狐穴
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コンコンが走り回ると、チューちゃんもその後に続いて、走り回っている。
反対じゃありませんか。
草原をひとしきり走り回って、ロコの脚元に戻ってくると、チョコンとお座りしちゃいました。
チューちゃんまで、コンコンの足元にお座りチュー。
「なんだい?結局、為す術無し、だったってこと?」
「う~ん、走りまわって、草原を満喫しただけって感じなの?チューちゃん、コンコン」
そして、コンコンは、目の前の心の樹木の根元にそそくさと近づくと、片足を上げだした。
「コンコン!お行儀が悪いですよ!違う所で座ってして頂戴な」
「おおっ、コンコンは、やっぱり、男の子だったんだね、しゃがんでなんかしたくないよね」
「バカ、マーク、この木に引っかけるなんて、バチが当たるわよ」
コンコンは、ロコの声にビクっと驚いたものの、用を足そうとしたわけでは、無かったようで、もう片方の足まで木に掛けながら、逆立ちのようになり、地面と木の境目、木の根が浮き出した辺りに鼻先を突っ込んでネジにでもなったように回転しだした。
コンコンがドリルの様に木の根元に潜り込んでいく。
この地に辿り着いて、白い雪と氷の平原でチューちゃんを追って穴に潜り込んだ時の同じ感じである。今度は、チューちゃんが、コンコンの穴掘りを見ている側だけど。
コンコンは、狐穴をこの木の根元に作り出しているのだろうか?
通り抜けの穴は、コンコンの身体を飲み込んで、オロチちゃんの言うところの魅力的な穴のみが、ぽっかりと開いているだけとなった。
「コンコン、戻っておいで」
何の返答も無い、コンコンの姿が見えないまま、今度は、チューちゃんも後に続き、コンコンの作った狐穴に身を投じていく。なんか、チューちゃんの場合は、穴に近づいたら吸い込まれていったようにも見えた気がする。
ロコが、穴に近づき、覗き込みながら、コンコンとチューちゃんに呼び掛けようとするも、穴の見た目は、浅く、一尺程度で、中には、何も無い状態である。
「いなくなっちゃったわ」
「どれどれ」
オロチちゃんも、魅力的な穴に見えたのだろう、近づき、自分も潜り込みたそうに、覗き込んだ。
「本当だね、浅すぎね」
俺も確認するように、覗き込んで、手をその穴に入れて、底の辺りを探ろうとしたところ、底に触れるか触れないかの所まで、手を伸ばすと、底自体が、触らせまいと、手が近づいた分だけ深くなっていく。
コンコンとチューちゃんの姿が見えないのだから、無論、ただの穴ではないことは、理解しているが、何とも不可思議な穴をコンコンは、見付けた、こしらえたものだと、感心して、更に手を伸ばして、頭から穴底へ、飛び込んでしまった。
「マーク!」
ロコが覗き込む穴は、先ほど確認した時と全く同じ一尺の深さの穴だけが、口を開いている。ここまでくると残されている者もマークの後を追うのみで、順々と浅き穴に足を踏み入れて、落ち込んでいく。
想像通りであり、一安心である。
穴の出口は、泉の畔で、木の切り株そのものだった。
切り株に触れたことで、大きな樹木に出会えたのだが、今度は、切り株の年輪の中心部分に拳位の焼け焦げた穴が開いている。これが、コンコンが作り出した穴と通じたのであろう。もう触れても樹木の所へ飛ばされることもなくなった。しかし、切り株の中心の穴は、拳大といえども、手を突っ込むと、またまた底なしの穴になっている。
スイッチを壊して、トンネルを開通させたようである。
コンコンとチューちゃんのコンビは、不可思議な力を持っているんだね。見くびっていて、ごめんね。
「戻って来られたわ」
「あっ、ネーブルが脱いだ私のパンツを、コンコンが銜えているわ」
コンコンは、ロコの言いつけ通りに、ネーブルのパンツを探索することに全力を出してくれたことのようである。時間を超えても、ネーブルの爽やかな香りは、辿れるほどに良い香りなのだろう。
「やっぱり、ネーブルの匂いは、いい匂いなんだね、時を超える香り」
「マーク、ネーブルの匂いをどこで嗅いだのよ」
「だって、本当に良い匂いだも~ん」
「もう、私のは~」
恥ずかしそうにネーブルがコンコンから、パンツを受け取ると、オロチちゃんに返そうとピンクのパンツを差し出した。
「ネーブル、もう、そのパンツ履きなさいよ、ノーパンなんでしょ、今、私も履き替えたくないもん」
「いいの?」
「交換っこよ、いいでしょ、ネーブルのパンツは、私がもらっちゃうわ」
「うん、ありがとう、ずっと、スースーしていたのよ」
「なに?ネーブル、どこがスースーするの?ゴールドちゃんかな?」
「マーク、ネーブルの金は、お風呂で確認済でしょ」
「そうだけど、カボスちゃんとスダチちゃんもやっぱり、ゴールドなのかな?確認が必要だよね」
「マークって、エッチさんなのね」
「そうだよ、ネーブル、マークは、エッチなことで頭が、いっぱいなのよ」
「オロチちゃん、マークが確認したい私たちのゴールドって?」
オロチちゃんがカボスの耳元で、小さな声で教えている。すると、カボスの耳が、みるみる赤くなってきた。
「マーク!確認の必要なんてありませんわ」
「カーチンどうしたの?確認させてあげたら?」
「確認するまでもなく、金髪なんだから当たり前でしょ、ヘンタイ!」
ネーブルとカボスは、改めて、俺に変態のレッテルを張り付けた様だ。スダチは、なんのことだか分からないでいるが、カボスもネーブルも教えてあげる気も起きないようである。
「では、おふざけは、このくらいにして、作戦会議よ」
「ティーナちゃん、泉に戻ったこともあるし、一度、お家に戻りますかい?」
「あっ、そうか、お土産先渡し便ね、そうね、渡してきましょうか、クリスにも、木の事を聞いてみるのもありよね」
「それじゃぁ、また、このまま待ってますね」
「はいはい、そうしていてね、ちょこっと、いって戻ってくるわね」
「ティーナちゃんは、ティーナちゃんで行って、ティーナちゃんで戻って来るんですよね」
「そうよ、オトナのアルカティーナが欲しいの?」
「そうじゃなくて、どっちかなぁって」
「どっちが、お好みなのよっ」
「かわいいティーナちゃんのが、話しやすいけどねぇ」
「じゃぁ、いいじゃないの、いってくるわよ」
ティーナちゃんは、二度目になるが、ゲリア本拠のお家まで、お土産を届ける為に、耳飾りの石を捩じらずに押し込んで、羽のはえた蛇の呪文を唱えた。
「エ・ヌ・ジ・ア・イ・ブルスカ」
ティーナちゃんは、旋毛風を巻き起こして、足元から、消え去っていく。
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