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関係性

今日もご覧いただき、ありがとうございます

ぜひ、ご感想をお聞かせください


「私たちの今は、現在進行形を生きていないのよ」



「この木、樹木の前、今、ここは?今じゃないってことですか?」

「ルルちゃん、察しがいいわね、ここは、私たちの現在から見れば、過去の進行形なのよ」


「過去?マーク、果物ナイフの時間目盛りを確認してみてよ」

「おおっ、そうか、自慢のペティナイフちゃんはというと」


 オロチちゃんに促されて、ドラゴンの剣の峰を確認すると溝が真ん中ではなく、根元の所の溝が深く刻まれている。まごうことなく、時の目盛りは、過去、それもかなりの昔の過去を指し示している。


「とにかく、ティーナちゃん無事に戻って来られて、よかったよ」

「そうなのよ、ちょっと、不安だったけど、戻って来られたわ、生まれる前まで遡っちゃうと、魔法が使えないから、焦っちゃった」


「それは、それは、危ないですよね、石と呪文は、流石ですね」

「悔しいけれど、あのペテン師アロンとマナは、魔法を超えるモノを作り出したってことよね」


 つくづく、血の繋がりしかないけれど、両親の凄さを実感させられている。

 俺も、その優秀な血統と技術を受け継いで、伸ばしていきたいものである。

 性根以外は、是非とも、受け継がせて欲しい。


 ティーナちゃんの話から、八人で考えるに、今いるここは、カルボーアの城から逃げて来た現在でもなく、西の森の昔の姿に身を置いていることになるらしい。


 思い起こして見れば、泉の畔の木の切り株に触れたことで、ここにやってこられたのである。そうだとすると、あの切り株が、目の前の樹木の現在の姿なのでは、ないだろうか。


 現在では、もうこの禁断の果実を生み出す樹木は、切り倒されて、その効果を発することは、ないのだろう。


 そこで、過去に遡って、効果を得るためのタイムトンネルの仕掛けが、施されたに違いない。


 女王は、現在から禁断の果実が成る樹木を消し去り、隠すことで、儀式を完全なる神事としてしまおうとしたのではないだろうか。そこまで、この樹木は、魔法の国にとって、大事でもあり、他の者に渡したくないモノであるのかもしれない。


 そんな代物を見つけ出されては、存在そのものを消される処分も納得がいくというのが、俺達の想像である。


 俺は、少しばかり、おかしなことに気が付いた。


 この場から、ティーナちゃんは、お家に戻って帰ってきた。呪文は、現在進行形のもので、場所移動だけのものだったが、例えここが過去進行形の世界だったとしても、現在の呪文で現在のゲリア村に戻れなかったのはどうしてだろう。


 流れ星の時も時間移動は、場所移動を伴っていなかった。


 ゲトレの隠れ教会から昔のダハスへの場所移動の際は、そもそも、時間移動は、していなかったのかもしれない。


 つまり、石と呪文の時間移動は、場所移動はしないで、場所移動は、同一の時間内の制限があるのかもしれないな。

 そうだとするならば、時間移動と場所移動については、場所を変えてから、時間を移動すれば可能であるので、組み合わせ次第ってことですよね。


 脱線してしまったが、今、俺達がいるこの世界では、今が、進行形なのだ。


 俺の果物ナイフに刻まれた過去目盛りが、現在の真ん中に戻らないのは、元々の俺達の世界が基準値として、このナイフが作られているからなのだろう。


「ティーナちゃん、ここから、現在に戻ろう。石と呪文でなく、泉の切り株に戻るのが、ややこしくなって、時代の迷子になるより、きっといいはずだよね」

「エアルいいこと言うじゃないの、安全策でいきましょう、来た時の反対をすればいいのよ」


「でも、触れたことでスイッチになっている切り株には、どうやって戻るの?」

「カーチン、この間は、ハチさんを追いかけていたから、どうやって戻ったのか分からないわ」


「どこかに、戻る仕掛けもあると思うんだけどなぁ」


「・・・、オロチちゃん」

「どうしたの?ネーブル」


「さっきさぁ、パンツを返そうと思って、泉の畔で脱いで、枝に引っかけてきちゃった」

「えっ、じゃあ、今、ネーブル、ノーパンなの??」


「しっー」

「マーク、ネーブルは、ノーパンなんですって、確認しましょうよ、ゴールドを」


「なんだって」

「ダメ!」


「ロコ、なにがダメなんだい」

「見ちゃダメ、確認しないでいいのよ、そんな場合じゃないでしょ」


 元々オロチちゃんのパンツをネーブルがお風呂で履き間違えていたと言っていたヤツだな、さっき返すとか履きなおすとか、言っていたヤツだ。俺が、後回しにしておくれと言ったのを覚えているぞ。


「そのパンツを手掛かりに切り株の所へ、戻れないものかなぁ」

「パンツで?」


「うん、パンツで、ネーブルの匂いを辿って」

「時を超えて、匂いを辿れるかしら?」


「私、そんなに、匂いがきつくないわ、マークのイジワル」

「そうじゃないよ、ネーブルちゃんは、さわやかな甘酸っぱい匂いがするよ」


「へんたいさん、ネーブルの匂いより、私の匂いも忘れないで」

「ルル、マークに抱き着かないで」


「なによ、ロコ、ロコの匂いより、私のがいい匂いなんだから」

「失礼ね、私の匂いが大好きなのよ、マークは」


「ちょっと、そういう話じゃないよ、ロコ、そんなことより、コンコンに探させてよ」


 ロコは、ルルと言い合っているのを止めて、コンコンにネーブルの匂いを覚えさせている。


 流石に元々は、襟巻のコンコンは、ネーブルの首に巻きついて、念入りに、首筋を嗅いで爽やかな香りを記憶している。


 コンコンも先ほど、禁断の果実である油揚げをご相伴に預かっているんだから、頑張っておくれよ。


「カーチン、どうして、みんなは、マークばっかりを取り合っているのかしら?」

「そうねぇ、リーダーなんじゃないの?」


「リーダー、ティーナさんが、リーダーじゃないの?」

「モテモテ魔法でも、身に付けているとか?」


「カボスちゃんも、スダチちゃんも、マークの良さが分からなくて良かったわ」

「そうね、ロコ、これ以上、ライバルは、増えて欲しくないもんね」


「ルルに同意しますわ、でも、家のネクターたちも、マークに夢中なのにね」

「エアルは、かわいいものね、それでは、もうここいらで、エイ!」


 ティーナちゃんは、コンコンがまだまだネーブルの匂いに陶酔している最中なのに、いきなり、指をパチンと鳴らして見せた。


 そのパチン音に、みんながティーナちゃんに視線を送ると、そこには、ブルネットの超かわいい美少女が立っている。


 周りを見渡すと、サファイヤブルーの髪、真っ赤な髪、茶色の髪に緑の肌、おや、俺のボインボインまで、無くなっている。


 見事に、本来の姿に戻ったらしい。


「キャーっ、変身した、やっぱり、ルルさんは、青だわ、オロチちゃんは、緑の肌なの?」

「ネーブル、これが、本当の姿よ」


「カボスちゃんも、スダチちゃんも、これが私たちよ」


 ネーブル、スダチ、カボスの三人は、本当の俺達をまじまじと見て、驚きと納得をしているようだ。


「やっぱりというか、本当に、異国の人たちだったのね」

「驚いた、でも、お風呂でチラっとみたでしょ」


「うん、オロチちゃんの尻尾も見たけど、こう、本当にみると」

「嫌いになっちゃう?」


「ならないわよ、それに、マーク、・・・・、男って、どうなっているの?」

「男?」


「マークは、男なのよ」

「男って、オス?」


「確認させて、だから、みんなが、大好きなのね」

「俺は、男だけで、モテモテなの?」


「エアル、そうじゃないわよ、僻まない、ひがまない」


「みんなは、魔法の上級者なのね、教えて欲しいですわ」


 コンコンが、陶酔から我を取り戻して、ネーブルの首から降りてくる。


 そして、草原をグルグルと走り出した。それを目で追っているロコは、自身の巾着が見覚えのある黄緑の蛍光発光をしていることに気付き、大事な木片を取り出してみる。


 木片には、型抜きのような模様として、お船に、ついさっき飲み込ませた禁断の果実の木の枝が、刻まれている。その刻まれている模様が、光りながら、枝のみだったものが、見る見る葉っぱを生い茂らせていっている。よく見ると、木片自体も、若々しく年輪を刻みながら大きくなっていく。


「マーク、木片が」

「どうしたんだい、光っているじゃなか」


「木片が、大きくなっていくのよ」


 一回り、二回りと木片は、大きくなって、掌から地面に零れ落ちた。


 地面に落ちてからも、輝きを増しながら、大きくなり続け、畳半畳くらいまでの大きなになって、一際、眩く発光した後、元通りの大きさに戻った。


 黄緑の発光も治まり、小さな木片のみが残っている。


 ロコが拾い上げて、木の模様をツンツンすると、掌に載せた木片から天を突くような巨木がそびえ立った。それなのに、ロコは、その重さを感じないという様に、平然としている。


「ロコ、すごいじゃないか、重たくないの、元の樹木よりも、はるかに大きな木になっちゃったね」

「すごいですね、これが、ドロボーの技なのね」


「ネーブル違うわよ、マーク、これ、どうしましょ、戻るかな?」


 ロコが巨木の根元をツンツンともう片方の手の指で弾くと、いつものように小さな木片だけとなり、巨木も型抜きの模様に戻った。


「なるほど、これは、意味深ね、おそらく、その木片は、この木から出来ているんじゃないの?」

「ティーナちゃん、そうか、なるほどね、とすると、この樹木には、ペテン師とマナも関係しているのかな?」


 それで、三桃娘に禁断の果実の話を聞いて、見に来てみたくなったのかもしれない。


 ティーナちゃんの掌も黄緑色の発光を伴って何かが出て来た。ティーナちゃんが出したのか、意図せずに出て来たのか、小さな見覚えのある祠が出てきて、その扉を開け放した。

 何回かパタパタとしたあと、祠は、ティーナちゃんの掌に消えていった。


「ティーナちゃん、祠を出してどうしたの、久しぶりに祠をみちゃったけれど」

「出したわけじゃないわ、今、分かったけど、この祠もこの木で、できているみたいだわ」


「えっ、そうなの、ますます、俺達と関係が深まった感じがするね」


 ペテン師は、魔法の源、魔法の起源のこの地まで、係わっているってことなのかよ、流石に、勇者と勘違いされる訳だな。


 マナニーニにしても、アルカティーナやクリスティーを凌ぐ、最強の魔法使いだったのかもしれないぞ。だって、女神よりも、女神色が強いイメージが、バリバリにしてきちゃったじゃんかいな。


 この二人は、傍から見れば、勇者と女神として、魔法と錬金術を携えて、とてつもない事に係わっていたのかもしれない。



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