無限回廊
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指先から何かを発射でもするように、こちらに向けて、はっとする言葉が、俺達の耳に届いた。
その言葉にかぶさるように同時に、二人の女神もいつもの言葉を発した。
「ブルスカ・ショックっ~」
瞬時に俺達全員の手足に、手枷と足枷が装着されたが、面白いことに、装着された手枷と足枷が、パカっパカっと外れていく。頼りになる二人の女神様。
ちびっこ姿でも、リンランとランリンの魔法には、対抗できるようで、凄く、すごく、安心しております。
「マーク、あの赤い金髪は、なんなの、へんな色ね」
「お前たち、本当に、何者なのだ、この赤い金は、この国を取りまとめる証だ」
「さぁ、どうする威張った次期女王さん?なのでしょ?」
「いい気になるな、本当の魔法をみせてやる」
リンランとランリンは、講堂の奥の扉から、出て行ってしまった。
「ちょっと、危なかったわよね」
「ティーナもそう思った、ギリギリ間に合った感じよね」
「ショックっ~って、いうのも、引っかかりませんか?女神様」
「ちょっと、待って、危なかったの?伯母様、クリスちゃん」
「チビッコ版では、これから先のことを考えると、アダルト姿に戻るわね」
「エアルの言う通り、ショックっ~ってのは、私たちと同じ流れの魔法なのかしら?」
「ますます、本当に危険よねぇ、ティーナ」
そう言うと、二人の美少女女神は、本来の姿である、ブルネットの美しいアルカティーナと輝きが眩しい金髪のクリスティーの姿として、変身を完了させた。
「あらっ、すご~い、マーク、この人たち、急に、大人になっちゃったわよ」
「マリー、そろそろ、夢から覚めて、記憶の鍵を開けてくれないかい?」
「・・・、キオクのカギ?」
「そんなことよりも、マーク、早く、塒に帰りましょうよ、疲れちゃったもん」
講堂内は、禁断の果実を口にした働きバチの金髪娘さんと兵隊バチの金髪娘さんで、おしくらまんじゅう状態で、大勢の金髪娘の人数が波を打つように蠢いている。そして、その人の塊は、水が流れ出すように、ここへと流れ着いた時の人の川のようになって、リンランとランリンが出ていった扉から、流れ出していく。
しかし、今度は、緩やかな流れではなく、急流の勢いに変化している。働きバチの人数が加わっただけが、その流れの強さを増した原因でないことは、明らかな事だろう。
「大人になったし、私たちも、後を追いますかね」
「そうね、逃がしちゃうだけじゃ、何も解決しない者ね」
「女神様、頼みますよ、負けませんよね、俺は、非力ですし、子連れですし、ほんのちょこっとだけ、不安が走りましたので」
「頑張るわよ、でも、魔法の根源の女王が待ち構えているよ思うと、ホントいうと、こちらも、ちょこっと、不安よねぇ~」
「やっぱり、ティーナもそうなの、私もよ」
「武者震いですよね」
「ルル、武者震い、ありがとうね、本当は、ビビッちゃっているのよ、ヒヨっちゃっているよね」
「うんうん、クリス、良く言ったわ、私もよ、でも、負けないわよ、女神ですもの」
本当に大丈夫なのであろうか、こんな不安感を抱いたことなんてないと思われる。
女神様が二人もこちらには、いるってのに、本当ですか。人任せの自分のいつもの性分を問われているのでしょうか。女神様に少しでも、負担にならないように、俺自身も何か策を考えなくてはいけないことは、明らかだね。
講堂内の人の動き、人の波の流れに任せて、スルリスルリと前側の奥に見えていた扉から表へと流れ出てきた。中庭と思しき空間にも、人で、金髪娘が入り乱れて大変なことになっている。向かいに何やら教会のような建物がそびえている。
まぁ、人の流れは、既にそちらへとは、向かっていないが、今までの流れからしても、前に見える教会のような建物に行かなくては、ならないのでしょうね。
俺達は、金髪娘がひしめく中庭をよそ目に、立派にそびえ立つ大きな教会のような建物に足を踏み入れていく。
大きな扉は、既に開け放たれていて、奥へ、奥へと続く渦を巻くような回廊を進んでいく。
ここまででも、普通の教会でない、恐怖心をどんどんと募らせていかされる効果が伺える。不思議とこの教会には、人のいる気配が感じられない。折れ曲がっていない廊下の教会は、想像できても、巻貝の中を突き進んでいくような教会は、初めての経験だった。
俺の経験とっいっても、ティーンのクリス教会と、モルシンのアルカ教会しかないのだけれども。でも、しかし、こんな教会を想像するものなんていないだろう。大体、どこまで、中心へと向かってこの回廊、渦巻は、続いていくのだろう。外から見た建物からしても、あまりにも、中心部へとたどり着かないと疑心暗鬼になってくる。
「この廊下って、魔法の迷路なのかしら?」
「いつまでも、いつまでも、辿り着けないものね」
「でも、この建物に、金髪娘も連行されていたはずだよね」
「そうなのよ、でも、次期女王は、私たちが、こちらに来ることは、分かっていたのだから」
「罠ってわけ?」
「そう考えながら、備えるのが、正しいと思うわよね」
俺の手を固く握りしめているマリーは、眠い目をこすりこすりしながらも、ピッタリと身体ごと俺にぶつけるようにして、歩いている。
エライいい子だよ。
マリーの巾着と俺の巾着が、いつもの黄緑色に蛍光を放っている。呼応するように、一、二、三っと、点滅して、発光が止んだ。
「マーク、チカっ、チカっ、チカってしたわよ」
「マリーなんだい?」
「巾着が、ホタルみたいに」
「みせてごらん」
マリーの巾着から賽子を取り出し、同じくして、俺の巾着からも賽子を取り出して、掌に三つの賽子を並べてみると、マリーが七つに戻る時と一緒の出目が出て、蛍光を点滅している。
四・五・六
やっぱり、シ・ゴ・ロの出目だった。
シゴロの倍額の出目が光っていることが、何を意味しているのかは分からないが、この前と一緒なのは、何かを占っているように思えてくる。
「やっぱり、シゴロだね、この出目に意味があるか分からないけどさ」
「マーク、サイコロ、光っているのね」
「マリー、この前、光ったの覚えている?」
「うん、祠の前でしょ」
「ああっ、そうだったね」
「マリーは、覚えていないのね」
「ロコも、ルルも、そうなんだよ、これで思い出してくれたらって、思ったけど」
「エアル、でも、いい傾向よ、賽子を自分の物とエアルの物と分かっているもの」
「ティーナちゃん、やっぱり、この賽子の出目何かあるのかなぁ?」
「それは、何かあるでしょうね、クリス、分かる?」
「私は、女神なのよ、賭け事しないからなぁ、でも、双六でも、賽の目は、重要でしょ、それに光っているし」
この回廊は、大きな渦を巻きながらまだまだ続いている。建物の中心へと向かっているのだと思われるのだが。だって、巻貝の中を進んでいる様だもんね。考えようによると、そんなに中心へとも向かっていないのか、何故なら、回廊の円周が小さくなっていかない。とすると、上へ向かっているのか、下へと向かっているのか、上下の移動をしているのかもと、思われる。
無限回廊を歩かされている様に思われてきた。
「だいたい、この建物、こんなに広い建物なのかしら?」
「確かに、表から見た時は、大きかったわよね、でも、ここまで大きかったかしら?」
「魔法の仕掛けがほどこされているのでしょうね、いい意味でも、悪い意味でも」
愚痴の一つも、言いたくもなりますよね。
俺だけではなく、連れ立って歩いているファミリーも、同じ気持ちでしょう。だって、これでは、建物の中で、ハイキングか、登山道を上り下りしているようにしか思えない。表ではないのが、信じられない感じが気持ちの疲労感を増幅させていく。
「のどが乾いちゃったわ、ロコちゃん、白桃をちょうだいよ」
「はい、クリス様」
「私にも」
「はい、ティーナ様」
「私にも」
「あたいにも」
「あたい?」
「誰だい、だんだん、壊れてきていますよ」
「俺にも頼むよ、マリーが眠り出しちゃったよ」
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