表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

婚約破棄まとめ!

[短編]幼馴染勇者に婚約破棄されたけどいい相手すぐに見つけたから婚約破棄いいよ!

作者: FRI

3/10

沢山の誤字修正ありがとうございますm(_ _)m

貴重な時間を使っていただきありがとうございました。

 私はアリサ、勇者の幼馴染で婚約者。魔王討伐の旅を終え勇者が王都に帰ってきた。

 そして王都中歓喜に満ちた!勇者が魔王を倒しお祭り騒ぎになっている。

 魔王が出現して三年、この世界は魔王に支配されようとしていた。そんな時に聖剣を抜いた勇者が魔王を倒したのだ!

 その渦中の勇者が人が溢れている中を掻き分け、私の前まで来た。

 そして‥‥‥



「悪い、アリサ。お前とは結婚できない。俺は魔王を倒した英雄だ。だからアリサとは婚約破棄する。そして俺は聖女と婚約する」


 人だかりの中で私に婚約破棄してきたのは勇者アバン。魔王を倒した英雄だ。私は魔王を倒す間、三年間アバンの無事を祈りながら生還を待っていたのに、こんな大勢の前で婚約破棄だなんて‥‥以前の優しいアバンならありえない。アバンは勇者になり英雄になったから私の事が不用になったのだろう。何故なら私は孤児で平民だから。アバンも孤児だったのに‥‥。


 私とアバンは孤児院で育った。共に両親はいない。2人は物心ついた時から一緒にいた。アバンは私より2歳年上だ。そんなアバンを兄のように慕っていた。この国では孤児は肩身が狭くいつも私が孤児だと王都の子供達や大人達に馬鹿にされいじめられてた。そんな時はいつも助けてくれたのがアバンだった。アバンは傷だらけになりながらも私を守ってくれる姿は正に絵物語の勇者様のようだった。そんな私の事を守ってくれる姿や優しいアバンの事が大好きだった。そしてアバンに私の気持ちを伝えたらアバンも好きだと言ってきた!私は飛び上がるぐらいに嬉しかった。それから2人は恋人になり月日が流れ婚約者となった。これから2人で家族になり子供と一緒に幸せな家庭を作るんだと想像していた。だが幸せの日々は長く続かなかったのだ。なぜならアバンが勇者に選ばれてしまったから‥‥


 今から3年前に突如魔王が出現し、魔物が溢れかえり世界は混沌としていた。魔王はいくつもの国を攻め落とし、魔王の物になっていった。その侵攻が私の住んでいる王国まで魔の手が迫って来た時に王都の真ん中に突如剣が突き刺さった。この謎の剣は誰も抜くことができなかった。


 これは、神様が魔王を倒すために寄越した剣だと王都中に噂が広まった。それは王にまで届いたのだ。

 王は信じていなかったが藁にも縋る思いで、この剣を聖剣として王国中に広め、聖剣を抜いた者を勇者とすると。勇者となった者は誰であれ高待遇にし、魔王を倒した暁には公爵位に次ぐ地位を与えると王命で出したのだ。

 そんな王命を出したものだから王国中から聖剣を抜きに人が溢れかえった。その中にはアバンもいた。私はアバンにそんな魔王を倒すなんて危ない事はして欲しくないと必死に止めた。なぜかアバンが勇者になってしまいそうで‥‥。

 でもアバンは俺が勇者になって魔王を倒したらアリサに贅沢させてやると笑いながら私の頭を撫でてくれた。アバンは私のために勇者になろうとしていたのだ。

 そして‥‥‥アバンは勇者になった‥‥‥。


「ごめんなさいアリサさん。私がアバン様の事を好きになってしまったせいで‥‥グスン」


 聖女様は涙を流し私に謝罪した。聖女様は腰まで伸ばした黄金色の髪、肌は透き通るように美しい。そして庇護欲を誘うような仕草は正に聖女である。大抵の男ならころっと聖女に恋をしてしまうだろう。もちろん婚約者のいる勇者も例外ではない。聖女と言っても聖なる力はないが見た目が聖女様にピッタリだから皆から聖女様と言われているのだ。ただの回復師なのに。でも魔王を倒した勇者パーティーの一員なので英雄でもある。だから国民達の間ではものすごく人気だ。


 王国民なら皆知っている。魔王討伐の間にアバンと聖女様が親密になったと‥‥アバンには婚約者がいるのに。普通なら不貞を働いたとして非難されるが、容姿の良い聖女様と魔王を倒した勇者として英雄になった2人こそがお似合いだと王国の国民達は祝福した。孤児の幼馴染ではなく聖女と結婚して王国の繁栄に力を尽くして欲しいと。

 だから婚約者の私のことを疎ましいと思っているのだ。


「おい!泣かせるんじゃねえよ!」


「そうよ!そうよ!さっさと婚約破棄してこの国から出ていきなさいよ!」


「どうせ勇者様の恩恵にあやかりたいだけだろ!」


 周りの人が言いたい放題言っている。私はこの三年間、後ろ指さされ過ごしてきた。早く婚約破棄し勇者様を自由にしろとか、この国から出ていけとか。でも私はアバンの無事を毎日祈りながらこの地で待ち続けた。アバンは聖女様と親密だと噂で聞いていたが信じなかった。アバンは聖女様なんかとは絶対に一緒にならない!アバンは私を守ってくれる勇者様なんだからと‥‥でも私だけだったのね‥‥アバンの事を好きだと思っていたのは‥‥だってアバンは今、聖女様と腕を組んで私の前でキスをしてるんだもの‥‥ピキン!何かがひび割れる音が響いた。たぶんアバンに対する気持ちだろう‥‥。


「ちょっと!アバン様!皆んな見てる前でなんて恥ずかしいわ♡へへへ」


「ごめん、つい可愛くてな!」


 勇者と聖女はアリサのことを忘れ2人だけの世界に浸っていた。

 ピキン!またアバンに対する気持ちにひびが入った。


「「「きゃあぁーー」」」


 周りの観衆達はその光景に色めき立った。


(私は何を見せられてるのだろうか‥‥あの頃のアバンはもういない‥‥そこには私の事をいじめる奴らと同じだ。平民で孤児の私を虫けらの様に扱う奴らと!!もうこんな国にいたくない、私を差別する王国民‥‥もうあんなに醜くなった心のアバンの側にいたくないわ!)


「おい!何の反応もないのか?びっくりしたか!急に婚約破棄されたんだもんな!お前はずっと俺のこと待ってたんだろ?大好きなんだろ?俺のこと?ふふふ、そんなに俺のそばから離れたくないなら愛人の1人としてなら囲ってやってもいいがな!」


「それはいい考えね!アリサさんに私達の身の回りの世話もさせましょうよ!そうすればアリサさんもアバン様と一緒にいれますよ」


「さすが聖女だな!お前と違って優しいし、心が広いな!じゃあ、決定だな、アリサよかったな聖女に感謝しな!アリサ!俺の屋敷で愛人兼、使用人として雇ってやるよ。たまには褒美で可愛がってやってもいいがな。どうせたいした荷物もないだろ、そのまま俺達に付いて来い」


(アバンは1人で私のこれからを決めている。ものすごく気持ち悪い‥‥私は今まで一言も喋ってないのに‥‥もう、無理‥‥こんなクズな婚約者なんていらない!もう私の好きなアバンは死んだんだ!目の前にいるのはアバンの皮を被ったクズ勇者‥‥さようならアバン)


 ‥‥パキン、ガシャーーーーン!!完全にアバンに対する気持ちが砕け散った。


「‥‥‥っよ‥‥婚約破棄上等よ!こんなクズな婚約者なんてこっちからお断り!お望み通りこの国から出ていってやるわよ!じゃあね勇者様と聖女様、お幸せに」


「「‥‥‥‥‥」」


 勇者と聖女は目が点となり口を開け馬鹿づらの顔になっていた。


(ははは!最後に一泡吹かせたわ!お前らの言う通りにならないんだから!もうアバンに対しての未練全くない!魔王がいなくなった世界になったし、これからは自分の力で幸せを掴み取るんだから!何だか心が軽くなった気がするわ。さっそく、荷造りをしてさっさとこの国から出ましょ)

 アリサはるんるん気分で勇者と聖女を無視し、その場から去ろうとした。だが‥‥勇者がアリサの腕を掴んだ!


「どうしてだよ‥‥アリサ‥‥俺のこと好きでずっと待っててくれたんだろ‥‥いつものアリサなら俺の言う事なら何でも笑顔できいてくれたじゃないか!」


 勇者が慌ててアリサを引き止めた。勇者はさっきの威張り腐った態度ではなく、以前のアバンのようだったがアリサには響かなかった。もうアリサにはアバンへの気持ちは皆無なのだから。


「ちょっと離してよ!もう婚約破棄したんだからあなたとは関係ない、赤の他人よ!ほら、そこにいる聖女様が睨んでるわよ。私のことなんかより早く聖女様の側に行って上げれば!婚約者なんでしょ!っっ!痛い!」


 勇者は自分の思い通りにいかず、アリサに腹を立て腕を掴む力を強くした。


「‥‥もう、そんなの関係ない‥‥このまま連れて行ってやるよ!屋敷の地下牢に入れておけば気持ちも変わるだろうしな。ははは!ゆっくりお前の心を折って俺のいいなりにしてやるよ」


 勇者はまるで悪のようなニヤリ顔をしアリサを強引に引きずっていった。誰もがこのままアリサが勇者に奴隷のような扱いになると思った。でも孤児だからいいかと観衆達は考えているから誰も止めない。孤児は何してもいい存在だと‥‥この国はもうすでに腐っているのだ。だから誰もアリサを助けてくれない。

 と思っていたが‥‥


「おい離せ勇者!お嬢さんが痛がっているだろうが!婚約者だったんだろ?何でこんな酷いことできるんだ!」


「カイザー離せ!俺の腕が折れる!‥‥っ、いつのまにこんな力付けたんだ‥‥っ、‥‥わかったから!離すからカイザーも離せ!!」


 そこに現れたのは勇者パーティーの剣士カイザー。大剣を用いて勇者パーティーの前衛をやっていた。もちろんカイザーも英雄の1人だ。

 アリサはアバンからやっと解放されたが腕には指痕がくっきり残っていた。紫色になり痛々しい。今までアバンに傷つけられたことがなかったからアリサは恐怖に包まれた。


「大丈夫かいお嬢さん!‥‥っ、アザができてるじゃないか!アバン!どうしたんだよ!?前はこんな酷いことしなかっただろ!魔王を倒してからおかしくなったんじゃないか?お前は婚約者が待ってるから死ねないんだって語ってただろ!早く魔王を倒して婚約者の元に帰りたいって言ってただろ!あれは嘘だったのか?答えろアバン!」


「ハッハッハッ!そんな事言ったか?忘れたよカイザー。俺は知ってるんだぞ!お前が俺のこと孤児で卑しい奴だと言いふらしてたんだろ!だから他の勇者パーティーの2人も魔王を倒したら俺の側から消えたんだ!だから俺はお前のことが許せん‥‥カイザーそこをどけ、そいつを連れて行く‥‥これ以上邪魔するなら容赦しないからな!おりゃぁぁああーーー」

 勇者は本気でカイザーに殴りかかった。勇者は剣士のカイザーより数段強い。もしその拳がカイザーに当たったら怪我ではすまないだろう。だが勇者の拳はもう軽いのだ‥‥パシィ!カイザーに軽く勇者の拳を受け止められた。


「なぜ!?勇者の俺の拳をお前ごときが受け止められるんだよ!」

 勇者アバンはまだ自分から勇者の力が失われていると気付いていないのだ。

「‥‥やはりそうか。もうお前は勇者の資格がなくなったんだろうな。だから他の2人もそれを知って消えたんだよ。‥‥偽聖女の口車に乗って堕ちたな勇者。いや、元勇者か。知ってるか?勇者は聖女の祈りによって聖なる力が目覚め、勇者の力を振るうことができるんだよ!じゃあな、元友人、俺は自分の国に帰るよ、王から報奨金貰ったからな。だが、最後にお嬢さんにした仕返しをしないとな!」


 ドゴォ!カイザーは元勇者の顔面を殴った。ガッシャーーン!元勇者は吹っ飛び意識が朦朧とした。


「ふぅー!スッキリした!アバンの目が覚めればいいんだが‥‥まぁ、もう無理だろうな、あの偽聖女が側にいるんだから」


「アバン大丈夫!?よくもアバンを殴ったわね!早くこの国から出ていけ!この国の英雄は2人だけで十分なんだから!」


「とうとう本性を現したな回復師、お前は他の勇者パーティー2人にも何かやって追放したんだろ。さすが偽聖女だ!ご期待通り俺も出ていくから安心しな。これから大変(・・・・・・)だが英雄2人でがんばんな!勇者の力がなくなったアバンに、ただの回復師の偽聖女様」


「何言ってるのよ!もう魔王を倒して平和になったのよ。あとは英雄として贅沢して過ごすんだから!もう敵はいないのよ、馬鹿じゃない」


「いいのか?こんな人がいる場所で聖女らしくない言動して!早く聖女らしく勇者を回復させた方がいいんじゃないか!?」


「覚えてなさい!いつか痛い目にあわせてやるんだから」

 偽聖女は捨て台詞を吐いてその場から離れ元勇者の元まで行き回復魔法をかけた。


 カイザーはアリサに向かって話しかけた。

「お嬢さん!よかったら俺と一緒に行かないか?この国よりは過ごしやすいぞ!お嬢さんのことを差別する人はいないよ!この国みたいに」


 カイザーがアリサに手を差し出した。


「はい、お願いしますカイザー様。私も連れて行ってくだい!

‥‥あとお嬢さんじゃなくてアリサと呼んでください!」


 アリサは即答し、カイザーの手を取った。

 ドキン!アリサの胸が高鳴った!

(あれ!!私どうしたんだろ?アバンの時みたいなドキドキじゃないわ!あ、そうかこれが本当の初恋なのね‥‥きっとアバンに対しての想いは兄妹みたいな気持ちだったんだわ。2人は孤児院で家族のように育った。だから私はアバンを兄のように慕っていたんだ!あれは恋じゃなくて親愛だったのね)

 そんなことを思いながらカイザーと目があった。


「か、可愛いい!こんな可愛いいアリサちゃんと別れるなんてアバンは馬鹿だな!実は俺アリサちゃんの事気にしてたんだ!アバンは偽聖女にベタ惚れになってたから‥‥もしかしたらアバンがアリサちゃんに酷いことするんじゃないかと思って2人の後をついてきたんだ!ついてきて正解だったよ」


 カイザーがアリサに向かって笑みを浮かべた。

 私は再び胸が高鳴った!カイザー様の手を差しのべる仕草に私のことを気遣ってくれる姿は私の理想としていた王子様だったから!


「そろそろ外野が騒がしくなりそうだね。まずはアリサちゃん家に行って荷造りしてすぐに出よう!」


「そうですね!もうこんな場所にいたくないので行きましょう!カイザー様♡」

 もうアリサの頭の中はカイザーでいっぱいになっていた。クズ勇者アバンのことなんてすでに忘れていた。


 2人は元勇者と偽聖女から離れていった。観衆達はその道を開け見送った。そこで回復した元勇者が‥‥



「待ってくれ!アリサ〜!俺を置いて行かないでくれ〜〜〜〜!本当に好きなのはアリサなんだ〜」


 元勇者の本当の気持ちの声が響いたがアリサは振り向きもせずにいなくなった。もうアリサには届かないのだ。



 それから半年後王国は滅びた。勇者がいるのに‥‥

 王国には冒険者ギルドもなく対処できる者が誰もいなかったのだ。騎士は皆貴族で実戦経験はなく役に立たない。

 王は全て勇者と聖女に任せた。魔王を倒した勇者だから魔物程度楽だろうと‥‥だが王は知らない、勇者はもう以前の力がないことを。王は知らない、聖女はただの回復師だったことを。

 その過ちに気付いた時にはもう遅い。本物の聖女を探し、勇者に聖なる力を戻させるために王国中探したが見つからなかった。

 当たり前である、勇者のために祈ってくれた幼馴染はもういないのだから。そうして王国民全ての人は魔物に食い尽くされた。もちろん王も。だが元勇者と偽聖女の行方はわからないまま王国は滅びてしまった。そして王国は魔物の巣窟になった。



 魔王は死んだが魔物は魔王からの支配から逃れ世界中に散っていったのだ。滅んだ王国以外は冒険者ギルドがあり、その者達が魔物を駆逐していった。その中で破竹の勢いでSランク冒険者になった4人が、世界中の魔物を駆逐していった。それは元勇者パーティーの三人と元勇者の婚約者だ。元勇者の婚約者は聖女になり剣士カイザーのサポートをした。カイザーは剣士だったが聖女の力により勇者に覚醒し巨悪な魔物達を駆逐していった。


 そして世界は平和になり新たな勇者と聖女は結婚し2人の間に子供が産まれ幸せになったとさ。



◆◆◆

余談 


カイザーは本当に王子様だった。

カイザーとアリサが一緒に向かった国はアレキサンダー王国

カイザーは第五王子  

アリサはびっくりしすぎて気絶



クズ勇者視点は新たに短編で投稿しました。

偽聖女後悔視点、王、国民視点、幸せになったアリサとカイザー視点など追加していく予定です。

残りの勇者パーティー2人も




読んで下さりありがとうございます。

【☆☆☆☆☆】を押して応援して頂けると嬉しいです( ◠‿◠ )執筆の励みになりますのでよろしくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ