14度C。

 午前7時。

 ゴミグモの4ミリちゃんの隠れ帯は昨日と同じだった。雨だから張り替えていないんだろう。

 スーパーの北側には今、3匹のジョロウグモがいる。そのうちの2匹は5メートルくらい離れた場所に網を張っているのだが、小柄でお尻がラグビーボール形の子は背面側のバリアーに食べかすの一部を縦一列に並べている。そして、大きめのボンレスハム形の子は食べかすの一部を横一列に並べている。

 こういう行動を気にする論文屋さんはいないようなのだが、ナガコガネグモやコガネグモの隠れ帯もゴミグモのゴミリボンも直線状であることが多い。ということは、直線や直線状に並ぶ点は飛行性昆虫にとって何かしらの意味があるのではないかと作者は思う。

 ひとつかみの碁石や豆などをテーブルの上に落としてみれば、その分布はランダムになるだろう。〔アズキなどでやると掃除が大変だから、よい子は気を付けてね〕

 一目でわかるような直線状に並んでしまう確率はほとんどゼロであるはずだ。飛行性昆虫たちも、直線や直線状に並んだ点に対しては本能的に「何者かの意思」を感じてしまうのではないだろうか(誘引される可能性も忌避される可能性もあるだろうが)。こういう比較実験は論文にしやすいから論文屋さんにはお勧めだろう。ただ、ショウジョウバエだけではなく、アシナガバチやハエやアブなどの大きめの昆虫でも実験して欲しいとは思うが。

 何度も言うようだが、作者は「ショウジョウバエ」で実験しておいて、論文ではそれを「昆虫」にすり替えるようなペテン師は信用しない。まあ、作者1人に信用されなくてもどうということはあるまいし、仲良しこよしの論文屋さん同士なら嘘でもデタラメでも信じてもらえる……というか、信じてしまうのが論文屋村の掟なのかもしれないが。

 自転車置き場にいるジョロウグモの17ミリちゃんは円網の縦30センチ、横25センチくらいの範囲を張り替えていた。この季節には獲物がほとんどいないというのに……。


 午前8時。

『勉強パイオニア』という誰が書いたのかわからないサイトの「ジョロウグモの子供は何を食べるのか?その食性とは」の項には「ジョロウグモは、網を使って餌を捕らえますが、子供のクモたちは最初は網を張る力が弱いため、親の網に捕らえられた獲物を食べることが多いです」と書かれていた。あっはっはっはっは。

 どうもこれを書いてしまった節穴付きの腐ったピーマンは『コパイロットサーチ』の記述を鵜呑みにしたのらしい。いやいや、AIなんかの嘘を拡散するということはこいつも嘘つきのAIなのかもしれない。

 念のために書いておくと、第一にジョロウグモの幼体は出囊後、まどいの時期を経て1回脱皮すれば直径10センチくらいの円網を張ることができるようになる。おそらく、牙も使えるようになって獲物を捕食できるのだろう。

 第二にジョロウグモの母親は円網から離れた場所で産卵する。子グモが出囊しても、そこに「親の網」など存在しないのだ。

 第三に「餌」は逃げないし、抵抗することもない。したがって「捕らえる」という表現は正しくない。まあ、ウシやウマが逃げる草を追いかけて捕らえているということを証明できるのなら別だが。

 というわけで、このサイトに書かれていることはすべて嘘だと思っていた方がいいだろう。

※調べてみたら、このサイトは1日に10本のペースでアップされていた。というわけで、こいつは嘘つきのAIに決まりだ。


 午後10時。

 マダラヒメグモのガス漏れ警報器ちゃんが住居から出ていた。室温は17度Cだ。ダンゴムシが歩きまわれるような気温なら活動するということなのかもしれない。


 午後11時。

 ビッグニュースだ。『CNN.co.jp』の「「決闘する恐竜」、ティラノサウルスの解釈を一新 化石は別種だった可能性」という記事によると、2006年に発見された「決闘する恐竜」の化石にトリケラトプスとともに含まれているのはティラノサウルス・レックスの幼体ではなく、ナノティラヌス・ランケンシスという別種の成体であることが判明したらしいのだ。「骨の微細構造に成長記録が保存されており、それが成体であることを示している」ということらしい。

 ティラノサウルス・レックスは有名だから、発見者としてはティラノサウルス科の化石はすべてティラノサウルス・レックスにしてしまいたいんだろう。それに対して「間違いである」という論文が発表されるということは古生物学は科学であるということを表している。

 明らかな嘘に対しても「嘘だ」と言わない。それどころか、嘘の上に嘘を積み重ねて真実にしてしまおうというクモの生態学とは大違いだなあ。

 どうも眠れそうもないので散歩に出た。すると、自転車置き場にいるジョロウグモの17ミリちゃんが円網の縦30センチ、横20センチくらいの範囲を張り替え中だった。気温が下がる前に休憩しながら張り替えるつもりらしい。これでは「私には何もないもの」などと言ってはいられない。獲物を探すことにする。

 すぐに見つかったのはカマドウマだったが、これでは大きすぎる。さらに探していると、ハンゲツオスナキグモが体長5ミリほどのゴキブリ体型の甲虫を追いかけていた。その甲虫が逃げ切るのを確認してから捕まえて、17ミリちゃんの円網に投げ込んだ。

「一難去ってまた一難」で一巻の終わりである。めでたしめでたし。〔……何か違うような……〕


 11月10日。晴れ。最低9度C。最高21度C。

 午前7時。

 近所にいるジョロウグモのカップルが交接していた。おそらく、雌が横糸を張り終えて休憩しているところを狙ってヤったんだろう。〔「交接」と言え!「交接」と〕

 実際は雌に対して頻繁に近寄っていて、追い払われたり、襲われそうになったりを繰り返しているうちにチャンスがやってきたという状況だと思う。なお、この雌と同居している雄は1匹だけである。したがって、他の雄と争う必要はない。体力の消耗が少なければ、雌が産卵する頃になっても生きていられるかもしれない。観察を続けよう。

 ゴミグモの4ミリちゃんは横糸を張っていなかった。隠れ帯もなし。もう1匹はちゃんと横糸を張っているから、隠れ帯を付けることで消耗してしまって、横糸を張るための体力が残っていないという状況だと思う。

「ゴミグモ万事塞翁がうまくいかない」であるなあ。〔……「人間万事塞翁が馬」〕

 ああっと、『アリとキリギリス』のような寓話にしてもいいかもしれない。タイトルは『ゴミグモAとゴミグモB』だ。〔…………〕

 自転車置き場の17ミリちゃんは円網の張り替えを終えていた。円網全体のサイズは縦30センチ、横35センチくらいだ。交接できているかどうかも未確認だが、とりあえず、お尻がソーセージ形になるまではサポートしようと思う。

 スーパーの東南の角にはオニグモの幼体のものらしい直径20センチくらいの円網があった。水滴がついていないし、穴も開いていないから、雨がやんでから張り替えたんだろう。晴れた日中なら飛べる小さな羽虫狙いに切り替えたのかもしれない。


 午前10時。

 自転車置き場の17ミリちゃんに体長5ミリほどのワラジムシをあげた。できれば飛行性昆虫をあげたいところなんだが……。


 午前11時。

 光源氏ポイントではジョロウグモの16ミリちゃんだけが円網を張り替えていた。

 森の縁でも4匹のジョロウグモが張り替えていた。黄色い円網の子はパスして、無色の円網を張っていた子から2匹を選んで、そこらで捕まえたハエと体長20ミリほどのキリギリスの仲間をあげたのだが、知らん顔をされてしまった。どうやら食欲があるから張り替えたということではないようだ。「あったかいから仕事しちゃった。てへっ」というところだろう。これからは自転車置き場の17ミリちゃんをメインにサポートしようと思う。

 体長17ミリほどのガを2匹捕まえた。17ミリちゃん用に持ち帰ることにする。


 午後2時。

 堤防の上の舗装路にはオンブバッタの雌が5匹いた。草刈りが行われたので居場所がなくなってしまったんだろう。3匹だけを捕まえて持ち帰る。なにしろ獲物を食べてくれそうな子は17ミリちゃんとオニグモの幼体しかいないのだ。 


 11月11日。晴れ。最低4度C。最高17度C。

 午前7時。

 ゴミグモの4ミリちゃんは左側だけにゆがんだ楕円形とその下にぐちゃぐちゃの隠れ帯を付けていた。寒いので右側ヘ移動する気にもなれなかったんだろう。もちろん横糸は張っていない。

 その近くにいるもう1匹のゴミグモも円網を張り替えていなかった。それほど寒いのに、どうして4ミリちゃんは隠れ帯だけを付けるんだろう? 

 自転車置き場の17ミリちゃんは縦も横も30センチくらいの範囲を張り替えたらしかった。横糸の間隔が不揃いだが、小さな羽虫が1匹かかっている。もう少し暖かくなったら獲物をあげようと思う。なお、向こう2週間くらいは最低気温が一桁の日が続くようだ。


 午前11時。

 自転車置き場の17ミリちゃんに体長17ミリほどのガをあげた。網にかかったのがガであれば、こんな大物でも飛びついて牙を打ち込んでくれるのである。もう1匹のガは明日あげようと思う。ガの在庫がなくなったら、次はオンブバッタだ。


 午後1時。

 光源氏ポイントではジョロウグモの4本脚ちゃんが7本脚になっていた。〔んなわけあるかい!〕

 実際は4本脚ちゃんが産卵場所へ向かったので、空いていた円網に7本脚の子が入り込んだという状況だと思う。ただし、お尻はソーセージ形なのに円網を張っていないから産卵後の可能性もあるだろう。

 その近くにいた16ミリちゃんもいなくなっていた。

 今日の行き倒れは体長40ミリほどのオオスズメバチとクサキリとコクサキリ(多分)が1匹ずつだった。


 11月12日。晴れ。最低4度C。最高15度C。

 午前10時。

 ゴミグモの4ミリちゃんは左側の隠れ帯をそのままにして、右側にも半円形の隠れ帯を追加していた。寒いから少しずつ作業……いやいや、そんな体力があるなら横糸を張れっての! 

 自転車置き場の17ミリちゃんは円網を張り替えていなかった。念のためにガを投げ込んでもはね返されてしまう。「もはやこれまで。是非もなし」だなあ。

 骨盤の背面側とその上の背筋と腿の腹面側が筋肉痛なので今日はサイクリングしない。光源氏ポイントの七本脚ちゃんが円網を張るかどうかは気になるが、急ぐことはあるまい。


 11月13日。曇り時々晴れ。最低6度C。最高18度C。

 午前7時。

 マダラヒメグモのガス漏れ警報器ちゃんが住居から出ていた。食欲があるんだろうかなあ。こんなに寒いのに……。


 午前9時

 ロードバイクのリヤ変速機がまともに作動しないので点検したらワイヤーがほつれていた。交換するようだなあ。


 午後1時。

 ゴミグモの4ミリちゃんの隠れ帯は昨日と同じ。横糸も張っていない。

 自転車置き場の17ミリちゃんも円網を張り替えていなかったので、そこらで捕まえた体長5ミリほどのアリを投げ込んでおく。小さな獲物であれば張り替えていない円網でも引っかかることがあるのだ。17ミリちゃんは知らん顔をしていたが、買い物を終えてから確認すると、アリをホームポジションまで持ち帰っていた。


 午後5時。

 ロードバイクの部品交換を終えた。新品に替えてもうまく作動しないので保管してあった中古部品に再度交換した。作者はまともな取り付け方を知らないのかもしれない。最近の自転車部品は取り扱い説明書が付いていないのだ。


 11月14日。晴れ時々曇り。最低7度C。最高18度C。

 午前7時。

 ゴミグモの4ミリちゃんの隠れ帯は左右に幅広の半円形だった。その隣のゴミグモも横糸を張っている。

 論文屋さんがこういうものを観察すると論文を書いてしまいそうな気がする。で、仲良しこよしの論文屋さん同士で引用しまくって「ゴミグモは横糸よりも隠れ帯を優先する」という雰囲気を醸成してしまうわけだ。

 自転車置き場の17ミリちゃんは円網を張り替えたらしかった。昨日確認したら、冷蔵庫に入れておいたオンブバッタは1匹だけ生き残っていたんだが、食べるかなあ……。食べないようならハエを捕まえてくるようだな。

 なお、今日気が付いたんだが、この子のお尻は「黄色と黒」ではなく、「黄色と黒と白」だな。目立たないが、左右に小さな白い斑がいくつか並んでいるのだ。念のために検索してみてもそういう画像が出てくるから、ジョロウグモの幼体のお尻の模様は「黄色と黒と白の左右対称のまだら模様」なんだろう。あぶないあぶない。「私が見たもの」とは「私が見たと思ったもの」でしかない。そんなものを信じているようでは「科学」とは言えないのである。

 帰宅してネットに繋いでみたら『朝日新聞によるストーリー』に「AI判定は「シイタケ」食べたら毒キノコ、和歌山市の男性が食中毒に」という記事が見つかった。毒キノコのツキヨタケだったのらしい。厚生労働省のホームページにも「インターネットなどの画像判定の結果は参考程度にとどめ、きのこの鑑別には使わないようにしましょう」という文言があるのだそうだ。いやいや、そこは「使ってはいけません」とするべきだろう。無責任なAIが毒キノコを食べることはないのだから(もちろん、クモを観察することもない)。


 午前11時。

 自転車置き場の17ミリちゃんの円網に背面が黒っぽく変色してしまったオンブバッタの雌を投げ込んだ。17ミリちゃんは飛びついたりはしなかったが、右第一脚をわずかに動かしたから獲物がかかったことには気付いたはずだ。あとは捕食する気になるかどうかだな。「こんな大っきいの無理!」と判断されたらそれまでだ。


 午後1時。

 光源氏ポイントではジョロウグモの7本脚ちゃんが円網を張っていた。というわけで、この子はおそらく2回目の産卵を目指しているんだろう。そこらで捕まえた体長17ミリほどのガを投げ込んでみたのだが、はね返されてしまった。今日張り替えた円網ではなさそうだ。2日間も観察をサボるとこういうことになったりする。

 そこで、イナゴを少し弱らせてからあげてみたのだが、知らん顔をしている。つまり、この円網は獲物を捕らえるためのものではなく、次の産卵まで快適に暮らすためのものなんだろう。人間に例えるなら座布団のようなものだな。

 森の縁にいるジョロウグモたちのうち、2匹が比較的大きな面積を張り替えていたので、それぞれ落ち葉の下にいた体長5ミリほどの甲虫とダンゴムシの開きをあげた。

 すると、ダンゴムシの開きを食べ始めた体長18ミリほどの子の腹部腹面に同居していた体長8ミリほどの雄が潜り込んだ。なんとまあ、11月に交接が見られるとは! 長生きはするもんじゃなあ。そもそも、この時期まで生き残っている雄そのものが珍しいし。

 ここには体長100ミリほどの薄茶色のイモムシもいた。お尻に棘(?)が生えているからスズメガの仲間の幼虫だと思うが、それ以上のことはわからない。

 今日の行き倒れはクサキリが1匹。円網に付いている枯れ葉を外していたジョロウグモにあげたのだが、無視している。気温が低い時期のジョロウグモは食欲がないのだ。

 新たにジョロウグモの卵囊を1個見つけた。木の幹の窪みに取り付けてある。今のところ、人工物に取り付けられた卵囊はないようだ。木の幹や木の葉で包んだ方が温度が安定しそうだものなあ。


 午後4時。

 自転車置き場の17ミリちゃんは背面側のバリアーに避難していた。気温が低いので食欲も獲物を仕留める能力も低下しているんだろう。悪いことをしてしまった。

 お詫びの印にハエを1匹、円網に投げ込んでおく。オンブバッタほど危険度は高くないはずだから、逃げられる前に牙を打ち込めば捕食できるだろう。


 午後5時。

 帰宅してみると、マダラヒメグモの右前隅ちゃんが住居から出ていた。引きこもり生活にも飽きたのかもしれない。ダンゴムシなどであれば活動できるような室温だから獲物がかかる可能性はあるわけだし。


 11月15日。曇りのち晴れ。最低7度C。最高17度C。

 午前7時。

 ゴミグモの4ミリちゃんは昨日の隠れ帯の左側に「ヘ」の字形を追加していた。

 自転車置き場の17ミリちゃんはまだバリアーにいる。


 11月16日。晴れ時々曇り。最低5度C。最高16度C。

 午前7時。

 ゴミグモの4ミリちゃんの隠れ帯は昨日のままだった。寒いので働く気になれなかったんだろう。

 自転車置き場の17ミリちゃんはオンブバッタを円網から外して捨てていた。それで安心したのか、ホームポジションに戻っている。円網に付いたゴミ、というか、危険物だと判断したのらしい。もはやこれまで。これ以上は手を出さないことにする。もう少し成長させてみたかったんだけどなあ……。


 午前10時。

 舗装路を体長40ミリから50ミリくらいで濃い紫色のナメクジが11匹這っていた。何があったのかはわからない。


 午前11時。

 木造ガレージの近くにはジョロウグモが3匹いた。体長はそれぞれ23ミリと20ミリと17ミリほどで、大きめの2匹は最近円網を張り替えたらしかった。そこで、落ち葉の下にいた体長5ミリほどの甲虫を23ミリちゃんの円網に投げ込んでみたのだが、近寄ってチョンチョンしただけでホームポジションに戻ってしまった。それならばと、体長5ミリほどのアリを投げ込むと、これには牙を打ち込むのだった。この場所は割と陽当たりがいいので、その分ジョロウグモたちも積極的になるのだろうが、それでも体長5ミリほどのアリが限界なのかもしれない。残りの2匹にもアリをあげると、ちゃんと仕留めてくれた。


 午後2時。

 女王様ポイントでも体長18ミリほどのジョロウグモが円網を張り替えていたので、枯れ葉の下にいた同じくらいの体長の甲虫の鞘翅を外してからあげてみると、ちゃんと飛びついて牙を打ち込んでくれた。うーん……どうなっているんだか……。ジョロウグモの場合は、円網を張り替えてあれば獲物を食べてもらえる確率が75パーセントくらいということかなあ。できるだけ小型の獲物を用意するのが無難だろうが。


 午後6時。

『別冊日経サイエンス 昆虫王国をゆく』の中に「昆虫たちの頭の中」という記事があった。著者は遠藤智之(編集部)協力:神崎亮平、加沢知毅、名波拓哉(東京大学)だそうだ。

 作者は「すべての生物は生存に必要なだけの知性を持っている」と考えている。したがって「昆虫の小さな脳は巨大なコンピューターを必要とする現代のAIとは対照的だ」だの「複雑な情報を効率よく処理する「効率脳」の仕組みが見えてきた」だのというのはどうでもいいのだが、「ファーブルが残した謎に挑む」の「ガのオスはメスを数キロメートルも離れたところから探索できる」というのはおそらく間違いだ。

『家蚕と天蚕5 ファーブル昆虫記 “オオクジャクヤママユの夜” 鈴木英文』というサイトには以下のように書かれている。

「その後フェロモンの効果はファーブルが考えたのとは違い、2~3メートルから数メートルほどしかないとわかってきた。日高敏隆のアメリカシロヒトリでの研究では、オスは直線的に高速で飛ぶランダム飛行をし、メスからのフェロモンの有効範囲(2~3メートル)に入ると急に速度を落とし、ゆっくりジグザグに飛び、メスにたどり着く、と示されている」(「フェロモンの効果」は「フェロモンの効果範囲」という意味だと思う)

 というわけで、この4人はAI並みの嘘つきである可能性がきわめて高い。よい子は信じてはいけません……と言いたいところなんだが、残念ながら「信教の自由」は日本国憲法で保障されているのだった。

※「昆虫たちの頭の中」には「昆虫だけに見えている世界」という囲み記事もあるのだが、そこにある「人間には全て白く見えるモンシロチョウの翅も、オスの翅は黒く、メスの翅は白く見える」というのは紫外線のみで撮影した画像の話だろう。ヒトの眼で白く見えるということは、ヒトにとっての可視光線の大部分も反射しているということになるのではあるまいか? 

 念のために検索してみると、蟻川謙太郎氏の『昆虫色覚の神経行動学的研究』というサイトが見つかった。このサイトでは「……分光感度の形と種類はチョウの種類によってまちまちで、モンシロチョウでは、紫外・紫・青・黄緑・赤・暗赤の6種類」なのだそうだ。さらにその先には「シロチョウ類とシジミチョウ類の複眼には、性差があります。例えばモンシロチョウでは、紫の受容細胞があるのはメスだけで、オスではこれが2峰性青になっています」と書かれている。「2峰性青」というのは何なのかわからないのだが、モンシロチョウの雌の翅は紫外線反射率が高いというのなら、雄には紫外線がかった白色に見えているのではないかと思う。〔「紫外線がかった白色」ってどんな色なんだ?〕

 茨城県某所では白い蝶と黄色い蝶が仲良く飛んでいることがよくある。これはモンシロチョウかモンキチョウの雄には、別種の雌も同じような色に見えているという証拠になるのではないかと作者は思う。一緒に飛んでいるうちにわずかな違いに気が付くのか、あるいは雌の方はわかっていて、雄が諦めるまで交尾を拒否し続けるのかだろうな。

 どうやら『日経サイエンス』も東大の先生様もむやみに信じるのは危険なようだ。

 なお、その先には「神崎はVR装置を作り、コオロギがどのように反応するかを調べた。その結果、迫ってくる物体の姿が視界の中で一定以上の大きさを占めると、コオロギが逃げ出すことがわかったという」とも書かれていた。作者の仮説を検証してくれたことには感謝しよう。

『昆虫王国をゆく』にはもうひとつ興味深い記事があった。K・C・カタニア(バンダービルト大学)著「エメラルドゴキブリバチは三度毒針を刺す」がそれだ。そのイラストページには「この攻撃に際してハチがゴキブリを2回刺すことが以前の研究でわかっていた。最初はゴキブリの中枢神経系の「第1胸神経節」①という部分が標的で、これによって前肢の動きを止める。2回目は脳②を直接刺してゴキブリを“ゾンビ化”する」

 その先がカタニア氏の発見した3回目だ。

「新たな研究によって、別の針刺し攻撃が明らかになった。ハチはゴキブリに卵を産みつける直前に、中枢神経系の「第2神経節」③」という別の部分を刺す。これによってゴキブリの運動ニューロンを活性化して中脚を広げさせ、卵を産みつけるのに最適な場所を露出させる」

 素晴らしい!「針刺しは2回」と信じている限りはこんな発見はできないだろう。クモ観察者としてはうらやましい限りである。


 11月17日。晴れ時々曇り。最低8度C。最高21度C。

 午前3時。

 このところ、何かを検索するとコパイロットというAIが嘘ばかり並べるので「なぜAIは嘘をつくのか」で検索してみた。そしたら「AIが嘘をつく理由は、主に「ハルシネーション」と呼ばれる現象に起因し、これはAIが意図的に嘘をつくのではなく、学習データや評価方法の特性によるものです」という回答が出てきた。

 さらに「AIが生成する不正確な情報は「ハルシネーション」と呼ばれ、これはAIが学習したデータに基づかない情報を、あたかも事実であるかのように生成する現象を指します。AIは感情や意図を持たないため、意図的に嘘をつくことはありませんが、誤った情報を生成することがあります」とも書かれている。

 つまりAIは意図せずに嘘をつける天才的な狼少年だというわけだ。こんなものは、少なくとも作者にとっては何の役にも立たない……いやいや、作業のじゃまでしかないな。ああっと、もしもAIが最新の科学文献をすべてリアルタイムで読み込んでくれれば……いやいや、読み込んだとしても、その論文に書かれていることが正しいかどうかを判断できなければ役に立たないな。少なくとも科学の分野では、この先5年や10年はAIは使い物にならないだろう。


 午前11時。

 近所にいた体長16ミリほどのジョロウグモが姿を消していた。この子はしばらく前から円網を張り替えていなかったのだが、産卵前の絶食だったわけだ。

 ゴミグモの4ミリちゃんの隠れ帯は左右に二重の半円のようなものになっていた。なお、横糸は張っていない。

 自転車置き場の17ミリちゃんは円網を張り替えていた。

「もうサポートしない」と言ってしまったのだが、張り替えられた円網を見ると獲物を投げ込みたくなるのがクモ観察者である。〔お前だけだ!〕

 というわけでアリを探したのだが、見つからない。そこで落ち葉の下を探していると体長12ミリほどの甲虫がいた。大きすぎるような気もしたのだが、とりあえず鞘翅を外して17ミリちゃんの円網に投げ込んでみると、ちゃんと駆け寄って牙を打ち込むんだ、これが。今後は円網を張り替えたのを確認してから小さめの獲物を探すようだなあ。やれやれ……。


 午後11時。

 人間が年を取ると体のあちこちに不調が現れる。作者はよほど寒い時期以外はショートパンツで走っているので、日焼けして皮膚が弱くなったらしくて、若い頃は擦り傷で済んだような状況でも足の皮膚が裂けるようになってしまった。脛でペダルを蹴飛ばした時には長さ4センチ、深さ5ミリくらいの裂け傷ができたくらいだ。まあ、この程度なら傷口の皮膚を寄せてから絆創膏を貼っておけばそのうちに塞がるのだが、パジャマやシーツが血まみれになってしまうのだった。

 それでは困るのでペダルを、少し使いにくいものの、蹴飛ばしてもケガし難そうな凸凹の少ないものに替えたのだが、根本的な問題はもちろん皮膚が裂けやすくなっているということである。そこでニベアスキンミルクというものを塗ってみたのだが、あまり効果があるような感じがしない。しかも、作者は踵の皮膚の割れ対策にハンドクリームを塗っているので、一手間増えてしまう。というわけで、最近は膝上から踵までの範囲にハンドクリームを塗っている。これで日焼けしている部分の皮膚もいくらかしっとりしてきたような気がする。

 ヨーロッパのプロサイクリストたちは日焼け止めを塗っているというから、若い内から対策しておくのが正解だったんだろうなあ。


 11月18日。晴れ一時雨。最低7度C。最高14度C。

 午前10時。

 ゴミグモの4ミリちゃんの隠れ帯は左右に半円形だったが、昨日よりは簡略化されたようだ。

 自転車置き場の17ミリちゃんは円網を張り替えていなかった。これは予想通りだ。


 午前11時。

 光源氏ポイントにいるジョロウグモの7本脚ちゃんは1ミリか2ミリくらい小さくなったような気がする。多分気のせいだと思うが。縦30センチ、横25センチくらいの円網を張っていたので、そこらで拾った行き倒れのクサキリを投げ込むと、駆け寄って牙を打ち込んでくれた。

 森の縁では2匹のジョロウグモが姿を消していた。どちらもしばらくの間円網を張り替えていなかったので産卵だと思う。

 その近くにいた体長17ミリほどのジョロウグモは円網を張り替えたらしかったので、落ち葉の下にいたチャバネゴキブリ(多分)をあげた。この子のお尻はすでにソーセージ形になっているので、体長15ミリほどの獲物ならちゃんと仕留めてもらえるのだ。


 午後1時。

 光源氏ポイントで、枯れ葉で包まれた糸の塊を見つけた。ジョロウグモの卵囊だとは言い切れないが。

 お尻がソーセージ形のジョロウグモが木の葉にとまっていたので、少し角度を変えてみたら、葉の表面にむき出しの卵囊があった。典型的な「卵囊を守る」だ。あっはっはっはっは。

 この木の幹にもジョロウグモの卵囊が1個取り付けてあった。なお、今年はまだ、人工物に取り付けられたジョロウグモの卵囊は見ていない。もしかすると、ジョロウグモは鉄やコンクリートに産卵することを好まないのかもしれない。鉄やコンクリートは温度変化が大きそうだものなあ。

 堤防の上の舗装路にはカナブンの幼虫が1匹転がっていた。しばらくポケットに入れて温めてみたのだが、まったく身動きしないので枯れ草の下にリリースしておく。


 11月19日。晴れ。最低1度C。最高13度C。

 午前10時。

 ゴミグモの4ミリちゃんの隠れ帯は昨日と同じ、というか、今朝は張り替えていないんじゃないかと思う。昨夜はかなり寒かったし。

 自転車置き場の17ミリちゃんも円網を張り替えていなかった。


 午後1時。

 ロードバイクにハンドルカバーを取り付けた。素材はコンビニで買ったMサイズのレジ袋だ。これはせいぜい一ヶ月程度で破れてしまうんだが、今のところ、これがベストなのである。


 午後6時。

 大変だ! カナブンというのはコウチュウ目コガネムシ科ハナムグリ亜科に属する昆虫であり、ハナムグリ亜科の幼虫は背面歩行をするということがわかってしまったのだ。というわけで、今まで観察してきた背面歩行をする幼虫は「カナブンの幼虫」ではなく「ハナムグリの仲間の幼虫」だったわけだ。めんどくさいから過去のことは忘れて、「ハナムグリの仲間の幼虫」という表記に切り替えるのは明日からにしよう。これこそまさに「幼虫には要注意」だなあ。〔…………〕



   クモをつつくような話 2025 その4に続く



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