進行形
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お土産の白桃を携えたティーナちゃんに、一度、宅配便の如く、家に戻ってもらうことをお願いする。
お留守番組にお土産の先渡しということだけれども、本当は、まず、俺達と同じように禁断の果実を食べて、言葉を操る術を備えて欲しいのである。
また、これからハチの巣に乗り込むに際し、対策と対応をクリスティーと女神二人の見解を併せてもらいたいのが、狙いである。
「エアル、では、一度、戻って来る、私が戻るまで、ここで待つように」
「はい、まだ、乗り込みませんよ、女王対策を女神同士の意見を教えてくださいな」
今回の呪文転送行為は、ティーナちゃん独りで行ってもらうので、じっと、じっくりと、状況を眺めちゃうことができます。
ティーナちゃんは、耳飾りの石に手を当てて、弄ぶように触りながら、到着地である我が家の広間を思いつつ、軽く押し込むようにして、お決まりの言葉を発する。
「エ・ヌ・ジ・ア・イ・ブルスカ」
ルルが、羽の生えた蛇の紋章を出すまでもなく、ティーナちゃんは、その場でクルクルと旋毛風の様に回転しながら、足元から、消え去っていく。
「伯母様、おねがいしますね」
「はいはい、いってきます」
ルルが、紋章を遅ればせながら取り出すと、紋章の模様である羽の生えた蜷局が、黄緑色に光り、ジンジンという感じで震えている。今まさに、発動しているのが、見て取れる。
こういう状況確認も、この紋章の使い道であることを見付けることができちゃった。
さて、ティーナちゃんが、戻って来るまでに、こちらも作戦会議だ。
そういえば、ティーナちゃんは、戻って来る時は、アルカティーナの大人版で戻って来るのかしら、今もお家には、どちらの姿で向かったのかしら。ティーナちゃんで行ったのだから、ティーナちゃんでお家に行って、ティーナちゃんで戻ってくるのだろうと普通に想像しちゃいますよね。
大人版より、話しやすいし、俺は、ティーナちゃん版が好きなんだけどなぁ。
「マーク、ここにいる全員は、念願の禁断の果実を口にしたことになるのよね」
「そりゃそうでしょ、みんな言葉を操りし者になっちゃったんだよね」
「これで、マークを意のままに、できるのね」
「そうよ、ロコ、今夜は、三人で楽しみましょうね」
「ちょっと、オロチちゃん、私も仲間に入れてよ」
「ルルも、合体したいの?」
「したいに決まっているでしょ、イジワルねぇ~」
「言葉の術は、悪用反対だよ、あくまでも、家族には、合意のもとにだからね」
「いいでしょ、少しぐらいは・・・・」
今、考えなければならないことは、夜のお楽しみのことでは、ないはずだ。
カボスも、スダチも、ネーブルの為にも、本拠における処罰対象からの解消が急務であるのよね。処罰では到底済まないであろうことは、明らかである。我が家の三桃娘と同様に処分されるか、今回は、見せしめに公開処刑なんてことも有り得る話である。
「オロチちゃん、私、どうなっちゃうのかしら?」
「うんうん、ネーブルは、食べたから、磔獄門でしょ、うふっ」
「ウフっ、じゃないわよ、冗談はよして」
「いや、ネーブルちゃん、冗談じゃないよ、間違いないと思うよ」
「マークまで」
「私たちは?」
「カボスちゃんとスダチちゃんは、火あぶりくらいかな?」
「二人は、さらされないの?どうして、わたしだけ・・・」
「だって、ネーブルは、首謀者って、思われているもんね」
「ちがうでしょー」
「問答無用って、感じになると思うよ、あの様子だと」
「ひどいわ」
「カーチン、私たちは、ネーブルより、軽くて良かったわね」
「バカ~っ、スーチンって、本当にお馬鹿さんね、どのみち、命は、取られちゃうのよ」
「なんと・・・」
「なんとじゃないわよ、だから、マークが、考えてくれているのよね」
「ロコちゃん」
「考えているってか、全員食べちゃっているから、みんな同じになっているでしょ、これが、心強いだろ~っ」
「マーク、美味しかったの?何色のが?やっぱり、赤いのが、好みだったでしょ?」
「お口の中で、とろける感じの甘酸っぱさが、癖になりそうだったよ、この実を植えたら、お家でも食べられるのかしら?」
「そう思って、枝を収納しちゃったわよ、帰ったら、接ぎ木しましょうと思って、悪い子しちゃった」
「ロコ、ナイス、いい考えだ、色々な臨む実がなる木を持ち出せるなんて」
「でも、上手く育つかは、分からないわよ」
「それな、家のプリメアの雫で育てれば、いけるんじゃないかなぁ」
「マーク達は、実だけじゃなくて、枝まで泥棒しちゃうの?」
「しちゃうさ、広まっちゃえば、秘密じゃなくなっちゃうでしょ~」
「マークは、元々、泥棒さんだもんね、お船も泥棒しちゃったし、清き私の乙女のハートも泥棒しちゃうし」
「ロコ!」
「なによ、ルル」
「私なんて、清き乙女の大事な所を泥棒されたわ」
「ルルのウソツキ、偶然のブルーキッスでしょ~」
「まぁ、まぁ、私なんて、ベロの奥まで、チューって、ドロボウされたわ」
「オロチちゃんだけ、贔屓しすぎでしょ、マーク、チューして」
「ロコだけじゃなくて、私にも」
「どうして、そうなるんだよ、順番にさせていただきます、お家に帰ったらね、まずは、どうするか、考えるんでしょ」
禁断の果実のなる心の樹木を前にして、俺、ロコ、オロチちゃん、ルル、ネーブル、カボス、スダチの七人は、ティーナちゃん宅配便がお家に向かった後、たわいもない会話を続けている。
考えなきゃ、ティーナちゃんが戻った時に、怒られちゃうってか、呆れられちゃうこと、この上なし、身内として良いところを見せて、成長ぶりを見て欲しい。
でも、俺は、禁断の実を食したことで、魔法を身に付けたってことだよな。言葉の魔法。凄いじゃんか。マリーと三桃娘の講義よりも、素早く身に付けることができたってことだよね。明らかなるズルだけど。
ここにいる七人は、同じ能力を身に付けちゃったことだから、ここにいる者の間では、身に付けようが付けまいが、関係ないけどさ。ことによると、チューちゃんも、コンコンまでも、身に付けっちゃったんでしょ。自分好みのリクエスト果実を食べていたものね。
「ティーナちゃんが、戻ったら、城、ハチの巣に殴り込もう」
「返り討ちにあっちゃうんじゃないの?」
「あってたまるかい、蜂の子採りみたいに、一粒で二度おいしいようにしたるわい」
ルルの首飾りになっている紋章が、ジンジンと震えながら黄緑色の光を点滅させている。緑のカラーターマーが時を知らせているように反応している。
その点滅が、徐々に速く小刻みに刻みだした。
「ほらっ、マーク、羽の生えたヘビが、ジンジンビリビリ、光っているわ」
「本当だ、こんな感じに光るんだね、ティーナちゃんが戻って来るのかしら?」
七人で紋章の点滅に目を奪われていると、想像通りにティーナちゃんが、先ほど消えていった光景の巻き戻しの様に、旋毛風の逆回転をしながら、今度は、頭から爪先にかけて、その姿を実体化させて戻ってきた。
「エアル、間違っちゃったわ」
「ティーナちゃんお帰りなさい、お家はどんな感じだったですか?」
「お家なんて、なかったわよ、ゲリアの村すらなかったわ」
「えっ、どういうことですか?」
「ここは、現在じゃなっかったってことよ」
「現在?進行形?じゃないんですか?」
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