巡る飾り窓
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ゲトレの丸太小屋、不思議なロッジ、外見は、天然素材を生かした、確かに一本一本は、太い丸太ではあるが、極々普通の木材を組み込んで建てられているロッジなのだが、この中に数百の金髪娘が押し込まれているなんて想像もできない。信じられないことであるが、収まっているのである。
ただ、ただ、想像できないということもさることながら、どう見ても、この大きさに強烈な人数が、収まっていることが、信じられないのである。
しかし、だが、しかし、収まっているのである。何回も言いたくなるくらい不可思議なことです。
「今日までの入荷分は、凍結保存を完了したんだろ」
「ああっ、やっとだぜ、六角形のタマゴロッカーが、もう満杯だぜ」
「一人ひとり、自分から箱に入ってくれるから、作業は、楽だけど、数が多いからな」
「まったくだ、でも、目の保養と、儲けの種子だ、好みのがあれば、よけておいても、バレない数の多さだな」
「威張った金髪野郎に、倉庫の拡張とロッカー増設を依頼しておけよ」
「ああっ、分かっている、見本市に出さなくても、大口に、高値で出したいよな」
「これだけまとまった人数を収められるんだ、個人だけじゃなくて、町や国にでも売れそうだよな」
「その線も、探ってみよう」
「一人、百五十万から二百万で捌いているのを高飛車ツンケン娘は、知らないから、馬鹿な野郎だぜ」
「お宝は、金の成る木そのものだ、このゲトレにもっと、もってこさせよう、大儲けだからな」
マージンを受け取ることで、ブランド品「龍の花」の売りさばきを請け負っている者どもは、このダハスだけではなく、様々な奴隷市場にも同じような感じで存在しているらしい。
龍の園の定めた価格は、一人百万だったはずだ。勉強して八十万で、このブローカーの取り分は、二十万。女王は、七掛を容認していたので、高飛車ツンケン金髪が、十万を抜く。しかし、実際には、これで終わりじゃなかったわけだ。龍の園の龍の花というブランドの価値は、とてつもなく高く、取引価格は、百万どころではないのが、実際のところなのだろう。市場でセリあえば、ますます高くなるのであった。
こうして、このゲトレは、栄えてきたところなのだろう。隠された町がどうしてこんなに潤っているのか謎だったが。
「今日の見本市で、捌く分は、用意できているんだろうな」
「もちろんだ、今日は、東方から野蛮な王族がくるだろうから、吹っ掛けてやろうぜ」
身体を隠す最小限の布切れを纏わされた美しい金髪娘がニ、三十人くらい丸太小屋から岩山の洞穴へと引きずり出されていく。
「この前、入荷に穴があいたとき、船ごと買い取った娘たちは、地震と津波の間に逃げられたから、大損だったな」
「ああ、そうだ、金をドブに捨てたと同じだったな、その分も龍の花で取り返そうぜ」
「龍の花があれば、この花が一番人気だ」
「龍の花、さま、さま、だぜ」
連れ出された金髪娘たちは、この減らず口をたたく男どもと共に坑道内を進んでいき、内部を覗き見ることのできる個室へと次々と納められていく。
飾り窓だ。
そうこの山、この飾り窓は、同じ部屋ではないにしても、ルル、そして、プラムを含む二十人のダハス娘が、閉じ込められていたゲトレの奥地、奴隷市場、同じ施設だったのだ。
南へ、南へと滔々と流れる人の川は、潺の音もさせることもなく、足音だけを響かせて流れていく。その流れを付かず離れず俺達は、後を追って歩き続けている。
結構な時間を歩き続けているが、どこまで、どこへと行くつもりなのだろう。禁断の果実を見付けた西の森からは、南南東の方角へ向かってきていることになるのであろうか。城の真南へ下っているのだから当たり前の事かもしれないが、この三点の三角形にも何某かの理があるようにも思われる。
「マーク、疲れちゃったわ、どこまでいくの?早く、塒にかえりましょうよ」
「しっ、マリー、静かに」
「だってぇ~っ」
マリーは、疲れもあるだろうが、オネムさんになって、ぐずり始めているのだろう。無理もないことだ、七つの女の子が、休みもなく森の中を歩き通しなのだから。やっぱり、もう一度、家にマリーを送ってきてもいいのだけれど、七つに戻ったマリーにとっては、家も見知らぬ者に囲まれた見知らぬ場所なのだから、無理なんだろうね。
可愛いけど、まいっちゃうよ、マリーちゃん。
「よし、おんぶしてやる」
「うん」
俺がしゃがみ込むとマリーは、極々自然な動作として、俺の背中に乗って来る。静かに俺の巾着とマリーの巾着が呼吸をするように黄緑色の蛍光を点滅させている。
「マリー、光っているよ、ほらっ」
「・・・・」
もう既に、マリーは、ずっしりと重たくなって、身体も熱くなってきた。リンゴを片手にしたまま、おやすみなさいしちゃっている。そして、巾着の点滅も、マリーの重みに添うように消えていった。
「マリーは、寝ちゃったの?これで静かに尾行できるわね」
「クリスちゃん、なんとかして頂戴よ」
「エアルは、子煩悩なのね、いいことね」
「ティーナっちゃんまで、これって、本当に元に戻るんだよね」
「マークに丁度いいじゃない、ゴールドも揃っていないお嬢ちゃんのマリーなら、安心よね」
ロコが、マリーに焼きもちを焼かないでいることは、珍しいけれど、裾からチラチラしているイチゴパンツと同じ様に、もう少し手を貸して欲しいんだけれどもなぁ。
俺は、静かになったマリーを背に、森の中を歩いていくさ。重くない、重くない、七つだもんね。
ふと、横に顔を振り向かせてみると、隣を歩くロコが、天使の笛とペテン師の笛を両方口に銜えて静かに、密やかに息を吹き込んでいく。
「キュルルルル~」
人の川には、聞こえない程の小さな笛の声が、俺達の周りを絡みつくと馴染み深い霧がモヤモヤと一行を包み込んでくる。そして、目の前にピンクゴールドの髪を輝かせた女神?女王様?大人の雰囲気を醸し出している美女が、大きな鏡の前に立っていた。そして、そのピンクゴールドの美女に促されるように、次から次へと新鮮な金髪娘たちが、その鏡の中へと消え去っていく。その金髪娘の人数と言ったら、目の前の人の川の行きついた所だとすぐさま連想で来た。
モヤモヤの晴れた俺達は、互いの顔を見合わせてしまう。
「なんだ、ここは、どこなんだろう、このカワイコちゃん達をどこに連れて行くんだろうか」
「この娘たちは、三桃ちゃんとちがって、ただ処刑されるわけじゃなさそうね」
「どういうことなんだ、この大人の色気のすごいピンクゴールドちゃんは、誰?」
「マーク、ピンクゴールドが大好きだからって、悪者に決まっているじゃないの、ヘンタイさんのお馬鹿さんねぇ」
「やっぱり、この素晴らしい御方が女王バチさんなのかなぁ?」
「そうらしいわね」
女神と言われても、疑うものなど一人としていないだろうほどの見目麗しい美女が、このカルボーアの魔女の頂点なのか、この上意下達の国の独裁者なのだろうか。疑問形にしなくても、間違いないことは、俺だけではなく、みんなの同意だろう。笛の幻影が鮮明過ぎて、美しさに当てられてしまっている。
美しいものに弱い俺は、正しく対処できるのだろうか?
こんなに美しい美女が本当に悪者なのかなぁ?
美しいものに弱い?
美しいもの?
ものじゃないか
美しいひと
美しい女のひと
おんなのひとでしたね
でしたわね
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