お耳に
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森を抜けて、少し開けた空間に出てくると底抜けに、だだっ広い庭園、お花畑のような施設だろう所に人の川は、辿り着き、中へ中へと流れ込んでいく。
とても美しく綺麗なお花や緑鮮やかな草たちの色映えとは、対照的に楽しさを忘れた明るくない顔色を纏った金髪娘たちの表情が、反って悲し気に俺達の目に映っている。
「ここが、終点なのかしら?」
「多分、行きつく所らしいよね」
そう、流れの目的地。
龍の園。
「キレイなお花が沢山咲いている立派な庭園ね」
「本当にキレイなお花たちだよね、いい匂いがするし、目の毒だよ」
「マーク?どのお花の事を言っているの?」
「あっ、こっちの咲いているお花のことか」
「マーク!色目をつかっちゃダメ!」
人の川は、流れつく所に辿り着き、どんどんと溜まっていき、そして、一つの講堂のような大きな建物へと集約されていく。
働きバチが、それを区分けしながら整理するように、ロット単位の塊を形成していく。まるで、流れ作業の工場といった様な感じを連想させる。建物の外見からは、想像できなかった内部は、人間?人形?を扱う工場か、品物の仕分け作業場のような光景を見せつけている。
さながら、完成した金髪娘配送センターの仕分け工場といったところであろうか。
「驚いたな、本業がこれなんじゃないのかいな?」
「そうね、手慣れた作業って感じだよね」
「何を区分けしているのかしらね」
「大きさとか、色とか、形とか、香りとかなのかなぁ?あとは・・・」
「マークの見立て、なんだか、エッチよね」
ロット毎に区分されて、二十から三十人の一塊にされた金髪娘たちは、唯でさえみんな美しく似通った目鼻立ちをしているのだが、さらに人形の様に同じような者が集められるように、均一さを増しているように見える。
品質の均一性を保ち、製品・商品そのものという雰囲気で人を扱っているとは、到底思えない作業と動きが無機質な感じを際立たせている。
俺達は、女神の目隠しカモフラージュ魔法によって人目に付かない状態で忍び込んできている。人から見えないようになっているだけで、透明人間になっているわけではない。しかし、それさえを忘れさせる圧巻な目の前の光景に目を奪われっぱなしだったことが、足元の何かにまで気がまわっていなかった。
カラン・コロン
「何だ、静かに歩けないのか!」
「・・・・」
大勢いるわりには、とても静かな講堂内部に、何かが転がるような音が響いた。
「今の音はなんだ?」
「壁際の屑籠が倒れたようだ」
「そこは、人が通っていないだろ、倒れるなんて?」
音と屑籠が倒れた現象は、働きバチに確認されてしまったが、俺達のことは、本当に見えていない様である。
「片付けておけ、後がつかえているのだ、リンラン様とランリン様の作業を滞らせるなよ」
一人の金髪働きバチが、俺達の方へと歩み寄ってきて、何もない空間に気配を感じるのだろうか、怪訝そうな顔つきで視線を釘付けにしてくる。
そんなに近くで見つめちゃダメだよ
遊び心とイタズラ心か、単なる趣向なのか、いけない衝動を掻き立てる。突発的にこちらも流れ作業のように身体が反応してしまう。
してしまった。
「イヤンっ」
俺の顔の直ぐそばまで近づいてきた働きバチのお耳へ、フゥっと息を吹きかけてしまった。極々自然な動きを俺のお口がとってしまった。
自然系です。
「どうしたのだ?」
「屑籠を起こそうとしたら、エッチな風が・・・」
「エッチな風???」
よかった。
お耳フゥっとされた働きバチは、疑念を持つわけでもなく風のたちようのない講堂内にもかかわらず、不審に感じていないようである。自分の気のせいと思ったのかもしれない。気が付かれては、面倒なことになることは、分かっていることだけれども、認識してくれないと認識してもらいたくなってしまうのは、俺だけなのでしょうか?
人情ですよね
それとも、悪い癖かしら。
今度は、俺の方からもう一度、可愛いお耳に最接近して、小刻みにフゥ、フゥ、フゥっとやさしく、擽るように息を吹き入れちゃった。
「あっ、あは~ん」
「ここに、誰かいるのか?」
「何かあるわ、何かいるわ」
お耳フゥで可愛らしい声を漏らしちゃった働きバチは、今回は、気のせいとは思わなかったのだろう異変に気が付き、他の働きバチを呼び寄せてしまった。
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